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平成10年度第6回過疎問題懇談会の議事概要について
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1.日  時 平成10年10月21日(水)10:00〜12:00                        
2.場  所 中央合同庁舎5号館 24階 国土庁第4会議室                      
3.出 席 者 (委員)阿部(統)座長、五代委員、須佐委員、宮口委員                 
         (国土庁)中川局長、薦田審議官、三宅室長                       
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4.議事概要                                                   

(事務局から前回議論の要旨・多自然居住地域の創造・公益的機能の維持増進について説明の後、意見交換)                                                 

・ 棚田は年寄りが鎌で刈り取るような田んぼのままでは維持できない。機械が入れるように区画整理をしないといけない。                                             

・ いわゆる「ふるさと論」には注意が必要。例えば白川郷の建物や風景ように文化財的価値の高いところはそのまま維持すべきということになるが、全国に無数にある棚田風景すべてを今のまま守るべきかどうか。残すべきところと広葉樹林に戻すなどすべきところを、きちんと分けて考えるべき。

・ 「多自然居住地域」の前提には、仮に人が今より減っても発展する方向があるはずだ、という考え方がある。都市で集住するあり方とは別に、自然の中で散らばって住む居住のあり方があるはずであり、それを新たなフロンティアと言っている。                              

・ 「新たなフロンティア」という考えと「ふるさと」という考えは対立する点があるのではないか。ほ場整備を進めるなり、農業公社を広域でつくって近隣在住の高齢者に加え、都市住民もボランティア的に加わるなど、空間を相互に利用する方向で進まざるを得ないのではないか。人も資源も広域的に融通し合う仕組みを考えていく必要がある。                               

・ 沖縄に行ったときに気が付いたが、現在まで続いた土地利用には、先人の知恵の結晶であり、例えば地名や伝承で木を切ってはならないところはそれだけの理由があるようだった。地域の風土再生、風格ある地域の創造という視点があってよい。                           

・ 様々な性格の地域を人口減少ということで括ってきたということも留意しておくべきであるが、今日においては過疎地域を1つの概念で括ることへの反省も必要。過疎地域も色々な地域があり、それぞれの過疎の背景を探り、要因を分析した上で、共通項を括り施策を講じることを考える必要がある。                                                      

・ 過疎地域の高齢者は若者が都市で成功していることを喜んでいる。一方で、若者の側も雇用の問題が解決されれば帰りたいと思っている。同根の人々が都市と過疎地域の両方に住んでいるように思われる。                                                 

・ 遠くの大都会とはそのような関係があるのに、近くの中小都市とは縁遠い。近くの街と周辺町村との関係を作っていくというのが多自然居住の考え方。                         

・ 身近な街と関係を持たないのは中小都市が魅力を失っているという問題もあるのではないか。

・ 津軽のリンゴ栽培の村では、弘前市から人を雇い、毎朝迎えに行って働いてもらっている。都市と周辺町村の相互の補完関係が様々にあっていい。                           

・ 過疎対策は地域で誇りを持って生活できるようにすることが大切。そのためには、都市並みの生活環境は是非必要。また、ハーブ公園をもとに菓子生産など地域の個性を発揮できる産業の創造も不可欠だ。                                                  

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(事務局から地方分権、市町村合併、広域対策について説明の後、意見交換) 

・ 広域的対応としては介護保険、在宅介護サービスなど福祉が大きな問題となろう。医師が不足し、開業医に加えて病院の勤務医も頼まないと認定も困難な状況がある。              

・ 広域行政を合併に発展させることは必要であるが、具体論になると、各々の市町村で行政サービスの水準が違う、サービス提供に対する住民負担が違うといった問題や財産区のありなしなど困難も大きい。                                                   

・ ナイター付きの運動場を市町村ごとに作ったら、かえって相互の交流が減ったという事例もあり、広域的に施設整備を行う方がよいのではないか。                             

・ 山村に住む人はこれまで都市の利用の仕方がわからないでいた面があったが、過疎地域の人も都市を使いこなす方法を身につけることが必要。都市と関わらず生きるという「仙人論」もあるが、都市型の文化やサービスも上手に使える能力を身に付けていく必要があり、この考え方を「ふるさと論」に上乗せしていく必要がある。合併の議論の前にこのような議論が必要ではないか。    

・ 市町村長にも、村出身で都市に住む若者の声などをキャッチしてそれを生かした施策に取り組む態度が必要。                                                  

・ 広域的な交流を進めることで、行政サービスについての相対的な評価の軸を身につけることにもなり、広域的行政に結びついていく。                                    

・ 合併という言葉は厳しい反応を呼びがちであり、新しい用語を考えてもよいのではないか。   

・ 耕地の公的管理を行う体制づくりが必要であるが、その場合、小さな個別の集落単位というものではなく、ある程度の広域での共同管理のシステムが必要。こうした方法も、独自の産物づくりなど、将来に向かって新しい産業のタネ、自立の方法に向かうということで、大事なことだ。     

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議事の概要は以下をクリックしてください。
  第1回 懇談会 議事の概要 (98/05/01)
  第2回 懇談会 議事の概要 (98/06/05)
  第3回 懇談会 議事の概要 (98/07/10)
  第4回 懇談会 議事の概要 (98/07/28)
  第5回 懇談会 議事の概要 (98/09/08)
  第6回 懇談会 議事の概要 (98/10/21)
  第7回 懇談会 議事の概要 (98/11/06)
  第8回 懇談会 議事の概要 (98/12/25)

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