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平成10年度第7回過疎問題懇談会の議事概要について
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1.日  時 平成10年11月6日(金)14:00〜16:00                        
2.場  所 中央合同庁舎5号館 24階 国土庁第4会議室                     
3.出 席 者 (委員)阿部(統)座長、今野委員、五代委員、須佐委員、田端委員、宮口委員   
        (国土庁)中川局長、薦田審議官、三宅室長                        
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4.議事概要                                                      
(事務局から前回の議論の概要について説明)

・ 今回の全総はどちらかというと抽象的な面が強く、具体的な政策についてはそれほど突っ込んで記述してはいない。全総にあるような長期的な視点と、当面の課題は分けて考えるべきである。

(事務局から高齢化・低密度地域における情報化について説明の後、意見交換)

・ 7年前からオフトーク通信を導入した。村の活性化に役立っているかどうかは別として、行政の情報がお茶の間にまで届くようになった。                                   

・ 情報化と直接関係はないかもしれないが、山形県の金山町は町長の情報公開が町民に好評で、親しみを持たれる効果もあった。情報の内容が重要だ。                      

・ 情報と交通は地域開発論からは共通項があるが、情報については目的と手段をはき違えている議論があまりにも多く、注意が必要。過疎として情報機器を利用する目的をはき違えると都市に吸収されるだけであり、情報化に立ち遅れることなく、しかもどう使うかが重要な問題である。     

・ CATVは、地域でダイレクトに自分たちの情報が手にはいるという特色がある。しかしながら自分の姿を眺めて勇気づけられていてもしょうがないのであって、他者や他所の情報を知ることに利用することを考える必要がある。インターネットが可能にしているように、1人1人が多様な情報に接して力量を付け、自立した情報収集能力を持った住民となって、市民としても事業者としても、都市に負けない生活をしていく方向を目指すべき。                               

・ CATVは多チャンネルが特色であり、地域の情報と世界の情報に接することができる。     

・ 特に過疎地域ではテレビショッピングが利用されるようになると思うし、過疎地域から物を売り込む戦略にもなる。                                                

・ 「過疎地域の情報化」と最初から限定して発想するより、現代日本の多様な情報化から過疎地域に役立つものを施策に反映させていく方向で考えるべき。                       

・ 地域開発論の中で、交通は多大の投資が必要なことから比較優位で論じられる場面が多いが、情報化は設備投資型ではなく状況が極めて早く変化するので、比較優位をあてにした捉え方はできない。                                                  

・ 低密度居住地域である過疎地域に特有な情報化の使い方があると思う。              
・ イギリスでは外出困難者とスーパーマーケットを結んで在宅ショッピングを町ぐるみの高齢者対策としてやっていた。この方向での活用も考えていくべき。                       

・ 先日の水害ではオフトーク通信が威力を発揮した。                          

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(事務局から高齢化の新局面について説明の後、意見交換)

・ 高齢化による集落の崩壊が問題。                                    

・ 集落が何を面倒見るところなのか、過疎地域で議論してもらう必要がある。従来のイメージでは集落は20〜30戸あり、近所に話し相手がいて、穏やかに一生を終えるということになるが、世帯が減少するとそういう関係は成立しない。複数集落の集まったブロック単位での集落システムの創設が必要ではないか。もちろんこのためにはアクセスの整備が重要な課題となる。         

・ かつて入れ物優先の集落移転事業が行われていたが、自分たちも集まって住む、新しい付き合いづくりが必要ではないか。                                         

・ 高齢化の様相が20年後では現在と全く異なる。資料によると過疎地域では20年後に3人に1人が高齢者となるが、これからの80代90代の人達は生まれた場所で死ぬことにはこだわらないかもしれない。高齢者生活福祉センターは住居+デイケアセンターであり、制度的な意図とは異なるかもしれないが、入居したお年寄りが自宅に帰らなくなっている実態が見られる。今後は住宅だけではなく、中心集落に近い便利なところにサービス+住宅の整備が必要かもしれない。    

・ 地元のシルバー人材センターは非常によく機能している。午前中は仕事をして、午後はゲートボールというような生きがいの場があればかなり違ってくる。                       

・ 高齢者を年齢で区切り、要介護者ととらえる認識は転換が必要。デイサービスセンターへ行くと遊びばかりさせるが、仕事をさせてやるべき。おばあさん達の技能を生かしてそば道場などを成功させた事例もあり、仕事に取り組むことを政策の中でも考えるべき。                  

・ 都市の高齢化の状況は興味深い。最近の高齢者は元気で従来とあまりにもイメージが違う。 

・ 福祉の世界でも、議論する場合は例えば75歳以上を本来の高齢者として捉える方向で進みつつある。65歳〜75歳は第3世代として、いかに積極的に人生を楽しみつつ社会に貢献するかという文脈で捉えられつつある。                                          

・ 20年後の高齢化の姿が問題になっているが、過疎法は10年であり、現在、他人に依存せざるを得ない高齢者が過疎地域にいることは前提にすることが必要。                    

・ 元気だから活躍するのではなく、活躍しているから元気なのではないか。生きがいづくりは高齢者対策の重要な観点である。                                         

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議事の概要は以下をクリックしてください。
  第1回 懇談会 議事の概要 (98/05/01)
  第2回 懇談会 議事の概要 (98/06/05)
  第3回 懇談会 議事の概要 (98/07/10)
  第4回 懇談会 議事の概要 (98/07/28)
  第5回 懇談会 議事の概要 (98/09/08)
  第6回 懇談会 議事の概要 (98/10/21)
  第7回 懇談会 議事の概要 (98/11/06)

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