--------------------------------------------------------------------------------
平成10年度第8回過疎問題懇談会の議事概要について
--------------------------------------------------------------------------------
1.日  時 平成10年12月25日(金)10:00〜12:00                         
2.場  所 中央合同庁舎5号館 2階 共用第7会議室                         
3.出 席 者 (委員)阿部(統)座長、阿部(孝)委員、今野委員、五代委員、須佐委員、田端委員、宮口委員                             
(国土庁)中川局長、薦田審議官、三宅室長                 
--------------------------------------------------------------------------------
 
4.議事概要                                                   

(事務局から前回の議論の概要について説明)

(5道県から新たな過疎対策に関する提言について説明の後、意見交換)

・ どういう考え方で過疎対策をやるかが問題。1つは高度成長期に過疎地域から若者が流出し戻って来ないという状態への対応であり、過疎債を中心にした社会資本整備の財源対策が大きな役割を持つ。もう一つは過疎の地域社会において若者が活躍し社会貢献することへの支援であり、交付税措置を中心とするソフト施策、さらにこれを後押しするハード事業ということになると思われる。

・ 行政の効率化は避けられない。これからは離島などの特殊事情を勘案しつつも、広域化は当然 の前提ということになろう。                                          

・ 定住も準定住対策も重要であり、準定住で成功している例もある。ただし、そのためには道路、 上下水道など各種の事業を組み合わせて対応することが必要である。                

・ 各道県からの説明を聞くと、率直に言って、新たな過疎法を制定しなければならないという主 張と、行財政改革を待ったなしで迫られているという現時点の国・地方の置かれている状況の厳しさとの間に距離があり過ぎる気がする。認識転換が必要ではないか。                   

・ 提言書の95%は財政支援の話になっているが、金がなくなったらいくら親心があっても支援 できない。財政支援を乗り越えた政策を打ち立てる必要があるのではないか。すなわち、国・都道府県・市町村の行政の枠内の過疎対策から脱皮するのかどうかという問題であり、過疎問題懇談会としても議論すべきではないか。民間の経済活動の活性化策をどう過疎対策に組み込んでいくかという問題になろう。                                               

・ 各地で雇用を求める施策を打ち出しているが、行政が作り出せる雇用は微々たるもの。職場は 民間の企業が生み出すものであり、雇用確保には民間の経済活動をいかに大きくするかが重要ではないか。しかるに各地の提言はすべて行政の中で作られており、経済人が加わっていないように見える。交流型経済への対応を述べている県は1つだけのようであり、都道府県においても政策に対する認識転換を果たしてほしい。                                      

・ 過疎対策の検討会に経済人を入れている例もある。実際に動いている現行制度の都道府県・市 町村の立場を前提に考えると、提言書のようになってしまうということであり、都道府県も社会情勢の変化に甘い考えは持っていない。                                     

・ 自らの努力によって活性化を図る地方分権時代への過渡期に、過疎対策は必要であるし、その 切り口は新しいものが必要。                                          
・ 行政が過疎なのではなく、社会が過疎なのであり、行政の枠内の対策では狭過ぎることを認識 すべき。                                                      

・ 過疎は気象や地形など自然現象ではなく社会現象を対象にしていることを認識すべき。     

・ 介護保険のおかげで広域的連携が進むようになった面もある。                    
・ 県の出先機関単位で介護保険対応を図っているところもある。                    

・ 地方分権については、交付税が小規模市町村に不利になっていく中で、総論として賛成である ものの、実際に権限・財源を移譲されるのは職員数の関係から困難な場合もある。         

・ 「交流」というキーワードがたくさん出てきたが、これは人を動かすことにより、人の少ない ところの活性化を図ろうとするもの。過疎法で対応すべき事柄ではないかもしれないが、我が国では移動コストの高さを何とかすべき。                                         

・ 都市から人々に来てもらうという施策が目立つが、過疎の人が都市を使いこなす方法が必要で ある。                                                       

・ 離島のようなところでは、親の漁業は産業として成り立つが、子供の学校は人数が足りなくて 成立しないようなところもある。集落への機能配置について、拠点化を図るなどもう少しオープンに考えるべきではないか。                                           

・ 自然環境の公益性を強調する意見があちこちで強調されていたが、例えば自然景観保護条例を 制定して活動を行うなど、地域で環境を守る努力をしているのか。金をもらうために言っているのではしょうがない。リゾートホテルが売ってくれと言ってきても(景観を害するとして)突っぱねるのか。売れない山だから公益性と言っている面がないか。景観にしても哲学をもって主張しないと都会に理解されない。                                              

・ 単純なイベントより居住まで含めた人の交流が望まれる。新しい人の動きをどう作るのかが問 題。                                                        

・ 1つの方向としては、要介護の高齢者のみならず、元気な高齢者が安心して暮らせる地域づく りが考えられよう。そのような地域では若者の雇用も発生するはず。観光が何万人に増えたといってもずっと続くわけではない。選択的居住を受け入れることを目指すべきである。           

・ 若者定住のため、価値の多様性を認め都市の若者を積極的に受け入れようと主張しつつ、従来 の施策は結局都市と同じ生活の実現を意図していたのではないか。                  

・ 福祉行政でも投資効果を問題にしつつあるところであり、過疎対策も効率性の観点が問われる ようになっているのではないか。実施した施策が実際の生活に意味があったのかどうかレビューが必要になるのではないか。                                           

・ 介護保険対応は若干楽観視されている面があるのではないか。介護サービスにしても都市では 市場サービスが成立するが、過疎地域では、運営は可能にしても立ち上げが困難という事態が生じうる。起業支援の観点が必要になっているのではないか。                     

・ 65歳以上が高齢者という考えは変えて良い。75歳以上と以下でかなり違う。65歳から 75歳までの層で介護サービスの一定割合を担えるのではないかという考えも出てきている。      

・ 広域的な地域の将来像を、その中で若者がどう参加していくのかということも含めて、それぞ れの地元で考えてほしい。特に都道府県は指導すべきではないか。                   

--------------------------------------------------------------------------------
--------------------------------------------------------------------------------


議事の概要は以下をクリックしてください。
  第1回 懇談会 議事の概要 (98/05/01)
  第2回 懇談会 議事の概要 (98/06/05)
  第3回 懇談会 議事の概要 (98/07/10)
  第4回 懇談会 議事の概要 (98/07/28)
  第5回 懇談会 議事の概要 (98/09/08)
  第6回 懇談会 議事の概要 (98/10/21)
  第7回 懇談会 議事の概要 (98/11/06 )
  第8回 懇談会 議事の概要 (98/12/25)

  過疎問題懇談会について