資料2の5

スピードワープロにおける取組み
株式会社スピードワープロ研究所

1 はじめに
当社は、研究開発を目的とする会社ではない。また特定のテレビ局や、企業・団体等の傘下にもない、一民間企業である。
1991年に創設者(柴田邦博)が、超高速入力を目的とした「スピードワープロ」を開発し、1995年に当社を設立した。当初は技能者育成の教育機関(スピードワープロ学院)を設置し、あわせて聴覚障害者の情報保障事業を展開。その後、テレビの生字幕放送が可能な「スピード・キャプショニング・システム」や、各種周辺機器開発を推進し、2001年8月27日から今日に至るまで5年余り、年中無休で字幕業務を担当。現在は、NHK及び在京キー局、並びに一部大阪準キー局の番組を担当している。

2 ハード面での取組み
(1)高速字幕入力用キーボードの開発
 キーボードは話された言葉を高速入力するため、文字キー10個の特殊キーを開発。一度に複数のキーをピアノ演奏するように入力する。
(2)入力・校正並列システムの開発
 日本語に多い同音異義語等を、入力と同時に並列し校正できるシステムを開発した。番組のないように応じ、入力と校正の基本ペアを複数構成とし、いかなる早口にも対応できるシステムを構築。
(発言後1から2秒、遅くとも4秒以内にはテレビ局へデータを送出している。テレビ局では、字幕表示する時間を一定にしている局もあり、実際に放送される場合は、発言より相当遅れて字幕表示されている場合がある。)
(3)テレビ局への字幕送出の基本形態(例)
 以下図の説明。
 スピードワープロ研究所(東京)で、キー局の番組を受信。
 スピードワープロ研究所で字幕を入力し、データをキー局に送信。
 地方においても同様で、
 スピードワープロ研究所(地方)で、地方の放送局の番組を受信。
 スピードワープロ研究所で字幕を入力し、データを放送局に送信。

 東京のスピードワープロと地方のスピードワープロは回線で結ばれている。

1 生放送の字幕付け
 放送中のテレビを視聴しながら、高速入力したデータをテレビ局に送信・放送。
2 収録物の字幕付け
・半ナマテープによる字幕付け
 収録ビデオを高速入力し事前に作成された字幕データを、放送中の発言にあわせて、直接字幕ナマ送信・放送へ。
・高速入力した字幕データを、テレビ局にメール送信。局側で再編集し放送。

(4)「スピードワープロ字幕放送センター」の設置(11月1日現在)
1 下記の大都市圏に、字幕放送センターを設置した。
 新宿、渋谷、大阪、名古屋
(上記以外の地域でも、「生字幕放送」ができるよう、ローカル局対応の「新システム」を準備した。)

3 ソフト面での取組み
(1)オペレーターの養成
1)人材養成機関(スピードワープロ学院)の設置(11月1日現在)
・大都市圏にオペレーター養成のスクールを設置した。
 東京校(約120名)、大阪校(約30名)、名古屋校(約10名) 計 約250
(平均的通学生像:学校卒業(四年制大学卒60%、短大卒30%、専門学校等10%)、数年間OL生活。27歳前後で生涯続けられる技能習得を目指そうとする女性が圧倒的。)

(2)検定試験の実施(1年に4回実施)
オペレーターの技能レベルを、社会的に認定する「スピードワープロ技能検定試験」(スピードワープロ協会主催の民間検定)を実施。

1級 1分間に320字以上の超高速入力ができる。
2級 1分間に280字以上の高速入力ができる。
3級 1分間に240字以上の入力ができる。
4級 1分間に200字以上の入力ができる。
5級 1分間に160字以上の入力ができる。

参考 日本商工会議所主催の現行「ワープロ検定」レベル 1級は 1分間に85

(生放送のオペレーター(ステノキャプショナー)としてデビューできるのは、1級合格後に半年以上の実務訓練を受け、採用試験で合格したものが任務にあたっている(早い人でも、学習開始後2から3年以上かかっているのが実態。)。

4 当面の課題
(1)字幕放送時間の各局集中化とそれ以外の字幕の落差対策
1)オペレーターの作業時間の均衡化(「オペレーター不足」とは、断言でき得ない側面)
空き時間は、収録物処理等でカバーしているのが実態。