(目指すべき方向性) |
○ |
IP時代の電気通信市場の競争環境整備の在り方を検討する際の基本的視点として、ブロードバンド化に対応した多様なビジネスモデルの登場を促す柔軟な市場環境を創出するということを重視していく必要があるのではないか。
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○ |
特に、DSL、光サービス等による高速・超高速インターネットサービスの低廉化・多様化が進展する中、サービス・オリエンテッドなビジネスモデル(ユーザニーズに合致したサービスをワンストップで提供)を実現するため、各レイヤーごとに必要なパーツを自由に組み合わせてビジネス展開を行い得る競争環境の実現が必要ではないか。また、こうした競争環境の整備は他業態から通信ビジネスへの参入を促し、更なる競争の活性化をもたらす効果も期待できるのではないか。
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○ |
上記のような競争環境整備は、「デジタルコンテンツのデリバリーチャネルの多様化・低廉化」を実現し、「デジタルコンテンツの流通促進」との好循環を通じ、ブロードバンドサービスの加速的普及をもたらすことが期待されるのではないか。また、この際、B2C市場はもとより、eマーケットプレース等のB2B市場の活性化を図る観点を重視していくことが必要ではないか。
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○ |
ブロードバンド化に対応した競争環境整備は、B2B市場の拡大等を通じ、我が国における構造改革の推進、国際競争力の向上に資するものと期待されるのではないか(その他、どのような社会経済的な効果が期待されるか)。
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(政策対応の在り方) |
○ |
競争環境整備の在り方としては、急速な技術革新に対応した柔軟な制度見直し、制度運営の透明性の向上等を確保していく必要があるのではないか。
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○ |
今後の検討の方向性としては、各レイヤーごとの水平的な競争環境整備と各レイヤー間を横断する垂直的な競争環境整備の双方を視野に入れながら進めていくことが適当ではないか。
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○ |
競争環境整備のための手法としては、急速な技術革新とビジネス環境の変化に対応する観点から、法的な競争ルールの整備に加え、関係事業者等に行政当局が加わった第三者的機関による競争ガイドラインの策定、裁判外紛争処理制度(ADR:Alternative Dispute Resolution)の活用、制度運用ガイドラインの策定等、多様な手法を視野に入れた検討が必要ではないか。また、電気通信事業法と独占禁止法の適用範囲の明確化を図りつつ、相互に連携しつつ競争促進を図っていくことも重要性を増していくのではないか。 |
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■ |
公正取引委員会と総務省は、本年9月、「電気通信事業分野における競争の促進に関する指針(原案)」を策定・公表し、電気通信事業の分野において、独占禁止法上又は電気通信事業法上問題となる行為、競争を促進する観点から事業者が採ることが望ましい行為等について、具体的に整理している。
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○ |
また、急速な技術革新に対応した新たなビジネスモデルの登場は、従来想定していなかったような不利益をユーザにもたらす可能性もあるのではないか。したがって、競争環境整備の在り方を検討するに際しては、ユーザ保護の観点から必要な措置を講じていくことを重視すべきではないか(他方、インターネット時代においてはユーザが一定程度のリスクを負うべきという考え方もあり得るか)。 |
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○ |
インフラ事業者たる一種事業者によるネットワークレイヤーから上位レイヤーへのビジネス展開をはじめとする、いわゆる垂直統合型のビジネスモデルについて、どのように評価することが適当か。具体的には、「ユーザの利便性」の向上を実現するという面がある一方、例えば上位レイヤーにおける「公正競争環境」を損なう可能性という面の双方があり得るのではないか。
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○ |
ただし、本格的なIP時代へと移行しつつある中、従来の電話型モデルに代表される単独の事業者による垂直統合型のビジネス展開のみが「ユーザの利便性」の向上に資するものとは言い切れず、各レイヤーごとに必要な部分を自由に組み合わせてビジネス展開を行い得る「オープン型」のビジネスモデルの実現を促していくという方向性に鑑みれば、むしろ垂直統合型のビジネス展開において懸念される「公正競争環境」整備の在り方をより重視すべきではないか。 |
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■ |
「ユーザの利便性」という場合、一定の品質基準の確保を前提とする電話サービスとは異なるIPベースのサービスの時代にあっては、多様なサービス品質とそれに見合った料金水準の実現が図られることが重要と考えられるのではないか。他方、サービス品質や料金の多様化が進展するとすれば、サービス提供事業者からユーザに対し十分な情報提供が行われることも重要ではないか。
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○ |
垂直統合型のビジネスモデルについては、どのレイヤーに公正競争を阻害するボトルネックが発生する可能性があるか、またその程度はどのようなものかといった観点から評価を行い、これを基に必要な競争環境整備の在り方について検討していくことが適当ではないか。
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(1) |
ネットワークレイヤーに着目すれば、一種事業者の垂直統合型のビジネスモデルを評価する際の視点としては、ボトルネック設備を保有している市場支配的な事業者(東西NTT)とそれ以外の一種事業者、インフラを保有する一種事業者とそれ以外の事業者(二種事業者、コンテンツプロバイダ等)を区別して検討することが適当ではないか。また、同じネットワークレイヤーであっても、固定系一種事業者と周波数の制約により事業者数が限定されている移動系一種事業者とでは異なる視点から検討が求められる部分があるのではないか。
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(2) |
より上位のレイヤーに着目した場合、例えば、ネットワーク上で流通するデジタルコンテンツ(特にキラーコンテンツ)が不足している現状に鑑みれば、コンテンツレイヤーにおいて新たなボトルネック(下位レイヤーに対し市場支配力を濫用し得る状況)が発生したり、特定の通信事業者によるコンテンツの囲い込み等が発生し、その結果として公正競争が損なわれる可能性もあるのではないか。他方、コンテンツ市場は、自由競争に委ねることにより活力ある市場が創出されることが期待されるところであり、現時点で一定の競争ルールの整備等を行うことは時期尚早とする考え方もあり得るのではないか。 |
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■ |
その他、例えばプラットフォームレイヤーにおける認証・課金、データセンタ事業等の分野で新たなボトルネックが発生する可能性はないか。
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○ |
また、例えば、一種事業者による垂直統合型のビジネスモデルは、ネットワークレイヤーにおける収益性の低下等を背景として新たな収益モデルを模索している段階にあるが、競争環境整備の在り方を検討する際には、こうした「離陸段階」の市場と「成熟した段階」の市場とを区別しつつ、競争環境整備の在り方を検討する必要があるか。 |
(2) 市場支配的な事業者による垂直統合型のビジネス展開
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○ |
ボトルネック設備を保有する市場支配的な事業者(東西NTT)が上位レイヤーに進出する垂直統合型のビジネス展開について、ボトルネック設備を保有することに起因する市場支配力の濫用を防止し、東西NTTと他事業者との間の公正競争条件を確保する観点から、非対称規制の整備等、所要の制度整備が行われたところであるが、これらの措置により十分な対応が可能であると考えられるか。 |
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■ |
東西NTTはNTT法により業務範囲を地域通信業務に限定されているが、本年6月に公布された電気通信事業法等の一部を改正する法律により、地域通信業務の円滑な遂行及び電気通信事業の公正な競争の確保に支障のない範囲内で、総務大臣の認可を受けて、同社の保有する設備又は技術、職員を活用して行う電気通信業務等(いわゆる「活用業務」)を追加することが可能となっている(法施行は本年11月末を予定)。なお、上記の活用業務に係る総務大臣の認可ガイドラインについては、現在、情報通信審議会IT特別部会において審議中。 |
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■ |
また、同法において非対称規制を整備し、市場支配的な事業者による反競争的行為を類型化((1)接続により得られた情報の目的外利用・提供、(2)不当に優先的又は不利な特定の事業者の取扱い、(3)製造・販売業者等への不当な規律・干渉)した上で、これを防止・除去するための措置(総務大臣による停止・変更命令)を講じたところ(法の施行時期は上記と同じ)。
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○ |
上位レイヤーにおける市場支配力の濫用の可能性について、ボトルネック設備との関連性の程度に応じて異なるものと考えられるのではないか。例えば、プラットフォームレイヤーの競争環境整備の在り方を検討する際、ネットワークレイヤーのオープン化の動向と密接に関連している部分もあるのではないか。
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○ |
また、上記の制度整備に加え、更なる公正競争環境整備を図る観点から検討すべき事項は何か。例えば、東西NTTの子会社等による上位レイヤーへの事業展開について、東西NTT本体による事業展開とは異なり、自由な事業展開を確保することが適当か。
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(3) その他事業者による垂直統合型のビジネス展開
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○ |
ボトルネック設備を保有しない一種事業者が垂直統合型のビジネス展開を図る場合、市場支配的な事業者と異なり、自由な事業展開を確保していくことが適当か。または、インフラ事業者と非インフラ事業者との競争条件に着目し、何らかの競争ルールを整備することが必要であると考えるべきか(例えば、一種事業者、特に市場支配的な事業者が上位レイヤーに進出する際の卸部門と小売部門の「会計分離」や「構造分離」について、何らかの評価をしていく必要があるか)。
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○ |
他方、現行の電気通信事業法の枠組みの中においても、不当な差別的取扱い等の競争阻害的行為は業務改善命令や料金変更命令の対象とされているところであり、これらの業務改善命令等により公正競争確保のための実効性が担保されているという考え方もあり得るのではないか。
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○ |
移動体通信事業の場合、端末、ネットワーク、プラットフォームの各レイヤーを横断する垂直統合型のビジネス展開が進展し、その結果、利用者の増加、市場規模の拡大に寄与してきたところ。他方、移動体通信事業の場合、固定通信事業とは異なり、周波数の制約から参入事業者の数が限定されていること、「利用者の拡大」に向けた戦略から「収益構造の高度化」に向けた戦略(例えばリッチコンテンツの配信による収益構造の強化)へと重点を移しつつあるといった市場動向を踏まえると、固定通信事業とは異なる観点から公正競争環境整備の在り方について検討する必要があるのではないか。
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○ |
モバイルインターネット(ブラウザーフォン)の分野においては、既にゲートウェイやポータルサイトの開放について各事業者から一定の方向性が示され、これに基づく措置が講じられつつある点は一定の評価ができるが、今後、電気通信事業法の枠内において、競争ルールの明確化等を図る観点から検討すべき事項は何か(例えば、公式サイトにおけるISP接続に係る同等性の確保、パケット通信料金の在り方等)。 |
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■ |
「次世代移動体システム上のビジネスモデルに関する研究会」報告書(平成13年6月)において、 |
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(1) |
NTTドコモ、KDDI、Jフォンの3社の自社のゲートウエイの開放に関する考え方が示され、NTTドコモ及びKDDIは実現に向けた方針を、またJフォンも検討していく旨表明した。 |
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(2) |
また、いわゆる「公式サイト」に対する料金回収代行サービス提供や認証・決済に有用なユーザIDの通知に関し、3社とも第三者機関によるサイト評価等の導入を通じた対象サイトの拡大等に具体的に取り組むとした。 |
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(3) |
更に、端末のオープン性の確保についても、KDDIは、本年秋までに「ポータルサイト」項目を新設して他社ポータルを一覧表示することでより選びやすくする旨表明した(補注:本年10月18日、KDDI等は同月31日より実施予定である旨を発表した)。
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○ |
市場支配的な移動体通信事業者の場合、固定系の市場支配的な事業者と同様に一定の行為規制が課せられるが、当該措置により公正競争確保は十分に図られるものと考えられるか。 |
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■ |
市場支配的な移動体通信事業者については、ボトルネック性はないものの、それに準じて一定の接続規制が必要な電気通信設備(第二種指定設備)を設置する第一種電気通信事業者として位置付け、接続約款の届出・公表の他、ボトルネック設備(県内固定通信網である第一種指定設備)を有する第一種電気通信事業者と同等の行為規制が課せられる。 |
○ |
一種・二種の事業区分については、全国的なネットワーク基盤を構築する一種事業と当該ネットワーク上で自由かつ多様な事業展開を行う二種事業という前提に立って導入されたものであるが、累次の規制緩和措置によるネットワーク構築の柔軟性確保が図られる中、新たなビジネスモデルの登場を促すという観点から見て、現行の事業区分があることによって、どういう支障が生じ得ると考えられるか。
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○ |
一種事業に係る許可制度は、インフラ事業者として公益事業特権を付与することにより、ネットワーク構築を強力に推進し、ネットワーク基盤の早期構築を図ることを目的とするものであるが、一種事業の許可と公益事業特権付与の仕組みとの関係について、どのように評価すべきか。
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○ |
一種事業が基盤的な通信事業であるという観点から、市場からの退出についても許可制が採られているが、仮に現行の許可制度を見直すとした場合、こうした退出規制とユーザ保護の在り方との関係をどのように考えるべきか。
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○ |
一種事業について支配的事業者規制が導入されることにより、市場支配力を有しない一種事業者に対する規制緩和が実現し、業務規制面で一種と二種の垣根が従来より低下することとなったが、そのことが事業区分の在り方にどのような影響を及ぼすと考えられるか。
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○ |
また、二種事業については、特別二種と一般二種に区分され、従来の回線規模による基準から提供役務による基準へと移行し、現在は、国際及び公専公事業を特別二種、それ以外を一般二種としているところであるが、DSL事業者、MVNO等の新たな事業者が登場する中、一種事業者と同様、二種事業者についても相当数のユーザを確保する可能性があり、ユーザ保護の観点から必要な措置を検討する必要があるのではないか。 |
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例えば、米国カリフォルニア州において、 本年3月、DSL事業者(我が国の場合は二種事業者)であるノースポイント社が倒産しサービスを急遽停止したため、10万人以上のユーザがサービスを受けられなくなるという事態が発生した。
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○ |
更に、EUにおけるハード・ソフト分離の動向等を踏まえつつ、現行の一種・二種の事業区分の在り方について見直すことについても検討の必要があるのではないか。 |
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EUは、現在検討中の新たな規制の枠組みに関する新指令案において、電気通信事業を「電子通信ネットワーク事業」と「電子通信サービス事業」に分け、登録(general authorization)制による事業参入を可能とするとともに、公益事業特権、番号、周波数といった希少性のある資源の利用については個別認可(indivisual licence)を付与する方向で検討中。
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○ |
なお、現行の事業区分の見直しを検討するに際しては、ユーザ保護の観点はもとより、一種事業者に対する番号や周波数といった希少性のある資源の優先的割当て、技術基準適合確認、接続ルールの運用等の現行の電気通信事業法の枠組みの中で影響を受ける可能性がある項目について、多角的な観点から検討していくことが必要ではないか。 |