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公共分野でのアクセシビリティ確保の重要性の高まり
近年の急速な社会のIT化の進展によって、人々はますます情報通信機器やインターネットに代表されるような情報通信技術によってもたらされたサービスを利用するようになってきている。
これら新しい技術は、いままで弱い立場に置かれてきた高齢者・障害者にとって、情報入手・発信や社会参加などを可能とする新たなツールとなりうる。いままで新聞を読むことができなかった視覚障害者が、新聞記事がウェブ上に公開されることによって、その新聞を読み上げソフトを利用して「読む」ことができるようになったという事実は、その一例としてあげられる。こうした新たなツールの活用が高齢者・障害者の自立に結びつくことも期待されている。
しかしながら、こうした新たな可能性は、アクセシビリティへの配慮が前提である。現状では、読み上げソフトを例にとると、多くのウェブページがアクセシビリティへの配慮が欠けているために、視覚障害者が情報を得ることができないという状態にある。
特に、公的サービスに関しては、その性格上、高齢者・障害者を含め、誰もが等しくそのサービスを受けられることが求められることから、ネットワークを通じて公的サービスを提供する場合、アクセシビリティの確保が他分野以上に求められる。
現在、e-Japan戦略の下、電子政府・電子自治体が強力に進められている中、公的分野でのアクセシビリティ確保の重要性はいよいよ高まってきている。
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アクセシビリティに関する規格化の進展
アクセシビリティの確保に向けては、日本工業標準(JIS)として、本年5月から6月にかけて、「高齢者・障害者等配慮設計指針―情報通信における機器、ソフトウェア及びサービス」について「ウェブコンテンツ」など3規格が公示され、アクセシビリティに関する規格化が進展している。これらの規格は、ウェブコンテンツそのものだけではなく、ウェブサイトの企画から制作・公開・運用に至るプロセス全体でのアクセシビリティへの配慮を求めるものとなっている。
工業標準化法においては、国及び地方公共団体は、調達の仕様を定める際にはJIS規格を尊重することとされており、今後、公共分野でのアクセシビリティが向上していくとの期待が高まっている。
工業標準化法(抄)
(日本工業規格の尊重)
第六十七条 国及び地方公共団体は、鉱工業に関する技術上の基準を定めるとき、その買い入れる鉱工業品に関する仕様を定めるときその他その事務を処理するに当たつて第二条各号に掲げる事項に関し一定の基準を定めるときは、日本工業規格を尊重してこれをしなければならない。 |
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公共分野での取組の現状
このように、国・地方公共団体には、工業標準化法でアクセシビリティへの配慮が求められている中、具体的な取組も進んでいる。
中央官庁の場合、電子政府構築計画に基づいて電子政府を推進しており、その最終年限は平成17年度末となっている。すでに、ポータルサイトe-govや各省庁のウェブサイト等を通じて様々なサービスの提供が始まっている。
(参考)e-govを通じて提供されているサービスの例
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法令データ提供システム |
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行政文書管理簿 |
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個人向け手続き案内(情報・申請様式の提供、各省庁電子申請へのリンクなど) |
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企業・事業者向け手続き案内(同上) |
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アクセシビリティに関しては、その電子政府構築計画や関連する様々な方針の中で、ウェブコンテンツに関する日本標準規格(JIS X 8341-3)を踏まえ、コンテンツの必要な修正・作成を行うことが明記されている。
電子政府構築計画(抄)
第2 施策の基本方針
I 国民の利便性・サービスの向上
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オンライン利用の促進のための環境整備
(2)多様な手段による電子政府利用環境の整備(マルチアクセス環境の整備)
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高齢者や障害者を含めて誰もが容易に利用できるシステムとするため、ウェブコンテンツ(掲載情報)に関する日本工業規格(JIS)の策定動向を踏まえ、システムの使いやすさ、分かりやすいエラーメッセージの表示等、必要な改善を図る。・・・ |
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一方、地方公共団体の場合も、着実に電子自治体を推進している。都道府県・市区町村では、ホームページの開設はほぼ100%にのぼり、電子申請なども徐々に利用可能となりつつある。
(参考)地方公共団体で提供されているサービスの例
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行政情報・観光情報等の提供 |
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申請書式のダウンロード |
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パブリックコメント・各種要望の受付 |
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電子申請・届出サービス |
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ただ、アクセシビリティへの対応については、各地方公共団体個別に進めているのが現状であり、その取組のレベルは様々である。全体の状況については、今後、さらに把握を進めていくべきであるが、現時点では、以下のような現状にあるものと考えている。
(ガイドラインの策定)
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先進的な地方公共団体ではJIS制定に先立ち独自ガイドラインを策定しているところもある。ただし、策定率はまだ低い。 |
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ガイドラインが整備されている場合でも、その要件の実現方法、確認方法は整備されていないことが多い。特にアクセシビリティ点検手順が具体化していないため、現場では十分な点検が行えないことが多い。 |
(ウェブサイトの発注・検収)
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JISの制定以後、制作外注では仕様書の要件としてアクセシビリティ配慮が盛り込まれるケースが多い。 |
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ただし、業者によってアクセシビリティへの理解、対応力がまちまちで、事前にはそのレベルが分かりにくいこともあり、アクセシビリティ対応の能力は業者選定の基準にはなっていないことが多い。 |
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納入時あるいはページ公開時に職員がアクセシビリティ点検を行っているケースは少ない。仮に点検を行っている場合でも、JIS X 8341-3への適合の判断が難しく、その点検の具体的手順が示されていないため、十分な点検ができない。 |
(ウェブコンテンツの制作・更新)
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ウェブコンテンツ制作は、業者への発注だけでなく、職員自ら制作に携わる場合も多い。 |
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日々の更新は職員自らが行う形態がほとんど。広報課等で一元的に更新を行っている場合もあるが、各課で割り当てられたページの更新を行っている場合も非常に多い。 |
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規模の大きい官公庁、地方公共団体のサイトでは、膨大なコンテンツがあるため全体のアクセシビリティ対応が困難。(大きい地方公共団体では更新に携わる人が数百人の規模に上ることもある。) |
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ウェブ担当職員のアクセシビリティに関する知識・理解のレベルがまちまちで、全体的な対応がとりにくい。 |
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担当職員の異動の際、アクセシビリティに関する知識や対応のノウハウが継承されず、十分な対応がとれなくなる。 |
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検討課題
ウェブサイト・ウェブアプリケーションの調達(発注〜納入)・運営の一連のプロセスの中で、アクセシビリティの確保のために必要な事項について、検討を行う。具体的な検討項目については、以下のものが考えられる。
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1) 発注
発注に当たっては、アクセシビリティへの配慮を踏まえた仕様書を作成することが必要だが、業者の理解・対応力がまちまちである現状を考慮すると、ただ単にアクセシビリティへの配慮を求めるだけではなく、ある程度、具体的な内容も含むような仕様書を作成することが必要となる。
こうした状況を踏まえ、アクセシビリティへの配慮を踏まえた調達時の仕様書の作成を容易とする方法について検討を行う。(例:仕様書のテンプレートなど)
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2) 納入
納入物のアクセシビリティを担保するためには、発注者によるチェックは必要不可欠であるが、調達担当者がJIS規格そのものを用いてチェックすることは現実的には難しい。
こうした状況を踏まえ、調達担当者が容易に納入物のアクセシビリティについて確認できる方法について検討を行う。(例:点検手順のモデル、ソリューションリストなど)
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3) 運営・保守
アクセシビリティ確保のために実現可能な運営・保守のモデル体制について検討する。
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なお、検討に当たっては、すべての職員対して高度なアクセシビリティ確保のための知識を習得させることは困難であることから、できるだけ簡単な方法でアクセシビリティの確保が図られるようにすることが必要であることに留意すべきである。
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