はじめに 第1章 特集 インターネット 第2章 情報通信の現況 第3章 情報通信政策の動向 参考

 

(6)広告

不特定多数への広告から個人を対象とした広告へ

 インターネット広告とは、ホームページ上でのバナー広告、メールマガジン等に掲載されるメール広告等に代表されるインターネットを利用した商用広告のことである。電通()の調査によれば、我が国の10年におけるインターネット広告の市場規模は113.9億円と推計されている。すべての広告市場の中ではわずかな額であるが、9年のインターネット広告市場が60.4億円であり、急激な成長を遂げている点は注目に値する。また米国インターネット広告協会(Internet Advertising Bureau)(http://www.iab.net/)によると、1997年の米国におけるインターネット広告市場は9億650万ドル、1998年については19億2,000万ドルと推計されている(図表)。
 インターネットの普及し始めた頃には、ホームページは企業の広報活動に利用されることが多かった。しかし、現在インターネットは、積極的な販売促進を目指した広告メディアとしての役割を担ってきており、新たな広告媒体として有望視されている。その中でも最も注目されているのは「ポータルサイト」におけるバナー広告である。ポータルサイトとは、サーチエンジン、ニュース速報、オンラインショッピング、掲示板等インターネット上の様々な情報が集約された、利用者がWWWに接続した際に最初に訪れる「入り口(ポータル:portal)」となるサイトのことである。利用者はポータルサイトを見ることで常に最新の情報を得ることができるためアクセス数が多く、そのためポータルサイトでのバナー広告は非常に宣伝効果が高い。インターメディア・アドバータイジング・ソリューションズ社(InterMedia Advertising Solutions)調査によれば、米国における1998年1月から9月までの広告収入上位5つのサイトは、すべてポータルサイトが占めている。
 またアクセス件数が多いページだけではなく、ある特定の分野に興味を持つ人にねらいを定めて広告を見せるという、インターネットの特徴を生かしたサービスも増えてきている。例えば、コミュニティサイト(1-3-2(1)参照)と呼ばれるサイトでは、特定の興味を持つ人が集まる掲示板やチャットルームが設置されている。このようなサイトには特定の話題に興味を持った利用者が集まるため、話題に合った広告を行うことで効率の良い宣伝が可能になっている。また上述のポータルサイトでも、利用者の好みに応じた広告が提示されるように設定できるものが増えてきており、やはり宣伝の効率化がなされるように設計されてきている。

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