(3)次世代インターネット
超高速・大容量化、通信方式の高度化などに関する研究開発を実施
インターネット利用者の増加やマルチメディア化の進展に伴い、通信トラヒックが日々増加しており(
1-5-3(1)参照)、インターネットの超高速・大容量化の実現が急務となっている。
郵政省では、このような状況を踏まえ、21世紀初頭に実現が期待されるネットワーク像及びそのネットワーク上で展開されるアプリケーション等、並びにそれらを実現化するための推進方策等について、11年1月より「次世代ネットワーク構想に関する懇談会」を開催しており、6月中旬を目途に報告書をまとめる予定である。
また、郵政省では実際的な取組として、ネットワーク上での高度なアプリケーションを実現するため、現在のインターネットと比較して、安全・信頼性が高く、超高速・大容量通信が可能な次世代インターネットを実現するための研究開発を、世界標準を視野に入れて実施している。
米国においては、10年度から毎年約1億ドルを投じて次世代インターネット(NGI:Next Generation Internet)の開発を推進しているが、我が国でも米国に先んじて8年度から12年度までの5か年計画で次世代インターネットに関する技術を開発している。
これにより、21世紀の本格的な電子商取引のための基盤整備と新規ビジネスの振興の促進が期待される。
10年度には、次世代インターネット技術等の研究開発のためのオープンテストベッド(開放型実験施設)として研究開発用ギガビットネットワークの整備を行った(
3-4-1(1)参照)。
11年度は新たに、現状のインターネット上では把握されていない情報流通過程と輻輳の精密計測技術の開発及びこれを用いた計測データの解析、シミュレーション、モデル化により、次世代インターネットにおける、
1)新たな通信規約(プロトコル)確立のための基礎技術、
2)大容量ネットワーク下での品質保証システム構築技術
などの通信方式高度化に関する研究開発を実施する(図表1))。
また、インターネット上でのアプリケーションを普及・発展させるため、以下の研究開発項目を10年度に引続き実施する。
1)超高速・大容量化対応技術
動画像等の魅力あるコンテンツをインターネットで一斉配信できるようにする。
2)高信頼化対応技術
障害・輻輳時の迂回技術等、インターネット全体の信頼性を下支えする。
3)電子マネー等の伝送に資する通信の安全・信頼性向上技術
コンテンツ提供時の決済手段として有望な電子マネーの安全・信頼性を向上させる。
4)コンテンツの保護・流通のための電子透かし技術
インターネットを流通する画像、映像、音楽等の知的財産を保護する。
5)ホームページの真正性証明技術
認証情報を埋め込んだインターネットマークスによってホームページの真正性を証明する。
さらに、21世紀における次世代インターネット社会実現へ向けてのモデルとする観点から、地域のコンテンツを集積したセンター設備を中心に、自治体、企業等が参加してエンド・トゥ・エンドで超高速大容量通信の実験を行うモデル地区として「次世代インターネットゾーン」(図表2))を構築する。
次世代インターネットゾーンは、情報通信関連企業等が集積した特定地域の協力を得て、次世代インターネットに関する研究開発の成果も活用しながら構築していく。