13　新サービス

近年、登場した新サービスのほとんどが携帯電話及びPHS関連であり、データ通信機能を付加したサービスが中心

　10年以降に登場した新サービスについて見てみると、そのほとんどが携帯電話及びPHSに係るものとなっている（図表1)）。傾向としては、文字メッセージサービスや情報配信サービス等の、データ通信機能を付加したサービスを中心とした展開がなされていることが分かる。
　今後は、引き続き携帯電話及びPHSを中心に、特にインターネットとの融合を図ったサービス展開がより一層活発化するものと予想される（1-2-4（3）、1-コラム６参照）。
1)文字メッセージ・情報配信サービス
　携帯電話及びPHSによる新たなコミュニケーション手段として、特に若い世代を中心に利用が急増している「文字メッセージサービス」は、インターネットの電子メールに対応するか否かで大別することができる（図表2)）。
　PHSの文字メッセージサービスにおいては、10年度にPHS ３事業者（ＮＴＴドコモグループ、DDIポケットグループ及びアステルグループ）の端末間直接通信型の文字メッセージ機能において、互換性が図られた。これにより、従来、メッセージのやり取りは同一事業者の端末間同士のみの独立したサービスであったが、他事業者の端末間でも相互にメッセージのやり取りが可能となった。
　また、携帯電話をはじめとする移動体通信事業者各社では、文字メッセージ機能を使った多彩な情報配信サービスを展開している。
　同サービスには、必要な時に情報を引き出す「オンデマンド型」と、最新のニュースや天気予報等の情報をリアルタイムあるいは指定した時間に配信する「自動配信型」の２通りの形態があり、いずれも文字メッセージ形式で受信できる（図表3)）。
　このように、移動通信端末は従来のコミュニケーション・ツールとしての利用にとどまらない、利便性の高い情報端末として今後ますます利用範囲を広げていくものと期待される。
2)位置情報サービス
　PHSの１基地局がカバーするエリアは、事業者や場所によっても異なるがおよそ半径100〜500m程度と、携帯・自動車電話と比較して小さいセルを採用している。このようなPHSの特徴を生かして、近年登場したサービスに位置情報サービスがある（図表4)）。NTTドコモグループが10年５月より提供している「いまどこサービス」や、アステル東京が10年10月より提供している「Pナビ」がこれにあたる。
　これらのサービスは、PHSの新たな活用法を模索するものであり、移動体通信の新たな可能性を拓くものといえる。
3)プリペイドサービス
　日本高速通信（現KDD）では、10年７月より複合型プリペイドカード「BANGO！」の販売を開始した。「BANGO！」では、事前に加入申し込みの手続きをすることなく、カードに記載されたパスワード（カード番号）を使い、距離や時間帯に関係なく全国一律１分20円（税別）の電話サービス又は、多彩な有料情報サービスを利用することができる。
　また、ツーカーホン関西では、基本使用料のいらない、通話料前払い方式のプリペイド携帯電話サービス「プリケー」を10年10月から開始した（図表5)）。「プリケー」とは、同社発行の「プリケーカード」を通話料の前払いとして購入後、プリペイド用の情報を登録した同社の携帯電話を利用して通話するサ−ビスである。利用可能地域は、当面、近畿２府４県（ツーカーホン関西のサービスエリア内）のみとしている。なお、11年３月末までに累計で 12,000台が利用されている。
4)通話先限定サービス
　通話相手先を３か所に限定した低価格のPHSサービス「安心だフォン」は、DDIポケットグループより10年4月に登場した。基本料金を従来の約３分の１と低めに設定し、あらかじめ登録した３か所（開始当初の接続相手先限定数は２か所）の電話番号のみ発信ができる。アステルグループにおいてもアステル関西が10年11月から同様の通話先限定サービス「きめトーク」を開始し、以降、順次グループ各社がサービスを開始している。
　このような通話先の制限を設けることで、通話料金の高額化防止など社会環境面や経済面での不安解消、特に子供や主婦、高齢者など家族間の連絡ツールとしての利用が想定されている。
5)発信課金サービス
　NTTドコモ中央及び東京テレメッセージでは、11年２月より、新たな料金体系である「発信課金サービス」を導入した。
　同サービスは、発信者側が呼出しやメッセージ送信の料金をその都度負担することで、着信側である契約者の月額利用料金を無料又は大幅に低減するものである（図表6)）。