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第1章 第3節

(5)モバイルビジネス

市場規模は11(1999)年は1,729億円、17(2005)年には4兆5,206億円に

 モバイルビジネスの市場は、1)NTTドコモグループの「iモード」等、マイクロブラウザ内蔵の携帯電話・PHS又は携帯情報端末(単体)から、C-HTML等の言語で記述されたインターネット上のコンテンツにアクセスして有料情報の提供を受けたり、商取引を行う「モバイルコマース市場」、2)モバイルコマースに関連して発生する端末、通信料金、移動通信事業者が提供するインターネット接続サービスの利用料等の「モバイルコマース関連ビジネス市場」の2つに分類される。
 郵政省が実施した事業者に対するヒアリング等の調査から推計した、我が国における11年のモバイルビジネスの市場規模は1,729億円である。
 12年においては、携帯電話からインターネットにアクセスするサービスとして、DDIセルラーグループ及びツーカーグループの「EZweb」、IDOの「EZaccess」、さらにJ-フォングループの「J-スカイウェブ」が全国展開され、PHSでも、DDIポケットの「オープンネットコンテンツ」が開始された。このほか12年中には、NTTドコモグループが携帯電話の全端末をiモード対応機種にする意向を表明しており、携帯電話・PHS等のモバイル端末をプラットフォームとするモバイルビジネスの市場規模は、17(2005)年には4兆5,206億円まで拡大すると予想される(図表)。
1)モバイルコマース市場
 郵政省が実施した事業者に対するヒアリング等の調査から推計した、我が国における11年のモバイルコマースの市場規模は42億円である。
 12年においては、各事業者がサービス提供を本格的に展開し、特にNTTドコモグループは、秋頃にJava対応のiモード端末を投入する意向である。これにより、安全にクレジットカード番号の送信を行うことが可能となる。こうした新たな決済サービスの登場もあり、モバイルコマースは一層拡大し、17(2005)年のモバイルコマースの市場規模は、1兆1,036億円まで拡大すると予想される。
2)モバイルコマース関連ビジネス市場
 郵政省が実施した事業者に対するヒアリング等の調査から推計した、我が国における11年のモバイルコマース関連ビジネスの市場規模は1,687億円である。
 特に注目されるのが広告市場である。ユーザーの位置情報が容易に把握できるモバイル通信の特性を活かして、例えば、ある特定の地区に位置するユーザーだけにイベント情報を提供することなども可能である。既に12年1月、DDIポケットは、PHSユーザーの現在位置に応じて、各種情報を提供することができる「位置情報コンテンツサービス」を開始している。このようなモバイル広告のサービスは、顧客を店舗に誘導する手段として有効な手段であり、今後、こうしたサービスが本格的に立ち上がることが予想される。このほか、通信料金、端末をはじめとする各市場が拡大することを考えると、モバイルコマース関連ビジネスの市場規模は、17(2005)年には3兆4,170億円に達すると予想される。

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