凡例 第1章 特集 ITがひらく21世紀 第2章 情報通信の現況 第3章 情報通信政策の動向 情報通信年表・注記・調査概要

第1章 第4節

6 防災

携帯電話を活かし緊急事態に対応

1)緊急保安業務支援システム
 東京ガスでは、ガス漏えい等の緊急を要する事故等に、より迅速で的確な対応を図るため、24時間体制で保安業務を支援するシステムEAGLE24(緊急保安業務支援システム:Emergency Administration for Gas Light Extended 24)を開発し、11年7月には指令基地(ガスライト24)7箇所を含む全34箇所の出動拠点の緊急車両約200台に設置した(図表1))。EAGLE24は、指令基地の端末と緊急車両の車載用端末を携帯電話で結び、情報の共有化を図るシステムで、通報受付から出動車両の割り当て、現場の検索、作業状況管理、完了報告までを、双方がリアルタイムで情報の確認を行いながら進行することを可能にした。また、デジタルカメラを組み合わせることにより、作業現場と指令基地間の視覚情報が共有化され、ガスの漏えい箇所の発見や作業指示等が容易となり、安全性も向上した。
2)動画伝送システム
 消防業務という一刻を争う作業においては、隊員を効率よく活用するため、いかに早く正確に現場の情報を収集するかが重要な課題である。また、大規模な災害ほど状況の把握や情報伝達が繁雑になりがちである。そこで、刻々と変化する現場の状況をより早く把握し、正確な判断を行うため、尾三消防本部(愛知県)では、今までの無線機による消防本部と現場間の連絡に加え、携帯電話を利用した動画伝送装置搭載調査車を11年4月から導入している。
 具体的には、交通事故、建物火災等の際、リモートカメラを通じて得られた現場の詳細な状況を消防本部指令課に伝送し、増隊、補給用資材の準備の参考にしている。また、現場の状況を画面で確認できるので、より客観的に判断ができるようになった(図表2))。そのほか、リモートカメラを市販のビデオカメラ(バッテリー付)に取り替えることにより、調査車から離れて持ち歩くことも可能となっている。
 今後、本システムを救急車と医療機関の間に導入し、救急車内での傷病者の様子や隊員の処置に対して、医師が適切な指示や助言を行うことで、より適切な応急処置を実施できる体制の実現を目指している。

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