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第1章 第6節

(3)学校インターネット

子供たちが自由にインターネットを活用できる環境づくりを目指して
 
 将来の高度情報通信社会に生きる児童生徒に、情報化に主体的に対応できる資質や能力を育成することは、学校教育の極めて大きな課題である。我が国の公立学校におけるインターネット接続率(11年3月末現在)は35.6%(前年度18.7%)であり、前年度より16.9ポイント上昇した(図表1))。現在、13年度にすべての公立学校がインターネットに接続されることを目標として環境整備が行われており、14年度から実施予定の新しい教育課程においては、情報教育の充実を図ることとしている。
 今後、学校におけるインターネット端末の増加に伴い、高速アクセス回線の利用が必要となる。このため、郵政省では、教育分野におけるインターネットの活用を促進するため、文部省の「先進的教育用ネットワークモデル地域事業」と連携し、全国の小中高等学校等のうち、約1,000校を光ファイバ、デジタル加入者線(DSL:Digital Subscriber Line)、衛星通信等の様々な高速アクセス回線により接続した研究開発用ネットワークを整備し、高速アクセス回線を複合的に活用する新たなネットワーク構築技術等の研究開発(「学校における複合アクセス網活用型インターネットに関する研究開発」。以下、「学校インターネット」という。)を11年度から13年度の3年間の予定で実施している(図表2))。研究開発用ネットワークの構成として、全国30か所に地域の拠点となる、地域ネットワークセンターを設けて、各学校を1.5Mbps相当の高速回線により接続している。これにより、各学校から20台程度の端末が同時にアクセスしても快適にインターネットを利用することができる。11年9月には、研究開発用ネットワークの中心拠点である中央ネットワークセンター(三鷹市教育センター内)が運用を開始し、研究開発が本格的に始まった。
 学校インターネットモデル校の一つである群馬県前橋市立第二中学校では、1.5Mbpsの高速インターネット回線によって、市内の各小中学校を結んでいる前橋市教育情報ネットワークと接続が可能となった。同校では、動画によるビデオ会議等を用いて市内の別の学校との共同学習や、インターネットを活用した調べ学習等を積極的に実践している。具体的には、尾瀬についての学習において、生徒がインターネットで検索したり、登山等の直接体験、尾瀬保護財団の方の講話等から学んだことをホームぺージにまとめる活動等を行っている(図表3))。このほか、生徒の進路に関する学習においても、群馬県内の高等学校のホームぺーじにアクセスするなど、インターネットをさまざまな場面で活用している。また、生徒が適切にインターネットを利用するため、ボランティア団体である「インターネットつなぎ隊」とメーリングリスト「知恵袋」を作成・運用し、インターネット利用に関するルールを決めている。 
 また、学校に対する通信料金等の負担の軽減について、10年9月に郵政大臣から通信事業者団体に対して学校向けの通信料金・インターネット接続料金の割引や定額制の導入などが要請された。これに対し、電気通信事業者の側から様々な学校向け特別料金が提供され始めている。通信料金に関しては、東西NTTが、市内通信料金について通常3分10円のところ、月100時間まで8,500円、100時間を超える場合は、通常料金の40%割引とするISDNの試験的サービス提供を11年9月から1年間の予定で開始した。また、インターネットの接続料金についても、学校向けサービスが従来の約半額の料金で提供されている(図表4))。
 そのほか、郵政省では、文部省の「マルチメディア活用学校間連携推進事業」と連携し、高速アクセス回線を用いたインターネットにおける動画像伝送技術について、全国25地域、600校を対象に12年度から研究開発(「学校における新たな高速アクセス網活用型インターネットに関する研究開発」)を進める予定である。

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「学校における情報教育の実態等に関する調査(平成10年度)」(文部省)により作成

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関連サイト:
前橋市立第二中学校(http://www.menet.ne.jp/jhs/daini/index.html