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第3章 第4節

9 技術試験衛星VIII型(ETS-VIII)の研究開発

あらゆる場所、あらゆる移動体での衛星通信が可能に

 郵政省は、人工衛星の共通基盤技術開発を目的とする技術試験衛星(ETS)シリーズの一環として、科学技術庁等とともに技術試験衛星[型(ETS-VIII)の研究開発を実施している。
 この研究開発において通信総合研究所では、6年度から17年度の12年計画で、N-STARで実用化されたSバンドの利便性をさらに高め、日本全国あらゆる場所で携帯電話を使って通話が可能となる「Sバンド移動体通信」の研究開発を実施している。また、走行中の自動車等の移動体においても高品質な音声放送に対する需要が大きいことから、現行のFM放送以上に高品質な音声等のマルチメディア放送を移動体向けに行う「Sバンド移動体デジタル衛星放送」の研究開発、高精度時刻比較及び測位システムの研究開発を実施している(図表)。
 これまでは、自在に通信ビームを形成する回路(BFN:Beam Forming Network)及びパケット交換機等の電気性能評価モデルを開発・試験し、得られた成果を利用してエンジニアリングモデルの開発を行ってきた。
 11年度は、宇宙環境を想定した試験の実施、地上設備の整備、衛星搭載時刻比較システムの開発を開始したところである。
 一方、衛星の利用面に関しては、国内外における実験提案の調査や、11年8月に開催された「通信・放送・測位技術衛星を利用した実験提案の調査に関する説明会」において、郵政省は、ETS-VIIIの利用実験に関する説明を行った。   
 同説明会を通し、国内外の政府機関・大学・研究所・メーカー等から、森林火災防止、僻地住居者生活向上を目的とした災害軽減・遠隔教育実験、遠隔地域におけるコンピュータネットワーキング通信実験等、計52件の実験が提案され、ETS-VIIIに対する高い関心が示された。

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