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第3章 第4節

11 準天頂衛星通信システム(8の字衛星)の研究

高仰角・高品質な移動体衛星通信の実現に向けて

 ひっ迫する静止軌道位置を補完する新軌道を開拓し、高仰角・高品質な移動体衛星通信の実現を目的として、通信総合研究所では、準天頂衛星通信システム(8の字衛星)の研究開発を11年度から4か年計画で実施している。
 準天頂衛星システムとは、高度36,000kmの円軌道を、赤道から約45度傾けた軌道に置く衛星通信システムであり、少なくとも3機の衛星を互いに同期して配置することより、常に一つの衛星が日本の天頂付近に滞留するという特徴を持つ。高仰角であるため、建物等による遮へいが少なく、高品質な移動体データ通信・放送・測位が可能となるほか、南半球のオーストラリアでも同等のサービスが可能となる。また、静止衛星との周波数共用により、周波数の有効利用が図られる(図表1)〜3))。
 11年度は、通信サービスに最適な衛星軌道配列の検討、実車両を用いた衛星見通し率の測定と実測、衛星軌道保持制御及び計測方法の検討を実施した。
 12年度には、静止衛星との周波数共用技術の開発、Kaバンドでの運用を可能にする衛星アンテナの研究、測位応用を目指した正確な軌道位置計測技術の研究開発を行う予定である。
 このほか、郵政省では、11年11月にAIAA(アメリカ航空宇宙学会:American Institute of Aeronautics and Astronautics)衛星通信フォーラム準天頂衛星システム検討委員会と共同で「準天頂衛星システムシンポジウム」を開催し、通信総合研究所で実施している準天頂衛星の研究概要、通信放送技術衛星「COMETS」で得られた実験結果の報告を行った。また、日本の有力企業からも各社が検討している準天頂衛星システムの取組状況について報告が行われた。

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