凡例 第1章 特集 ITがひらく21世紀 第2章 情報通信の現況 第3章 情報通信政策の動向 情報通信年表・注記・調査概要

第3章 第5節

(2)バリアフリーシステム等の研究開発及び実証実験

高齢者・障害者が生きがいを持ち安心して暮らせる社会の実現を目指して

 高度情報通信社会においては、高齢者・障害者とそうでない人との間に情報格差が生じ、それが社会的・経済的格差につながる恐れがある。
 郵政省では、高齢者・障害者を含む誰もが情報通信の利便を享受できる「情報バリアフリー」環境の整備を図ることを目的として、以下の施策を実施している。
1)情報バリアフリー型通信・放送システムの研究開発
 通信・放送機構は、高齢者・障害者を含むすべての人々の利用を可能とする情報バリアフリー型通信・放送システム実現のための研究開発を8年度から実施しており、11年度には、障害を支援するためのアプリケーション等の基本設計等を行った(図表1))。
2)福祉支援情報通信システムの開発・展開
 通信・放送機構は、質の高い福祉サービスの効率的な提供と高齢者・障害者の自立・社会参加を可能とする「福祉支援情報通信システム」を実現するため、地方公共団体等の協力を得つつ、11年度から研究開発を実施している(資料47参照)。11年度は、訪問看護婦等が、多様な福祉関係機関に分散する最新の介護情報を、訪問先で容易に取得できる次世代訪問介護支援システム及び音声対応機能等を追加することにより、高齢者・障害者が自ら容易にネットワークを通じて、地域のサークルやイベントに参加できる社会参加支援システムの研究開発を開始した。12年度からは、広域的な連携を行う市町村等において、介護サービスや地域の福祉情報等の効率的な提供を可能とする広域介護支援システムの研究開発を行う予定である(図表2))。
3)高齢者・障害者のためのホームページ簡易制作システムの実証実験
 郵政省では、金沢情報長寿まちづくり協議会の協力を得て、10年12月から11年3月まで「高齢者情報リテラシー向上モデルシステム(テレラーニングシステム)の実証実験」を実施したところである。11年度は、この実験の成果を踏まえ、さらに、市内ボランティア、金沢市生きがい情報作業センター等の協力も得て、高齢者・障害者を含む誰もが情報通信の利便を享受できる「情報バリアフリー」環境の整備を図ることを目的として、高齢者・障害者が簡単な操作でインターネット上にホームページを制作できる情報通信システムの実証実験を11年12月から12年3月まで実施した(図表3))。
4)高齢者・障害者向け通信・放送サービス充実研究開発助成
 通信・放送機構では、テレコム・インキュベーション(3-2-3参照)の一環として、9年度より、高齢者・障害者向け通信・放送サービスの開発を行うための通信・放送技術の研究開発を行う民間企業に対し、その研究開発費の一部を助成している。11年度には、23件の事業に対し助成金の交付を決定した。

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関連サイト: 通信・放送機構(http://www.shiba.tao.go.jp/