(2)ショッピングモール 商店街を模したコミュニティを形成  インターネットコマースにおける店舗の出店は、初期投資費用を比較的抑えて行うことができる。また、24時間、世界中から受注することが可能である。しかし、自社でサーバーを保有して店舗のシステムを構築するためには高度な技術を持った技術者が必要であり、自社単独のために24時間システムのメンテナンスを行うのは非効率である場合も多い。また、インターネットでの店舗運営は、現在のところ試行錯誤の状態が続いており、常に新しいサービスを投入できる体制作りが必要となっている。  こうした中、楽天市場(楽天)はいち早くインターネット上にショッピングモールを立ち上げ、低い初期投資でインターネット上での店舗開設を可能とする一種のASP(アプリケーション・サービス・プロバイダ: Application Service Provider)として、注目されている。同社のシステムを利用すれば、インターネット上に店舗を出す店主は、パソコンとシステムに接続するための電話回線があれば、特別な技術がなくても、店舗レイアウトや陳列する商品、価格を随時自分で更新することが可能となっている。また、サーバー等の保守管理は楽天市場が一括して行うため、店主は顧客への対応に専念することが可能となっている。  この楽天市場が目標としているものは、単なるサーバー貸しではなく、店主と顧客を中心にした電子商店街の構築であるという。つまり、顧客は楽天市場でショッピングを楽しみ、店主はお互いに協力して顧客を呼び込み、販売のノウハウを共有することで、商店街と同様のコミュニティを形成したい、とのことである。そこで、楽天市場では、出店する店主に対してまずコンサルティングを行い、どのように店舗を運営していくのがよいかアドバイスしている。また店主専用の「オーナーズフォーラム」という掲示板や、楽天大学というセミナー等を通じて、店主はお互いのノウハウを共有し、モール全体のイメージ向上を目指している。顧客に対しては、メールマガジンによるモール内の紹介や、季節に合わせた販売イベント等を行っており、また、顧客が自由に出品可能なフリーマーケット(オークション)の場も提供している。これにより、楽天市場全体が電子商店街として、コミュニティの形成を目指している。