(3)ECプラットフォームの形成 コンビニエンスストアによる物流・決済の円滑化  コンビニエンスストアでは、通常100平方メートル程度の店舗面積で3,000種類程度の商品が深夜でも販売されている。この比較的小さな店舗に、常に多くの商品を取り揃えておくために、コンビニエンスストアでは一日数回の商品配送を行い、常時店舗内の商品を補充できる体制をとっている。近年、コンビニエンスストア業界の各社が、一斉にインターネットコマースをはじめとする電子商取引(EC)への参入を表明し、注目を集めている。  業界大手のセブン-イレブン・ジャパンもその1つである。同社は、12年2月、メーカー、商社、コンテンツ提供会社などとともに「セブンドリーム・ドットコム」を設立し、全国に約8,000ある店舗、商品の店舗への配送力等を活用したインターネットコマースを展開する(図表)。同社の商品販売は、店舗に設置されるキオスク端末またはホームページを通して行われる。顧客は、キオスク端末やホームページで希望の商品を検索し、発注する。セブンイレブンの店舗には毎日数回商品配送が行われているため、商品はこの配送システムを利用して顧客が指定した店舗に配送される。顧客は近くのコンビニエンスストアで商品を受け取り、その場で料金を支払う。またキオスク端末においては、楽曲等のダウンロード販売も行う。  このようなシステムを導入することで、店舗は、より多くの商品を扱うことができるようになり、同時に集客力を高めることが可能となる。また、顧客にとっては、クレジット決済などのインターネットコマースにおける不安材料とされる代金の支払いが商品受取と同時に行える、コンビニエンスストアの営業時間内ならいつでも商品が受け取れる、といったメリットがある。  同社では、本サービス開始から3年後の15(2003)年には、取扱高が3,000億円程度になることを予測しており、ECの新たなプラットフォーム形成を目指す動きとして注目されている。  また他のコンビニエンスストアチェーンにおいても同様の動きが見られる。ローソンは、キオスク端末による商品販売や、インターネットコマース事業者に対する物流・決済サービス等の提供を行っており、また、コンビニエンスストア5社(ファミリーマート、サークルケイ・ジャパン、サンクスアンドアソシエイツ、ミニストップ、スリーエフ)は、13年春までに協力体制を築いてEC分野に参入するとしている。このようなコンビニエンスストア業界全体の動きは、今後インターネットコマースの普及に大きな影響力を持つものと考えられる。