1 グローバルな情報通信の基盤整備 (1)インターネット・ガバナンスとドメインネーム 使いやすいドメインネームの実現と新たな市場の開拓への取組  ドメインネーム(図表1))は、インターネットによる通信の基本的要素であり、その管理(及びIPアドレスの管理)は、インターネットそのものの管理(インターネット・ガバナンス)という意味を持つ。このため、ドメインネーム等の国際的な管理主体である民間非営利法人ICANN(Internet Corporation for Assigned Names and Numbers)(図表2))において、我が国の利用者・事業者の利益を反映していくことは、我が国のインターネットの更なる普及発展にとって重要である。  また、ドメインネームそのものが日本人利用者にとって分かりやすく使いやすいものであることは、今後、我が国において高齢者や子供、家庭の主婦等におけるインターネット利用の増加を図る上で重要である。11年中には、日本語をドメインネームの一部として利用できるサービスを提供する事業者が現れるなど、アルファベット以外の多言語ドメインの実用化議論が活発化している。多言語ドメインの実用化には、現行のドメインネームシステム(DNS: Domain Name System)に変更を加える必要があることから、内外で技術的観点等から専門的な検討が行われているが、国際的に見て我が国利用者の利便が図られるよう留意する必要がある。  さらに、近年、.com, .net, .orgをトップレベルドメインとするドメインネームについては、従来、米国の民間企業であるネットワーク・ソリューションズ社(NSI: Network Solutions Inc.)が独占的に全世界からの申請に対して登録・管理を行っていたが(登録料は、当初2年間につき1ドメインあたり70ドル、以後年35ドル)、11年にはこれに競争原理が導入され(12年1月末現在110社が参入)(図表3))、ドメインネームはインターネットビジネスにおける新たな市場として期待されている。ただし、.com等のドメインネームの登録ビジネスに関しては、我が国からはわずか3社が参加しているのみである等、我が国ではドメインネームに対する関心は比較的低くなっており、多言語ドメインビジネス等も含め、新たな市場として目を向けることも重要と考えられる。  郵政省は、ICANN体制下の政府諮問委員会(GAC: Government at Advisory Committee)における我が国唯一の正式登録メンバーとして、11年8月のチリ会合、11月のロサンゼルス会合、12年3月のカイロ会合等での議論に参加し、アジア太平洋地域における協力体制の確立に取り組んでいる。  また、ICANNの理事選挙が12年11月までにオンラインでの直接投票により行われる予定である。メールアドレスを持っている等の条件を満たせば、投票権を持つ一般会員(At Large Member)に登録できることから、郵政省としては、我が国代表者が継続して理事として活動できるよう一般会員としての登録を勧奨する等、官民を挙げた取組を推進・支援していくこととしている。