4 デジタル・ディバイド (1)概 況 国内外を問わず是正が急務  近年、インターネットやコンピュータ等の情報通信機器の普及に伴い、情報通信手段に対するアクセス機会及び情報通信技術を習得する機会を持つ者と持たざる者との格差、いわゆるデジタル・ディバイドの拡大が懸念されている。  米国では、商務省が1999年7月に発表した「Falling Through the Net:Defining the Digital Divide」のほか、クリントン大統領の一般教書演説(2000年1月)においても、デジタル・ディバイドを政策的な課題として取り上げている(2-11-1(1)参照)。  また、2000年1月から2月にかけて開催された世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)においても、デジタル・ディバイドが話題として取り上げられている。  我が国においても、小渕前総理大臣が九州・沖縄サミットに関する懇談会(12年2月)において、先進国と発展途上国及び先進国内のデジタル・ディバイドが経済格差を更に大きくしてしまうおそれがあるという問題点を指摘し、「IT革命」に伴うデジタル・ディバイドの是正を九州・沖縄サミットの主要議題として取り上げる意向を示した。  今後は、情報通信手段に対して、どこでも、誰もが、安くアクセスでき、情報通信技術を習得する機会に恵まれて、インターネット等のITの恩恵を十分に享受しうる「デジタル・オポチュニティ社会」を実現することが重要である。  こうした中、デジタル・ディバイドの一側面として、世界の地域別インターネット利用状況や、我が国におけるインターネット利用状況を分析すると以下のとおりである。 1)世界における地域間格差  世界の地域別インターネット利用者数(図表1))をみると、全世界のインターネット利用者数の約半分が米国・カナダ(1億3,606万人)で占められており、次いでヨーロッパ(7,199万人)、アジア・太平洋(5,490万人)となっている。  また、世界の地域別インターネット普及率(注8)(図表2))をみると、利用者数と同様に米国・カナダの普及率(45.7%)が非常に高く、次いでヨーロッパ(9.9%)、中東(2.2%)となっており、米国・カナダとその他の地域における普及率の格差は非常に大きい。 2)我が国における格差  「通信利用動向調査(世帯調査)」により、インターネットを利用している世帯の属性に基づき分析すると、居住する都市の規模が大きいほど、世帯主の年齢が若いほど、世帯年収が高いほどインターネットの普及率が高くなっており、地域、年齢、所得によって格差が生じていると考えられる(図表3))。