3 情報通信ニュービジネスの振興 情報通信ベンチャー企業の創業・成長を支援  郵政省では、情報通信分野におけるニュービジネスの振興を図るため、各種支援措置を講じている。 1)テレコム・ベンチャー投資事業組合による資金的支援  10年5月に設立されたテレコム・ベンチャー投資事業組合では、特定通信・放送開発事業実施円滑化法に基づき、郵政大臣から「通信・放送新規事業」として認定を受けた事業者で、新設又は設立5年以内で資本金が10億円以下の法人(第一種電気通信事業者については、資本金15億円以下の法人)を対象に一事業者あたり、2億円又は、資本金の額の10%以内を出資しており、11年度においては、12年3月現在5件の出資を行った。なお、12年度からは、出資限度を10%以内から最大30%以内に拡大する予定である。 2)先進技術型研究開発助成金制度(テレコム・インキュベーション)による技術シーズの事業化支援  通信・放送機構では、通信・放送分野の先進的・独創的な技術の研究開発を行うベンチャー企業等に対し、研究開発費の一部を助成する制度(先進技術型研究開発助成金制度)を設けており、11年度は、我が国においても産学間の技術移転を促進するため、大学等と共同で行う研究開発に対する助成枠(産学連携枠)を追加し、合計応募件数64件のうち、12件に対し交付決定を行った。さらに、11年度2次補正において、特に高い成長性が期待できる分野として通信・放送機構が指定する技術分野の研究開発に対する助成枠(重点技術分野枠)を創設した。 3)ストックオプション制度の特例による人材面の支援  郵政省は、9年度に特定通信・放送開発事業実施円滑化法を改正し、ストックオプション制度の特例措置を設け、ベンチャー企業等における人材確保や、取締役または従業員の勤労意欲向上等の支援措置に取り組んでいる。本特例措置は、郵政大臣の認定を受けた通信・放送新規事業を行う未公開の株式会社に対し、自社の取締役又は従業員に付与できる株式の総数を、発行済株式総数の20%を限度(通常は10%が限度)とするものである。これまで累積で10件の認定実績があり、11年度は、7件(12年3月現在)の認定を行った。なお、税制面では、ストックオプションの権利行使時点で一定の条件下での所得税及び住民税の非課税や、株式売却時点で株式の譲渡による所得について申告分離課税(所得税20%、住民税6%)が適用される。 4)エンジェル税制  スタートアップ段階の通信・放送分野の新規事業に対するリスクマネーの供給不足を解消し、資金調達を容易なものとすることにより新規事業の成長・発展を促進するため、個人投資家(エンジェル)による投資リスクの軽減措置をエンジェル税制により9年度から実施している(資料38参照)。 5)情報通信ベンチャー助成金制度の創設等  12年度には、情報通信ベンチャー企業への支援を拡充強化することを目的として通信・放送機構が、新規事業化に必要な資金(コンサルティング経費等)の一部を助成する制度を創設するほか、専門家によるベンチャー企業への経営相談・指導等を行う仮想のセンターをインターネット上に開設する予定である。 6)その他  郵政省では、情報通信ベンチャー企業の創業・成長の促進を図るため、11年1月から「情報通信ニュービジネスの創業・成長に向けた経営資源に係る環境整備に関する研究会」を開催し、同年5月に報告書を取りまとめた。同報告書では、郵政省の今後の取組として、経営面の専門的人材の活用促進、エンジェル税制の拡充、情報通信ベンチャー企業の交流促進等が提言されている。  さらに、郵政省では11年6月及び10月に「情報通信ベンチャー勉強会」を開催し、ベンチャー企業が直面している問題点や課題を共有するとともにベンチャー企業間の交流を図っているところである。 関連サイト: 通信・放送機構(http://www.shiba.tao.go.jp/)