様式第2(第3条関係)
意見書
平成
11年 10月 20日
電気通信審議会
電気通信事業部会長 殿
郵便番号 320
(ふりがな)うつのみやしとよさとだい
住 所 宇都宮市豊郷台1-2 B202
(ふりがな) つついたかし
氏 名 第一種伝送交換主任技術者 筒井多圭志 印
注 氏名を自筆で記入したときは、押印を省略できる。法人又は団体にあっては、
その名称及び代表者の氏名を記載することとし、代表者が自筆で記入したとき
は、押印を省略できる。
11年9月21日に諮問された接続料算定の在り方について、別紙のとおり意見を提出します。
記
長期増分費用方式を用いた接続料算定の在り方について
今回は接続料の審議に際し、私的な見解を申し述べる機会を与えられたことを大変うれしく存じます。指定電気通信事業者と、競合する電気通信事業者並びに郵政省と国民の利益のために若干の私的な見解を提出させていただきたいと思います。十分な時間もなく誤字脱字等読みづらいところがままございますが、ご容赦賜りますようお願い申し上げます。
今回のLRIC研究会のモデルはLRICモデルの理論的背景に基づいていない。
共通線信号方式の相違に伴う交換機改造費用について
き線点収容装置について
接続料が株価に連動することの是非について
線路敷設権の法制化について
最適な網設計について
長期増分費用に基づく接続料のあり方と、通信ビッグバン法案について
通信ビックバン関連法案 私案
- 今回の
LRIC研究会のモデルはLRICモデルの理論的背景に基づいていない。
LRICモデルは市場競争の働きにくいアクセス網などのようなボトルネック公共設備において、仮想的な完全競争状態を実現し、パレート最適を実現するためのものである。パレート最適とはある参加者の利益の増大のためには、ほかの参加者の利益の減少を発生する状態を言う。完全競争状態を実現するための必要十分条件は、次のものである。
1. 完全情報状態(網情報の開示)
2.参入退出の自由
3.財の均質性(競合事業者のサービスに代替可能)。
ボトルネック設備においても、資源の最適配分、社会的利益の最大化、独占状態の部分について限界費用で価格設定(LRICなどを導入)すると、パレート最適が実現しうることになる。限界費用は、サービスを提供するために新規に事業者を立ち上げるときの間接費用等を除いた直接費用において、既存の事業者が、新しく設備を、その時点でもっとも適切と思われる方法で増強した設備により、新規に提供される、追加的な利用者に対するサービスコストが、過去に創設された設備とは切り離して、新規に創設された設備の実稼動年数をベースとする償却コスト、メンテナンスコスト、ランニングコスト、適切なマージン率に基づいて、料金が提示されるのなら、新規に算入する事業者が、同様なことを、既存の業者の管路等のボトルネック設備をコストベースで借り受けて、新規に事業を行うインセンティブが働かないことになる。つまり、ラグランジュポイント、新規の競合事業者の参入と退出の均衡するサービスコストが市場において実現することになる。つまり、LRICは、競合する事業者が主要な既存の電気通信事業者が、新規に、その競合する事業者が借りうけるために、設備投資した場合、適切なマージン率で新規に増設した設備を貸し出すことが出来れば、そのような新規に他の事業者に貸し出した設備においては、既存の主要な電気通信事業者において赤字も出ることも無く部門会計で黒字を出すことが出来、しかも、設備利用率が向上し、総括原価方式におけるような、非効率な設備を温存して、高いコスト構造を温存して、利用者が希望するサービスを提供しないことにより利益を出そうとするインセンティブが働きにくいようにするためのものである。
また、LRICが浮上してきた背景には、アクティビティーコストベース課金の問題がある。TSLRICに比べるとアクティビティーコストベース課金は、サービスの提供に関係のないコストは取り除かれているが、現在のコストベースの課金は、現在もし、非効率なネットワーク投資が行われていたとしたらそれを改めるインセンティブが働かないことが懸念される。
今回の答申と研究会においては、LRICモデルのそのものの理論背景については一切考慮されておらず他の研究者や事業者の参加を排除する形で進められたことは問題である。接続料算定の研究会の議論の手続きは、そのものの議論を白紙に戻して、関係するすべての事業者と研究者に参加する機会を与えてもういちど検討しなおすべきである。
共通線信号方式の相違に伴う交換機改造費用について
諸外国では、我が国の指定電気通信事業者のように独自仕様の共通線信号方式の交換機を採用していないために交換機は相互に接続可能であり、また、企業専用線の未使用時間を専用線の時間貸しの市場売買を通じて、技術革新によってではなく、市場の力でマージナルコストを実現するに至っている。政府の接続料問題において、無用な大きなコストを相互接続する電気通信事業者に課する物は、共通線信号の改造コストであり、そのようなコストについての配慮がない。日本以外の諸外国では、電話交換機を接続するために共通線信号方式を改造するコストはかからない。それは、独自のダブルスタンダードを採用していないからである。欧米諸外国では、専用回線を先物市場を通じて、時間貸しで、売買することにより、回線価格が急落している。ARBINETホームページにおけるCNNニュースの報道を参照していただきたい。国際社会の一員として、日本をとらえた場合、電気通信事業者の所有する電話交換機の共通線信号方式が国際標準の交換機と接続できない場合の改造コストは、そのような交換機を所有する側の負担するべきコストである。
参照URL
http://www.arbinet.com/
き線点収容装置について
【き線点遠隔収容装置の土地】
・ モデル案では、き線点遠隔収容装置が多量に算出されているが、き線点への設備の設置を考えた場合、算定結果のように多数のき線点遠隔収容装置を道路・歩道の占用により設置することは、道路管理者からの占用許可を得ることは実行上困難であることから、き線点遠隔収容装置のための土地の取得等を考慮した現実的なモデルとする必要があると考える。(NTT東日本・西日本)
き線点収容装置(RT)は、高層ビルを含む、ビル建築物の"加入者宅" (政府や指定電気通信事業者の光化度の進展の算定においては、も高層ビルも、一般加入者との扱いである)においては、加入者宅内の、地下に、指定電気通信事業者の土地等の取得を伴うことなく設置されているケースが一般的である。
き線点までの光化や、き線点収容装置が必要になるのは、高価な専用役務を提供するために必要となる物であり、一般加入者(政府の意味ではなく、一般の電話回線利用者)はその恩恵に預かるどころか光化によりXDSLの使用への道を閉ざされている。 そればかりではなく、さらにRT装置を加入者基本料に転嫁することにより基本料金の値上げが必要になり、外部不経済が発生している。き線点遠隔収容装置、光ファイバー化のコストは、専用役務に転嫁すべき筋の装置である。欧米などの諸外国では、T1までの一般のRT装置は、メタリックケーブルでHDSLで接続する形態が5年以上前から一般的である。欧米のインターネットの爆発的HDSLによるものであり光ファイバーによる物ではない。
接続料が株価に連動することの是非について
指定電気通信事業者の業務形態に鑑みて、業務効率改善指標はROAを採用するべきである。ROAは、ROEのように直接株価には関係しない。
政府は、指定電気通信事業者の接続料の算定基準としてROE(自己資本利益率)を採用している。ROE(return on equity):当期利益÷自己資本 は、株主の持ち分である株主(自己)資本が、企業収益を生むためにどれだけ効率的に使用されたかを示す指標で自己資本利益率と言われる。自己資本利益率が高いと企業の収益性が良いと判断される物である。一方、資産運用の効率性を示す指標としては、ROA(return on asset):営業利益÷総資産、総資本営業利益率がある。総資本営業利益率は、企業に投下された総資本が利益獲得のためにどれだけ効率よく使用されたかを示す物である。指定電気通信事業者の接続料算定基準としては、ROEではなく、ROAを指標として使用すべきである。その場合も、接続料算定の直接の根拠としてではなく、プライスキャップ規制の上限参照基準として、異業種とではなく、同業の他社と比較することで、設定するべきである。
ROEを、接続料算定の根拠とした場合、次のようなケースにおいて問題が発生する。
問題となりうるケース
1. 指定電気通信事業者が増減資を行った場合
2. 指定電気通信事業者の転換社債が行使された場合
3. 指定電気通信事業者が、ファイナンスを行い、他人資本の使用割合を減らすインセンティブを働かせる虞は無いのか
4. 指定電気通信事業者の株価が上がると接続利用はあがるのか、下がるのか? もし、株価が上がっているのなら、さらに株価が上がるように接続料はあがる必要はないし、一方株価が下がっているからと言って、そのために、接続料が上がることには何の一定の根拠もない。指定電気通信事業者のボトルネック施設を使用している電気通信事業者は、指定電気通信事業者の配当準備金のプールではない。
この件について、指定電気通信事業者の「指定電気通信設備の接続料に関する原価算定規則」及び「電気通信事業法施行規則」の一部改正案に対するコメント募集において、再三その権についておたずねしているがご返答を一度もいただいていない。
線路敷設権の法制化について
LRICモデルは、寡占市場においてバレート最適を仮想的に実現し、限界費用を仮想的に発生させようとする物である。LRICモデルが接続料に適用されるためには、ILECの任意の網構成要素を、コストベースで、競合する事業者が借り受けて、それを用いて自らのサービスを自由に展開することが出来、その選択に際して、自らが独自に単独で借り受けるより、複数の事業者が借り受けることにより、コストベースの適切ななマージンを確保して、設定された接続料が、コストベースの網要素を借り受けて構成した網よりも経済合理性のあるコストとなることが検証され、選択されうることが必要である。接続料の算定の基準として米96年通信法、USC251,252に準じるアンバンドル条項を法制化するべきである。政府の行うべき役務は光ファイバー化をいたずらに推進することや、\46,000(*1)で終端機器が購入できるギガビットイーサーネットを使用しないで、超高速の2.5GのとてつもないコストのATM網を全国に構築することではなく、また、6464128に、加入者を放置したまま、超高速ペタビットネットワークを構築することでもない。指定電気通信事業者が、現在のように、光ファイバー回線の速度を抑制する1.5Mなどの終端装置を挿入することを通じて、ボトルネック施設に縛りつけて利用者が必要とするサービスを提供しないことを通じて過剰な利益を得ようとするインセンティブが働かないように規制することが政府の役務である。
日本国はWTOのサービスの交易の自由化協定第四議定書を批准しているが、先進国のボトルネック設備を占有する通信事業者は、役務を提供しないことをもって余剰利益を追求するのではなく、利用者が望む役務を提供して、利益を追求するように政府は行政指導するべきである。具体的には、指定電気通信事業者の専用役務において、網監視機能をアンバンドルし、ダークファイバー、SMFによる、10Base-FL, Fast Ethernet, Gigabit Ethernetを提供メニューに追加するべきである。網監視機能はSNMPで行うこととし、他の網監視事業者に事業参入の機会を提供するべきである。
また、競合する電気通信事業者は、線路敷設権が法制化されていないために、第一種通信事業者の資格を取得しても、管路がない、電柱の空きスペースが無い、完全地中化により架空による道路横断は出来ないなどの理由により、指定電気通信事業者や、電力事業者の施設を借り受けて線路を敷設できないのが現状である。電気通信事業法施行細則、線路設備規則などにおいては、光ファイバーケーブルについては、他の事業者のケーブルから30cm離す必要性は規定されていないのにも関わらず、事実上メタリックケーブルの規定により、30cmのスペースが電柱にとれないことにより大都市の電柱においては競合する事業者が線路敷設が出来ないのが現状である。WTOのサービスの交易の自由化協定第四議定書、日本国の約束の表にかかる付帯事項においては、競合する事業者の線路敷設において差別的でないようにセーフガード措置の履行が約束されているが日本国はその約束を遵守していない。
具体的には、電電、電力柱においては、30cmのポジションがとれなくても、共架を義務づけることを法制化することと、地下とう道、共同溝においては、専用のポジションがとれなくても、将来の計画の有無に関わらず、現在未使用スペースがあれば、他のケーブルから離すことなく、設置を認め、その専有面積補ベース、簿価ベースで、そのコストを負担することを義務づけるための法改正が必要である。
そのような適切なセーフガード措置が執られないために、日本橋地区では、外国の電気通信事業者が、共同溝が配置された地区において、地面を掘り返して自分のファイバーを埋設するという世界的にみても前代未聞の事態が発生している。このような状態を放置すれば、諸外国からWTOに提訴されたり、パーソナルコンピューターの時のように違う品目において報復関税をかけられる恐れがある。(*2)
参照URL
1 \46,000のギガビット終端装置(トランシーバーを2万円前後のSMFのトランシーバーに取り替えればSMFでそのまま使用できる)
http://www.aisan.co.jp/products/gigabit-multilayer_switch.html#FS509
2. 日本における規制撤廃、競争政策、透明性及びその他の政府慣行に関する
日本政府への米国政府要望書1999年10月6日
http://www.usia.gov/abtusia/posts/JA1/wwwh2502.html#anchor247537
最適な網設計について
第一種第一種伝送交換主任技術者として一言発言させていただきたいと思います。政府の第一種電気通信事業者の許認可の基準には、第一種伝送交換主任技術者と、線路主任技術者の配置が義務づけられているが、今回のLRICモデルに基づく接続料算定委員会の答申内容は、どのように考えても、線路主任技術者の資格取得者が設計した内容で無い物であると考えざる終えない。 過去の線路主任技術者試験の問題にも出題されているが、最適な網設計の条件の一つとして、極力、電力柱と共架が、可能な経路を選択することが網設計の重要な条件としてあげることが出来る。現実には、電力柱と、電電柱の割合は9対1であり、共架を優先することが架空回線のコストを下げる最も重要なポイントであるため、メッシュから機械的に経路を構成する政府の委員会の計算方式は、不必要に架空回線のコストを高く見積もる、全く現実性のないモデルであり、そのようなモデルに基づいて、電話基本料が値上げされるようなことは全くあり得ない話である。競合する電気通信事業者も、自分の支払う接続利用が安くなるからと言って、そのような全く根拠のないでたらめな話に賛成しているようではいけない。
また、もう一つの重要な条件としては、極力完全地中化した箇所、あるいは道路横断を避けること、があげられる。線路敷設においてもっともコストがかかるのは完全地中化対策のための地中化コストであり、地中化箇所は、その一つ裏の筋を電柱で這わせるか、道路横断箇所を極力少なくすることが線路敷設におけるトータルコスト削減での上の最も重要な課題となる。
指定電気通信事業者がき線点までの回線を地下どう道を這わしているのは4000回線などの集合メタリックケーブルが自重のため架空が不可能であったことが歴史的背景としてあるが、現在は都心部は地中化が進んでおりねき線点までを再び架空ファイバーで回線を張り直すことは現実的には出来ない。
今回の、LRICモデルに基づく接続料算定委員会の答申は以上のような線路主任技術者資格を取得した物ならすぐに気がつくようなポイントについて一切言及していない。どのようなお考えから仮想メッシュが、共架率を含めて必要な線路敷設コストを算定できる物と検証することが出来るのかお聞かせ願えたら幸いである。
さらにもう一つ指摘しておきたいことは、政府の審議会において、網設計等を専門とする研究者も、線路主任技術者や、電気通信政策を専門とする研究者の参加も排除してこのような高度な専門的知識を必要とする内容にいて、研究会を開催し、結論を答申するのはどのような物かと思う。今回の議案については国際問題として既に発展しており、外国のコンサルタントを使ったにせよ、このような単純な誤謬や合成の誤謬に基づく答申内容における誤謬の端的な存在は許されない物である。一部の線路設計を専門としない研究者で研究会を構成する理由はどこにあるのか、お聞かせ願えたら幸いである。
長期増分費用に基づく接続料のあり方と、通信ビッグバン法案について
長期増分費用に基づく接続料のあり方について、算定するに当たり、原価算定に当たり配慮すべき事項として、技術革新によるコストの低下がある。技術革新によるコストの低下は、光ファイバーケーブル自体のコストの低下と、電話交換機のコストの低下を配慮する必要がある。LRICモデルを用いた接続利用算定規則は、それらの項目について、最新の取得価格で、接続コストを原価算定する事を義務づけるだけで十分である。従って、LRICモデルに基づく指定電気通信事業者の接続料算定規則は、次のように改正するだけで十分である。
LRICモデルに基づく指定電気通信事業者の接続料算定規則 改正案私案
一 接続利用の算定に当たっては、光ファイバーケーブルと、電話交換機、RT/CS装置等については、その現在同等品取得価格をベースに、接続コストを算定すること
その他は現行法と同じ。政府のLRICモデル案はすべて破棄すること。
また、個別に競合事業者が網を設置するような非効率を避けるために、ドライカッパー、周波数貸し、ダークファイバー、管路、電柱のポジションを含む任意の網構成要素を利用して競合する事業者が網構成できるように法改正することが必要である。
線路設備規則 改正案私案
一 電電、電力柱においては、30cmの専用ポジションがとれなくても、同一ポジションにおいて共架の申し込みがあった場合断ってはならない。
一 地下とう道、共同溝においては、専用のポジションがとれなくても、将来の計画の有無に関わらず、現在未使用スペースがあれば、他のケーブルから離すことなく、設置を認め、その専有面積補ベース、簿価ベースで、そのコストを課すること
以上の二項を持って通信ビックバン関連法案として早期に国会に提出して成立させることが平成不況を克服するために急務である。日本は既にWTOのサービスの交易の自由化協定第四議定書を批准しているが、サービスの交易の自由化条約で締結した内容を履行するために、通信ビックバン関連法案を早期に提出して成立させるべきである。
通信ビックバン関連法案 私案
LRICモデルに基づく指定電気通信事業者の接続料算定規則 改正案私案
一 接続利用の算定に当たっては、光ファイバーケーブルと、電話交換機、RT/CS装置等については、その現在同等品取得価格をベースに、接続コストを算定すること
線路設備規則 改正案私案
一 電電、電力柱においては、30cmの専用ポジションがとれなくても、同一ポジションにおいて共架の申し込みがあった場合断ってはならない。
一 地下とう道、共同溝においては、専用のポジションがとれなくても、将来の計画の有無に関わらず、現在未使用スペースがあれば、他のケーブルから離すことなく、設置を認め、その専有面積補ベース、簿価ベースで、そのコストを課すること
以上
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