会議資料・開催案内等

情報通信審議会 情報通信技術分科会(第25回)議事録


 

 
 
第1 開催日時及び場所
平成16年5月24日(月)  14時03分〜15時06分
於、総務省第一特別会議室(8階)

第2 出席した委員等(敬称略)
(1) 委員
齊藤 忠夫(分科会長)、生駒 俊明、大山 永昭、後藤 滋樹、
酒井 善則、清水 英一、高畑 文雄、土井 美和子、中川 正雄、
名取 晃子、宮崎 久美子
(以上11名)
(2)   専門委員
服部 武

第3 出席した関係職員
(1)   大臣官房
鬼頭 達男(技術総括審議官)
(2)   情報通信政策局 
武井 俊幸(技術政策課長)
(3)   総合通信基盤局 
有冨 寛一郎(総合通信基盤局長)、竹田 義行(電波部長)、
稲田 修一(電波政策課長)、富永 昌彦(移動通信課長)、
山内 健生(衛星移動通信課長)、米子 房伸(衛星移動通信課企画官)
(4)   事務局
福岡 徹(情報通信政策局総務課長)

第4   議題

(1)   「携帯電話等の周波数有効利用方策」のうち「第3世代移動通信システム
IMT−2000)の高度化方策」について
【平成7年7月24日 電気通信技術審議会諮問第81号】

(2)   「航空無線通信の技術的諸問題について」のうち
HFデータリンクの技術的条件」について
【昭和60年4月23日 電気通信技術審議会諮問第10号・審議再開】



開会

齊藤分科会長  時間でございますので、始めさせていただいてよろしゅうございましょうか。それでは、ただいまから情報通信技術分科会第25回を開催させていただきます。きょうは私齊藤が議事を進めさせていただきたいと存じます。本日は、委員15名中11名がご出席ということでございますので、定足数を満たしております。
  審議事項のご説明をいただくために、服部上智大学理工学部電気・電子工学科教授に、専門委員でいらっしゃいますが、ご出席いただいております。
  本日は公開で会議をいたします。傍聴者の方々は留意事項をお守りいただきまして、静粛に傍聴してくださいますようにお願いいたします。また、本日の会議の模様はインターネットにより中継されておりますので、ご了承いただきたいと存じます。
  議題表のとおりでございますが、本日は答申案件1件、報告案件1件の2つのご審議をお願いします。

議題

(1) 「携帯電話等の周波数有効利用方策」のうち「第3世代移動通信システム(IMT−2000)の高度化方策」について(平成17年7月24日電気通信技術審議会諮問第81号)

齊藤分科会長  それでは、まず電気通信技術審議会諮問第81号「携帯電話等の周波数有効利用方策」のうち「第3世代移動通信システム(IMT−2000)の高度化方策」につきまして、調査検討をお願いいたしました携帯電話等周波数有効利用方策委員会の服部主査から検討結果のご報告をお願いいたします。よろしくお願いします。
服部専門委員  ただいまご紹介いただきました上智大学の服部でございます。お手元に2つの資料がお配りしてありまして、横書きのは全体の概要を書いた説明用の資料でございます。資料1−2のほうが具体的な中身ということになります。大分資料も厚うございますので、お手元の横書きの資料で説明させていただきます。
  このタイトルは、情報通信審議会情報通信技術分科会の携帯電話等周波数有効利用方策委員会報告概要というところでございます。第3世代移動通信システム(IMT−2000)の高度化方策ということでございます。
  中身は、大きく分けて2つに、HSDPAという技術を導入するということと、800MHzメガヘルツ帯の周波数の扱い方ということでございます。
  まず、HSDPAという高速のパケットデータをIMT−2000W−CDMAの中で入れる、その技術的ないろいろな検討状況についてご説明します。このタイトルは、High Speed Downlink Packet Accessの頭文字をとって、HSDPAという名称を使っております。この2ページの上に書いてございますように、現行のW−CDMA方式に、共通チャネル――これは制御と物理的にデータを送るという両方の役割があります。それから適応変調符号化、適応スケジューリングという技術を採用することによりまして、データ通信の高度化を図るという技術でございます。
  主な技術の内容をその下のほうに5つ書いてございます。先ほど話しましたShared Channelといいます共通チャネルは、いろいろなユーザー間で共通に使用するということでございます。それから適応変調符号化ということで、電波のいい状態については多値化をすることによって効率を上げるということが趣旨でございます。それから、適応スケジューリング、これも電波の状況に応じて、どのユーザーに情報を送るかということを選択的にスケジューリングを行う。Hybrid−ARQということで、これは誤ったときに再送するわけですけど、そのやり方を少し工夫する。それから、バックワードコンパチビリティということで、基本的に現行のシステムに影響しないで新しいシステムを入れるという意味でございます。
  その次のページに、共通チャネルがどのように新しく導入されるかというイメージの図をかいてございます。Release 99というのは、IMT−2000が最初に標準化されたときの段階において、Downlink Shared Channelという共通シェアで使うチャネルということは、既に設けてございます。新たに、このRelease 5いうことで、さらに追加してハイスピードのDSCHということを導入する、ハイスピード伝送用ということですね。そのためのチャネルを付加すると。さらに、無線リソース――CDMAですので、いろいろコードを使っていますので、あるいはハードウエアの高効率の使用を行う。それから、基地局での高速リソース割り当て制御で、現在は10msミリセカンド単位ですけど、それをもう少し速い2msミリセカンドという単位で送受信を行う。それから、スケジューリング伝送による干渉電力変動の低減ということで、2msミリセカンドに区切ったというのは一つの大きな新しい考え方ということです。HSとついていますのは、High-Speedという意味の頭文字です。
  それから、次のページをめくっていただきまして、適応変調符号化・適応スケジューリングのイメージをかいてございます。左側の図で、データスピードが電波の状況によっていろいろ変わります。これは点線でブルーと赤がかいてございますけど、電波のいい状態のときに、一番上で示してございますように多値化を行いまして、伝送効率を上げる。電波の状況が悪くなった場合には、多値化の数を少なくする。これが適応変調符号化方式ということです。その右側の説明の適応変調符号化方式というのは、そういう技術でございます。
  それから、適応スケジューリングと申しますのは、複数ユーザーの中から無線状態が良好なユーザーのデータ送信を優先しつつ、全体としては各ユーザーが公平となるようにスケジューリングを行うということです。
  それで、左側の図の真ん中と下にかいてございますけど、HSDPAの場合ですと、送信電力はある信号を送るときには1人が占有するという意味でパワーシェアリングをやらないということになります。それに対して現行方式の場合は、ユーザー間で電力をシェアして同時に伝送を行うということで、そういう意味での伝送方式というのは新しい方式ということになると思います。
  次の5ページ目に行きます。Hybrid−ARQということで、Hybridという意味は組み合わせるという意味でございます。現行の一般の方式ですと、送信データを送りまして、受信データが悪いときに――一番右側にNGと書いてございますけど、そのときに受けたデータは破棄してしまいます。それで再送を要求しまして、何度かそういうことを行って、正しいということであれば受信を受け付けると。その下のほうにHybrid−ARQのイメージがかいてございます。一たん受け付けた信号がパリティチェックを見て誤りという場合でも、それを一たん保存しておきまして、それでさらに再送を要求する。それで前に受けた信号と新たに受けた信号を合成しまして、正しいかどうかを判定すると。そういう意味で前のデータをむだなく使えますので、時間的にいっても伝送効率が上がるという技術を今回採用するということです。
  それから6ページ目に、バックワードコンパチビリティと書いてございますけど、既に導入されていますRelease 99、あるいはRelease 4とのコンパチビリティを確保するということでございます。そういう意味でRelease 99 channelに対する変更はなしということで、旧来のものはそのまま使えると。それでHSDPA関係としてチャネルを新規に追加することによって高速伝送を行なうということでございます。同一キャリア内でRelease 99 Channelと新たに導入するHSDPA関係チャネルとの共存が可能である。送信電力、拡散コードの適切なシェアも可能であるということでございます。そういう意味では、この下にかいてございますように、帯域の中で電力が余っている部分といいますか、送信電力として使える部分を高速伝送用として使う使い方ということになります。
  このやり方で、具体的にどのように性能が上がるかということをいろいろ屋内実験、あるいはフィールド実験を行ないましたので、その結果を7ページと8ページに示してございます。この図面にかいてございますように、W−CDMAの場合ですと、移動局の位置にかかわらずセル内均一データ伝送速度384kbpsキロビーピーエスというパケットの速度が可能となるようにシステムをつくってございます。それに対しまして、今回は、移動局の位置によって若干スループットは異なります。基地局に近い近傍では、非常に高い速度、端に行きますとセルの速度が下がります。セルの端では1Mbpsメガビーピーエス以上、基地局近傍では5Mbpsメガビーピーエス程度を実現ということで、セクター内平均的にいいますと3から4Mbpsメガビーピーエスということになります。そういう意味で、ノンギャランティーといいますか、ある意味でベストエフォート型の高速データ伝送ということで、インターネットの考え方に非常に近いということになっています。
  それから次のページに行きまして、屋外実験でのスループット特性を示してございます。左側のほうが累積分布になっておりまして、右側が時間とスループットがどのように変わるかということで、これは一例でございますけど、2から8Mbpsメガビーピーエス程度の範囲で分布するということで、いろいろ走行の、周囲の伝搬の状況だとかいうことによって、かなり変動はしますけど、現行のW−CDMAにおける384kbpsキロビーピーエスの伝送速度に比べまして、大幅なスループットの向上が期待できるということです。累積で例えば80%のところを見ますと、約5Mbpsメガビーピーエスぐらいの速度が実現されているということになると思います。以上がHSDPAに対する技術的な、いろいろな検討ということでございます。
  それから、その次の今回のテーマは800MHzメガヘルツ帯へW−CDMA方式を導入すると。前回、平成15年6月25日に基本的なことに関しては、一部答申をしてございますけど、これをさらに具体的に、実験的にいろいろ詰めまして、詳細な検討を行ったという結果でございます。
  前の一部答申では、周波数帯配置の全体像――810から855855から900という一つの帯域、それからもう一つ、715から768及び905から958をペアで使うわけでございますけど、この全体像。それから、新たな周波数配置に従いまして、移動通信システムを導入するに当たっての技術的条件。放送用周波数との共用可能性の推定。これは共用と書いてございますけれど、電波干渉が起きないという意味での推定ということでございます。
  ただ、この周波数全体につきまして、715から722については、附帯事項が書いてございますように、若干の使用制限の可能性があるということでございます。
  その真ん中に図面がございますように、今回の一番の主眼は周波数を諸外国――具体的には、韓国とか台湾との干渉問題を解消するということでございますけど、世界の標準に合わせるということで、低いほうの810から855を上り、それから高いほうを下りといいますか、移動機の出す電波が低いほうを使う。その場合に左側の放送等との干渉問題が起きないかどうかということでございます。その説明が下に書いてございますとおり、810から855及び855から900については、移動局送信周波数を810から855MHzメガヘルツとすると。700900帯については、デジタル方式へのイメージングを検証した後、移動局周波数を決定ということですので、今回は810から855のところが検討対象ということでございます。
  10ページ目に参りまして、導入時に考慮する点として2つの点が必要となるということでございます。1つは、送信周波数の方向が逆転しますので、周波数間隔の相違により、近接した周波数に存在する2つのシステム間で通常よりも厳しい干渉が想定される。どの程度の周波数間隔が必要かと。具体的には、現在800MHzメガヘルツの移動用のバンドで携帯電話を含めいろいろなシステムが使われていますので、それとの干渉上、どの程度離せば可能か、それを順序を置きかえて全体を入れかえていくということが1つ。それから、もう1点は移動局送信周波数を放送用周波数に近い部分に配置するとした場合、一定のモデルを想定して、干渉の検討は前回行っていますけど、具体的に使用したモデルの検証や実機を用いた実験を通じて、詳細な干渉評価、検証が必要だということが、前回の経緯でございます。
  今回、そういう意味で、この導入に当たりまして、既存システムとの干渉検討、それからもう1点はテレビ放送へのイメージ混信検討という2点を行いました。
  11ページ目に行きまして、既存システムとの干渉――まず、最初の課題でございますけど、一部答申における検討では、上下周波数を逆転しまして、新規システム(W−CDMA、あるいはCDMA2000等)を800MHzメガヘルツ帯で使用するための既存システム(PDC、あるいは地域防災無線、D−MCA、cdmaOne等)との干渉による影響を考慮する。それから、システム間の干渉では、直接電波が飛び交いますので、基地局間同士の干渉が最も問題となると。したがいまして、システム間の干渉の検討では、基地局が現実的に最も近接した場合の条件モデルとしまして、所要の周波数間隔を求めております。
  この下に書いてございますのは、前回の一部答申の中で、机上の検討の中でどの程度離せば共存可能かということを、いろいろな組み合わせについて調べました。その具体的な数値等を書いてございます。ここで5MHzメガヘルツ、あるいは9MHzメガヘルツと書いてございますのは、それだけ離す必要があるという意味になります。
  その次の12ページに参りまして、この具体的な検討を今回行っております。前は机上検討でございましたけど、今回は実機による試験評価ということで、ARIBによる調査検討を行っております。
  一部答申の再編移行時に想定されます基地局間干渉形態をもとに評価対象を検討しております。干渉の条件の厳しい基地局相互間における組み合わせの実機測定で、基地局間干渉が起こる可能性のある組み合わせ及び新規システム同士、W−CDMACDMA2000の組み合わせにおける所要ガードバンドを測定した結果、すべての組み合わせに関しまして、所要ガードバンドは5MHzメガヘルツで共用可能であるという結果を今回得ております。それが12ページの結果ということになります。
  この干渉検討のまとめとしまして、13ページにまとめております。検討結果のまとめとしまして、3つございます。
  1つは、実機評価における基地局相互間での所要ガードバンドは、すべての組み合わせにおいて5MHzメガヘルツとなったということでございます。小さな文字で書いてございますけど、前回のときのほうが大きくなってございますけど、今回は受信機としまして実機を用い、干渉源として測定器を用いているということでございます。そういう意味で、実際の送信フィルタよりもやや急峻な特性を持つ可能性がありますので、実際の運営では、その辺は若干考慮する必要があるということでございます。
  2点目でございますけど、試験評価は、隣接システムにおける感度抑圧について実施しておりますけど、実際には隣接システムの送信の電力の広がり、チャネル漏えいによる帯域内干渉の影響については、別途検討は必要となります。ただ、大筋として、基本的には5MHzメガヘルツということが可能であろうと考えられる。
  3点目は、周波数の再編(新システムの導入)に当たりましては、送信機雑音の存在など与干渉側の送信フィルタ特性に留意する必要があり、他の対策と組み合わせることによって運用上の調整が必要であるということで、実際の導入に当たりましては、実現する時期等を含めまして、多少の運用上の調整は必要かと思いますけど、基本的に5MHzメガヘルツというのが一つのガイドラインということでございます。
  それから、上下逆転といいますか、低いほうが移動側周波数となりますので、テレビ放送へのイメージ混信検討ということでございます。一部答申での今後の課題としまして、詳細な技術的条件の検討に当たり、アナログ/デジタル方式テレビ受像機への混信について、検討範囲を具体的に設定し、与干渉・被干渉の双方において、一部答申モデルの検証や実機を用いた実験を通じて詳細な干渉評価を実施し、与干渉・被干渉システムにおける技術的な対策、運用面での対策等による効果を検証することが求められるということが、前回の答申でございます。具体的には、携帯電話移動局の送信レベル、今回使用したモデルの検証、モデル以外のテレビ使用状況の考慮ということも考慮して、いろいろな実態の対応する状況で評価を行っております。
  15ページに参りまして、テレビ放送へのイメージ混信。このイメージ混信と申しますのは、実際にテレビが信号を受ける場合に、ローカルキャリアというのを設けまして、その差分で信号を受けるわけでございますけど、それがちょうど反対側に同じ大きさで移動機の周波数がある場合には、それがいかにも情報として見える、それが帯域内に落ちてくるという問題でございます。
  ARIBによる試験評価項目としまして、アナログテレビ受像機の耐イメージ混信特性の調査を行っております。これは具体的に市販のテレビ受像機を使いまして、一般の人による主観評価を行ってございます。
  それから2点目は、デジタルのほうでございまして、同様に地上デジタル受像機の耐イメージ特性調査ということで、同様な実験を行っております。
  それから3点目は、テレビ受信用アンテナの性能調査でございまして、市販のテレビ受信用の家庭用アンテナ、八木アンテナでございますけど、この800MHzメガヘルツ帯に対する感度特性のフィールドによる実測調査を実施しております。
  16ページ目に参りまして、テレビ放送へのイメージ混信の検討の干渉モデルの設定を行っております。一番干渉の影響を受けますのは、サービスエリアのフリンジ付近ですので、そのフリンジ付近でデジタル、あるいはアナログの受信電界強度を設定しまして、一般家庭用の受信アンテナ――地上高は2階屋根への取りつけを想定し、高さを10メートル、それで携帯のほうがここから10メートル、あるいは20メートルの距離を離しまして、アンテナ素子もいろいろ変えまして、このような状況でどのように影響が起きるかということでございます。
  その結果を17ページ以降に書いてございます。まず、17ページはアナログテレビの受像機の耐イメージ混信特性を書いてございます。ARIBによる試験評価結果としまして、市販アナログテレビ受像機の耐イメージ混信特性の調査として、市販されていますアナログ受像機15台をサンプルに、イメージ周波数関係にあるチャネルに与える影響を調査してございます。
  主観評価試験は、順位1、6、1015位のサンプルを選んで調査を行っております。その結果、5が妨害が検知できないといいますか、4ですと妨害がわかるが気にならないということで、妨害が検知できるレベルのD/Uとしては、−5dBデシベル。画質評価は妨害がわかるが気にならないということで、4が基準となりますけど、いろいろ受像機によって違いますけど、−15から−18dBデシベルというのが、W−CDMA及びCDMA2000 1xで、若干受像機によってばらつきがございますけど、この範囲におさまるということです。
  それから、18ページ目は、地上デジタル受像機の耐イメージ混信ということでございます。同様にARIBにより試験を行いまして、受像機13サンプルを用意しまして、受信状態の受像機にイメージ周波数の干渉波を与えまして、テレビ信号にノイズを加えてC/Nを調整し、ブロックノイズが発生するレベルから若干高い値、0.1dBデシベルでございますけど、プロットして評価する方法を採用してございます。誤り訂正をどのぐらい使うかによって若干違いますけど、FECが8分の7の場合ですと、所要C/Nが3dBデシベル劣化するD/Uが、この下の詳細の結果でございますけど−32dBデシベル、それから4分の3ですと−35dBデシベルと。受像機に直接飛び込む妨害は、通常の受信状態では全く検知しなかったという結果が出ております。
  それから、3点目の試験でございますけど、テレビ受信用アンテナの性能調査を含めたいろいろな検討結果でございます。
  テレビ受信用アンテナの性能調査としまして、使用周波数は770MHzメガヘルツまでの規格でございます。規格から外れる携帯用端末の送信周波数において、どのような利得指向性を示すか、干渉モデルに基づき屋外で調査を行っております。受信アンテナは一般によく使われますメーカー3社の14素子、20素子八木アンテナ6種類について、干渉モデルの場合のテレビ信号受像機端末電圧を以下としまして、携帯端末からの受信レベルからD/Uを求めてございます。その計算の式を書いてございますけど、実際に受けるテレビの電界強度から、アンテナ利得とかいろいろな要件を差し引きますと、−66dBデシベルmということになります。これが希望波のレベルで、一方携帯端末からEIRP+2dBデシベルm高い値を発射したときに、干渉モデルでアンテナから10メートルでの最悪値では、デジタルの場合はD/Uが−16dBデシベル、アナログの場合ですと−6dBデシベルということになります。これは計算の値ということです。
  先ほどの検討を含めまして、イメージ混信検討のまとめを示してございます。端末の平均出力レベルが、送信出力はオープンループ時とクローズドループ時――携帯電話の現在のシステムは、送信電力制御のやり方が通信の状況によって違いますので、それによって若干異なります。オープンループ時の平均出力レベルが−10.4、それから田舎の場合ですと少し大きくなります。クローズドループ時の平均出力レベルが−20.9と。
  端末の送信出力を以下の場合に仮定しましてイメージ混信を評価してございます。移動局の送信出力が+2dBデシベルmの場合に、アナログテレビに与える干渉波D/Uの最悪値は−6dBデシベル、デジタルのほうですと−16dBデシベルの干渉。ボディエフェクト等を考慮しまして、さらにこの値が小さくなりますので、画質劣化は検知できないレベル、あるいはほとんど影響ないレベルということがわかります。
  それからオープンループのレベルの場合ですけど、オープンループで通信する時間は約1秒でございますので、その間は若干画質が劣化することがありますけど、それもほんの瞬間ですので、実質はほとんど問題ないであろうということがここの結論でございます。
  以上でテレビ混信検討のまとめとしまして、干渉波モデルの以外の状況への対応ということもございます。まとめ(2)ですね。これは想定するモデル以外のいろいろな状況ということで、今回のモデルの検証ではワーストケースを想定した上で、大きな障害はなかったというのが一つの結論でございます。それから、モデルと異なる条件が重なるなど極めてまれなケースでは、より厳しい条件で移動局が使用される可能性もあると。それから3点目は、デジタル放送の普及に伴いまして、室内アンテナでの受信が増えることが予想され、アンテナ近傍で移動局を使用するケースも多くなると考えられます。このような場合に、干渉妨害が発生した場合、次の方法で干渉を回避する可能性が考えられます。1つは、移動局に干渉妨害が感じられた場合は、受像機から離れて携帯電話を使用する。2点目は、室内アンテナ使用で干渉妨害がある場合は、屋外型受信アンテナを使用する。3点目は、ブースター装置で混変調または感度抑圧がある場合は、適性レベルに調整を行う。こういう対策はまれなケースでございますけど、必要な場合があるということでございます。ただ、全体としまして、かなりのワーストケースでも大きな障害がないというのが結論でございます。
  以上、22ページに、今回のIMT−2000の高度化のための技術的条件としまして、次世代移動通信方式の技術的条件に関する電気通信技術審議会答申における技術的条件の一部につきまして、以下のとおり変更することが適当であるということでございます。
  まず、HSDPA技術の導入のための技術的条件につきましては、現行の右のアンダーラインをしているところ、BPSKまたはQPSK16QAM方式を追加すると。それが変調方式でございます。それから伝送速度に関しては、従来2Mbpsメガビーピーエス程度と書いてございますのに14Mbpsメガビーピーエスということを追加する。
  それから800MHzメガヘルツ帯にW−CDMA方式を導入するための技術的条件として、現行の2GHzギガヘルツというところに、800MHzメガヘルツ帯ということを追加する。それから送受信周波数間隔としましては、現在190MHzメガヘルツでございますけど、800においては45MHzメガヘルツ、2GHzギガヘルツについては従来どおり。それから周波数の許容偏差につきましては、基本的に偏差は変わりませんけど、基地局送信周波数より190MHzメガヘルツ低いという記述に、800MHzメガヘルツについては45MHzメガヘルツ、2GHzギガヘルツについては190MHzメガヘルツ低い周波数に対してという記述が追加されます。以上が、技術的条件に対する最終的な答申としての結論でございます。
  以上でございます。
齊藤分科会長  ありがとうございました。ただいまの、大変内容が多岐にわたる答申かと思いますが、どうぞご質問、ご意見のほうお願いいたします。
  W−CDMAは、今まで800MHzメガヘルツはまだなかったんですな。
 
服部専門委員  W−CDMAは、現在は2GHzギガヘルツ帯で運用していると。
 
齊藤分科会長  2GHzギガヘルツ帯だけと。それで、1.5GHzギガヘルツは今度はないんですな。今度は800MHzメガヘルツだけだな。
 
服部専門委員  そうです。800ということが対象でございます。
 
齊藤分科会長  HSDPAは、今度は2GHzギガヘルツ800MHzメガヘルツも両方入っているんですね。
 
服部専門委員  そうです。同じW−CDMAの帯域といいますか、運用上は全く同じですので。当面、まず導入されるのは2GHzギガヘルツ帯と聞いておりますけど、周波数帯に対して特に依存性はないということです。
 
齊藤分科会長  それはそうですな。1.5GHzギガヘルツをやるとすれば、もう一回こういう答申をお願いしなきゃいかんということになるわけですな。そういうことはない?
 
富永移動通信課長  IMT−2000の周波数につきましては、国際的にまず2GHzギガヘルツ帯が共通化されまして、その後800MHzメガヘルツ帯、1.7GHzギガヘルツ帯、2.5GHzギガヘルツ帯の周波数帯が共通化されましたので、現存の1.5GHzギガヘルツ帯というPDCが使っております周波数帯を使うということは、今のところは想定しておりません。
 
齊藤分科会長  そうですか。わかりました。上下反転は、とりあえずは今800MHzメガヘルツが一番問題になるから、そこのところが主な対象であると。
 
服部専門委員  とりあえずといいますか、2GHzギガヘルツは反転していませんので。
 
齊藤分科会長  2GHzギガヘルツはもともと新しい条件?
 
服部委員  新しい条件といいますか、そういう影響が……。
 
齊藤分科会長  下のほうが上りで、上のほうが下りと。それは昔から反転した状況で既に割り当てられていた。という範囲のご検討をいただいたと。
  じゃ、中川さん。
 
中川委員  中川です。IMT−2000帯は日本が先行していて、ぜひ頑張って検討していただきたいと思いますが、今のW−CDMAといった場合、デュプレックスとしてはFDDのみと考えて……。
 
服部専門委員  現在、TDDにつきましては、今技術調査を行っているという段階ですので、それはまたいずれご審議等いただくと思いますけど、現在この検討の範囲はFDDということでございます。
 
中川委員  そうしますと、800MHzメガヘルツもたしか前の審議会の中で、800MHzメガヘルツだったか900MHzメガヘルツだったか、TDDモードも入っているような話も……。
 
服部専門委員  そうですね。長期的なビジョンの中では、そういう周波数が確保されますので、それをどのように使うかは、そのときの状況によってまたいろいろ審議するということで、現在のIMT−2000の帯域としましては、先ほど課長からありましたように、そういう帯域で割り当てられている今の帯域は、日本の場合ですと、2GHzギガヘルツ帯で15MHzメガヘルツが割り当てられているということで。ですから、長期的に将来どうなるかは、またそのときによって変わるとは思いますけど。
 
中川委員  そうですか。2GHzギガヘルツに関しての、それからHSDPAFDDで、TDDもまた将来出てくるというような……。
 
服部委員  3GPPの規格の中では、HSDPATDDFDDと両方議論されていますので、3GPPの規格の中では両方あります。ただ、今回の検討は、FDDの中での検討と。
 
中川委員  わかりました。どうもありがとうございました。
 
齊藤分科会長  ほかには何かございますか。どうぞ。
 
高畑委員  高畑です。IMT−2000800MHzメガヘルツ帯でも使える、周波数干渉も問題ないという結果を出されたことはすばらしいと思います。適用技術に関して、お伺いします。HSDPAにおいては、適応変調とか適応スケジューリングという技術が検討されていますが、ここで想定されているベストエフォート型のサービス以外のいろいろなサービスが今後出現してくると思います。例えば、ストリーミング型のサービスに関しては、パケットの割り当てを、もう少し高度化しなくてはならないと思います。コンスタント・ビットレートのストリーミングサービスを提供するとしたならば、伝搬状況を考慮しながら、それらユーザーに対しては、パケット伝送を一定のレートになるように制御するような技術を考える必要があると思います。そのような点は現在、海外、国内も含めて、3GPPなどで検討されているのでしょうか。その辺をお伺いしたいのですが。
 
服部専門委員  現在のパケットの使い方は、基本的に伝搬状況のいいときにハイスピードで送るということですので、ストリーム型のサービスをやる場合には、かなりQoSのコントロールを相当高度にしていくということが必要となると思います。ただ、短い時間、限られた二、三分の中では、そういうデータの伝送というのは可能と思いますけど、これは運用形態なり、例えばセルのサイズによっても異なりますし、そのときのユーザー数によっても異なりますので、いずれにしろ、もう少し高度なリアルタイム速度を保証するQoS技術ということは必要で、それは今後の一つの検討課題ということになると思います。そういうことも含めて、第4世代ですか、次の世代はそういうことの技術検討というのは当然必要となるということで、現状では運用上、ある時間の中ではそういうサービスというのは可能と思いますけど、基本的にはベストエフォートのサービスということになると思います。
 
齊藤分科会長  ほかには何かありますか。
 
酒井委員  よろしいですか。技術的なことをお聞きしたいんですが、HSDPAというのは、非常にある意味ではおもしろい技術かと思うんですが、ほとんど特許の塊じゃないかと思いますが、このあたり、こういったところの標準化というのは、特許に関するポリシーとかいうのは特に出すんですか。それともそれはもうそれぞれということで、任せてしまうわけでしょうか。
 
服部専門委員  特許につきましては、IMT−2000を標準化するときに、1号、2号、3号という3種類の選択がありまして、3号の場合ですとこれは開示しないということですので、それは技術といいますか、方式としては適用しないと。そういう意味で、もちろんこれは必須技術ですけど、必須技術に関して適当な対価で開示するということになっていますので、そういう意味で2号選択の中でこの技術の開発といいますか、標準化が行われたということでございます。
 
齊藤分科会長  よろしゅうございますか。ほかには何か。
  11ページの干渉のモデルで、16MHzメガヘルツ離さなきゃいけないとか、9MHzメガヘルツ離さなきゃいけないというのが、今度みんな5MHzメガヘルツになっちゃったわけですね。これは、何でこんなにうまくいくようになったのかというのは。うまくいって大変結構なことだと思うんですが。
 
服部専門委員  そうですね。モデルのつくり方といいますか、机上検討のモデルと実際とのモデルの違いといいますか、実際のほうがややフィルタ特性といいますか、フィルタ特性を少しよくすれば、5MHzメガヘルツまで下がるというのが実際のところです。
 
齊藤分科会長  これは基地局のフィルタだけでいいんですか。
 
服部専門委員  そうですね。基地局のフィルタで。
 
齊藤分科会長  基地局だけでいい。端末機のフィルタはいいと?
 
服部専門委員  これは、一番厳しいのは基地局間同士ですので、基本的には基地局のフィルタと。これは5MHzメガヘルツでほんとうに保証されたかどうかというのは、まだそういう意味では若干の検討……。この13ページの運用上含めてという、最初の次の小さい字で書いてございますけど、実際の送信フィルターよりも急峻な特性を持つ可能性もあるということで、ややそういう意味では実際にはそのままですと、もう少し帯域が広いことが必要になる場合もあります。それは個々のケース・バイ・ケースを見て、なるべくであれば5MHzメガヘルツというのが一つの単位として入れかえを行うというのが望ましいということのウィルも入っているということでございます。それがだめな場合にも、十分周波数の再配置が可能であるということは、前回かなり詳細にわたって検討しておりますので、そういう意味では、もし多少広くなった場合でも運用上は問題ないということです。
 
齊藤分科会長  それから、9ページにあるW−CDMA方式の干渉の放送側だけど、これはフィールドピックアップの周波数か。そうじゃなくて、ほんとうの放送なの。
 
服部専門委員  これはほんとうの放送バンドだと思います。
 
齊藤分科会長  これは韓国なんかはもっと厳しいことをやっているわけですね。
 
服部専門委員  韓国ですか。
 
齊藤分科会長  この上の9ページの絵を見ると、韓国では放送のほうの周波数がずれているんですか。ここのところはどういうふうに……。つまり、世界中……、よくわかりません。日本では放送と干渉するというので、現行方式のほうが干渉が少ないというので、現行方式というか。下りのほうに移動局周波数をとるというのは、放送との干渉の点では有利なわけですよね。諸外国では構わずやっちゃったと。
 
服部専門委員  これはちょっと、どうですかね。
 
富永移動通信課長  先生のご質問に十分答えられるかどうかわかりませんけども、私どもが聞いておりますのは、800MHzメガヘルツ帯に初めて移動通信を入れたときといいますのは、自動車電話を日本が世界にほぼ先駆けて入れた時代でございます。その当時ございましたテレビに対してさまざまな検討をした結果、必ずしも全部ということではなかったらしいんですけども、ある一部の機器に、テレビ受像機につきまして混信の心配があったということでございます。それで英断をということで、その当時、普通は移動局のほうがパワーの観点から下にするものを上にして、基地局を下にして入れたということです。それ以降、各国でイメージ混信が実際に起きているという話はあまり大きくはございません。したがって、時代の変化もございますし、テレビのほうもかなり技術が高度化されておるというのもあるんでしょうけども、今の段階では、昔心配したようなイメージ混信というのはかなり出にくくなっているんではなかろうかと思っております。ただ、さらに申しますと今回せっかく再編できるという状況でございますので、今回このタイミングで世界とぜひ合うような状況にしていただきたいというのが、この結果でございます。
 
齊藤分科会長  世界と合うのは大変いいと思うんだけど、原理的には日本方式のほうがテレビとの干渉は少ないはずですよね。だから諸外国よりは日本のほうが、理論的にはほんとうはいいはず、だけどよくても合わないんじゃしようがない、悪いほうに合わせるというのは、僕はその結果はいいと思うんですが、諸外国では困っているんじゃないかな、いや、昔は困ったんじゃないかな。そんなこともないと。自動車電話の場合は、上りのパワーが携帯より大きいから、昔のほうが困る可能性が高くて、今は電力が小さくなっちゃったからという……。どうぞ、竹田さん。
 
竹田電波部長  私が入省してまだ何年目かのときに、当時の電電公社の通研の皆さんと伊勢まで出かけていって、この調査をしました。実際に理論上は先生のおっしゃるとおり、現在の800の上り下りのほうが正しいということでございましたが……。
 
齊藤分科会長  相手がテレビならね。
 
竹田電波部長  ただ、当時の結果でもどちらがセーフティーかという判断によって選択したわけでございまして、簡単に言いますとどちらでもそう差異はなかったのが当時の検討結果でございます。それとあと、当時ほんとうに自動車電話でございまして、実験機器だけでもライトバンの後ろに積んで、あとテレビを載っけて実験に行きましたし、それから方式もアナログの大ゾーン方式ということなので、現在の携帯電話とは違うというご理解をいただければと思います。
 
齊藤分科会長  大パワーで、端末が電波を出すんでしょうから、今よりははるかに厳しい状況でこういう決定だったと。
 
服部専門委員  実は私も、その伊勢のときに実験をやりまして、これはめぐり合わせといいますか……。確かにちらちらと入るといいますか、その程度はありましたけど、端末のほうを低い周波数にしたほうが、経済的、あるいはいろいろな点で、部品のコストも低くなりますし、世界はそういう常識ですので、携帯電話で送信電力が大幅に下がっていますので、そういう点では影響はほとんどないだろうと。
 
齊藤分科会長  確かに昔と今では条件が違うと。昔はそれなりにこちらのほうがいい合理性があったけど、今必ずしもそうである必要はなくなったと。だから世界に合わせるということですね。
 
服部専門委員  それと、例えば韓国とか台湾との干渉問題もこれで解消されますので、そういう意味では望ましいと。
 
齊藤分科会長  ありがとうございます。ほかには何かございませんでしょうか。
  特に、これ以上ご意見がございませんようでしたら、本件は資料1−3という答申書がございますが、そのとおり答申いたしたいと存じますが、よろしゅうございましょうか。 
(「異議なし」の声あり)
 
齊藤分科会長  それでは案のとおり答申することにいたしたいと思います。どうもありがとうございました。
  それでは、ただいまの答申に対しまして、総務省より今後の行政上の措置についてご説明を伺えるということでございますので、よろしくお願いいたします。
 
有富総合通信基盤局長  総合通信基盤局長の有富でございます。本日は、先ほどからIMT−2000の高度化のための技術的条件につきまして、2つばかりご審議をお願いしておりましたが、一つはHSDPA技術の導入のための技術的な条件、もう一つが800MHzメガヘルツ帯にW−CDMA方式を導入するための技術的条件と。この2つの事項につきまして、ご審議をお願いしていたわけでございます。
  ごらんのとおり、IMT−2000につきましては、平成1310月にW−CDMAが、それから平成14年4月にW−CDMA2000が導入されまして、平成16年4月末現在で1,770万加入を超えるというような普及の度合いを示しております。現時点では、固定網でもそうでありますが、ブロードバンド・インターネットというのが非常に進展、普及しておりまして、モバイルにもこの高速化というニーズが非常に高まっているということもありまして、CDMA2000では、既に1xのほうでは最大で2.4Mbpsメガビーピーエスというスピードが実現できておりますが、W−CDMAでも最大で14Mbpsメガビーピーエスができるのであれば、そのための技術的な条件は何であるかということをお願いしたわけでございます。
  きょうは、そういったお願いした結果につきまして新たに、例えば変調方式で、16QAM方式を加えるとか、あるいは800MHzメガヘルツで送受信の周波数間隔を定めるというようなご答申をいただきましたので、私どもといたしましてはこの答申を受けまして制度面の整備を速やかに行いたいと思っております。先ほど申しましたように、第3世代の通信システムに対するニーズに早急にこたえるという観点での環境整備を進めてまいりたいと思っております。
  また先般、電波法等の一部改正案が成立いたしまして、周波数の再編もやりやすくなっているということもございます。これからモバイル系の新たな有効利用というものがさらに強まると思いますが、私どもはそういったニーズにも的確にこたえていきたいと思っているところでございます。
  本日は、大変熱心にご審議をいただきまして、また答申を取りまとめていただきました。委員の皆様方、並びに専門委員の皆様方のご尽力に対しまして、改めて厚く御礼を申し上げます。先生、どうもありがとうございました。
 
齊藤分科会長  それではよろしくお願いいたします。
  
 

(2) 「航空無線通信の技術的諸問題について」のうち「HFデータリンクの技術的条件」について(昭和60年4月23日電気通信技術審議会諮問第10号・審議再開)

齊藤分科会長  次の議題でございます。「航空無線通信の技術的諸問題について」のうち「HFデータリンクの技術的条件」につきまして、航空無線通信委員会の審議が再開した旨、ご報告いただきたいと存じます。きょうは、航空無線通信委員会の水町委員が欠席ということでございますので、かわりに委員会事務局から報告をお願いいたします。事務局、よろしくお願いいたします。
 
山内衛星移動通信課長  ただいま齊藤分科会長のほうからお話がございましたように、航空無線通信委員会の水町委員がきょうご欠席でございますので、私、衛星移動通信課長が事務局を務めてございます立場から、簡単に航空無線通信委員会におけます審議の再開についてご報告を申し上げたいと思います。
  皆様方の手元に、資料2というのが一番下に配付されているかと思いますが、その資料2の一番最後の3ページ目にポンチ絵がついてございます。そのポンチ絵をごらんいただきながら、ご説明をお聞きいただければと思います。
  今回審議を再開いたしました航空無線におきますHFデータリンクにつきましてでございます。このHF(短波)帯を利用した通信につきましては、現在は主として洋上、あるいは極地圏におきまして、航空交通管制、あるいは運航管理といった業務用の通信に幅広く利用されてございます。ただ、現在短波帯を利用したこの通信というものは、音声のみの通信になってございまして、したがって今後のニーズの増大等を考え合わせた場合に、何とかこのHF(短波)帯を利用したデータ通信というものを可能にできないかという問題意識がございます。現にアメリカ等を中心にいたしまして、この点につきます研究開発が進められておりまして、一部の国では既に導入済みというところもあると伺ってございます。
  このHFデータリンクというものの特徴につきまして、左下の四角のところに簡単に書いてございます。一つは安定した通信が可能ということでございますが、これは伝搬特性が最もよい周波数に、電離層を反射して通信を行う場合に、自動的に一番通信状態がいいものに切りかえるということを通じまして、良質な、あるいは安定した通信が可能になるというものでございます。
  それからもう一つは、こうした通信で衛星を利用した通信というのもあるわけですけれども、衛星の場合にはどうしても極地圏における通信というのが不可能であるということがございますが、このHFデータリンクを用いますと極地圏においても通信が可能になる。こういう大きな2つのメッリトがあって、現在世界各国でもこの導入、あるいは研究開発というものが進められているという状況にございます。
  今般、航空機の位置情報でありますとか、あるいは気象の情報の伝達、さらには運航管理に係る業務関係のデータ通信にこうしたものを利用したいというニーズがございまして、HFデータリンクの無線設備の技術的条件について、審議、検討をするということにいたしたものでございます。
  今後のスケジュール等でございますが、一番最初のページに戻っていただきまして、真ん中以下の2以降の部分でございますが、これは諮問側ということになりますけれども、答申を希望する事項といたしましては、今簡単にご説明申し上げました、HFデータリンクの無線設備についての技術的条件につきまして審議をいただき、ご答申をいただくということでございます。審議体制でございますが、既に5月19日に開催いたしておりますが、航空無線通信委員会において審議を行うということを考えてございます。さらに、これも諮問側からの希望ということでございますが、一部答申を希望いたしておりまして、平成16年9月ごろまでに答申をいただければと考えているということでございます。さらに、その後の段取りでございますが、関係省令の改正作業に着手をいたしまして、これは事務局というより、私ども総務省としての立場から申し上げますと、平成17年1月ぐらいまでには改正省令を公布施行して、今年度中には、日本におきましてもこのHFデータリンクの導入を図りたいと考えているところでございます。
  以上で、ご報告を終わらせていただきます。
 
齊藤分科会長  ありがとうございました。これにつきまして、何かご質問、ご意見等ございますか。
  これは業務用無線なんですね。お客さんが使うわけではない。
 
山内衛星移動通信課長  さようでございます。
 
齊藤分科会長  4kbpsキロビーピーエスぐらいですか。スピードはどれぐらい出るんでしたか。
 
山内衛星移動通信課長  300から1800bps
 
齊藤分科会長  たったそれっぽっち。
 
山内衛星移動通信課長  スピードは非常に遅いと。
 
齊藤分科会長  300から1.8kbpsキロビーピーエス? 昔はそれでやっていたんですから。どうぞ、中川さん。
 
中川委員  これはデジタル変調にされると思うんですが、どんなものを考えていらっしゃいますか。デジタルの変調はどんなものか。
 
山内衛星移動通信課長  少々お待ちいただけますでしょうか。位相変調というやり方のようでございます。
 
事務局  M-aryのPSKです。
 
中川委員  PSK、はい。
 
齊藤分科会長  PSKというのは、HFというのは電離層反射に危なそうな感じもしないではない。
 
中川委員  マルチパスが多いので、すごくディレーですよね。ディレースプレッドがものすごいところでやるので、技術的に非常に興味があって、私のドイツ留学時代の友達がたしかOFDMを使ったと言っていましたので、多分ドイツの軍隊のためにやったんじゃないかと思っていますけど。
 
齊藤分科会長  300bpsOFDMだったら、なかなか壮観な……。OFDMPSKなのかもしれないよ。
 
中川委員  そうですね。
 
齊藤分科会長  それはまた、いつか機会を見て教えてください。
 
山内衛星移動通信課長  失礼いたしました。
 
齊藤分科会長  では、また水町先生のご審議の報告、あるいはその中間にでも教えていただくと。ほかには何かございますか。
 
高畑委員  周波数帯としてHFを検討されるということですけれども、VHFに関する検討は必要ないのでしょうか。もう一つは、国内で検討して技術基準を決めれば良いものか、国際的に使われている周波数ですので、ITUの中で標準化する必要はないのか、その2点を教えていただけますか。
 
山内衛星移動通信課長  まず、VHFのほうでございますが、これにつきましては基本的に日本国内の上空において長短波のものを利用した通信がございまして、これについては音声の通信も、それからデータ通信、データリンクについても既に導入が図られているということでございます。これがまず第1点でございます。
  それから、国際的なものでございますが、今先生がご指摘いただきましたように、ITUのほうでも大まかな基準というのは既に作成されてございます。それから、先ほども申し上げましたように、各国でも既に一部導入をされているところもございますので、そういったものを勘案しながら、日本国においても技術的な条件をご検討いただくということが適当なんじゃないかと考えてございます。
 
齊藤分科会長  日本の飛行機で、極地を飛んでいくというのは結構今まで……。極地って、どこら辺から先をいうんですか。67度以北とかそういう感じ?
 
山内衛星移動通信課長  常識的には、大体北緯66度ぐらいから北かなという気がいたしますけれども、日本の航空機は、今回直接に考えられておりますのは貨物便でございまして、北のほうの上空を通過するものが予定されているということのようでございます。
 
齊藤分科会長  ヨーロッパへ行く飛行機でもヘルシンキあたりを通るから、あの辺は一番北ですよね。あそこはまだ北極圏じゃないですよね。ヘルシンキから1,000キロぐらい行かないと、北極圏にならないですね。あそこはきっと衛星で行くんでしょうね。だから、もっと北へ行っちゃうと、北極圏へ入ると衛星では行かないんですか。
 
山内衛星移動通信課長  現在、先ほど申し上げました貨物便で検討されているというものについては、アンカレジ経由のものだそうでございます。ヨーロッパではなくて、あちら側ということ。
 
齊藤分科会長  アメリカ行き。
 
山内衛星移動通信課長  はい。
 
齊藤分科会長  すいません。また後で。
 
土井委員  スケジュールとしまして、今年度中の導入ということでかなり急がれているようなんですけど、もし差し支えなければそういうような背景とかを教えていただければと思うんですけれど。
 
山内衛星移動通信課長  背景でございますか。先ほども申し上げましたように、このデータ通信のニーズというのが以前からかなり高まってきているわけですけれども、外国においても既に一部導入されているところもあり、今般、たまたま今申し上げましたように、ある航空会社でございますが、貨物便についてそういうものを使いたいという声があったというのが、正直なところでございます。もう少し詳しく申し上げますと、音声の場合、非常に通信に、なかなか問題を生ずるケースもある。電離層の反射の状況によってはうまくいかないということもあって、データ通信によってそういった業務用の通信を行うほうがさらに航空会社側としてもやりやすいというようなこともあったようでございます。
 
土井委員  どうもありがとうございます。
 
齊藤分科会長  ありがとうございます。これも航空機の安全運行にかかわることで、世界でできることがちゃんと日本の航空機ででもできるようにしておくというのは、当全のことだと思いますので、そのための手続きということで、ぜひこれを進めていただきたいと思いますが、よろしゅうございましょうか。
  もしよろしければ、今のご報告を了承して、この計画でございますが、秋の初めに一部答申をいただくということで進めていただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。それでは、どうもありがとうございました。報告を了承したということにいたします。
  
 
 
閉会

齊藤分科会長  以上で、本日の議題が終了でございますが、委員の皆様から何かございますか。事務局からは何か。
  それでは、本日の会議はこれで終了いたします。次回の当分科会は、6月30日水曜日午後2時から、この第1特別会議室で開催する予定だということでございますので、皆様よろしくお願いいたします。
  それでは、これで閉会いたします。どうもありがとうございました。
―― 了 ――


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  担当: 総務省情報通信政策局総務課情報通信審議会係 飯島
  電話 03−5253−5694
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