会議資料・開催案内等

情報通信審議会 情報通信技術分科会(第28回)議事録


 

 
 
第1   開催日時及び場所
  平成16年10月26日(火) 14時01分〜15時07分
  於、総務省8階第1特別会議室

第2   出席した委員等(敬称略)
(1)   委員
   齊藤 忠夫(分科会長)、生駒 俊明、大山 永昭、清水 英一、
畑 文雄、土井 美和子、名取 晃子、根元 義章、宮崎 久美子、
村上 輝康
   (以上10名)

(2)   専門委員
  水町 守志

第3   出席した関係職員
(1)   情報通信政策局 
  堀江 正弘(情報通信政策局長)、武井 俊幸(技術政策課長)、
  田中 謙治(通信規格課長)
(2)   総合通信基盤局 
  有冨 寛一郎(総合通信基盤局長)、竹田 義行(電波部長)
  稲田 修一(電波政策課長)、山内 健生(衛星移動通信課長)、
  田中 宏(衛星移動通信課企画官)、児玉 俊介(移動通信課長)
(3)   事務局 福岡 徹(情報通信政策局総務課長)

第4   議題

(1) 「航空無線通信の技術的諸問題について」のうち「HFデータリンクの技術的条件」について
【昭和60年04月23日電気通信技術審議会諮問第10号】

(2) 「小電力の無線システムの高度化に必要な技術的条件」のうち「体内植込型医療用データ伝送システムの技術的条件」について
【平成14年9月30日 諮問第2009号・審議開始】

(3) 平成17年度総務省科学技術関係経費概算要求の概要について
【報告】



  開会

齊藤分科会長  それでは、時間が参りましたようでございますので、情報通信技術分科会の第28回会議を開催させていただきたいと思います。
  本日は、私、齊藤が議事を進めさせていただきたいと存じます。本日は定員16名中10名が出席ということになっておられますが、お一方、追っていらっしゃると思いますが、現在でも定足数は満たしております。
  また、審議事項の説明をいただくために、芝浦工業大学教授でいらっしゃいます水町専門委員にご出席いただいております。よろしくお願いいたします。
  本日は公開で会議を行います。傍聴の方は留意事項をお守りいただきまして、静粛に傍聴くださいますようにお願いいたします。
  また、本会議の模様はインターネットにより中継しているということでございますのでご了承いただきたいと存じます。
  それでは、お手元の議事次第に従いまして進めさせていただきます。本日の議題は議事次第にございますように、答申案件1件、報告2件でございます。

 

議題

(1) 「航空無線通信の技術的諸問題について」のうち「HFデータリンクの技術的条件」について(昭和60年04月23日電気通信技術審議会諮問第10号)

齊藤分科会長  最初の議事でございますが、諮問第10号「航空無線通信の技術的諸問題」のうち「HFデータリンクの技術的条件」につきまして、調査検討していただいたということでございます。ご担当いただきました航空無線通信委員会の主査でいらっしゃいます水町専門委員から検討内容の報告をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
水町専門委員  ご紹介いただきました水町でございます。それでは、航空無線通信委員会のご報告をさせていただきます。関連の資料は資料番号1−1の報告概要、資料番号1−2の報告書でございます。時間の関係もございますので、資料1−1の報告概要に基づきましてご報告させていただきます。
  資料の1ページ目をごらんください。まず、審議事項、審議経過ですが、当委員会は諮問第10号「航空無線通信の技術的諸問題」について審議を行っておりまして、今回は「HFデータリンクの無線設備の技術的条件」について審議を行ったものでございます。委員会での審議は委員会を2回開催し、審議を行うとともに、委員会のもとに設置した作業班を3回開催し、詳細な審議を行いました。なお、当委員会は諮問第10号「航空無線通信の技術的諸問題」について継続的な審議を行っておりますので、本件「HFデータリンクの無線設備の技術的条件」の検討に関する委員会は第6回会合からとなっております。
  審議の概要でございますが、資料をめくっていただきまして2ページをごらんください。審議の背景としまして、航空無線におけるHF帯通信は航法援助施設のサービスエリア外となる洋上などの飛行において、航空交通管制、運航管理通信を行うために重要な通信手段となっております。現在の航空無線におけるHF帯通信は音声による無線電話通信が主体であり、HF帯通信は電離層の反射を利用して見通し外通信を行うことが可能でありますが、電離層の変動によるフェージングのために通信が安定しないという課題があります。
  また、近年の航空輸送量の増加によりデータ通信の需要が高まっておりまして、米国を中心にHF帯で安定したデータ通信を行う技術として、HFデータリンクが研究開発され、ICAOの標準及び勧告であるSARPsが規定されております。
  HFデータリンクの主な特徴としては2点ございます。1点目としては、電波伝搬特性が最もよい周波数に自動切りかえすることで、安定した通信が実現可能であります。2点目として、静止衛星のカバーエリア外(極地圏)においても通信が可能であります。これらの特徴を生かして航空会社において音声による通信業務の作業負担の軽減を図るため、航空機のコックピットなど、乗務員との通信、いわゆる運航管理通信へのHFデータリンクの導入を希望しているところであります。当委員会においては、HFデータリンクの導入を図るため、無線設備の技術的条件について検討を行いました。
  続きまして3ページ目、HFデータリンクシステムについてでございますが、先ほどご説明しましたとおり、洋上などにおいては、航空機はHF帯通信や衛星通信を利用しております。HF帯通信は電離層を利用し通信を行いますが、音声通信は電離層の状況によって不安定となります。また、衛星通信は極地圏では通信不能となり利用できません。これらの問題を解決するために、HFデータリンクは安定した通信に必要な信号対雑音比が確保できる最適な周波数を自動的に選択し、全世界に13カ所ある地上無線局からデータ通信網を介して、地上航空会社へ残燃料などの機体情報など運航管理にかかわるデータや、管制機関への位置通報に関するデータの提供や、逆に地上へのリクエストにより最新目的地の気象情報や、フライトプランのデータの入手を可能としており、既に諸外国では利用航空会社40社、搭載航空機370機が導入されているところでございます。4ページ目にただいま述べたようなシステムの概要を示しております。
  それでは5ページ目の審議結果をごらんください。HFデータリンクの無線設備の技術的条件について報告させていただきます。今回の検討においては、これまで我が国におけるHF音声通信の無線設備とは異なる電力などの測定法を用いていることから、測定法についての検討や、データ通信の信号構成に関する部分を中心に、国内の技術基準を整備するための問題点及びその対策について検討を行いました。なお、今回の検討ではHFデータリンクの無線設備のうち、地上局については我が国に設置予定がないことから検討の対象から外しております。そのため、航空機局についての技術的条件について検討しましたので報告させていただきます。
  まず、一般的条件ですが、周波数帯については、既存のHF音声通信と同様に、2.8メガヘルツから22メガヘルツの航空移動(R)業務用周波数といたしました。以下、偏波は垂直偏波、通信速度とデータ変調方式は回線品質により4つの通信速度と変調方式の組み合わせを使用することとしております。例えば、信号対雑音比が低い場合は回線品質がよくないので、通信速度が300bpsや、600bpsで通信を行う。この場合には変調方式では2PSK方式を用います。そのほか、1,200bpsの場合、1,800bpsの場合をそれぞれ規定しております。
  信号構成については、6ページ目に示すとおりでございます。詳しい構成については報告書をご参照ください。
  続きまして、送信装置の条件についてですが、次の7ページに示しております。周波数の許容偏差以下、変調方式、空中線電力、通信速度とデータ変調方式、占有周波数帯幅の許容値、通過帯域内周波数特性、不要発射電力、空中線電力の許容偏差の項目ごとに表のとおりでございます。
  次に受信装置の技術的条件は次の8ページに項目ごとに示しております。測定法についても、従来の国内実績及びRTCAなどの規格類を考慮し決定しました。また、測定法は今後諸外国の動向により変更されることも想定されることから、諸外国の諸機関の動向を踏まえて対応をすることといたしました。
  そのほか、環境条件や環境試験方法についても一般的な技術基準に準拠することとしております。なお、検討の詳細については資料1−2航空無線通信委員会報告に記載しております。
  以上、簡単でございますが航空無線通信委員会報告とさせていただきます。
齊藤分科会長  ありがとうございました。ただいまの水町主査からの報告でございますが、何かご意見、ご質問は。
畑委員  資料1−1の7ページ目に関して、質問させていただきたいと思います。変調方式としてSSBを考えられているということですが、デジタル方式でSSBを採用し、実用化するということは、多分初めてではないかと思います。学会関係では各種方式が提案されておりますが、我々の検討では、例えば2相PSKを使う場合は帯域が半分になる、4相PSKのときは帯域が半分にならない、またフェージングに弱いという検討結果もあります。もし変調方式の具体的なアルゴリズムがございましたならば教えていただきたいと思います。
齊藤分科会長  いかがでございましょうか。なかなか難しい質問ですが。
水町専門委員  そうですね、資料1−2をよくごらんいただくのが早いんじゃないかなと思いますが、ちょっとお答えになりませんが、事務局、うまい説明ができますか。お願いします。
畑委員  質問を変えまして、日本のメーカーさんはこれをつくられるのでしょうか。外国のメーカーさんは実際に装置化されているのでしょうか。
田中衛星移動通信課企画官  日本のメーカーはつくっておりません。ロックウエルがつくっているという状況です。
齊藤分科会長  確かに私が昔勉強したことがあるのだと、FMやPHSだとSSBにすると修復変調がかかっちゃうんです。修復ががたがたするんですよね。だから、AMとは違う現象が生ずるということを大昔勉強したことがあります。
畑委員  後ほどで結構ですが、何か情報があれば教えていただきたいと思います。
齊藤分科会長  ロックウエルがやってうまくいっているんだからきっとうまくいっているんだろうと思いますが、何かそこのところ、確かに教科書に書いてあることと少し違うような気もしますので、関係情報を教えていただくようなことでよろしいですね。
  ほかには何か。はい、どうぞ。
名取委員  ここでまとめられた技術的条件というのは、最初に言われたICAOSARPsとどこが違っているんですか。大体同じことになっているんでしょうか。
水町専門委員  同じと思っていただいて結構だと思います。
齊藤分科会長  これは外国でできているものを日本の航空機に搭載するときに、ここで技術的に決まっていないと日本として認証できないので、差し支えないということを認証するためには国として技術基準を決めて、それに基づいて適合性があるということを別の機関が証明する手続きの一種ですので違ってはいけないんです。この場合は外国のものがそのまま動かないといかん。外国のものであってもちゃんと日本の航空機の環境で動作させて支障が生じないということを確認していただくという手続きだと思います。これは船でも同じことが言えると思います。よろしゅうございましょうか。
  これは畑さんのほうのほど難しい質問じゃないんですが、最適な周波数を選ぶというのは、場所がわかっているので一番近いところを選ぶということなんですか。そうじゃなくて、ほんとうに特性を見て選ぶんですか。
田中衛星移動通信課企画官  割り当てられている周波数が幾つかありますので、それぞれの局で幾つか順番に出して、ルーチンになっています。飛行機のほうがそれを受信しながら、ビットエラーレートが低いものをとって、その周波数で自分で出して、そこから双方の信号のやりとりが開始されるという形になっています。
齊藤分科会長  全部で何波あるんでしたっけ。どこかに書いてありますか。二十何波。
田中衛星移動通信課企画官  128です。ただ、それぞれの航空局、地上の局に割り当てられている周波数は128あるわけじゃなくて、それぞれの地域で十何波という形で割り当てられて、その中でそれぞれルーチンをしているという形になっています。
齊藤分科会長  16局あるから重ならないようにしても8波は使える。遠ければ重なってもいいからもっと使えるということですね。
土井委員  いいですか。
齊藤分科会長  どうぞ。
土井委員  今のお話に関連して、今現在は13カ所ということなので、そうすると残り3カ所のために128波のうち何波かまだあけてあるということなんでしょうか。
齊藤分科会長  重なってもいいみたいです、伝わっていかなければ。
田中衛星移動通信課企画官  今のご質問は、13……。
土井委員  今現在が13カ所で、あと3カ所。
齊藤分科会長  4ページに、13カ所でそのうち16局になると書いてある。
土井委員  と書いてあるので、後がいつになるかわからないんですけれども。
田中衛星移動通信課企画官  ああ、地上局。あれはどう……。
齊藤分科会長  素直にそういう疑問が出てきた。
水町専門委員  3つぐらい増やす予定なので。
田中衛星移動通信課企画官  すみません、今詳細のほうをここに持っていないのでお答えできないんですが、割り当てられている中でまた再編していくなり何なりするんだと思います。
土井委員  わかりました。
齊藤分科会長  今の話はもしわかりましたらメールか何かで。
根元委員  資料の6ページじゃないんですか。
齊藤分科会長  ありますか。
根元委員  再利用とか、時間を変えてやるとか、同じ地域でやるとか何かありますね、表2に。ケース・バイ・ケースなんですかね。
田中衛星移動通信課企画官  ちょっとお答えにならないかもしれませんが、資料1−2のほうの委員会報告書の6ページでございますけれども、表2に運用周波数バンドとチャンネルというのがあって、*1、*2と書いてありますけれども、周波数の再利用とか、周波数の共有ということをやって、それぞれ複数というか、重なりもあわせてチャンネルを割り当てているという状況なので、これと同じようにまたそこで再編をしていくと思われます。またそれは別途電子メールでお答えさせていただきます。すみません。
齊藤分科会長  よろしゅうございましょうか。
畑委員  しつこいようですが、先ほどのSSBに関して、資料では、上側波帯抑圧搬送波方式と書かれております。アナログ信号の伝送を目的としたものですが、フェージングに強い方式としてリアルゼロSSBという方式がかなり以前に提案されております。それは、日本人の提案ですが、それをディジタル化した可能性も考えられます。そのようなことがあれば、日本の技術の貢献度も高く、アルゴリズムだけの点かもしれませんが、日本提案の技術の実用化例として重要であると思います。その辺の事実を私も調べてみようと思います。
齊藤分科会長  最近またはやり始めたやつだ。AMラジオがきれいに聞こえるというやつですか。
  皆様からいろいろ活発なご意見をいただきましたが、ご答申の案でございますが、基本的にこれでやって大丈夫だということかと思いますので、一部答申するということでよろしゅうございますか。あるいは今のことがわからないと困るという方がおられたらまた違うんですが、今のは技術的な興味からいろいろいただいたご質問で、この技術にいろいろ難しいことがあるということではなさそうでございますので、もしご賛同いただけますならば別紙資料1−3の答申案のとおり答申したいと存じますが、いかがでございましょうか。よろしゅうございましょうか。

(「異議なし」の声あり)
齊藤分科会長  どうもありがとうございます。それでは、案のとおり答申するということで、諮問された議案のうち「HFデータリンクの技術的条件」については審議の結果、別添のとおり一部答申するということでございますので、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。
  それでは、ただいまの答申に対しまして、総務省から行政上の措置についてご説明を伺えるということでございますので、よろしくお願いいたします。
有冨総合通信基盤局長  総合通信基盤局長の有冨でございます。今「HFデータリンクの技術的条件」についてのご答申をいただきましてありがとうございました。ご審議の過程で畑委員、あるいは土井委員からご質問があって、ちょっと想定問とは違った質問だったと思いますので若干不手際があり申しわけありませんでした。多分、実務的には問題ないと思いますので、別途ご質問に対してはちゃんとした形でお返しをしたいと思います。
  先ほど、水町専門委員から今回の航空無線のHF帯の通信につきましての現状と、これに対する新しい取り組みについてのお話がありましたけれども、この答申を受けまして、そういった課題は克服されるものだと思っております。私どもといたしましては、この答申に基づきまして、円滑な導入を可能とする形での関係の規定の整備を速やかに行っていきたいと思っております。
  このとりまとめをいただきました委員の皆様や、専門委員の皆様方のご尽力に対しまして改めて御礼を申し上げたいと思います。どうもありがとうございました。
齊藤分科会長  ありがとうございました。

 
(2) 「小電力の無線システムの高度化に必要な技術的条件」のうち「体内植込型医療用データ伝送システムの技術的条件」について(平成14年09月30日諮問第2009号・審議開始)

齊藤分科会長  次の議題に移らせていただきたいと存じます。次は「小電力の無線システムの高度化に必要な技術的条件」のうち「体内植込型医療用データ伝送システムの技術的条件」についての議題でございます。これは報告ということでございますが、これも海外から来たものをどうやって日本で使えるようにするかという案件かと思います。総務省からご説明をお願いいたします。
児玉移動通信課長  移動通信課長の児玉でございます。資料2につきましてご説明いたします。今、会長からお話があったとおりなんですけれども、既設の委員会、具体的には小電力無線システム委員会という委員会がございまして、そちらのほうで新たに導入します体内植込型医療用データ伝送システム、いわゆる無線を使う心臓ペースメーカーですが、これにつきまして技術的条件の審議を開始したというところでございます。
  3ページ目をごらんいただきたいんですけれども、この小電力無線システム委員会につきましては、平成14年9月に諮問をしてご審議いただいております。いわゆる電力10ミリワット以下の小電力の無線システムについて、個々のシステムを導入するに当たりまして、技術的条件をそれぞれ審議してきていただいております。
  2番のこれまでの委員会の審議状況というところですけれども、まず(1)としましては、平成15年1月に既に一部答申いただいているものですけれども、2.4ギガヘルツ帯におきますいわゆるICタグでございまして、構内無線局の移動体識別システムの高度化ということであります。こちらについては一部答申をいただいております。
  それから、(2)のほうはことしの夏よりご審議いただいているものでございまして、UHF帯、具体的には950メガヘルツ近辺におけるUHF帯の電子タグシステムについての検討を行っていただいておるということでございまして、今回この小電力無線システム委員会の中で、さらに新しいシステムの導入に伴いまして、技術的条件のご審議をいただくというものでございます。
  2ページに戻っていただきまして、絵をごらんいただきたいと思います。現在の心臓ペースメーカーというのは、左の図にありますとおり体内の中に埋め込まれているわけですけれども、心臓のペースメーカーから患者の病状データというものを医師が取り出す必要があります。あるいは逆にこのペースメーカーのプログラムを変更する際には、外にある装置から心臓ペースメーカーに対してデータ伝送を行う必要がある。こういうデータ伝送というのは現在どうやっているかというと、図の左にありますとおりお医者さんのところから看護婦さんのところまで有線と書いてありますけれども、線で運んできまして、それでその看護婦さんが持っているパッドのところ、ここはいわゆるコイルと磁石からなるものなんですけれども、誘導電界をつくりまして、ペースメーカーとの間でデータ伝送のやりとりをしているということで、伝送速度は非常に遅い形になっています。これを無線利用にすることによりまして、データの伝送速度を速くすることができる。あるいは患者の体に接触する必要がないわけでありますので、感染症の危険性等も低下するというメリットもあることから、諸外国、特にアメリカやそれに続きまして欧州でも臨床試験が開始される準備段階にあるという状況でございます。
  こういうものが欧米だけではなくて当然日本でも導入の方向で動いているということと、それから外国のこの心臓ペースメーカーを利用される方が日本に入国された場合にも、何か異常があったときに病院等で手当てといったことも必要になることから、国際的にもこのシステムというものは、大体同じスペックで使われる必要があるということになります。
  具体的なスペックとしては、そのページの四角で囲んであるところにありますけれども、402から405メガヘルツの中で、300キロヘルツ以下の占有周波数帯幅を大体10チャンネル程度とっておるということで、空中線電力としては25マイクロワット以下ですので、これは微弱ではありませんけれども、特定小電力の範囲に入るということで、免許不要である特定小電力のほうに位置づけることができるということであります。
  一番下のところに参考ということで書いてありますけれども、この周波数帯というのは実際には気象業務、ラジオゾンデといいまして、空に気象の観測をするための装置を打ち上げまして、そこと地上との間で気象状況のやりとりをする、こういう一例ですけれども気象業務の周波数になっておりまして、ここと周波数共用するということで、ITUでは少し前になりますけれども、非常に粗い検討ですが一応共用できるだろうということで整理をされております。こういったものを我が国で導入するに当たりまして、具体的にもう少し詰めた技術的な条件の検討が必要だということで、今回審議をお願いするものでございます。
  1ページ目に戻っていただきまして、2の審議内容のところですけれども、「体内植込型医療用データ伝送システムの技術的条件」ということで、1つは無線設備の技術的な条件。これはいわゆるスペックになります。それからもう一つは、先ほど申しました気象援助業務のような既存業務との共用条件、それからまた測定方法といったものの検討が必要になります。
  審議体制としましては、小電力無線システム委員会において審議を行うということで、既に第1回を9月22日に開始させていただいておりまして、そういう意味では分科会に対しては事後報告ということになります。
  答申を希望する時期としては来年の1月ごろということで、答申が得られた後は関係省令、無線設備規則等の技術基準、それから周波数割当計画等の改正に資するということでお願いしております。
  私のほうからの説明は以上でございます。
齊藤分科会長  ありがとうございました。
  ただいまの説明でございますが、ご意見、ご質問ございますか。これも先ほどご説明があった旅行者等が来たときに対応できるようにするということで、急ぐ必要があるだろうということでございます。
根元委員  すみません、ちょっと教えてほしいんですが、今の説明はよくわかったんですが、医療機器として認定するときは、今周波数制限内ということですけれども、どこがやるんですか。厚生省なんかがやるんですか。
児玉移動通信課長  はい、これは厚生労働省が医療機器としての認定を行います。
根元委員  規定……、人には全然影響がないとか何とかの判定は厚生省が。
児玉移動通信課長  もちろんその中で無線の部分の技術的な条件といったものはこちらの技術基準で定めますので、当然、厚生労働省としては無線部分についての問題が総務省のほうできちっと基準ができているかどうかということも見た上で最終的な認定を行うということになります。
根元委員  そうですか、わかりました。
齊藤分科会長  両方の役所で並行して進めないと認定できなくなる。
児玉移動通信課長  そうですね。
齊藤分科会長  厚生省もそういうことで動いていると理解していいですか。
児玉移動通信課長  我々も詳細までは把握していないんですが、いわゆる外国で認定になったものを受けて、日本でもそのまま認定というケースもあるようです。それは無線のシステムでMRAというものがあって、同じような仕組みがあるわけなんですけれども、医療機器の認定に当たってもそういうものを個別に認定するか、外国のものの試験データをそのまま受け入れるかということについては、あちらのほうでまたいろいろご検討はされているようです。
齊藤分科会長  それにしても、それを受け入れていいというこちらのルールはつくっておかなきゃいかんと。
児玉移動通信課長  もちろんそうですね。
齊藤分科会長  そのまま受けるにしてもこのルールは必要だということですよね。
村上(輝)委員  e-Japan戦略II2のときだったと思いますが、心臓ペースメーカーの利用者が特に混雑した電車をお使いになるときに、近くにある電子機器の影響のいかんと、両者が共存できるような仕組みはどうなのかという議論をしました。テクノロジーの側面からのソリューションと、制度的に対応するというソリューションが両方議論された中で、今現在は、まずは首都圏の電車で、優先席とそうでないところで使う場所を分けるということで対応しはじめていると理解しております。この新しいシステムが入るということで、これまでの条件に差異が出るのかどうかというのがちょっと心配なのですが、このへんはいかがでしょうか。
稲田電波政策課長  担当課長がおりませんので私のほうから答えさせていただきます。心臓ペースメーカーに影響が出るといいますのはEMCの関係でございまして、いわゆる電磁波に対して干渉を受けてしまうようなつくり方をしておる心臓ペースメーカーが昔は結構あったわけでございますけれども、新しい心臓ペースメーカーについてはEMC耐性について配慮するような形でつくられておりますので、新しくできたものについては携帯電話の影響をより受けにくくなっておるという形になっておりますので、そういった意味では、これはたしか、何協議会でしたっけ。
竹田電波部長  生体電磁環境委員会の中……、前任者が……。
田中通信規格課長  以前、担当しておりましたのでご説明させていただきますが、協議会がございまして、そちらのほうでの調査、それから総務省みずからも調査しておりまして、現在、やはり携帯電話がペースメーカーに影響を与え得る無線機器として一番影響も大きいかなということでいろいろ調査しておりますけれども、最大でも22センチ離れれば全く問題ないでしょうという調査結果が出ておりますが、新しい第3世代の携帯電話だとか、新しいペースメーカーというのはより影響を与えにくい、またより影響を受けにくいということですので、安全性は高まっている。そんな中で今回のものはさらに弱い電波を使ってペースメーカーそのものを制御しようということでございますので、特段の影響というのは出てこないんじゃないかなと思います。
村上(輝)委員  わかりました。どうもありがとうございました。
児玉移動通信課長  それに加えて補足させていただきますと、外部の制御装置からインプラントとの間で通信をまず行おうということをやるときに、プログラマーのほうからIDで確認に行きます。そのIDがインプラントを体内に埋め込まれている心臓ペースメーカーの持っているものと一致するかしないかというのを見て、一致しなければそれ以上の通信を行うということはしないことになっていますので、そういう点でも外からの干渉については一応クリアするような、雑音等にも強くなったシステムという形になっています。
名取委員  この体内植込型の医療用データ伝送というのは、心臓のペースメーカーだけじゃなくて、最近は小さな内視鏡を飲み込んで、上から下まで内視鏡から得られたデータを外に送って受信するということも言われていますので、そういうことも念頭に置いて、体内の一カ所にとどまっているだけじゃなくて、そのもの自体が動いているという場合も想定して、こういう伝送システムの技術は、国内においてもどんどん開発する方向に行くほうが非常に望ましいんじゃないかと思われます。
齊藤分科会長  そういう話も聞きますね。
児玉移動通信課長  ペースメーカーというのは遅くなった脈拍を正常に近いリズムに戻すものなんですけれども、逆に速くなりすぎる脈拍を正常リズムに戻すような、これは植込型除細動器と言っておりますけれども、ペースメーカーとは一応識別されていまして、非常によく似たものではあるんですけれども、こういうものに対してもこのシステムを使おうということが1つあります。
  それから今おっしゃったように、ほかの分野にも当然応用することは考えていくべきだと思っておりますが、実は医療用のいろいろなデータについては420メガヘルツ帯にもいろいろなシステムが既に技術的には条件がありますので、そういったものも含めてどれかでできるような形で応用面を見ていきたいと思っております。ありがとうございます。
齊藤分科会長  ペースメーカーは表面に近いところに植えるでしょうが、飲み込んじゃうやつは相当遠くなるでしょうから、また違う条件になるんでしょうね。しかし、これも病院でやるんですか。飲み込んじゃうやつはほんとうに寝かしといてやりますわな。いろいろ使い方も違うんでしょうね。ちょっときょうの話題とは違いますが、そういうことも重要だというご指摘でよろしゅうございましょうか。これは今からご審議いただくことでございますので、もし何かこういう必要があるということならば、この小電力無線システムの高度化というのは継続的になさっていらっしゃる案件ですので、必要に応じて取り上げていただければと思います。よろしゅうございましょうか。
  特にございませんようでしたら、報告を了承したいと思いますが、よろしゅうございましょうか。
  それでは報告を了承させていただきます。ありがとうございました。

 
(3) 平成17年度総務省科学技術関係経費概算要求の概要について(報告)

齊藤分科会長  最後の議題でございます「17年度総務省科学技術関係経費概算要求の概要について」ということで、総務省からまたご説明をお願いします。
武井技術政策課長  技術政策課長でございます。報告案件でございますけれども、平成17年度の総務省のテレコム関係の中の科学技術関係の予算要求の概要についてご紹介させていただきたいと思います。資料3と、それから資料番号を振っておりませんが、平成17年度ICT政策大綱(ユビキタスネット社会の実現へ向けて)という概要版と本体と2つございます。時間の関係もございますので、資料3に基づきまして簡単にご紹介をさせていただきたいと思います。
  1枚めくっていただきまして、平成17年度のテレコム関係の科学技術関係経費の概算要求の概要について簡単にまとめておりますが、情報通信関係の研究開発関係の予算は合計で824.2億円ということで、対前年度比7.5%増の要求をさせていただいております。
  先ほどのICT政策大綱のタイトルに「ユビキタスネット社会の実現へ向けて」ということで、研究開発費以外の予算も含めて、2010年のユビキタスネット社会に向けた施策というものを積極的に展開していこうということが基調となっておりますが、研究開発の予算につきましても、そうしたことを受けまして、本省施策の部にございますように、ユビキタス電子タグ、ユビキタスセンサーネット、アジア・ユビキタスと、ユビキタス関係のものを中心に据えておるところでございます。本省施策につきましては、一般会計197.9億円ということで、対前年度比32%増という要求になっておりますが、そのうち新規で5億円、継続で10億円以上のものをここに掲げさせていただいております。
  ただいまご紹介しましたように、頭から4つほどユビキタス関係がございますが、最初の2件はユビキタスの基盤技術、それから電子タグのいろんな利活用技術ということで継続でございますが、さらにこれに加えまして3番目の「ユビキタスセンサーネットワーク技術に関する研究開発」ということで、4ページをおめくりいただきたいと思います。これまでのユビキタス関係の技術は電子タグにそれを付着させるものの属性を主に記録して、いろいろなものとの通信といった技術をやってまいりましたが、さらに電子タグ等の超小型チップとセンサーを一体化することによりまして、周囲の状況、例えばこの下にあるように田んぼに置いたセンサーで、土壌の温度ですとか、土壌の成分とか、水の状況というものを随時収集して農業生産に役立てる。あるいはできた生産物が輸送段階の保冷車でどのくらいの温度で運ばれたかといったものの周辺の状況、環境状況といったものを随時ユビキタスセンサーを使って、アドホックネットワーク技術を使いながら収集、利活用していくことにつきましての研究開発につきまして、17年度に新規ということで5億円の要求をさせていただいております。
  さらに5ページでございますが、「アジア・ユビキタスプラットフォーム技術に関する研究開発」ということで、電子タグにつきましても、いろいろ国際的にも展開がこれから進んでいこうとしておりますが、日中韓等アジア諸国とユビキタス技術を使ったプラットフォーム技術の構築について、共同研究していこうということが7月の日中韓の情報通信大臣会合でも合意がありましたものですから、それを受けまして必要な研究開発ということで17年度6億円の新規要求をさせていただいております。
  さらに新規ということで、次の6ページでございますけれども、「次世代バックボーンに関する研究開発」ということでございますが、ご案内のようにインターネットが速くて安いという面では世界一の環境ができてきたわけでございますが、一方で加入者系のほうからもトラヒックがどんどん増えているものですから、バックボーンがこれから急増するトラヒックに十分もつのかということを踏まえまして、今後トラヒックの一層の増大にも耐え得るようなバックボーンをつくっていこうということで、主にここではトラヒックの分散制御とか、あるいは事業者をまたがるような通信の品質保証、あるいは異常トラヒックを検出してそれを制御していくといったようなネットワーク側の制御管理技術といったものにつきまして、17年度から5カ年程度で研究開発をしていこう、あるいは実証実権をしていこうということを新規項目として上げておるところでございます。
  最初の1ページに戻っていただきまして、新規、この話題と重立ったところはこのようなものでございますが、ほかにもインターネットのIPv6への移行でございますとか、高度ネットワーク認証基盤、準天頂衛星を引き続き力を入れてやってまいりたいと思っております。
  最後の戦略的情報通信研究開発推進制度は、情報通信関係の競争的資金でございますが、ことしは政府全体でも競争的資金をしっかり伸ばしていくという方針もございますので、私どものこの競争的資金につきましても、34.2億円ということで1割増ぐらいの要求をさせていただいております。
  2)番の独立行政法人の情報通信研究機構(NICT)でございますが、関係の予算は産業投資特別会計も含めまして合計で513.4億円ということで、対前年度比1.9%増になっております。NICTにつきましては、本年4月から統合ということでありますので、17年度は統合の2年目、また平成13年度から始まりました中期目標期間5年間の最終年度ということも踏まえて、この5年間での成果、あるいは統合効果といったものを出した形で研究を進めていこうということで考えておりますが、重立ったものといたしましては、運営費交付金の387.6億円、この中で主な研究開発といたしましては最先端の研究開発テストベッドネットワーク、これはJGN(ギガビットネットワーク)でございますが、これの構築、拡充、運用に係る経費、それから第4世代などをはじめといたします無線ネットワーク技術に関する研究開発、それから、最近のインターネットのセキュリティ問題への対応といった意味での情報セキュリティ技術に関する研究開発、こうしたものに重点的に配分を行っておるところでございます。これはあくまで運営費交付金でございますので、計数は予定額ということで、実際には予算が成立した後で独立行政法人の中で配分していくという仕掛けになってまいります。
  このほかにも施設整備費の補助金でございますとか、あるいは特例法に基づきます業務関係の補助金といったこと、それからあと産業投資特別会計によります民間の基盤技術の研究促進ということで110億円、こうしたことで合計513億、情報通信関係の予算の全体の6割強を要求させていただいているところでございます。
  さらにその他ということで、電波利用料を財源といたします技術試験事務につきましても、112.9億円、これは予算技術的な問題でございますが、予算編成過程で検討となっておりますので昨年度と同額ということでおいておりますが、これにつきましても引き続き実施をしてまいりたいということで、所要の予定を要求している状況にございます。
  先般、総合科学技術会議によりますSABC評価がありまして、これからが予算要求の後半戦でございますが、年末に向けましてこの要求額をなるべくたくさん確保できるように頑張ってまいりたいと思います。
  簡単ですが、以上でございます。
齊藤分科会長  ありがとうございました。
  今のご説明でございますが、何かご質問、ご意見はございますでしょうか。
清水委員  この資料はどういう意味の資料ですか。
武井技術政策課長  これは……。
清水委員  概算要求の参考資料ということですか
武井技術政策課長  例年、予算要求の時期とあわせて、8月末に来年度の施策をどういう考えでやっていくかということをまとめさせていただいているものでございまして、世間に公表しているものでございます。
清水委員  そうですか。そこの13ページのICT政策大綱ですか、「ユビキタスネット社会の実現へ向けて」、ここに書いてありますとおり7月に中間答申をやりましたね、地上波デジタル。この予算は今のお話の中の数字とどういう関係になっていますか。
武井技術政策課長  資料3のほうは科学技術関係予算ということになってまいりますので、例えば地上デジタルのためのアナログ周波数変更でございますとか、それから地上デジタル放送の普及啓発のPR経費といったものは研究開発じゃなくて、一般、その他の施策ということになってまいりますので、きょうの資料3の中には含めておりません。
清水委員  入っていないということですね。
武井技術政策課長  はい。
生駒委員  よろしいですか。SABCはもうつけたんですか。ちょっとどれがどれということを教えていただけますか。
武井技術政策課長  1ページの資料で申し上げますと、ユビキタスネットワーク技術がA、電子タグがS、ユビキタスセンサーネットワークがA、アジア・ユビキタスプラットフォームがA、次世代バックボーンはS、インターネットv6がB、高度ネットワーク認証基盤がB、準天頂衛星システムがA、それから戦略的情報通信研究開発推進制度がAでございます。
生駒委員  もう一つよろしゅうございますか。電子タグは文科省からも似たのが出ていますよね。あれとこれとはどういうふうに。
武井技術政策課長  実はことし総合科学技術会議のほうで1つは各省間の重複をしっかり排除するということ、もう一つはそうはいっても各省にまたがる横断的な施策といったものがあるだろうと。これについては各省の連携を積極的に内閣府のリードのもとにやっていくということで、連携施策群という新しい仕掛けができました。
  実は、先ほどの資料3の最初の4つのユビキタス関係も全部連携施策群の中に入っておりますが、このほかに文部科学省さん、経済産業省さん、それからあと国土交通省さん、このあたりがユビキタスの連携施策群に参加しておるということでございます。その中で文科省さんはたしか競争的資金的な性格があったかと思いますが、ユビキタスのソフトウエアの基盤技術の開発ということで必要な予算を計上いただいていると伺っております。
生駒委員  ありがとうございます。
齊藤分科会長  よろしゅうございましょうか。各省ともユビキタスはやられるようで、文科省は競争的資金ですから、中身については当然のことながら具体的には書いていないということだと思うので、そういう意味ではどこが違うのかよくわからないということだと思います。競争的資金でも戦略的情報通信研究なんていうのは中身がかなり書いてありますよね。だからものによって違うと思います。
生駒委員  文科省も戦略目標を決めるんですよ。だから、JSPSに行くのはあまり書かないですけれども、JSTのほうは戦略目標を今策定中なものですからお聞きしたんです。
齊藤分科会長  でも概算要求には書いていない。
生駒委員  いや、これから書くんです、中身を内部で。
齊藤分科会長  書いていなかったけど成績はいいようですよ。
生駒委員  Sがついているから。
武井技術政策課長  よろしいですか。ことしの総合科学技術会議の17年度の資源配分方針におきましても、情報通信関係はユビキタスネットワークの構築関係をかなり重点的に進めようということになっておるものですから、おそらく文科省さんのほうでも情報通信関係の大学関係の経費という部分には重点的に使っていただけると伺っております。
生駒委員  今はユビキタスイコール電子タグと考えていいですか。
武井技術政策課長  必ずしも電子タグがユビキタスのすべてとは思わないんですが、比較的実用化が目の前にあって、かつ業界も含めて早く進めていこうと盛り上がっているのは確かに電子タグの取り組みが中心だと思いますが、2010年に向けて、もっと幅広くいつでも、どこでも、何とでもというあのキーワードに合ったようなものをやってまいりたいと思っております。
齊藤分科会長  電子タグはユビキタスの中の3分の1ぐらいですよ、今のユビキタスネットワーキングフォーラムなどでお話しになる方のテーマからすると。電子タグだけではない、家電を言われる方もおられるし、携帯を言われる方もおられるし、ロボットを言われる方もおられる。
生駒委員  たしかネットワークロボットというのも総務省ですよね。
武井技術政策課長  はい。
生駒委員  あれもこの中のどこかに入っているんですか。
武井技術政策課長  ネットワークロボットは額がここまで大きくなかったものですから資料は割愛させていただいておりますが、同じく総合科学技術会議の連携施策群にロボット関係というものが立っておりまして、これも経産省さんとか、国土交通省さんとか、農水省さんとか、かなりいろいろな省庁が入っておりますが、総務省の私どものテレコムの関係ではロボットを制御したり、あるいはロボットが周りを認識するための情報通信の技術ということでネットワークロボット。それからあと消防庁も消防防災用のロボットということでそこに参画しておりますが、予算的にはたしか3億円程度だったと思いますのでこの資料には記載させていただいていません。
齊藤分科会長  よろしゅうございましょうか。ほかには何かございませんか。はい、どうぞ。
土井委員  科学技術とは直接関係ないかとは思うんですが、台風と地震ということでいろいろな状況を見ていますと、電気は給電車が行って、給水に関しても給水車が行っているということで、電波に関しては電波車というのはないんだなと。ユビキタスというのは平常時を想定していろいろ施策がなされているかと思うんですけれども、従来に比べますと宅地とかでいろいろ造成したりして山に木がなくなったということで、今までに思わないようないろいろな事故も起こっていますし、そういう点で今回台風が10個上陸したということで、記録的だということで、そういう意味ではバックボーンという中で、ダイナミックというんですか、平常時ではないところの対策もぜひお考えいただけるとありがたいかなと思っております。
  特に物流として寸断されてしまうと状況がわからないということなので、そのあたり、ストリームで全部いろいろなカメラから状況がわかるとかいうことになりますとまた違うと思いますので、そういうこともぜひ今後考えていただければと思います。よろしくお願いいたします。
武井技術政策課長  ちょっとよろしいですか。研究開発の面では、先ほどの6ページの次世代バックボーンの中でも異常トラヒックの中には災害時の異常トラヒック、おそらくこれからIPが電話といったトラヒックを流してくると、今のインターネットのトラヒックとまた違ったような災害時の異常項といったことが起きますけれども、そうしたものの対策といったものもこの中であわせてやっていきたいと思っております。
齊藤分科会長  どうぞ、竹田さん。
竹田電波部長  今回の地震とか台風もそうなんですけれども、災害対策としては、基本的に衛星系がやはり一番強いので、公衆電話を電気通信事業者さんにかなり設置していただいていますけれども、ほとんど衛星系です。それから、携帯電話の基地局がかなりやられているんですけれども、伝送路の部分が多いので万全かどうかは別問題ですけれども、移動の基地局というのを電子通信事業者さんが持っておりまして、仮にどこかの基地局がやられたとしても、搬送の手段さえあれば基地局をそちらに持っていってバックアップができるという体制になっています。
  それから、私どもとして災害時及び災害復旧という面から、やはり移動通信のシステムというのは重要ですので、地方総合通信局自身が持っている設備は少ないんですけれども、関連のMCAのシステムをもう既に新潟県とかに供与させていただいてお使いいただいているという状況です。
齊藤分科会長  よろしゅうございましょうか。電波車をごらんにならなかったのは、多分テレビによく宣伝しなかったせいか、あるいはごらんになっていなかったのか、電波車はいっぱいあるんです。
土井委員  そうですか。新聞とかではあまり書かれていなかったんですよね。
齊藤分科会長  それは宣伝が足りないのかもしれない。
土井委員  ですから、そういう意味で言うと逆に宣伝していただければと思います。あと、今お話があったように、公衆電話から携帯電話にはかかったというお話もありますので、災害時にはどういう電話のかけ方をしたらいいかみたいなところもPRしていただけるとありがたいかなと思いました。
竹田電波部長  一応公衆電話は非常用の有線の電話、有線というのはワイヤーじゃなくて、プライオリティーの電話というのがありまして、特定の機関、それと公衆電話がそれに指定してありまして、そこからかけた電話につきましてはビットが立っておりまして、優先的に扱うシステムになっておりますので、災害時には公衆電話もご活用いただければと思います。
大山委員  せっかくなので、来年度の施策なんかも書かれているのを見ていて、e-Japan戦略II2の最初にも書かれていますけれども、総務省さんの書かれている内容だと医療関係が弱いんじゃないかという気がするんです。書いてあるのはほんの少しで、中身を見てもこれだけじゃという感じがしないでもない。特にこれから情報化の流れで考えると、医療といっても保健、医療、福祉、介護まで入ってくるので、その意味でユビキタスのいろんな話はいいんだけれども、国民、住民の生活に密着している中では非常に大きなアプリケーションというか、重要な分野だと思うんです。従来から総務省さんが幾つか実験的におやりのやつはあるんですけれども、幸か不幸か厚生労働省側との連携がうまくいっていない例もあって実用になっていっていない。これから実験開発、あるいは新しい技術の開発というのは言うまでもなく必要なんですけれども、現実に情報化を進める中で、先ほどから言っている分野――保健、医療、福祉、介護ですけれども、この分野に対して積極的な関与というか、政策的な策を打っていただく必要があるんではないかなと。来年度が難しければ再来年度でも結構なんですけれども、厚生労働省さんだけにお願いしていても、多分みずからやりづらいものもいろいろあるかと思いますし、最近は自民党さんも大分そちらのお話が出ているようでありまして、しょっちゅういろんな話が入ってくるものですから、ぜひお考えいただければというお願いです。
武井技術政策課長  どうしても私どもはテレコムの予算要求になってくるものですから、医療と明示的になかなか予算要求という形にはなりにくいものが多うございますが、ご指摘を踏まえていろいろまた検討してまいりたいと思っております。
  例えば電子タグの高度利活用の中でも、これを使った実証実権の中で、日赤と組んで血液とか、製剤とか、薬の瓶に電子タグのチップを張りつけてうまく利活用していこうということも実証実験のプロセスでは検討しておりまして、またいろいろご指導いただきながら厚生省さんの分野との連携といったものも検討してまいりたいと思っております。
齊藤分科会長  よろしゅうございましょうか。いろいろご注意をありがとう。ほかには何か。
宮崎委員  競争的研究資金の要求額が34億円となっている点なんですけれども、日本の場合、欧米、特に米国なんかと比べますと、競争的な研究資金が大分少ないんです。例えば米国の場合、全体の分野で競争的研究資金は大体3兆円でして、日本の場合は科研費が大体3,500億円で、けたが一けた違うわけです。ですから、やはりこれからは競争的研究資金というのももっと増やしていったほうがいいかと思うんです。
武井技術政策課長  ご指摘のとおり政府全体では第2期科学技術基本計画の期間中の平成12年度から倍増ということで、ことしはいろいろ関係省庁も頑張って、12年度の競争的資金の3,000億を6,000億まで要求ベースではやったという点はあるかと思っております。私どもの競争的資金も34億と全体から見ると比率は少のうございますけれども、12年度末に比べますと大体2倍に計画的に増加を図ってきておりまして、財布全体がまだ800億しかないものですから、文科省さんのようなでかい金はなかなかということですが、こうした分野も充実させてまいりたいと思っております。
齊藤分科会長  よろしゅうございましょうか。競争的資金を充実させるためにはプログラムの大きさを充実させなきゃいけないんだけれども、いろいろ形はできているけど皆さん悩んでいらっしゃるということもあるし、お金の面だけじゃなくて、いろいろな施策が総合的に必要だと思います。それが大きな方向だと思いますが、うまく円滑に進展するといいと思っております。よろしゅうございましょうか。
  ほかには何かございますか。もしよろしければ、ただいまの報告を了承したいということで、よろしくお願いいたします。

  閉会

齊藤分科会長  以上で本日の議題は終了でございますが、委員の皆様から何かございますでしょうか。事務局から何か伺うことはございますか。よろしゅうございますか。
  それでは、本日の会議は終了でございます。
  次回の当分科会は11月29日、午後2時から総務省の8階だそうでございます。この部屋だそうです。よろしくお願いいたします。
  以上でございます。ありがとうございました。

―― 了 ――
 
  本分科会にて配付された資料をご覧になりたい方は、総務省にて閲覧及び貸し出しを実施しておりますので、下記までご連絡をお願いいたします。

担当:総務省情報通信政策局総務課情報通信審議会係 飯島
電話 03−5253−5694
FAX 03−5253−5714
メール t-council@soumu.go.jp




 

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