会議資料・開催案内等

情報通信審議会 情報通信技術分科会(第29回)議事録


 

 
 
第1   開催日時及び場所
  平成16年11月29日(月) 14時00分〜15時46分
  於、総務省8階第1特別会議室

第2   出席した委員等(敬称略)
(1)   委員
   原島 博(分科会長代理)、大山 永昭、川田 隆資、後藤 滋樹、
酒井 善則、清水 英一、畑 文雄、土居 範久、土井 美和子、
中川 正雄、名取 晃子、根元 義章
   (以上12名)

(2)    専門委員
  安藤 真、大森 慎吾、鈴木 務、若尾 正義

第3   出席した関係職員
(1)   大臣官房
  鬼頭 達男(技術総括審議官)
(2)   情報通信政策局
  武井 俊幸(技術政策課長)
(3)   総合通信基盤局
  稲田 修一(電波政策課長)、児玉 俊介(移動通信課長)、
  渡邊 伸司(基幹通信課長)、山内 健生(衛星移動通信課長)、
  田中 宏(衛星移動通信課企画官)
(4) 事務局 福岡 徹(情報通信政策局総務課長)

第4   議題

(1) 船上地球局による高速・大容量海上衛星通信システムの技術的条件について
【平成16年6月30日諮問第2016号】

(2) 「5GHzギガヘルツ帯無線アクセスシステムの技術的条件」のうち「占有周波数帯幅20MHzメガヘルツ以下の小電力データ通信システムの技術的条件等」について
【平成15年10月29日諮問第2014号】

(3) 無線設備のスプリアス発射の強度の許容値についての技術的条件について
【平成14年.3月13日諮問第2007号】

(4) 電波資源拡大のための研究開発(電波利用料制度の見直し)について
【報告】

(5) 委員会の廃止について


  開会

原島分科会長代理  それでは、時間になりましたので、ただいまから情報通信技術分科会、今回は第29回になりますが、会議を開催させていただきます。
  本日は、分科会長であります齊藤委員が欠席でございますので、私、原島が本日の議事を進行させていただきます。
  本日は委員16名中12名が出席されておりますので、定足数を満たしております。また、審議事項の説明のため、安藤専門委員、若尾専門委員、大森専門委員、鈴木専門委員にご出席いただいております。
  それから、本日は公開して会議を行います。傍聴者の方は留意事項を順守いただき、静粛に傍聴くださいますようお願いいたします。
  また、本会議の模様は、いつものとおり、インターネットにより中継しておりますので、ご了承よろしくお願いいたします。
 
議題

   
(1) 船上地球局による高速・大容量海上衛星通信システムの技術的条件について【平成16年6月30日諮問第2016号】

原島分科会長代理  それでは、お手元の議事次第に従いまして議事を進めてまいります。本日の議題は、答申案件3件、報告1件、委員会の廃止についての計5件でございます。
  初めに諮問第2016号、「船上地球局による高速・大容量海上衛星通信システムの技術的条件について」、調査検討していただきました移動衛星通信システム委員会の主査であります大森専門委員から、検討内容の報告を行っていただきます。よろしくお願いいたします。
大森専門委員  はい。今ご指名いただきました大森でございます。
  早速ですが、お手元に資料が、資料1−1、資料1−2、資料1−3とございます。資料1−1は分科会、移動衛星通信システム委員会の報告の概要でございます。後ほど、これに沿って報告したいと思います。資料1−2は、本体といいますか、報告書でございます。報告書を1ページをめくっていただきますと、目次がございまして、この目次で、ざっと構成をご紹介したいと思います。
  まず目次の中で審議事項、審議経過等が書いてございます。本文の第1章、「システムの概要」ということで、システムの構成を記載してございます。第2章で「システム及び無線設備の技術的条件」ということで、「一般的な条件」「船上地球局の無線設備の条件」等が記載されております。3章で、その技術的要件の「測定法」が3.1、3.2、3.3と記載されております。4に「周波数共用に関する条件」、5章で「その他配慮すべき事項」ということで、この報告書が構成されております。「委員会の構成」ですが、13ページを見ていただきますと、本分科会のメンバーのリストがございます。さらに2ページをめくっていただきまして、15ページには、分科会での検討を進めるにあたり、詳細な検討を行うために作業班を設置いたしました。主任を秋山専門委員にお願いいたしまして、ごらんのようなメンバーの作業班で積極的な審議をいただきました。同じ部分の後ろのほうに別添というのがございます。16ページから。ここが答申の本文がございます。20ページから参考資料ということで、本分科会で検討したシステムの概要が記載されまして、25ページからの参考資料2というものに、後ほどご説明しますがWRC−03の結果が記載されております。このWRCの結果に基づいて、本分科会では検討を進めてまいりました。
  適宜、ご参照いただくとして、概要版でご説明したいと思います。また資料1−1に戻っていただきたいと思います。A4の横書きのOHPになったシートでございます。
  まず1ページ目ですが、審議事項・審議経過についてご紹介します。
  審議事項ですが、移動衛星通信システム委員会は、情報通信審議会諮問第2016号「船上地球局による高速・大容量海上衛星通信システムの技術的条件」について審議を行いました。
  審議経過ですが、2回の委員会を開催いたしまして、本答申案として取りまとめました。また委員会のもとに、審議の促進を図るため、作業班を設置いたしまして、4回の作業班の会合を開催いたしました。そのメンバーは先ほどご紹介した報告書に添付されているとおりでございます。
  委員会での審議経過ですが、まず第8回の移動衛星通信システム委員会が7月に開催されましたが、ここでは審議項目、審議スケジュール等について審議いたしまして、具体的事項を審議するために作業班を設置いたしました。11月の第9回の委員会では、作業班からの報告に基づきまして、答申案及び委員会報告を取りまとめまして、本日報告いたしまして、ご審議いただくということになりました。
  2ページですが、審議概要ですけれども、なぜこの審議に至ったかという背景を、文章が多くてちょっと見にくいんですが、ご紹介したいと思います。
  まず、最近、光ファイバーとか、ADSL、無線LAN等で非常に高速・大容量の通信が一般的になってきまして、これを航行中の船舶でも旅客へのサービスという観点からニーズが非常に高まってきている。世界的に高まってきているわけです。このようなニーズに対応するため、高速・大容量の海上衛星通信システムが実用化されつつあるというわけです。当該システムに対する周波数の割り当てでいいますと、2003年6月に開催されました世界無線通信会議(WRC−03)において、船上地球局(Earth Stations on board Vessels;ESV)に関する審議が行われまして、移動衛星業務等への保護を条件に、CバンドとKuバンド、またはKu帯の固定衛星業務(FSS)の人工衛星局にアクセスできる地球局として運用することが可能となったと。ちょっとわかりにくいんですが、要は移動体の衛星通信ですと船上地球局と定義されておりますが、固定衛星に使って、かつ固定衛星業務の範疇で、船舶に対するサービスを行うということで、新たに97年のWRCにおいて船上地球局(ESV)というものが定義されました。そういうことです。これによって、従来、Ku帯において日本近海で二次配分されている海上移動衛星業務だったものが、我が国を含め世界的に高速・大容量の海上衛星通信の実現に向けて大きく前進することになりました。
  WRC−03において、隣接衛星や地上業務に対する保護が必要だということで、軸外輻射電力、水平線方向の輻射電力追尾精度等、アンテナ径や沿岸国の低潮線からの距離制限等により、同業務に対する保護が、やはりWRC03において決定されております。
  以上のような背景から、本分科会では船上地球局による高速・大容量海上衛星通信システムの技術的要件について審議を行ってまいりました。
  3ページに、そのシステムの絵が書いてございますが、C帯、Ku帯、WRC03以前は、固定衛星通信が一次業務配分されていたわけですが、それを船に対しても、移動体に対してもサービスが行えるようになったと。その地上設備、船に搭載された設備を船上地球局と新たに定義されたということでございます。
  4ページ以降は審議の結果を書いてございますが、まず一般的な条件といたしましては、アからカの項目まで書いてあります。すべて読むと時間がございませんので、ポイントになるようなところだけをご紹介したいと思います。
  (1)必要な機器の中で、イの水平方向の軸外輻射電力が地域及び周波数により規定された地上系の他の無線局に対する容認し得ない干渉を与えないレベル以下に維持する機能ということで、既にサービスを行っている地上系のシステムに干渉を与えないということが明記されているということでございます。
  あとは、この中のアからカまでの項目のうち、エとオとカにつきましては、特定無線設備とする場合のみ備える機能ということで、例えば地球局より制御を受ける機能とか、こういうことが記載されております。
  適用の周波数帯はKuバンドとCバンドで、Cバンドのほうは5,9256,425MHzメガヘルツ、Kuバンドのほうは14.014.5GHzギガヘルツということでアップリンクと。船から衛星向きのところから規定されております。
  ちなみに参考のところに書いてございますが、衛星から船舶といいますか、衛星からについては、ダウンリンクにつきましては、従来、固定衛星業務で規定されているのと変わりませんので、アップリンクだけ変わるということでございます。参考のところに、人工衛星局は、固定衛星業務用として既に関係主管庁間により許可されたものを、その許可条件のもとで使用するため、隣接衛星網間の干渉条件、及び他業務との共用条件を順守する限り、本システムのための人工衛星局への特別な追加条件は必要ない、ということで、衛星のほうは既に一次業務配分で使っているということで、特に追加条件はないという記載になっております。
  5ページですが、船上地球局の無線設備の条件として、送信装置の条件でアイウエオと書いてございます。ここは周波数許容偏差、スプリアス領域発射の強度の許容値、空中線電力の許容偏差、交差偏波識別度、交差偏波輻射電力の許容値ということで、ここに書かれております値は、先ほど報告書本体の参考資料に添付してございますが、WRC−03における審議結果に準拠というか、沿った形で記載されております。
  6ページ、船上地球局の無線設備の条件ですが、受信装置の条件、監視・制御装置の条件ということで、(3)では、特定無線設備とする場合には、前記(1)(2)に加えて、以下の機能を有することということで、自動停波装置、インターロック機能――このインターロック機能というのは、そこに書いてありますとおり、正常に人工衛星局を補足した後、人工衛星局の中継により地球局が送信する制御信号を受信した場合に限り、船上地球局の送信ができる機能ということで、いわゆる他に対する干渉を軽減するというか、押さえるために、こういった機能が必要であるということになっております。
  7ページの3番、報告書では第3章に相当いたしますが、測定法について7ページ、8ページに記載されております。
  送信設備については、周波数偏差、スプリアス領域発射の強度、空中線電力の偏差、交差偏波識別度、軸外交差偏波輻射電力ということで、この測定法を記載されておるものですけれども、例えば交差偏波識別度等では、レドームを利用する場合はレドームを実装した状態で測定するということで、測定法について記載されております。
  8ページが、やはり測定法で、受信設備と制御・監視機能ですが、受信設備につきましては、副次的に発生する電波の限度ということで、副次的に発生する電波の電力をスペクトルアナライザを用いて測定しなさいだとか、制御・監視機能の自動停波機能につきましては、通常の使用状態の試験機器によって電波を送出し、発振回路を擬似的に故障状態として、電波の送出が停止することを確認する等、測定法について記載されております。
  9ページは、報告書本体の第4章に相当いたしますが、周波数の共用条件。これは専ら、主に隣接衛星に対する保護、地上業務等に対する保護等の観点から記載されております。まず(1)が軸外輻射電力。CバンドとKuバンドについて、ここに記載されておりますように軸外角度を4つの領域に分けまして、Cバンドの場合には4kHzキロヘルツ幅当たりの最大輻射電力ということで、ここに書かれておりますような式で規定されております。Kuバンドにつきましては、40kHzキロヘルツ幅当たりの最大輻射電力ということで、軸外角度を4つの領域に分けまして、おのおのの領域について記載されておりますような最大輻射電力で規定されております。
  10ページにまいりまして、周波数の共用条件、これも隣接衛星に対する保護、地上業務等に対する保護の観点から規定されておるものでございますが、まず水平線方向の輻射電力ということで、これにつきましてもCバンドとKuバンドにつきまして、おのおのごらんのような、例えばCバンドですと、単一の船上地球局から放射される水平線方向の1MHzメガヘルツ幅当たりの最大輻射電力ということで、17.0dB(W/MHzメガヘルツ)ということで、あとも同じような記載がされております。(3)の追尾精度ですが、これは搭載船上設備のアンテナの追尾精度ですが、±0.2度以下と。(4)のアンテナ径につきましては、Cバンドにつきましては2.4mメートル以上、Kuバンドにつきましては1.2mメートル以上ということで、ただKuバンドにつきましては、水平線方向の輻射電力、軸外輻射電力、追尾精度を満足し、固定衛星業務システム間調整を順守することを条件に0.6mメートルまで可能と。つまり大きなアンテナを使うことは、ビーム幅が広がりますから、干渉を与える可能性が高くなるわけですが、このような条件を満たせば小さなアンテナでもいいですということも記載されております。
  11ページですが、その他配慮すべき事項ということで、地上業務等に対する保護のため、WRC−03の結果に基づき、沿岸国が公認した低潮線からの最短距離で300kmキロメートル(Cバンド)または125kmキロメートル(Kuバンド)以内では電波の発射を停止しなければならない。ただし、当該国主管庁間で事前合意がある場合には、この限りではないということで、特に今ご紹介しました4章、5章の記載は、他のシステムへの干渉、地上業務に対する保護という観点から記載されております。
  ちょっと駆け足ですが、以上が報告案でございます。
原島分科会長代理  ありがとうございました。ただいまのご説明につきまして何かご意見ご質問等はございますでしょうか。
根元委員  質問ですけれども、高速・大容量というのはどこで縛るんでしょうか。何をもって高速・大容量というか。
大森専門委員  現在の船舶の高速通信に関していいますと、インマルサットが代表的なものだと思いますが、最大でも60キロビット程度で、これを大容量というか、基本的にはそれ以上ということで、数百キロビットを想定しております。
根元委員  ありがとうございました。
原島分科会長代理  ほかにいかがでしょうか。
中川委員  先ほどの資料1−1の10ページなんですけれども、アンテナ径なんですが、Kuバンドだと括弧書きがあるんですが、Cバンドの場合は、これはない? Kuバンドだと、60センチぐらいの小さなお皿でOKなんですけれども。
大森専門委員  Cバンドについては、ちょっと私、はっきり覚えてないんですけれども・・・・・・。たしかKuバンドだけについて・・・・・・。ちょっと事務局のほうは覚えていますか。
田中衛星移動通信課企画官  事務局ですけれども、これはWRC03で、その中にKuバンドについては特別に0.6mメートルまで認めましょうとなっておるものでございます。
  それからちなみに、先ほどの大容量のほうですけれども、一応、このESVの場合は、最大――これは衛星のトラップをどのように使うかにもよるんですけれども、60Mbpsまで最大とはなっておるということです。一応、補足でございます。
原島分科会長代理  よろしゅうございましょうか。
高畑委員  衛星のビームカバレッジを考えた場合、全海洋をカバーすることは不可能であると思いますが、このシステムによって、どのような海域に対してサービスの提供が可能になるのでしょうか。その点を教えていただければ幸いです。
大森専門委員  今、ここでは基本的に日本の沿岸というんでしょうか、想定するんですが、世界的にサービスが開始されますと、全世界の国というんでしょうか、全世界で可能になるとは考えております。
田中衛星移動通信課企画官  今、大森委員が答えられたとおりでございまして、サービス事業者の意向としては、いろいろなところの衛星を借りてきて、それをつなぎ合わせてということを考えていまして、例えば商船系統であれば、マラッカ海峡からインド洋まで、幾つかの衛星を借りるなり、そこは事業者の考え方だと思いますけれども、そういったようなサービスは考えていると聞いております。
原島分科会長代理  よろしゅうございましょうか。ほかにご質問ご意見等がございませんようでしたら、本件はお手元の資料1−3が答申案でございますが、その答申案のとおり答申いたしたいと思いますが、いかがでございましょうか。よろしゅうございましょうか。
  
(「異議なし」の声あり)

原島分科会長代理  それでは、案のとおり答申することにいたします。

 (2) 「5GHzギガヘルツ帯無線アクセスシステムの技術的条件」のうち「占有周波数帯幅20MHzメガヘルツ以下の小電力データ通信システムの技術的条件等」について【平成15年10月29日諮問第2014号】

原島分科会長代理  次に諮問第2014号、「5GHzギガヘルツ帯無線アクセスシステムの技術的条件」のうち「占有周波数帯幅20MHzメガヘルツ以下の小電力データ通信システムの技術的条件等」について、調査検討をしていただきました5GHzギガヘルツ帯無線アクセスシステム委員会の主査であります安藤専門委員から検討内容のご報告をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
安藤専門委員  それでは安藤のほうからご説明申し上げます。
  資料2−1、これが5GHzギガヘルツのアクセス委員会の報告概要で、これに沿ってご説明申し上げます。報告の本体は資料2−2でありまして、答申案が資料2−3ということになっています。
  最初に資料2−2をちょっとごらんになっていただきたいんですが、最初をめくりますと、目次があります。第1章は5GHzギガヘルツ帯無線アクセスシステムの概要について述べております。その後が具体的に、この委員会で密に検討した内容でありますけれども、ほかのシステムとの共用条件が第2章、それに伴って、既に使われている既存システムの技術的条件の見直しもご提案すると。その内容が第3章に書いてあります。それから第4章が、答申のほうの技術的内容の骨子になりますが、細かい技術内容が第4章に書いてあります。第5章に今後の検討課題ということになっております。
  それで、ご説明は資料2−1のほうでさせていただきます。資料2−1をめくっていただきますと、目次として1から7まで書いてありますが、2と3というところが第1章に対応する内容で、5GHzギガヘルツ帯の概要を説明したものです。4というのは、本報告のほうの第2章に対応するものであります。5というのは、報告のほうの第3章に対応する内容であります。6が第4章に対応するものになっています。この資料を用いてご説明させていただきます。
  3ページに委員会のほうの審議経過が書いてあります。4回の委員会、作業班のほうを、ここにご出席の若尾委員に主査をお願いしまして、作業班のほうは11回開いたほかに、実地の測定も行っております。
  4ページ、無線アクセスシステムの利用イメージということで、これは今、無線LANというのは主に2.4GHzギガヘルツですけれども、5GHzギガヘルツも使われ始めました。その無線LANのほかに、ホットスポットのようなNWA――NWAというのは動きながらというよりは、ノートパソコンのようなイメージですけれども、動いて、とまって使うというイメージです。そういうサービスに加えて、その下の絵にありますけれども、加入者系のアクセス回線とか、場合によっては、少し距離の延びる離島等のアクセス回線としての利用も期待されています。この中で一番数が多いのは無線LANということで知られているところであります。
  5ページ目には、無線LANの市場が広がってきておりまして、将来、2008年ごろまでには、5GHzギガヘルツ帯で、そこに書いてありますように480MHzメガヘルツ程度の周波数帯域幅が必要であるとされております。現在、日本では161MHzメガヘルツの帯域が使えるようになっております。今回の答申がもし認められますと、これが515MHzメガヘルツの帯域が、この無線LANとか、加入者系アクセスのほうに用意されるという形であります。2007年ぐらいにマイクロ波のほうの周波数も少し整理がつきますと、その時期には555MHzメガヘルツという非常に広い帯域が用意されるというのがストーリーであります。今、その5ページ目の右下のほうにありますのは、ノートパソコン等にもう既に内蔵されたLANの台数が伸びているという図であります。
  6ページ目、移動体通信等の高速化と歩調を合わせまして、このNWAのようなものとか、加入者系のものがスピードが速くなっております。横軸に通信速度、縦軸に移動速度を書いてありますが、5GHzギガヘルツ帯無線アクセスシステムというのは、そこに書いてありますように、速度は少し低いほうに属しますけれども、通信速度のほうが、今回の答申では54Mbps、将来は100Mbpsを超えるような伝送速度を実現するサービスにしようということであります。その上のほうには、周波数が高くなりますと、また非常に速いスピードの加入者系アクセスが既にこれも使われております。
  7ページ目に、実は今回のこの委員会が動いた1つのきっかけでありますが、2003年7月にWRCで認められた一次業務として格上げされた周波数帯、5,1505,2505,2505,3505,4705,725という3つの周波数帯において、こういう形で周波数が認められたと。これが世界的な検討状況であります。ここに書いてあるこの表は、今の資料でいいますと、最終的に22ページに今回の検討結果が表としてまとめてありますが、これが対応表のような形になって案をまとめたということであります。7ページに戻っていただきますと、この3つの帯域は、低域、中域、高域という言い方もしますけれども、屋内・屋外で使う使い方、それから送信電力、既存の気象レーダーとか、そのほかの業務との共用を図るために、TPC(電力コントロール)、それからDFSというのは、優先権のあるレーダー等が使われているときには、この無線LAN等が通信をしないようなシステム、そういうものの設備を持っていなければいけないか、持っている必要がないかということが書いてあります。これが世界的に認められたということで、日本の周波数の整備も進めようということで、この委員会は立ち上がったと思っております。
  これについては、実は7ページの表に対して我々のほうで検討したことは12ページに、他システムとの周波数共用条件という形で書いてありますが、この横軸の周波数の絵をごらんになっていただければ概要がわかるかと思いますので、この説明をさせていただきます。
  横軸に周波数が書いてありまして、周波数でいいますと、今回、5,1505,2505,2505,3505,4705,725という100メガ、100メガ、255メガ、合わせて455メガが無線LAN等にWRC−03で分配されたと。これを受けて、どういう形で使うかということを整備したのが今回の検討内容であります。日本の国内では、既に赤のハッチングになっておりますけれども、5,150〜5,250は屋内で免許不要の無線LANとして認められている周波数であります。それで、その下のほう、4,9005,0005,0305,091というのは、年度を限った移行措置も含めてですけれども、一応、この5GHzギガヘルツ帯の使い方、屋外も含めた使い方が認められているところであります。最終的には、ずっと横に並びますと、非常に広く、縦横線の新しいところと、斜めのハッチングの線と合わせて有効に使えるような検討が必要かと思います。
  今回の議論の中心は、この5,1505,250、その上、5,2505,350がありますが、主に5,2505,350にありまして、現在、非常に広く使われている気象レーダーと地球をぐるぐる回る地球探査衛星との共用の検討であります。それから、5,470〜5,725においては、やはり各種レーダーとの共用の検討であります。こちらのほうは、まだパラメーター等を詰める必要というか、未確定なところが国際的にもありますので、すべて解を見出すことができずに、一部の答申という格好になっております。周波数の上のほうを見ますと、5,650から上は、アマチュア無線との共用もあります。これはアマチュア無線よりも今回の周波数、無線LAN等のほうが格としては上のものですので、一番議論になりましたのは、気象レーダー、地球探査衛星のところの干渉の検討であります。
  また先ほどの資料の7ページのほうに戻っていただきますと、こういう背景で、この3つの周波数に分けて検討を行いました。
  それで8ページに移っていただきますと、技術の中でレーダーが使われているところでは、この無線LAN等は電波を出さないというために、DFSという装置が必要という周波数帯域が国際的にも提案されております。Dynamic Frequency Selectionというものは、電源を入れた後60秒間使われているかいないかをじっと耳を凝らすようなものです。そのほか、通信を始めた後も、インサービスモニタリングということで、あるレベルよりも高い信号をモニタリングして、信号がほんとうに使われていないかどうかを確認し続ける格好になります。もしも信号がわかりますと、その後10秒以内に通信をとめると。そのときに10秒をとめる間に、下に書いてありますけれども、220ミリ秒だけは、終わるための始末をするような通信がされるんですけれども、こういう格好でレーダーのほうとぶつかることを防ぐようなシステムであります。
  9ページに、このITUの動きのほかに欧州と米国で、この周波数帯がどのように使われていたかという歴史的な経緯も含めてまとめてあります。欧州では9911月に、この3つの周波数帯が割り当てられることが決定されております。今回の規格も、このものに非常に近い規格にはなっております。それで米国のほうでは、これとは別に97年1月に、低い周波数のほうはeirp200mWという電力で、中域(5,2505,350MHzメガヘルツ)、それから5,7255,825MHzメガヘルツというのは、この上のほうの周波数帯域は違っておりますので、少し別ものになります。ただ、5,2505,350は米国特有の使い方で、原則屋内ですけれども、屋外も国内では使っているという状況がありまして、そこら辺の整合が今回のITUの案の中では、両方認められるような格好に実はうたってあります。このどちらも、欧州、米国にしましても、最終的にDFSの測定法までは詰め切れずに、我々とちょうど同じような状況でありますけれども、今検討中というのがここの状況であります。
  欧州で提案されております規格が10ページにまとめてあります。低い周波数は屋内限定、中域も屋内限定、5,475より上のほうは屋内と屋外両方で使えるような形になっています。先ほど言いましたレーダーとの共用を図るためのTPCDFSという装置の具備は、低域のほうは屋内で使うということで不要ということになっていますけれども、中域と高域のほうは今後、具備するようにという形になっています。DFSのパラメーターにつきましては、−64dBmということで、先ほどお話ししましたシークエンスに従って機能するようなものが規定されております。通信電力については、無線LAN等で多数のものが同時に動きますので、その合計の電力について、必要がないときには電力を落とすような、あるいはマキシマムを押さえるような装置がついているということがうたわれております。チャネルが実はこの帯域は大体20MHzメガヘルツおきですけれども、こういう形で周波数が規定されております。今回ご報告する内容も、この周波数のほうに大体合ったものになっております。
  それから次のページ、11ページには米国の概要が述べてあります。違うのは、低域、中域、高域のほかに、先ほど言いました一番上の5,725より上のほうに屋外でも使える周波数帯域がもともと残っていたということ。それから、5,250〜5,350のところも原則は屋内ですけれども、屋外でも既に使われていたということもありまして、そこら辺の電力密度のうたい方が少し違っております。DFSTPCについては、ほぼ同じルールになっております。チャネルの配置も同じとなっております。
  12ページは、そこで日本、我々の周波数との比較で、この検討を進めたもので、横軸が先ほどご説明したとおりであります。このときに課題になりました気象レーダー、地球探査衛星、そのほかのいろいろ検討課題が、その次のページから、幾つか技術の内容を述べてあります。
  13ページには、一番問題になります気象レーダーと無線アクセスシステムの周波数の共用条件について検討してございます。1)としては、既存のLANの周波数をずらすということが後で提案されますが、青い帯が現在働いている気象レーダーの周波数の場所であります。赤いものは、従来の無線LAN等のチャネルとして規定していたものですが、これは2001年に決めたものでありますが、今回は下にありますような欧米のチャネルと10MHzメガヘルツずつずれておりました。間がずれていたということで、これを国際的にも統一したほうがいいということで、下のほうに同じくシフトするということを、この報告では案として提案しております。
  そのときに、この間のガードバンドと書いてありますが、以前はこの周波数を決めたときには気象のほうに、とにかく極力、気象レーダーのほうに影響を少なくするという安全策で、このような形で日本は動いておったんですけれども、今度、上のほうの気象レーダーのところも含めて、無線LAN等が、このチャネルを世界的に使うという方向を踏まえまして、国際的な整合性も考えて、10MHzメガヘルツを上に上げるようなことを検討して、結論として提案申し上げます。そのときに、このガードバンドがなくなるときの影響について詳しく検討しました。結論からいいますと、全部ではないけれども、実用上、ほとんど影響はないということで、気象レーダーのほうのコンセンサスも得られまして、そういう提案をする次第であります。
  14ページには、少し離れた周波数のときの共用ができるという検討結果が書いてあります。
  15ページは、先ほど述べましたDFSという装置が動くかどうかというのを試験するときの方法ですが、より短い時間で効率的に測定を行って、それを実フィールドで動かしたときの検出確率を推定するような方法を考えております。そこに書いてありますのは、18パルスを入力して検出したときに60%を検出できれば、実フィールドでは、ほぼ100%に近い検出ができるということをスタディーした結果であります。そういうふうな検出方法を提案しております。
  16ページは、レーダーからの電波が無線LANの親のほうには、このDFSのシステムがついているんですけれども、親のものがビルの影に隠れて、DFSを持たない子局だけが電波にさらされるような状況をスタディーしたもので、これも特殊な状況以外は実用上問題ないと判断した結果であります。
  17ページですが、レーダーによってはぐるぐる回るときに仰角が急激に下がるものがあります。これについてもゼロの確率ではないんですが、先ほど言いましたように、それを検知して10秒間は電波を出し続ける可能性がありますが、そのときでも260ミリ秒しか電波を出しませんので、レーダー等のほうの運用には特段の支障はないというご理解をいただきましたので、ここもOKという判断をしてあります。
  18ページには、FWA5,2505,350MHzメガヘルツ)については、日本が地域の分配ということで、FWAも外で使えるようなことを提案して認められております。ただし、今回、免許不要の無線アクセスシステムをうんと普及させるという観点からいいますと、これとFWAとの共用というのは非常に困難ということで、これを使うような案には今回はなっておりません。それから、アマチュア無線のほうについては、これは一応、無線アクセスシステムとの周波数共用については優先権がはっきりしておりますので、特段の支障はないと考えております。
  19ページには、今回、この認められた5GHzギガヘルツの周波数で、航空機の中で無線LANを使うということが認められております。ITUのほうで。それで、このときに、やはり航空機がほんとうに屋内とみなせるかどうかという意味の検討結果が、この下に書いてありますが、壁を突き抜けるときに17dBという家とほぼ同じぐらいの損失があるということを確認した上で、航空機の中でも、低域のDFSを具備しないシステムについては使えますという検討をして、結論づけております。ただし、5,250から上の中域、高域については、先ほどのDFSという装置をつけているんですが、これは飛行機のような高速で動いているものは、その動作を保証するものではないということで、今回は5,150〜5,250だけが使ってもいいという形のスタディー結果をまとめております。
  今の5GHzギガヘルツについては、日本の飛行機は電子レンジ等を使っておりますので、5GHzギガヘルツのほうが飛行機の中では使い勝手のいい可能性が非常に強いです。国際的には、電子レンジを使っていない飛行機は、今より下の2.5GHzギガヘルツの周波数でも無線LANのサービスが、つい最近ですけれども、始まっているようであります。
  20ページに、既存システムの見直しということで、既に日本固有の周波数として、下のほうの4.9〜5GHzギガヘルツ5.035.091GHzギガヘルツで展開しておりますサービスについて、空中線利得の3dBアップと、中継利用の導入というのが認められました。この理由は、チャネルが増えるということ。それから、ガリレオ衛星というのが、しばらくは使わないということがわかったので、そこの帯域外漏洩電力の規制を緩和したということも含めて、今回、規制を緩めた格好になっております。こちらのほうは使いやすくなってございます。
  21ページ、これは少し大きいんですけれども、従来、日本が使っていた5.2GHzギガヘルツ帯無線LANのチャネルを10MHzメガヘルツずれている現状を直しましょうと。ただし、新旧のチャネルがインタリーブで混在するときには、通信の効率、周波数利用効率が落ちますので、何とか新しいものを普及させるために、古いものと早く置きかえるような仕組みを考える必要があるということが、ここに書いてあります。具体的には、これをどうするかというのは、またこれから少し、いろいろ法律を含めて、あるいは一応、これは免許不要ですので、うまい仕組みで変えていく。それが、ただ、外国に行っても同じ機械で、同じ無線LANにつながるという意味では、早くしたほうがいいだろうというのが、今回のスタディー結果であります。
  これらの結果をすべてまとめて、22ページに技術的要件としてまとめてあります。
  23ページには、DFSの測定方法の詳細が書いてありまして、最後に24ページに、今回、積み残しである課題として5点ばかり挙げてあります。
  1番として、802.11においても、100Mbps以上の高速伝送のものの規格が検討されています。これも数年後にまた話題にのぼると思いますが、今回はまだかたまっていないところがありますので、ここについては検討しておりません。2番目として、気象レーダーについては、周波数のナロー化と利用効率を高める方向で、いろいろこれからも進んでいくと思われます。この1番と2番を含めて、共用条件の継続的検討が、これからも必要です。
  4番目として、5GHzギガヘルツ帯無線アクセスシステムのDFSの測定方法については、実は広域のほう、5,470MHzメガヘルツから上のほうは、今回は測定法を決めることができませんでした。これは日本だけではなくて、国際的な動向も含めて、海外でもまだ検討中ですので、これは歩調を合わせて、できるだけ早く決めて使えるようしたいと考えております。
  それから5番目、今回は航空機では低域のところだけを使えるという形で検討結果をまとめてありますが、いずれは多分、中域、高域においてもDFSの動作確認をして使う格好になるのではないかと考えております。
  これらの課題がありますので、一応、一部という形で答申案をまとめてございます。
  最後の技術的な内容は、資料2−2のほうの39ページから後ろにまとめてありまして、この内容が同じく別添として答申案のとして報告させていただいております。
  ご説明は以上です。
原島分科会長代理  ありがとうございました。ただいまのご説明につきましてご意見ご質問等はございますでしょうか。いかがでございましょうか。
酒井委員  ちょっと教えていただきたいんですが、結局、DFSというのは、レーダーがあるところはレーダーが最優先であるということで、レーダーから受ける影響も、レーダーに対して与える影響も両方とも等しく自動的になくすようよしようと、そういったような考え方だと思ってよろしいんでしょうか。
安藤専門委員  おっしゃるとおりです。気象レーダーのほうは、一応、優先という形の装置でありますが、飛んでくるものを感知して、実際にそれがあると判断しますと30分間はそのチャネルは、無線LANのほうは電波を出せないという約束になっております。
酒井委員  わかりました。直接関係ないかもしれませんが、前、UWBのお話を伺ったときに、UWBはレーダーに影響を与えるからいけないという検討結果を聞いたことがあるような気がいたしまして、これもこういう考え方で自動的に検知することをやれば、どんなものでも問題なくできるわけなんですね。
安藤専門委員  原理的にはそうだと思います。ただ、DFSとか、今回も一番下の周波数、5,1505250は、こういうものは別につけなくてもいいという形になっていますけれども、いろいろ装置をつければつけるほど少しは高くもなるし、電力も食うということもあるんじゃないかと私は思いますけれども、基本的には、こういう形の共用のための道具がなければ、やはり既に使っているところには、なかなかサービスは入らないんじゃないかと思います。
原島分科会長代理  ほかにいかがでございましょうか。
中川委員  日本において5GHzギガヘルツ帯のレーダーの利用状況というのは、かなり最近、気象レーダーをローカルに使う方もいらっしゃるみたいな気がするんですけれども、その辺はどうですか。
  それからあと、これはレーダーだと無線機のほうがちゃんと識別できるのかと。それか、ちょっとした干渉波を与え、ノイズがあったりすると、やっぱり30分間使えないのかなと。
安藤専門委員  DFSのスタディーのときに、例えばパルスをたしか4個を受けて、あると判定する。それが例えば1個であれば、今おっしゃったように、雑音かなんかという誤判定もあるかもしれません。一応、そこは、こういうのが一番いいかというところを探った結果が、18パルスを受けて4個で判定基準を設けるという形で、今回はご報告していますけれども、この周波数帯の今のレーダーの話で、しかも、これは日本の場所、土地柄、使い方も含めて、レーダーの種類も含めて、個別の検討が必要だということで、一般論ではなくて、かなり個別なことをすべて含めて出したものが、この結論です。ですから、このDFSが一般的にすべてのレーダーに対してというわけではなくて、現実に米国のものとかは、それぞれ若干違うあれは出てくるんじゃないかと思います。今回はあくまでもローカリティーを非常に丁寧に見て、弾き出した数値を載せてあります。
原島分科会長代理  よろしゅうございましょうか。
土井委員  すみません。本質的なことではなくて恐縮なんですけれども、12ページの図のところで、5GHzギガヘルツ帯の利用状況のところを詳しくまとめていただいているんですが、今問題になっています5,4705,725のところで、無線LANの右側のところが、上のISMのところが5,725ですよね。無線LANの右側が5,725より若干低いところに線が書かれているような気がするんですが、これはもし間違いであれば修正をいただければと。
安藤専門委員  これは同じ線にすべきところでした。申しわけありません。
土井委員  あともう一点教えていただきたいんですけれども、3ページのところで、北海道とつくばで実測を行われたということだったんですが、報告書のほうに、この場所で行うことの意義とかをもしかしたら書かれているのかもしれませんが、どういう点でこの場所で実測されたのかを教えていただければありがたいんですが。
安藤専門委員  これは隠れ基地局ですか。
岩尾専門委員  いや、そうじゃなくて、実際のレーダーがあるということです。
安藤専門委員  実測をできるレーダーがある場所ということで、それを求めて、1つは北海道・・・・・・。
岩尾専門委員  つくばは、室内でのシミュレーションです。
安藤専門委員  つくばのほうは室内でのシミュレーションの装置があって、やったものですけれども、これは別にほかでも可能だったかと思います。
土井委員  どうもありがとうございます。
原島分科会長代理  よろしゅうございましょうか。それでは、ほかにご質問ご意見等がないようでしたら、本件はお手元にあります資料2−3の答申案のとおり、答申いたしたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしゅうございましょうか。
  
(「異議なし」の声あり)

原島分科会長代理  それでは、案のとおり、答申することといたします。

 (3) 無線設備のスプリアス発射の強度の許容値についての技術的条件について【平成14年3月13日諮問第2007号】

原島分科会長代理  引き続きまして、諮問第2007号、「無線設備のスプリアス発射の強度の許容値についての技術的条件」につきまして、調査検討をしていただきましたスプリアス委員会の主査であります鈴木専門委員から検討内容の報告をお願いいたします。よろしくお願いいたします。
鈴木専門委員  鈴木です。スプリアス委員会の審議の報告をいたします。
  まず資料として3−1、これが報告書の概要でございます。3−2が本文でございます。それから参考資料1というのがついてございまして、これは少し細かい測定法その他などの参考資料でございます。資料3−3は、これは答申書の表書きの案ですから、ここでは割愛いたします。
  スプリアスと申しますのは、もうご存じかもしれませんが、電波を発射しますと、それに付随して出てしまう、要らない電波成分というのがスプリアスでございまして、雑音と言われているのとどこが違うかというと、雑音は温度があるものがみんな出す不要な電波成分ですけれども、スプリアスというのは、主要な信号をとめればとまってしまいます。しかし、主要な信号と要らない信号というのを区別というのが非常に難しいわけで、これはあらゆる無線機がどうしても避けて通れないスプリアス発射の問題を抱えているわけでございます。
  それで、本文の内容は、これは平成14年から続いておりますので、内容が非常に多いものですから、概要に沿って説明をさせていただきます。資料3−1をごらんになっていただきたいと思います。
  入る前に3ページをごらんになっていただくと、審議の経過というのが書いてございます。第1回というのは、もう平成14年3月から始まっておりまして、これはWRC97というところで初めて国際的にスプリアスの制限規制を決議されたことを受けまして、平成14年から国内の審議が始まったわけでございます。それで、このスプリアス委員会が平成14年6月に一度、中間報告をしてまいりました。それから、資料の経過を見ていただきますと、次が平成16年に飛んでおります。それから16年4月から始まりまして、きょうの1611月に、こういう報告が出てきたわけでございます。
  このスプリアスという問題は非常に難しい問題で、すべての無線機に共通した問題になっております。それから、新しいITUの審議の方向が規制を厳しくするという方向になっております。これは無線機の数、それから種類が最近、爆発的に増加してまいっておりますので、お互いの干渉の問題が非常に厳しくなっております。スプリアスもそれに伴って制限をしようということになっております。先ほど来の説明をごらんになっておわかりのように、周波数の割り当てはビッチリ詰まっておりまして、スプリアスの成分が隣のチャネルまで干渉するという恐れが十分出てまいったわけです。したがいまして、ただ厳しくするというだけでは非常に収拾がつかない。ある場合には現実的に困ってしまうという問題も出てまいりまして、ITUの審議が延々と続いたわけでございます。それでWRC97,20002003、そこまで続きまして、まとまってきたのが、この報告書になっております。したがいまして、平成14年から16年、まだ多少問題も残っておりますが、ひとまずの経過がついたわけでございます。
  その間に、国内では作業班を設置しまして、その審議経過の一番下にございます6つの作業班、陸上作業班、放送、衛星、レーダー、航空海上、測定というのをつくりまして、延べ50回、ここで作業班の方々が審議をしてまいったわけでございます。
  それで、内容について少しご説明をしたいと思いますが、この概要の本文から入るよりは、全体の検討課題、傾向、背景、そういうものをご承知になっていただくために、この概要の後ろのほうをごらんになっていただきたいと思います。後ろから3枚目ぐらいで22ページというところがございますので、まずそこをごらんになっていただきたいと思います。
  22ページは、スプリアス発射とはというのが書いてございます。そこに絵が書いてございまして、これは周波数を横軸にしたエネルギー分布、いわゆるスペクトルが出ております。それで中心が信号の中心周波数で、そこから必要周波数帯幅というんですか、Bnと書いてあるのがございます。これは信号を伝送するに必要な周波数帯域幅となっております。そこから左右、周波数の高いほう、低いほう両方にわたりまして、下のほうを見ていただきますと、+2.5Bn、−2.5Bn――Bnというのは必要周波数帯域幅ですけれども、こういう領域を新たに設定しまして、その2.5倍の必要周波数帯幅より外、これをスプリアス発射が支配的な領域と定義して、それから信号のある必要周波数帯幅に近いところとの間、これは帯域外発射といいまして、この間を帯域外発射領域という名前をつけまして、この帯域外発射の領域、スプリアス発射が支配的な領域と、これを合わせて不要発射ということになっております。今回の規制では、特別に帯域外発射も、スプリアス発射の領域も合わせて、不要発射全体についての規制といいますか、検討がされたわけでございます。こういうような帯域外発射とか、スプリアス発射の領域とかという区分は今回新しく出てきた概念でございます。
  それから、次を見ていただきます。23ページです。これは左のほうの上から、1997年、ここからスプリアスの国際的な規制が始まったとお考えになっていただいて、WRC97200003というのは2003年、ここまで検討してきた内容はどういうふうに変わってきたかというのを4つの分類に分けて説明してございます。左側には測定の条件、許容値、領域、規定の対象となっておりまして、WRC97よりも二重線で書いた上は従来、その下は改正の主な内容点となっております。
  左側から見てまいりますと、測定条件というのは、今までは一般に変調をかけないで、不要な電波が出てくるのを測っていたんですが、今度は実際に即して変調をかけると。かけた信号についてスプリアスの規制をするというものだったわけです。変調をかけますと、最近はデジタル化が進みまして、特にデジタル変調などをかけますと、いろいろな不要な成分が出てまいりますので、今までよりも測定の条件によって厳しくというか、多めにスプリアスが測定されるという問題も出てまいります。実際的に変調をかけるというところが新しく規制をされてきた測定方法でございます。
  それから左から2番目の許容値というのは、今までは周波数で分けて、ある周波数バンドはどれだけのスプリアスを抑制しようと、こういうふうになっていたんですが、新しい97年以降は、業務区分ごとにスプリアスの規定をしなさいと。業務区分といいますのは、例えば放送であるとか、レーダーであるとか、衛星通信であるとか、こういう区分でそれぞれの規定値を分けなさいと。概略で言いますと、今まで国内の電波法の施行規則などは、主要なエネルギーから−40dBぐらいのところでスプリアスを下げろと言われていたのが、今度はレーダーは幾ら、放送は幾らと、こういうふうになってきたわけで、全体のレベルはここでは書いてございませんが、今までの−40dBを−60dB、さらに100分の1以下に下げろと、こういう問題も許容値の中に入ってございます。周波数別ではなくて、業種別になったということでございます。
  それから、領域というので、今までは主要な信号のエネルギーの外というだけで、あまりはっきりした概念はなかったんですけれども、先ほど説明しましたように、必要帯域幅の±250%の外側という概念を入れたということです。特例もございますけれども、そういう領域概念というのがきちんと入ってきたということです。
  それから規定の対象としては、先ほど言った帯域外発射というのも含んだようなスプリアス領域の不要発射を抑えようと、こういう問題が入ってまいりまして、こういうRR(無線通信規則)の規制を受けまして、国内でもそれに対応を検討してまいったわけです。これは国内だけの問題ではなくて、国際的な整合を取るということもありますので、日本だけで特例というようなことが許されない場合があるので、非常に難しい問題が起きてきたわけです。
  それから次の24ページをごらんになっていただきます。これは国際的なルールと国内的な規則の対応点の説明がございます。というのは、現在の国内の規則は、新しいUTUといいますか、RRの基準よりも厳しい場合と逆に緩い場合があるわけです。今度の新しい基準よりも国内の今まで通してきた基準値が緩い場合、これは国際的な基準まで厳しくする必要がある。それから、ものによっては日本国内の規定のほうが新しい規定より厳しくなっているものもございます。これについてはできるだけ電波の環境をよくして、妨害の干渉をなくそうというので、厳しいと言われている日本の現状を維持しましょうと、こういう考え方になっております。
  主な概要と申しますのは、こういうような点がございます。
  内容の順序について、また最初に戻っていただきまして、概要の説明をさせていただきます。
  5ページをごらんなっていただくと、これは先ほど説明したようにスペクトルの説明でございまして、必要周波数帯域幅、これは情報を伝送するのに必要な最小限と申しますか、帯域幅で、これを基準にして、この周波数帯域幅の2.5倍より外、この外をスプリアス領域として、新しい基準レベルまで下げなさいと。帯域外領域というのは、どういうものかといいますと、この帯域外領域というのは、非常に必要帯域幅という信号の成分のところに近いところにございます。もしフィルターなどを入れて帯域外領域に相当する部分のスプリアスを下げようとしますと、理想的なフィルターなどはございませんので、どうしても、この必要周波数帯域幅の信号まで影響を与えてしまう。そうすると、通信の質が悪くなってしまったり、不要な信号をつくってしまったりするということで、この帯域外領域は可能な限り下げようということで、多めに見ようという考え方があったわけです。ただし、業種によっては、この帯域外領域の規制も含んで考えるものも出ております。基本的には、今まで信号の外と言われていたのを、帯域外領域とスプリアス領域と、こういうふうに2つの領域を分けて制限をしなさいという概念が、この5ページに書いてございます。
  それから6ページをごらんになっていただきますと、これは多少、特例でございまして、非常に狭帯域の無線機、非常に広い広帯域の無線機、これは2.5倍の必要帯域幅というのでは狭過ぎてしまう、または広過ぎてしまうということで、特例が設けられております。狭帯域と申しますと、例えばCWレーダーみたいなもので、ビートを取るようなものは非常に帯域が狭いので、それに2.5倍というと、信号にすぐ近いところになってしまいますので分離ができない。それから、広帯域は最近の船の通信のようなものとか、非常に広帯域の通信が出ておりますが、そこに2.5倍の必要帯域幅といいますと、広くなって、隣のチャネルと干渉を起こすというので、これは逆に狭くするという特例が6ページに書いてございます。
  7ページは、スプリアス領域と帯域外領域との境界で、我が国では2.5倍の必要帯域幅というのと違って、特別に規定されているものもございます。そこに左に書いてございます携帯電話とか、デジタルコードレス電話とか、小電力通信システム、こういうものはもう既に帯域が制限されておりますので、これは特別に変更することなく、国内の規定を適用しましょうというのが7ページでございます。
  8ページで書いてありますのは、我が国の必要周波数帯域幅という概念、これは必要周波数帯域幅というのは、先ほど申しましたように、情報伝送に必要な帯域幅ということで、概念的には多少あいまいになってしまいます。というのは、必要帯域幅を狭くすれば、信号のビットエラーレートのようなものが悪くなってしまったり、レーダーですと分解能が悪くなってしまう。どこまで許すかとか、そういうことがあまりはっきり規定されておりません。定量的な評価ができない、規定ができないということで、現在、日本では占有周波数帯幅というのを使っております。これはスペクトルのエネルギーの99%が入る帯域幅ということですが、これをもって必要帯域幅とみなしましょうと。こういう便宜的な方法を我が国ではとりましょうというのが、この8ページに書いてございます。
  9ページは、スプリアス領域の発射強度の許容値ということで、これは先ほど言いましたように、新しい規制では業務別になっておりまして、その下の表にございますように、宇宙業務とか、無線測位、レーダーなどもありますが、それからテレビジョン、移動局、こういうものについて、その右側にありますように計算式に沿って供給される使用の信号電力からの減衰量ということで規定されております。これを見てみますと、70dB下げろとか、60dB下げろとかという非常に厳しい値になっております。従来は40dB程度の減衰量で済んだものを、さらにそれの100分の1とか、1,000分の1下げろと、こういうことでスプリアスを下げるというのは非常に技術的にも難しい問題が出てきているわけです。業種別に、こういう許容値が決められているということが、ここに載っています。
  10ページをごらんになっていただきますと、これは横軸が電力で、縦軸が、その許容値になっております。ちょっと見にくいかもしれませんが、少し影の線で濃く塗ってある下側のところ、▲の印がございます。これがずっと横に平らになっているのが、RRの規定値の一般の機器に対する規定値で、我が国の規定値は、それより上のもの、これは許容値が甘いということです。それから下のものは許容値が厳しいということです。それで×と書いてあるようなものは、今度のRRの新しい規定まで下げなさいと。それから、下のほうの十の字になってつながっているのは、RRの新しい基準よりも既に我が国は厳しくされていると。これは現状維持をしましょうと。できるだけ国際的にそろうということではなく、もう既に日本国内では、こういう基準が守られている業種があるので、これはそのまま使いましょうと。こういうことになっております。
  それから、その許容値そのものについては、11ページに書いてございまして、許容値というのは、スプリアス測定するようなスペクトルアナライザーなどで測るわけで、そのときの測定器の帯域幅というのは非常に問題になります。帯域幅を制限することによって、狭くしますと、スプリアスは見かけ上小さくなります。広くしますと、スプリアスは見かけ上大きくなる。その参照帯域幅という掲示をしていまして、これは具体的に言いますと測定器の帯域幅と考えていただいてもいいんですが、こういうものも規定してございます。周波数帯で規定してございます。そこの横の上のほうにございますように、9kHzキロヘルツ150kHzキロヘルツは1kHzキロヘルツで測りなさいと。その下のほうに1GHzギガヘルツを超えるものというのがございます。この参照帯域幅は1MHzメガヘルツというふうになっております。実は、これまでも困る問題が出ておりまして、レーダーで、この規定の参照帯域幅は1MHzメガヘルツで測りますと、今度は測定する周波数帯域幅が非常に広くなっておりますので、今までの例ですと、1台を測るのに25時間かかっております。これでは非常に困るというので、アメリカと日本では今度、ITUのほうに申し入れて、もっと実用的な、1GHzギガヘルツを測るミリ波のようなものになったらもっとかかりますので、この参照帯域幅を見直したらどうかと、こういう提案を出そうというような話が出ておりますが、現状では、こういう参照帯域幅で測定するということになっております。宇宙業務については、先ほどちょっと少し話がありましたように、4kHzキロヘルツですべて測るとなっております。
  それから、こういう基準値を規定しても、測定方法によって出てくるデータが違います。そこで、測定はスペクトルアナライザーを使いますが、その参照帯域幅における平均電力というので測るようになっておりまして、この右のほうの表、12ページにございますが、このITUの勧告が非常に広い範囲を測るようになっております。下のほうを見ていただきますと、150300GHzギガヘルツの基本周波数の範囲では300GHzギガヘルツと。こんなのを測れる測定器は今ないんですけれども、勧告の上では、こういう定義がされております。それから、13GHzギガヘルツ150GHzギガヘルツ、これはレーダーとか、UWBなどは、こういうところに入ってきますが、2倍の高調波というのは大変な高い周波数になるわけですけれども、具体的には今、測れる機械はないんですけれども、規定上では、こういうような表がつくられていると。従来よりは非常に測定する範囲が広がっている。600MHzメガヘルツ5.2GHzギガヘルツのところは5倍の高調波まで取ると。こういうふうになっております。これが具体的に、これから我々がどう対応できるかという問題になっておりますが、ITUの勧告では、こういう指針が示されております。
  それから13ページは、前にお話ししましたように変調をかけて測るという測定法になっております。それから、13ページの下のほうの5)に測定方法というのがあります。これも非常に大変なことになりまして、従来の無線設備規定では、送信機の出力端子に測定器を直接つないで測ればいいということになっております。そういうふうにして測る方法もございますが、原則としては空間に放射される電力、これをeirp法としておりますが、これをもって原則の測定法にしろということになっております。ですから、電波で干渉がどのぐらいあるか。測定器を直接、送信端子につなぐというのを、これを間接法といいまして、これに対して電波で測るのを直接法といいますが、こういう直接法で測るのを原則とする。それが困難な場合――これは非常にあるわけです。例えばテレビ塔の上のアンテナから出てくるスプリアスを測るのに、ヘリコプターでぐるぐる回して測るということはできませんし、ジャンボ機の無線機というのを、ジャンボ機が置いてある周りで測るなんてなかなかできないわけで、こういう場合にどうするかという問題がございますが、原則は電波のスプリアスで測るとなっております。
  あと、いろいろ問題が出ておりまして、測定方法の細かい注意事項、これが14ページに書いてございます。
  15ページは、なかなか測れないようなものも出てきているので、これは特別に考慮が必要だと。例えばアクティブフェーズドアレーアンテナというのは、多数の素子がアンテナに取りつけられて、そこから出てくる電波の位相を制御するということで、指向特性などを変えるわけですけれども、このアクティブフェーズドアレーでパターンを変えるとスプリアスも変わってしまいます。その測定をどうするかという問題が出てまいります。端子で測るというようなのを認めるかどうかという問題なども、これから出てまいります。それから15ページの下の3)というのは、衛星関係の無線設備のマルチキャリアシステム、これは衛星では1つの中継器の中にたくさんのキャリアを持った信号を中に入れる、共用するというような問題も出てまいりますと、お互い同士の干渉の問題が出てまいります。こういうふうに、これからどうするかという問題も含まれてはいます。
  16ページ以降は、特殊の取り扱いをする無線設備というので、この中には、先ほど来も話が出てきたレーダーがございます。レーダーは非常に高い電力で、ピークの幅の狭いパルスを発射したりする。特にレーダーの場合には分解能が重要で、分解能を確保するためには周波数帯域幅を広く必要になってまいります。したがって、それに伴ってスプリアスも広がってしまうというので、レーダーは特別な考え方で規制をしなければいけないだろうということになっております。
  17ページを見ていただきますと、レーダーのスプリアスについては、先ほどもあったように帯域外領域とスプリアス領域に分けると。帯域外領域の中にさらに太い実線で斜めに下がっておりますような、−20dB/decadeといいますが、これを我々はマスクと呼んでおりますが、こういうマスクを課せられて、このマスクを飛び出さないようにしろと。こういう帯域外領域の中の制限まで課せられて、こういう厳しい状態になっております。それから、レーダーは最近はパルス波式レーダーのように非常に特別なレーダーも出てまいりまして、一方では非常に広い帯域幅が必要で、スプリアスも広がってしまう。しかし、隣のチャネルとの干渉問題が問題になるので、さらにスプリアスを厳しくしろと。こういう問題で実に悩まされているというのが、こういう特殊な無線機の現状でございます。
  18ページをごらんになっていただきますと、これも特殊な取り扱いをする無線設備で、衛星関係がございます。衛星関係は、そういうふうにチャネルの配分がぎっしり詰まっておりまして、中継器の中で隣同士、この三角のところが、先ほど示しましたマスクと同じようにスプリアスを考える領域ですが、お互いに重なってしまうとなります。それから、先ほど来お話ししましたように5GHzギガヘルツ帯のように、レーダーと5GHzギガヘルツの通信チャネルが隣り合わせていると。こういう問題も出てまいりまして、特殊な取り扱いをする無線機というので、衛星関係の機器もこの中に入っております。特に18ページの下に5)と書いてある電波天文業務の保護、これは非常に微弱な電波を検出しないと電波天文が実用になりませんので、このために保護をするということも考えなければいけない。隣のチャネルから漏洩してくる電波をできるだけ、この電波天文業務に割り当てられている周波数帯に入らないようにしなければいけない。こういうものも特殊に考えていかなければならない機器がございます。
  19ページは、今後の検討課題というのが書いてございます。幾つか書いてございますが、代表的なものとして20ページを見ていただきますと、ここではレーダーと移動・航空用無線設備ということの2つに分かれております。
  レーダーの不要発射というのは、これは非常に厳しい制限がございまして、国内での作業部会も非常に活発に検討しておりまして、ITUのほうにもいろいろな提案を出しております。日本からの提案もありまして、特にマグネトロンを使用したレーダー、これは小型のレーダーの世界マーケットの9割以上が日本のマグネトロンを使用した船舶用のレーダーが普及しているわけですけれども、そういうマグネトロンのレーダーについては、帯域幅を決める決め方にも問題がある。こういうことをITUの作業部会に出しまして、これがある程度認められまして、また改定する必要があると。M1177というのは、これは測定のITU勧告案ですけれども、その中にも検討を要するという言葉を入れてもらいまして、日本の提案などが、ある程度この中に入って、国際的にもこれから変わる可能性がある。これも日本では見極めながら検討していこうとなっております。
  それから20ページの下の(2)は、移動・航空機用無線設備及び航空機用レーダー並びに地上航空用レーダーについてというのがございますが、これはどういう問題かと申しますと、飛行機についておりますような通信機とか、電波高度計とか、レーダー、こういうものは機械そのものが航空機と一緒に入ってきてしまいます。主な輸入国はアメリカですけれども、アメリカはまだRRに対して、こういう航空機用無線機の対応をするという動きが今のところないんですが。見当たらないと言ってもいいんでしょうけれども、これからです。ところが、機械は輸入をどんどんしているわけですから、そういうものをどうやって測ったらいいか。機械の日本国内での修理の問題もあります。修理をしたらば、変わってきてしまいます。こういう一部の航空機用の無線機についての取り扱い、これは国際的な動きと一緒に合わせて考えなければならないので、我が国独自の規定を今すぐには決められない。こういうことになっております。
  それから、全体的に見ますと、このスプリアスの規制は、2012年までにすべての無線機が新しいRRの規則を満足するようにとなっております。それから2003年1月から、昨年ですけれども、それ以降つくる機械についても新しいRRの規則を満たすとなっております。我々関係者は、2012年では、すべての無線機が新しいRRの規則を満足しなければならないというので、それに向けて、今、鋭意努力をしております。日本国内の機器、ユーザーによっては、すぐに対応できないものなどもございますので、そういう移行措置をどうするか。それから、目標値を2012年、これは国際的な制度ではデッドラインが決まっておりますので、それに向けてどういうふうに我々が動いていったらいいかというものが今の検討課題に――20ページでは2つしか書いてございませんけれども、全無線機に関係するということでご了解していただいて、我々関係者がそれに向けて、これからも努力をするというのが現状でございます。
  本文は、こういう分厚いもので、内容については省略をさせていただきます。説明は以上で終わりにいたします。
原島分科会長代理  ありがとうございました。ご意見ご質問はいかがでございましょうか。
中川委員  例えば5ページ、中心周波数がありまして、必要周波数帯域幅と。それも左右対称と。これからの無線のことを考えれば、例えば周波数をスプリットしているとか、真ん中が抜けているとか、いろいろなものが出てくるかなという変則的なものも考えると、こういうふうな連続的な帯域で左右対称でいいのかとか。ちょっと変な質問なんですけれども、いろいろなものが出る可能性があるんですけれども、その辺はいかがでしょうか。
鈴木専門委員  これは非常にアイデアルというか、理想的なものでございまして、ITUの審議の過程においては、今言われたようにスプリアスが割れてしまうとか、非対称になる。これはもう非常に現実にそういう問題が多いわけです。それから、周波数自身は、ジッタといいまして変動がございます。ですから、ゆらゆら揺れているというのもございます。それで、どこを中心にするかということははっきり規定しておりません。例えば非対称になる場合は、その最大にしろという規定もございませんで、エネルギーがその中に含まれるところを中心とするというような、多少あいまいな表現になっております。ですから、これは解釈の仕方によっては、どこを取るか。特にレーダーのような場合にはオン/オフの変調をしますと、FMPMの成分が必ず入りまして、非対称の波形になってまいります。そういうときは、必要周波数帯域幅がちょうど真ん中ではなくて、ピークのところを取ってもいいと。こういう説明もあるので、多少、解釈に余裕があるとお考えになっていただいたらと思います。
中川委員  ありがとうございました。
原島分科会長代理  よろしゅうございましょうか。ほかにご質問ご意見等がございませんようでしたら、本件は資料3−3が答申案でございますが、その答申案のとおり答申いたしたいと思いますが、いかがでございましょうか。よろしゅうございましょうか。
  
(「異議なし」の声あり)

原島分科会長代理  それでは、案のとおり答申することといたします。

  以上、本日の3つの答申に対しまして、総務省から、今後の行政上の処置についてご説明を伺えるということですので、よろしくお願いいたします。
鬼頭技術総括審議官  技術総括審議官の鬼頭でございます。日ごろから、私どもの電波行政、情報通信行政に格段のご指導ご支援を賜っておりますことを、まずもって御礼申し上げます。
  ただいま、1つ目には、船上地球局による高速・大容量海上衛星通信システムの技術的条件、2つ目には、5GHzギガヘルツ帯無線アクセスシステムの技術的条件のうち占有周波数帯幅20MHzメガヘルツ以下の小電力データ通信システムの技術的条件、3つ目には、無線設備のスプリアス発射の強度の許容値についての技術的条件についてご答申をいたたいたわけでございますが、いずれも昨年のWRC03、私も実は団長で出席して、その結果について、早く国内措置が必要と考えておりましたし、関係者のご要望も高い分野ばかりでございます。非常に迅速なご審議をいただきまして、本日の答申をいただきましたことをまことにありがとうございます。
  船上地球局(ESV)につきましては、いわゆるブロードバンドを船にも持ち込むというコンセプトを実現するものと理解しております。先ほどあったように航空機にブロードバンド環境を導入するという件につきましては、本審議会のご答申を踏まえて、既に実用システムの導入に至っております。非常に好評だと伺っておりますが、多分、船のほうも同じように非常にニーズが高いんじゃないかということで、この技術的条件を早急に実現という形に持ってまいりたいと思っております。
  また5GHzギガヘルツ帯の無線アクセスシステムでございますが、私ども総務省におきましては、世界最先端のワイヤレスブロードバンド環境、これは来るべきユニバーサネットワーク社会の構築には必要不可欠の問題でございまして、これに向けて昨年7月に本審議会のほうからご答申をいただきました電波政策ビジョン、これをもとに現在、電波開放戦略というものに取り組んでおります。この5GHzギガヘルツ帯につきましては、2008年ごろまでに約480MHzメガヘルツの周波数を、それから2013年までに約740MHzメガヘルツの周波数を無線LANに拡大しようというようなご提言を踏まえて、その方向で取り組んでおりますが、本日まとめていただきましたこの技術的条件、これによりまして、この一部分が実現できる運びになるのではないかということで、今後、いろいろな形の無線LANシステムがどんどん導入されると思いますが、それの加速化が図られるんじゃなかろうかと。このように考えております。
  またスプリアスの技術的条件でございますが、これにつきましても、電波量は今非常に拡大いたしておりますし、いろいろな多様なシステムを導入されているということで、このシステム間、あるいはシステム内の混信問題とか、あるいは有効利用を図るために、できるだけ稠密に使う必要があるということから、このスプリアスの問題も避けて通れないということで、非常に時機を得たご答申をいただいたものと理解いたしております。
  私ども総務省といたしましては、この答申に基づきまして、新しい技術的条件の円滑な導入を可能とすべく、早期に具体的な省令等の中身を詰めまして、今後、電波管理審議会への諮問、パブリックコメントを経て、関係機関の整備を速やかに準備いたしたいと考えております。
  最後になりましたが、大変ご熱心にご審議をいただき、答申をまとめていただきました委員の皆様方、あるいは専門委員、さらには非常に回数多く作業班を開催していただいたということで、作業班のメンバーの皆様方のご尽力に改めまして厚く御礼申し上げます。本日は、どうもありがとうございました。

 (4)電波資源拡大のための研究開発(電波利用料制度の見直し)について【報告】

原島分科会長代理  それでは次に、「電波資源拡大のための研究開発(電波利用料制度の見直し)」につきまして、総務省からご説明をお願いいたします。
稲田電波政策課長  電波政策課長でございます。座ってご説明申し上げます。
  資料4でございますけれども、現在、次期通常国会に電波法改正案を出すということで、電波利用制度の見直しを行っておりますけれども、その中で来年度から、電波資源拡大のための研究開発、こういったものをスタートしようということで調整しているところでございますので、その概要について説明させていただければと思います。
  1ページめくっていただきますと、電波利用料見直しの視点という資料がございます。現在、総務省のほうでは、昨年7月に情報通信審議会のほうからご答申いただきました「中長期における電波利用の展望と行政が果たすべき役割」、いわゆる電波政策ビジョンに基づきまして、電波開放戦略というものを推進しておるところでございます。昨年10月に周波数の再編方針を出すとともに、今年の国会では、電波の再配分のための給付金制度の導入ですとか、あるいは新規の無線局の展開を急ピッチでやれるように登録制度を導入するようなこともやっておりますけれども、今度の通常国会に対しましては、電波利用料制度の見直しを行うということで、電波有効利用政策研究会の中で、いろいろと検討を行ってもらっていたわけでございますけれども、今年の10月1日に最終報告書が出ておるものでございます。
  この主な内容につきましては、電波利用料制度の見直しのところに書いてございますけれども、現在、共益費用という電波利用料の使途を、全無線局で均等負担しているような電波利用料を、少し電波の経済的価値を反映できるようなものに変えていこうというような視点。それから、使える電波を増やすということの観点から、いわゆる研究開発を充実強化するようなこと。それから、携帯電話等の不感対策などを充実しようというようなことを電波利用料制度の見直しの中で検討しておるところでございます。
  次のページをあけていただきますと、新たな電波利用料の構造と書いてございますけれども、現在、電波利用料を使いして、電波監視ですとか、コンピューターシステム、無線局データベースと書いてございますけれども、それから、テレビジョンのアナアナ変換、それから技術試験事務と、こういったものを電波利用料を使ってやっておりまして、こういったものについては原則、無線局数で均等配分するような形になっておるものでございますけれども、こういったものを2つに分けまして、研究開発、それから携帯電話等の不感対策、こういったところにかかる費用につきましては、電波の経済的価値を勘案して費用負担をしていただこう。それから、電波監視ですとか、無線局データベース、アナアナ変換にかかる費用につきましては、従来どおりのやり方で配分していこうということを考えているところでございます。
  それから3ページ目でございますが、これが電波資源拡大のための研究開発の概要でございますけれども、主に4点ぐらいの観点から研究開発を行うことを考えておるところでございます。
  1点目は、既存無線局のもとで、新たな無線システムの共同利用を可能とする技術の研究開発ということで、移動通信における高度な電波の共同利用に向けた要素技術の開発。いわゆる研究開発例1)ということで書いてありますけれども、コミュニティー無線みたいな技術の開発。それから研究開発例2)でありますけれども、衛星通信等の通信との共用技術の研究開発。こういったものを共同利用を可能とする技術の研究開発ということでやろうと考えております。
  それから2点目といたしまして、現在使用されている周波数帯域の圧縮を行うような技術ということで、先ほどレーダーのスプリアスの話が出ましたけれども、レーダーの狭帯域化を促進するような技術の開発などが、こういったところで考えられているところでございます。
  それから3点目といたしまして、高マイクロ波帯や未利用周波数帯への移行を促進するための技術の研究開発ということで、高マイクロ波帯への周波数移行の促進に向けた基盤技術の高度化のための研究開発、あるいはミリ波帯の無線システムへの移行の促進に向けた基盤技術の研究開発、こういったところを予定しておるものでございます。
  また4点目といたしましては、厳密で実用的な共用基準の策定に資するための測定技術ということで、次世代無線通信測定技術の研究開発、こういったところを予定しておるところでございます。
  予算枠につきましては、予算の編成過程で調整ということになる予定でございますけれども、大体90億円強を我々としては要望したいと考えているところでございます。
  以上でございます。
原島分科会長代理  ありがとうございました。よろしゅうございましょうか。ただいまのご説明につきまして、ご意見ご質問等がございますでしょうか。研究開発にいろいろと、その関連を充実させようということでございますが、よろしゅうございましょうか。
  それでは特にご意見等がございませんようでしたら、報告を了承したいと思いますが、いかがでございましょうか。よろしゅうございましょうか。
  
(「異議なし」の声あり)

原島分科会長代理  それでは、報告を了承するということにさせていただきます。

 (5) 委員会の廃止について

原島分科会長代理  次に最後の議題でございますが、「委員会の廃止について」の審議を行います。事務局からご説明をお願いいたします。
福岡情報通信政策局総務課長  資料のほうは最後についております資料5でございます。
  本件は、先ほどご答申をいただきました無線設備のスプリアス発射等の許容値についての技術的条件、これを調査審議していただいておりましたスプリアス委員会につきまして、その役割が一たん終了したということから廃止をすることとしたいという提案でございます。
  具体的には、この資料を1枚おめくりいただきますと、現行の技術分科会決定第3号の委員会の設置にかかわるものでございますが、この第1項第7号にスプリアス委員会というのが書いてございますので、これを削除いたしまして、以下、号ずれを直すというものでございます。
  以上でございます。よろしくご審議のほどお願いいたします。
原島分科会長代理  ありがとうございました。ご質問等はございますでしょうか。
  このスプリアス委員会につきましては、平成14年から、たくさんの作業部会を開いていただいて、大変な作業をお願いしたわけでございます。特にご意見等がございませんでしたら、調査審議の終了に伴い委員会を廃止することとし、案のとおり、当分科会決定第3号の一部を改正することといたします。よろしゅうございましょうか。
  
(「異議なし」の声あり)

原島分科会長代理  ありがとうございました。
 
閉会

原島分科会長代理  以上で本日の議題は終了いたしました。委員の皆様から何かございますでしょうか。あるいは事務局からは何かございますでしょうか。
  それでは、本日の会議を終了いたします。次回の当分科会は1215日(水)午後2時から、総務省8階のこの会議室において開催する予定ですので、皆様方、よろしくお願いいたします。
  それでは、以上で閉会といたします。ありがとうございました。
  
  ―― 了 ――

 
  本分科会にて配付された資料をご覧になりたい方は、総務省にて閲覧及び
貸し出しを実施しておりますので、下記までご連絡をお願いいたします。


担当:総務省情報通信政策局総務課情報通信審議会係 飯島
電話 03−5253−5694
FAX 03−5253−5714
メール t-council@soumu.go.jp




 

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