会議資料・開催案内等

情報通信審議会 情報通信技術分科会(第30回)議事録




 
第1   開催日時及び場所
  平成16年12月15日(水) 14時00分〜15時24分
  於、総務省8階第1特別会議室

第2   出席した委員等(敬称略)
(1)   委員
   齊藤 忠夫(分科会長)、原島 博(分化会長代理)、大山 永昭、川田 隆資、
酒井 善則、畑 文雄、土井 美和子、中川 正雄、名取 晃子、
根元 義章、村上 輝康
   (以上11名)

第3   出席した関係職員
(1)   大臣官房 鬼頭 達男(技術総括審議官)
(2)   情報通信政策局
  堀江 正弘(情報通信政策局長)、武井 俊幸(技術政策課長)、
  白江 久純(技術政策課調整官)、田中 謙治(通信規格課長)
(3)   総合通信基盤局
  竹田 義行(電波部長)、稲田 修一(電波政策課長)、
  児玉 俊介(移動通信課長)、藤本 昌彦(移動通信課移動通信企画官)
(4)   事務局 福岡 徹(情報通信政策局総務課長)

第4   議題
(1) 「ユビキタスネット社会に向けた研究開発の在り方」について
【平成16年7月28日諮問第9号・審議状況報告】

(2) 「小電力の無線システムの高度化に必要な技術的条件」のうち「移動体識別システム(UHF帯電子タグシステム)の技術的条件」のうち「高出力型950MHzメガヘルツメガヘルツ帯パッシブタグシステムの技術的条件」について
【平成14年9月30日諮問第2009号】

(3) ITU−T部会報告
【電気通信技術審議会諮問第2号・報告】

(4) 「CISPR委員会の審議状況及び上海総会対処方針報告」について
【報告】



  開会

齊藤分科会長  時間のようでございますが、よろしゅうございましょうか。
  そういたしますと、情報通信技術分科会の第30回ということで、開催させていただきます。本日は、私、齊藤が議事を進めさせていただきます。議事次第に従って進めてまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
  本日は、委員16名中11名がご出席される予定になっております。まだ一、二名おくれられているようでございますが、いずれにしましても定足数は満たしております。
  本日は公開して会議を行います。傍聴者の方々は「留意事項」をお守りいただきまして、静粛に傍聴くださいますようにお願いいたします。
  また、本日の会議の模様はインターネットによって中継いたしておりますので、ご了承いただきたいと思います。
  お手元の議事次第のとおりでございますが、本日は、答申案件が1件、報告案件が2件、合計3件でございます。
 
議題
 
(1) 「ユビキタスネット社会に向けた研究開発の在り方」について

齊藤分科会長  第1の案件でございますが、諮問第9号、「ユビキタスネット社会に向けた研究開発の在り方」につきまして、調査・研究していただいた、研究開発戦略委員会から、審議状況の報告を行っていただきます。実は、本委員会の主査は私でございますが、本日は議事進行を行っておりますので、かわりに、主査代理でおられます根元委員から報告していただきたいと存じます。では、根元さん、よろしくお願いいたします。
根元委員  研究開発戦略委員会の主査代理の根元でございます。ただいま齊藤先生からご説明ありましたような状況でございまして、主査代理ではございますが、私のほうから報告をさせていただきたいと思います。
  審議の状況報告の本体は配付されております資料1−2でございます。量が少し多いことでございまして、時間の関係上、説明は報告の概要の資料の1−1でもってさせていただきたいと思います。
  まず、資料1−1の1ページ目の審議状況をごらんいただきたいと思います。研究開発戦略委員会は、本年7月28日の諮問第9号、「ユビキタスネット社会に向けた研究開発の在り方」を受けて設置されました。8月6日に第1回を開催後、一昨日の1213日まで、これまで4回の会合を開催し、審議してまいりました。審議の中間まで参りましたので、今回、これまでの審議状況を中間取りまとめという形で報告をさせていただきたいと思います。
  それでは、資料を1枚おめくりいただきまして、要旨をごらんいただきたいと思います。
  そこに記述してありますが、私のほうから申し上げますと、情報通信技術、これからICTと省略させていただきますけれども、ICTは、e−Japan戦略I1及びII2に基づき、また第2期科学技術基本計画の重点4分野の一つとして、重点的な取り組みが行われてまいりましたが、2006年以降も世界最先端であり続けるため、2010年のユビキタスネット社会に向けた取り組み、u−Japanが始動しつつある状況にあります。
  一方、諸外国におきましては、知の流通や知の活用等を重点に置いた国家戦略的な取り組みが推進されているとともに、ITUにおいても、通信インフラのオールパケット化に向けた次世代ネットワーク等の標準化が本格化しようとしている状況にあります。
  我が国においても、社会や国民のニーズにこたえるとともに、国際競争力を維持、確保していくためには、世界に先駆けたICTの創造を推進することが必要であり、第3期科学技術基本計画の計画期間である2006年から2010年においてもICTの研究開発に一層重点的に取り組むことが必要であろうかと思います。
  本委員会では、今申し上げましたような状況を踏まえまして、今後重点的に推進すべきICT研究開発の方向、研究開発の重点領域を中心に中間取りまとめを行った次第でございます。
  次に、中間取りまとめの概要についてご説明申し上げます。資料を1枚めくっていただきたいと思います。
  中間取りまとめの概要図をごらんいただきたいと思います。
  まず、全体構成についてご説明を申し上げますと、中間取りまとめでは、その図の左側にありますように、ユビキタスネット社会に向けた社会の潮流とICTの潮流を整理いたしまして、これを踏まえまして研究開発の方向性を設定し、その方向に基づき、重点化すべき研究開発領域を整理いたしております。ユビキタスネット社会への潮流についてもう少し申し上げますと、社会の潮流といたしましては、社会的な要請としては、我が国の持続的発展のために少子高齢化等、諸課題への対応が必要となっておりまして、そのためには国際競争力の維持・強化、安全・安心の確保、多様性へのシフトということがございます。我が国はさまざまな局面で閉塞感が漂っておりまして、アジア諸国の急成長といった厳しい国際競争の中で今後も発展し続けるためには、従来のキャッチアップ型のモデルを脱却いたしまして、世界に先駆けた技術による国際競争力の維持・強化が欠かせません。また、自然災害、犯罪の多様化、個人情報の漏えいなど、国民生活における安全・安心への意識が昨今高まってきており、社会や生活の安全・安心の確保も重要な課題であります。
  さらに、少子高齢化で限られた人的リソースを有効に活用するため、個の活力を生かすための多元性、多様性の確保が必要となってくると考えられます。ユビキタスネット社会に向けたニーズも、これら背景によって、より安全・安心、より便利・快適、より楽しい・創造的といったような方向に向けて、ICTによる対応が期待されてきます。
  また、ICTの潮流といたしましては、まず国民生活、経済活動、科学技術といった社会活動のあらゆる分野でICTが基盤として定着しつつあることが挙げられます。しかしながら、社会基盤としてICTが機能するには、信頼性といった面で課題を有しており、研究開発や実証実験によって解決することが求められております。
  一方、我が国のICT研究開発をめぐる課題といたしましては、長期的な研究開発や基礎研究の弱体化が挙げられます。システムやアーキテクチャーの弱さが委員会では指摘されまして、こういった観点からも研究開発のあり方を考えていかなければなりません。さらには、先ほど申し上げましたけれども、諸外国の研究開発や標準化動向を踏まえる必要もあります。
  そこで、今後どのような方向でICTの研究開発を進めていくべきかということでございますが、社会やICTの潮流を踏まえると、ICTの研究開発に期待されている方向は、「国際競争力」、「安全・安心」及び「知」がキーワードであろうということで、従来からも重要である国際競争力の維持・強化、昨今の社会情勢に対応するための安全・安心な社会の確立とともに、将来の持続的発展に向けた知的活力の発現を新たに加えた3つの方向を重要であるといたしました。我が国の経済発展にICT産業が大きく寄与したことは言うまでもないことですが、今後も引き続き国際競争力を維持・強化するのみならず、新たに世界をリードするようなパラダイムシフトを起こす新技術の研究開発が必要です。そして、その強いICT技術を利活用いたしまして、社会経済全体の国際競争力の維持・強化をすべきであります。また、国民が安全に、安心してICTを使い、ICTによって安全・安心な社会を実現するための研究開発も極めて重要となっていると考えております。さらに、ユビキタスネット社会や、さらにその先に我が国が発展していくためには、天然資源が乏しく、少子高齢化が進む我が国では、いち早く変化に対応し、世界に先駆けて新しい価値を生み出すことによって対応していくしかありません。
  審議状況報告の副題といたしまして、「ICTによる価値創発に向けて」とありますのも、そのような意味を込めてつけたものでございます。新たな価値を創発するためには、イノベーションが不可欠であり、将来を見据えた新しいイノベーションを生み出すための知的活力の発現の環境を整えるのに、すべての人や物がつながるユビキタスネット社会は大変適した社会であると考えられます。そこで、知的活力発現を促すための研究開発を進めることが今後の我が国の発展に向けて極めて重要であると整理いたしております。
  そこで、重点化すべき研究開発領域について述べさせていただきますと、以上申し上げましたような研究開発の方向性に基づいて重点化すべきICT研究開発領域としては、従来からのネットワーク高度化の発展軸に加えまして、新しいパラダイムを生み、支え得るアーキテクチャー重視の視点で安心・安全に対応しつつ、将来に向けた知の創造と活用のための重点化が必要であると考えられますので、新世代ネットワーク技術、安全・安心のためのICT、ユニバーサル・コミュニケーション技術の3領域に整理いたしました。
  新世代ネットワーク技術は、我が国が持つコア技術の国際的優位性を維持強化できるネットワーク技術とともに、世界のICTの発展にリーダーシップを発揮し得る最先端の基礎技術でございます。安全・安心のためのICTは、社会経済活動の基盤となるICT社会の安全・安心を確保する技術とともに、ICTにより広義の安全保障を確保し、安全・安心な社会環境を実現する技術でございます。ユニバーサル・コミュニケーション技術というのは新しい言葉かもしれませんが、個の知的創造力を増進することができるプラットフォーム技術や、言語、文化、身体能力の壁を超越することができるコミュニケーション技術を総称してこのような技術名とさせていただいております。
  今後の検討において、これらの方向を踏まえ、具体的な研究開発の推進方策を検討することといたしておりますが、イノベーションを加速する方策として、ナショナルプロジェクトが極めて重要な手だてではないかと考えております。具体的にどのようなプロジェクトにどのように取り組むか、そのあたりは今後の検討課題と考えているところでございますが、これまでの議論を踏まえて、アーキテクチャー、イノベーション、新ビジネスの創出、国際的な対応、我が国固有の問題解決や国民の視点といった観点に基づくプロジェクトが極めて有効なのではないかと考えている状況でございます。
  以上、簡単ではございますが、研究開発戦略委員会で行っております審議状況の中間まとめという格好で報告をさせていただきます。
  以上でございます。
齊藤分科会長  はい、ありがとうございました。
  ただいまのご説明でございますが、何かご質問、ご意見はございませんでしょうか。
 
村上(輝)委員  ただいまのご報告の中で、重点化すべきICT研究開発領域の部分で、新しいパラダイムを生み・支え得るアーキテクチャー重視の視点ということが安全・安心とか知の創造と並んで強調されておりますが、これは非常に意義深いことだというふうに思います。ユビキタスネット社会に向けて、多様なインフラが整備されつつあり、その中にも我が国の競争力が高いものがたくさんあるわけですけれども、それらをトータルで見たときに、全体のアーキテクチャーが具体的にどういうふうになっていくべきかという部分は全くの未到の領域でありまして、ここはそのアーキテクチャー自身について新しい考え方、新しい技術を生み出していく必要がある領域かと思います。それも、従来の考え方を超えて、例えば無線から発想して、無線で全体の統合をしていくとか、しわ取りをしていくというような発想も日本の今の技術の状況であれば大きな可能性を持っていると思っておりまして、ここが中間の取りまとめということですが、これからの最終取りまとめに向けて検討が深まっていくことを非常に強く期待したいと思います。
齊藤分科会長  ありがとうございました。
  具体的にどういうふうに進めるかということについては、今言われたとおりでございますが、日本全体の科学技術政策の今後にとって非常に重要でございますので、特にこのICTについて、ばらばらじゃなくていろんな研究が最終的にはまとまっていけるような方向で全体の構図を考えるということはぜひお願いしたいと思います。後半の課題として、ぜひよろしくお願いしたいと存じます。
  ほかには何かございませんでしょうか。
土井委員  今、村上委員からご指摘があったように、アーキテクチャーを考え直すということは非常に重要なことだと思います。特に、そういう点では、知的活力の発現ということで、知を配信する。今まで、この委員会の中でも指摘がありましたけれども、インターネットは実はこれほどライフラインになるとは思って開発されてこなかった経緯があります。ですが、ライフラインになっている。また、そういう経験を踏まえて、どういうふうにアーキテクチャーを組み直していったらいいか。特にネットワーク、今無線というお話もありましたけれども。
  もう一つ、携帯電話で皆さんが着メロとか着うたとか、自分でお金を払って著作権を得る、コンテンツを自分がちゃんと所有しているということに関して、随分著作権に対する考え方は変わってきていると思います。そういう著作権に関する意識が変わってきているということは、知を共有して配信する、それを再利用するということに関する意識も変わってきていますので、そういうユーザーの視点も考え合わせて、ぜひアーキテクチャーを考え直すということで、ユビキタスネットワーク社会という中でどういうふうなアーキテクチャーがあるかというのをぜひ考えていただきたいと思います。
齊藤分科会長  ありがとうございます。
  ほかには何か。
酒井委員  この中で、今後の推進方策ということで、将来を担える人材育成、これはある意味じゃ大学も大きな役割を持っているわけでございますが、最近、非常に産業界の方から大学の人材育成の方針についていろいろい考えてほしいという要望もかなり強く言われておりますし、また、私どもも、逆に言うと、ドクター及び修士の学生を本来どういうふうに育てるべきで、どういうドクターが望ましいのかというのもかなり真剣に考えております。
  一方、逆に若い人のほうから見ると、特に高校生あたりですと、おそらくICT業界のエンジニアというのはあまり夢のある職業じゃなくなりつつあるのではなかろうかとちょっと危惧しておりますし、韓国の方とお話ししたのですが、韓国も全くそういう印象を持っておりまして、もちろんサムソンはじめ非常に強い企業はいるのですが、やはり高校生からすると、ICT業界の技術者というのはそれほどいい職種だと思われていない。ところが、ベトナムの方へ話をしましたら、非常に優秀な人がベトナムでは来る。そういう形で、日本の場合、やはり若い人から見てICT業界は非常に夢のある業界じゃなきゃいけませんし、大学としても、こういう人材を育てるというところではっきりした考え方を持ちたいと思っておりますので、その辺も含めて何らかの意見というのか、こういう人材を大学と協力してこういうふうに育成することも大事ではなかろうかというようなことも入れていただけるとありがたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
齊藤分科会長  なかなか本質的な難しい問題で、研究開発の中にうまく入れ込むというのはなかなかだと思いますが、非常に重要な問題だと思います。
  ほかには何かございますでしょうか。
  これを中間報告として、今後さらに、皆さんのご意見を伺いつつ、最終報告にまとめていくということでございまして、今お三方から大変前向きのお話を伺いまして、ありがとうございました。
  きょうは、時間のこともありますので、これぐらいにしてよろしゅうございましょうか。さらに後半の検討が進みますので、ぜひまたいろいろご意見をいただきつつ、非常に重要な今後の研究開発戦略、これは総務省の研究開発戦略であると同時に、日本全体のICT戦略でございますので、ぜひ後半の検討をよろしくお願いしたいと思いますので、よろしゅうございましょうか。
  それでは、どうもありがとうございました。中間報告としては了承したいと存じます。
 
(2) 「小電力の無線システムの高度化に必要な技術的条件」のうち「移動体識別システム(UHF帯電子タグシステム)の技術的条件」のうち「高出力型950MHzメガヘルツパッシブタグシステムの技術的条件」について

齊藤分科会長  次の議題でございます。諮問2009号、「小電力の無線システムの高度化に必要な技術的条件」のうち「移動体識別システム(UHF帯電子タグシステム)の技術的条件」の、さらにその中のうち「高出力型950MHzメガヘルツ帯パッシブタグシステムの技術的条件」ということでおまとめいただいたということでございます。
  調査・検討をしていただきました小電力無線システム委員会の主査でいらっしゃいます中川委員から検討の内容のご報告をお願いいたします。
中川委員  中川でございます。
  先ほどのICTの話に多少関連すると思いますが、ユビキタス社会にとって一つ大きな技術であります無線タグの委員会といったらいいのじゃないかなと思います。
  無線タグ、電子タグというものがどんなものであるか、資料が2−1、2−2、2つございまして、きょうは時間の関係上、資料の2−1を中心に、前半私が話しまして、後半は事務局からお話しできると思います。
  2−1の資料をまず見ていただきます。そして、前からではなくて、すみませんけれど、例えば7ページとか8ページ、電子タグ、無線タグというものがどういうものであるかというお話をまずしておきたいと思います。
  百聞は一見にしかずで、写真がございますけれども、これは空港における実証実験の様子でございまして、下にベルトコンベアがございますけれども、その上をスーツケースとか荷物とか、いろいろ通り抜けていくわけです。そのときに、どういうスーツケースが通ったか、だれのか、どこへ行くのかを識別することが非常に必要で、それを今まで人間がやっておりましたのを機械がやる、効率が上がるということで、非常にある意味で国際的な場でやらなきゃいけないという、空港における実験の様子でございます。ここをアンテナが四方に、結構大きなアンテナでございますけれども、それでもってタグに電波を当てまして、タグはそれに応答するというものが電子タグ、または無線タグでございます。
  我々は小電力無線システムという委員会の中で、きょうは高出力950MHzメガヘルツ帯のパッシブタグシステムの技術的条件について報告したいと思います。
  それで、背景といたしましては、今までタグはどんなものが使われてきたかといいますと、135kHzキロヘルツ帯、無線の場合周波数が非常に大切でございます。13.56MHzメガヘルツ帯、2.45GHzギガヘルツ帯、日米を共通して使用可能でございました。これによって、物品、物流管理ができる、またセキュリティ管理ができる、交通系カードシステム等にお使いになっていらっしゃいます。例えば、13.56MHzメガヘルツなんかは非常に使われておりまして、suicaはこれの周波数を使っていたと思います。この周波数だけでは不足してきているというのが現状でございまして、電子タグシステムの小型化、低価格化の進展、食品管理、医療、金融などの幅広い分野における高度な利用、またはユビキタスネットワーク社会における基盤的なツールであるということで、比較的長距離の通信が可能なUHF──300MHzメガヘルツから3GHzギガヘルツ帯域でございます──テレビなんかでもUHFのテレビの電波で非常に使いやすい、比較的小さなアンテナで遠くまで飛ぶということでございます。これをUHF電子タグシステムに関しまして、平成16年7月から検討してございます。この委員会では、433MHzメガヘルツ帯アクティブタグ、それから800もしくは900MHzメガヘルツ帯のパッシブタグ、その中で高出力型と低出力型がございますが、今回は高出力型を検討してございます。
  次のページ、3ページ目でございます。
  審議経過でございます。小電力無線システム委員会の構成員は次のとおりでございまして、この下の表でございます。私が一応座長ということになってございます。それから、UHF帯電子タグシステム作業班、大いに議論していただいて、煮詰めていただきましたが、次のページ、5ページ目だと思いますけど、若菜さんを中心にして組んでいただいております。9月22日に関係者からの意見聴取の機会を設けた結果、433MHzメガヘルツ帯アクティブタグシステムに関する意見陳述を希望し、申し出が1件ございました。これは国土交通省でございまして、期待感を言っていただいたということでございます。
  それから、11月4日、UHF帯電子タグシステム作業班において、高出力950MHzメガヘルツ帯パッシブタグシステムの技術的条件に関する委員会報告案を取りまとめてございます。
  1112日から12月2日にかけまして、この高出力のパッシブタグシステムに関して、パブリックコメントをしました。その結果、13件のコメントが寄せられております。それの詳細は資料の2−4にございます。
  12月8日には、パブリックコメントの内容を踏まえ、委員会において高出力950MHzメガヘルツ帯パッシブタグシステムの技術的条件に関しまして、委員会報告を取りまとめてございます。
  ということで、この委員会、それから950MHzメガヘルツ帯の件に関しまして、ざっとご報告いたしましたけど、後半は事務局よりよろしくお願いします。
藤本移動通信課移動通信企画官  それでは引き続きまして、事務局からご説明させていただきます。
  6ページ目をごらんいただきたいと思います。
  これは、800900の電子タグをどのようなアプリケーションで使うかということの例でございまして、例えばフォークリフトに物品を載せるパレットとかケースにタグを張って、それをフォークリフトがゲートを通過するときに一括して読み取るというようなアプリケーションです。あるいは、横にありますような空港のターンテーブルでございまして、7ページ目に写真がございますが、実際に成田空港で実証実験等も行われております。
  続きまして、8ページ目でございますが、パッシブタグシステムの基本的な機能ということで、おさらいになりますけれども、一応書いております。リーダ/ライタという質問器からパッシブタグに向けまして、電波を発射して、電力供給をいたします。その後、リーダ/ライタから質問コマンドをパッシブタグに発射しまして、パッシブタグにおきましては、そのコマンドに応じてIDコード、あるいはいろんな情報を返す、あるいはリーダ/ライタからパッシブタグのメモリに書き込むというような形で機能しております。
  このリーダ/ライタとパッシブ間の電波の波形の例示を挙げたのが9ページでございます。最初にパッシブタグを受信状態にするために、リーダ/ライタから搬送波等の電波を出しまして、その後質問コマンドを出します。質問コマンドを受けたパッシブタグから、青い線で、非常に微弱な電波になりますけれども応答を返す。ただし、この際にもパッシブタグに電源供給をし続ける必要があるために、リーダ/ライタは電波を発射し続けるというような状態でございます。
  10ページ目では、800900に求められております比較的長距離の通信ということにつきまして検討が行われておりまして、横軸にリーダ/ライタからの送信電力、それとリーダ/ライタとパッシブタグ間の通信距離の関係をあらわした、実線が理論値でございます。それと、丸の点と三角が実測値の例でございまして、このような関係があるということが報告されております。本委員会におきましては、やはりリーダ/ライタとパッシブタグの通信距離を大体欧米と同じように5メートルを目安としようという合意が得られまして、5メートルの通信距離の場合のリーダ/ライタの送信電力というのをこの表から求めますと、大体27から36dBmという値になっております。本委員会におきましては、この中でも36dBmという欧米でも用いられております電力を基本に検討が行われました。
  続きまして、11ページ目が、800900のパッシブタグに利用する周波数帯についてでございます。このパッシブタグを早期に利用したいというニーズが多いことから、すぐにでも使えるような周波数ということで、950から956MHzメガヘルツの周波数を候補として検討が行われました。この場合、隣接するシステムといたしまして、PDCの携帯電話並びにSTL──Studio to Transmitter Linkといいまして、放送の固定回線でございますが──STLリンク、あるいは日本では2012年以降にIMT−2000あるいは携帯電話等を将来900MHzメガヘルツ帯に700MHzメガヘルツ帯と対で導入しようという予定でございますので、IMT−2000との干渉検討、さらにはちょうど950の2倍高調波がPHSに当たりますので、PHSとの干渉検討を行っております。ちなみに、欧州と米国でのRFIDの周波数の状況をここに示しておりますが、欧州におきましては、863から870の周波数、SRDと申しますのは、Short Range Devicesの略でございまして、小電力の無線システムでございます。その中でRFIDを共用して使っております。また、米国におきましては、902から928MHzメガヘルツのISMバンドをRFIDが利用できるようにというふうになってございます。
  このように、日米欧で一応周波数が異なるわけでございますが、12ページ目がパッシブタグシステムの動作原理という絵で、パッシブタグは、広範囲の周波数に対応可能というものをあらわしている図でございます。パッシブタグと申しますと、リーダ/ライタからの電波を受けまして、その電波にそのまま電子タグのID等の情報を乗せて送り返すだけの装置でございます。また、パッシブタグ自体は全然周波数フィルター等を有しておりません。したがって、パッシブタグは広範囲の周波数に対応可能となっております。ISOの国際標準におきましては、860から960の範囲の周波数ということで国際標準化が行われておりまして、それが13ページ目の表に挙げておるものでございます。本年の春ごろに標準化されたものでございますが、周波数がごらんのとおりで、ただし、出力、スプリアス等の電波の質に当たる部分につきましては、各国の電波法令に従うというような国際標準化がされております。したがいまして、これの日本での技術的条件を決めるということで、本委員会において審議いただいたものでございます。
  続きまして、14ページ目が本委員会におきまして検討対象としたタグの分類でございますが、800900のパッシブタグシステムにつきましても、高出力型と低出力型で分けて検討するのがいいであろうということになりました。高出力型は比較的長い通信距離を確保する必要があるような業務用のアプリケーションで使うものでございまして、先ほどありましたようなゲート型、据置型のタイプのものでございます。あと、高出力ということで、免許が必要な構内で使う形の無線局というものでございます。
  一方が低出力型でございまして、これはあまり長い通信距離は求めない、また一般のユーザーも利用するようなリーダ/ライタという形で、ハンディ型が想定されるというものでございました。もちろん出力10mW以下の免許不要が望ましいということで、このように分類分けして検討が行われましたが、後ほどご説明しますように、今回のところ、共用化を進めるための技術というところにつきまして、まだ時間が足らなかったということがございます。共用化技術がないという場合には、免許不要タイプはまだユーザーに混乱をもたらすかもしれないということで、引き続き継続検討としまして、高出力型のみを、免許タイプということもございますので、一部答申するという状況でございます。また、433MHzメガヘルツのアクティブタグにつきましては、アマチュア無線との共用検討のための電波暗室等における実証実験がまだ実施されておりませんので、それを待って、その結果をもとに継続検討という状況でございます。
  15ページ目が、まず800900のパッシブタグの周波数帯についての考え方でございまして、先ほどありましたように、欧米におきましては、ショート・レンジ・デバイスとの共用、あるいはISMバンドへの利用ということで、他からの混信を容認する運用でございまして、我が国においても同じような運用が、周波数有効利用の観点から考えられるのではないか。すなわち、今まで800900メガでの周波数帯では小電力無線システムとしてさまざまな用途に利用できるような周波数がなかったことから、このパッシブタグシステムの周波数を割り当てるに当たりましては、同一周波数帯でさまざまな産業用途、個人用途の小電力無線システムとの共用をするのが適当ではないかというものでございます。
  16ページ目では、そのための共用化技術の検討でございますが、このように小電力無線システムと共用するとか、あるいは同一システム間でももちろん共用を図る必要がございますので、950MHzメガヘルツ帯パッシブタグシステムにおきましては、周波数ホッピングや間欠通信、あるいはキャリアセンス等の共用化技術を具備することが望ましいというふうに考えられます。
  ただし、一般にパッシブタグシステムにおきましては、パッシブタグは周波数フィルターを有しておりませんので、周波数ホッピングのような周波数上の共用化技術よりは、間欠通信プラスキャリアセンスといった時間軸上の共用化技術が有効であろう。欧州においてもそのような技術が採用されているところでございますが、まだ時間的に具体的な技術につきましては検討ができておりません。高出力型のみ今回一部答申という状況でございます。
  17ページ目が、隣接システムとの干渉検討ということで、先ほど申し上げましたが、PDC、将来のIMT−2000STL、さらに2倍高調波のPHSとの干渉を、ポイントといたしましては、リーダ/ライタのスプリアス並びにリーダ/ライタの電力が隣接システムの感度を抑圧するという感度抑圧の観点で検討を行っております。
  18ページ目からが個々の干渉の検討の結果でございますが、まず最初に、一番近接で利用しておりますPDCへの干渉でございます。リーダ/ライタの送信電力を36dBmとした場合の感度抑圧対策といたしまして、PDCから2MHzメガヘルツの離調をとることが望ましい。また、スプリアスをマイナス55dBm/100kHzキロヘルツとすることが望ましいという検討結果が出ております。 
  次に、IMT−2000でございますが、検討結果は以下のとおりということでございまして、リーダ/ライタの送信電力を36dBmとした場合の感度抑圧でございますが、この場合2MHzメガヘルツ離調としましても、あるいは7MHzメガヘルツ離調としましても、まだ干渉の可能性があるという結果でございました。また、リーダ/ライタのスプリアスをマイナス55dBmとした場合でも31メートル以内で干渉の可能性がある。さらに、例えばリーダ/ライタの離調周波数を7MHzメガヘルツぐらいとりますと、大体マイナス65dBm/100kHzキロヘルツ、これがマイナス55dBm/MHzメガヘルツに相当しますけれども、それぐらいにスプリアスを抑えられるわけです。それにしましても、10メートル以内での干渉の可能性があるという結果でございました。ただし、これらはある特定の1対1の対向の場合の自由空間伝播モデルを用いた干渉検討結果ということでございまして、今後、さらに実際の運用状態に即した方法での干渉検討を行っていくことが望ましいという状況でございます。また、将来956から957PDCが停止された場合には、必要に応じまして、パッシブタグシステムの周波数を再検討することが望ましいという結果になっております。
  続きまして、19ページ目がSTLPHSでございますが、スプリアスをPDCの計算から得られましたマイナス55dBm/100kHzキロヘルツ、あるいは十分に周波数の離れたところでのスプリアス、マイナス55dBm/MHzメガヘルツという値にすることによりまして干渉の可能性はないという状況でございます。
  ちなみに、隣接帯域システムからパッシブタグへの干渉につきまして、具体的にはPDC端末からの干渉の可能性でございます。その可能性があるという状況になっておりますが、PDC端末でございますので、移動するということもございまして、パッシブタグシステムとしての運用上は大きな問題にはならないということと、欧米における運用状況にも合わせまして、この950MHzメガヘルツ帯パッシブタグシステムは、他システムからの干渉を許容しても運用できるものという位置づけで報告されております。
  このような検討結果を踏まえた技術的条件が20ページ以下でございまして、周波数につきましては2MHzメガヘルツ離調ということで、952から954MHzメガヘルツ、電力につきましては、空中線電力を1W以下、空中線利得を6dBi以下ということで、送信電力を36dBm以下というふうにしております。21ページ目が、スプリアスに関する条件でございまして、2MHzメガヘルツ離調あるいは7MHzメガヘルツ離調のスプリアスにつきましては、干渉計算の結果を踏まえたものにしまして、それ以外の周波数につきましては、一般則を用いております。
  次、22ページ目が電波防護指針への適合性ということでございまして、36dBmの送信電力を持つリーダ/ライタから人体への影響という観点で、電波法施行規則に規定されております計算を行って、このように22.3センチから、場合によっては71.3センチの範囲におきまして人が入らないような措置をすることが必要という計算結果が得られております。
  また、医用機器への影響につきましては、実際に電波がどのような影響を及ぼすかということでございますが、これにつきましては具体的な実証実験による検証が必要でございまして、総務省におきましては、来年度早急に具体的な装置を用意いたしまして、この検討を行っていきたいと考えているところでございます。
  最後に、継続検討課題ということで整理したものが23ページ目でございまして、キャリアセンスや間欠通信等の共用化技術を検討するとともに、低出力型パッシブタグシステムの技術的条件を検討していく。さらに、433MHzメガヘルツ帯のアクティブタグシステムを、電波暗室等での実証実験を踏まえて検討していくという状況でございます。
  資料2−1は以上でございまして、小電力無線システム委員会の報告が資料2−2でございます。
  資料2−2の一番最後の3ページほどに、別添といたしまして、一部答申案をつけてございます。また、先ほど中川委員からご説明ありましたように、資料2−4が委員会報告案に対するパブリックコメントの結果でございまして、2ページ目にあるような方からコメントをいただいております。主な内容といたしましては、早期の制度化を望むというような意見、あるいはやはり周波数をもう少し広目に将来的に検討すべきではないか、やはり携帯電話のほうが重要で、電子タグにこの周波数を使うものは適当ではないというような意見、ユビキタスの時代を迎えまして、センサーネット、あるいは例えばITSの分野におきましてもこのような周波数の利用というものが考えられるので、ぜひ共用化技術について引き続き継続検討をお願いしたいというような意見がございました。
  委員会報告につきましては以上でございます。
齊藤分科会長  ありがとうございました。
  ただいまのご説明でございますが、何かご質問、ご意見などございましたら、お願いいたします。
村上(輝)委員  まだ決着がつかないというのは非常に意外な結論で驚いておりますけれども、今回やった検討で出てきた問題を解いていくのに、どのくらいの時間がさらに必要なのかということについてお聞きできればと思います。もともと、この950UHF帯は米国との関係をどうするかというところでかなり分厚い議論が行われた結果、この950に来て、950で各種の取り組みがもう進んでいるという状況ですので、できるだけ早い決着が強く望まれていると思います。それが第一。
  第二は、携帯3Gとの関係ということですけれども、どちらが大事という議論は非常に難しいと思います。携帯は既に事業が始まっている、電子タグはこれからの事業であるということなわけですけれども、ユビキタスネット時代に重要であるということは両方とも同じでありまして、電子タグにつきましては、未知数の部分が多いだけにその可能性を幅広にとるような施策が大事だと思っております。どちらが重要かということについてはどちらも重要で、隣接している携帯電話側の900から950までの周波数帯につきましては、これから2012年に向けまして、整理が行われる周波数帯であります。したがいまして、その中で電子タグの950MHzメガヘルツ帯が有効に機能できるような手だても、そのプロセスの中でも考えていただけるとありがたいと思っております。この2つの点について、今の段階でお答えできることがありましたら、お答えいただきたいと思います。
藤本移動通信課移動通信企画官  事務局からお答えさせていただきます。
  まず最初の継続検討課題につきましては、全然長いスパンでは考えておりませんで、半年以内には完成するのではないかと思っております。ポイントといたしましては、タグを開発されている側の人たちの間でのコンセンサスがなかなか得られていなかったというのがございますので、そう時間はかからないのではないかなと思っております。
  2つ目のIMT−2000との関係でございますが、IMT−2000につきましては、今回の干渉検討は1つのモデルについて検討したものでございますので、今後、例えば分布を考えたような干渉検討モデルとかを検討していく必要がございますし、また、共用化技術を当てはめますと干渉の率が下がったりしますので、その共用化技術も踏まえた検討、並びにそれぞれパッシブタグシステムにつきましても、あるいはIMT−2000につきましても、今後も技術的な高度化が考えられると思いますので、それらを踏まえて、将来的な課題として引き続き検討していく必要があるのではないかと考えております。
齊藤分科会長  よろしゅうございましょうか。
  このグローバル化、国際物流というものに使われるものについては、一応今日の高出力型ということで決着していると思ってよろしいのですね。それで、低出力型というのはもっと密着型の使い方をするアプリケーションで、それも、海外で買ったsuicaの切符を日本で使うなんてことはないと思いますが、何かそれしきのグローバル化というのがこれからあれば何かあるかもしれませんが、一応海外との関係においてのものは、現在問題になっているものについては決着されていると思ってよろしいのですか。
藤本移動通信課移動通信企画官  特にニーズが強い業務用で使う部分につきましては、今回ので決着したのではないかなと考えております。
中川委員  補足します。
  ちょっと考えると高出力型のほうがいろんな問題があるのはというふうに捉えられがちですが、使う場所が非常に限定されておりますし、構内無線という免許の必要なものでございますので、その辺はいろんな問題をクリアできていると考えております。
齊藤分科会長  3Gの問題については、3Gがこの周波数帯でほんとうに使われるようになるのはいつですか。これは間もなく使われるのですか。
竹田電波部長  今の予定ですと、下側のほうのペアが今放送のアナログに使っておりますので、それが停止した後で、2012年ということでございます。
齊藤分科会長  この周波数帯が使われるようになるのは2012年。ですから、それまでに解決すればいいというのはのんびり過ぎますが、それほど一刻を争うということではないと思ってよろしいですか。
児玉移動通信課長  ちょっと補足しますと、18ページに先ほどの干渉検討が出ておりますけれども、将来に向けてより干渉の可能性が減るという方向にはなるわけですけれども、現在の1対1のモデルに基づいた検討でも20メートルあるいは数十メートルの範囲で干渉の可能性があるというのをどう見るかということなのですけれども、しかもこれは構内ですから、限定された場所で使う。それから、IMT−2000のほうも動き回るわけでございますので、そういう意味では、誤解していただきたくないのは、一定の共用がこれで図れるだろうという一定の結論を出した上での話です。ですから、さらに今後、双方の技術開発によりまして、より干渉の可能性が少なくなるということでありまして、ここで将来にこの課題を引っ張っていくということではないということをご理解いただきたいと思います。
齊藤分科会長  ということは、成田空港の何か知らないけど、こういうもののそば、31メートルぐらいに近づくと、多少シャーッというかもしれない。アナログじゃないからシャーッと言わないのかな。
児玉移動通信課長  しかも、IMT−2000というのは先ほどお話があったように2012年ですから、そこまでの間にはもっとよりよくなると思いますので。
齊藤分科会長  使われる場所が限定されているということ。なおそこのところの検討は必要だけれども、全然だめだということではない、そういうことですね。よろしゅうございましょうか。
  ほかには何かありますか。
  もしよろしければ、低出力型その他につきまして、さらに継続の検討があるということでございますが、現在の答申については資料2−3のとおり一部答申といたしたいと存じますが、いかがでございましょうか。よろしゅうございましょうか。
 
(「異議なし」の声あり)
齊藤分科会長  それでは、案のとおり、一部答申とすることにさせていただきたいと存じます。
  それでは、本日の答申に対しまして、総務省から今後の行政上の措置その他についてご説明をうかがえるということでございますので、竹田さん、よろしくお願いいたします。
竹田電波部長  総合通信基盤局電波部長・竹田でございます。
  委員の皆様方は、日ごろ私どもの電波行政に関しまして、多大なご支援をいただいております。厚く御礼を申し上げます。
  本日は、高出力型950MHzメガヘルツ帯パッシブタグシステムの技術的条件についての一部答申をいただきまして、まことにありがとうございます。
  先ほどの報告でも、ユビキタスネットワーク社会に向けた研究開発ということで、中間報告をいただいたわけでございますけれども、そのユビキタスネットワーク社会の大きな一つのキーエレメントであるのがこの電子タグというふうに私どもは理解しております。この電子タグの小型化あるいは低価格化ということで、非常に幅広い利活用が期待されているということでございます。この件につきましては、ことしの3月に齊藤分科会長に座長をやっていただきました「ユビキタスネットワーク時代における電子タグの高度利活用に関する調査研究会」の報告にも盛られておりまして、ベースのケースで、2010年の経済波及効果が17兆円、普及が促進された場合には31兆円という、社会経済的にも非常に大きな分野と認識しております。
  本日は、一部答申ということで、UHF帯の電子タグのご答申をいただいたわけでございます。これは先ほどのご説明にもありましたとおり、ほかの周波数帯に比べて遠くに飛ぶという特徴を持って、国際物流等の分野で大変期待されているということでございます。私どもいたしましては、今日の一部答申に基づきまして、新しい技術基準の導入ということを進めてまいりたいと思います。スケジュールとしましては、次回の電波監理審議会が1月にございますので、ここに諮問を行いまして、パブリックコメント等の手続を経て、関係規定の整備を早急に進めてまいりたいと思います。
  大変ご熱心にご審議をいただき、一部答申を取りまとめていただきました委員の皆様あるいは専門員の皆様方に厚く御礼を申し上げます。また、先ほど村上委員からもご指摘がありましたけれども、継続検討課題の部分についてもできるだけ早くご答申いただけるよう検討をお願いできればと思います。本日はまことにありがとうございました。
齊藤分科会長  どうもありがとうございました。それでは、よろしくお願いいたします。

 
(3) ITU−T部会報告
【電気通信技術審議会諮問第2号・報告】

齊藤分科会長  次に、残った議題でございますITU−T部会報告、これが最後でございますが、ITU−T部会の部会長でいらっしゃいます原島委員からご報告お願いいたします。
原島分科会長代理  ITU−T部会の部会長を務めております原島でございます。
  ITU−T部会の審議状況について報告させていただきます。資料としましては、資料3−1、情報通信審議会情報通信技術分科会ITU−T部会報告概要及び資料3−2、情報通信審議会情報通信技術分科会ITU−T部会報告、あと、別添として1と2がございます。概要となっております資料3−1に基づいて報告させていただきますが、概要といいましても、本文よりも厚い概要でございまして、それだけ内容が濃いとご理解いただければと思います。
  概要の構成について簡単に説明させていただきますと、最初にITU−T部会の任務、構成についてまとめたもの、その次にITU−T部会は4年を研究会期として、それを区切りとして審議を行っておりますが、200年から2004年の研究会期においてそれぞれのSG等でどのような審議が行われたかというのをまとめたのが5ページから11ページでございます。
  その後、実は今年の10月に、ブラジルにおきまして、WTSA−04(世界電気通信標準化総会)が開かれました。それに先立ちまして、8月17日にその対処方針について審議を行い、一部答申をいたしました。その説明が13ページから14ページということでございます。
  その次に、そのWTSA−04でどのような審議が行われ、どのような結果が出されたかというのがお手元の資料の概要の27ページまででございます。そのWTSA−04の結果を踏まえまして、次の会期である2004年から2008年、ITU−Tがどのような構成で検討していくかというのを31ページまでまとめてございます。
  最後に、参考ということで用語解説がついております。ITU−Tについて説明しますと、時々ITUというのは何の略ですかという質問も受けますので、この分野は非常に略語が多くございまして、それをまとめたものを特に作成してございます。
  それでは、最初に戻りまして、概要の2ページ目、ITU−T部会の任務でございますが、これは情報通信審議会諮問第2号、国際電気通信連合電気通信標準化部門(ITU−T)の活動への対処についての諮問がなされておりまして、その審議を行うことを任務としております。具体的には、世界電気通信標準化総会(WTSA)、ITU−Tの各研究委員会(SG)、それから電気通信標準化諮問委員会(TSAG)等の会合に提出されます寄書とか勧告案、あるいは研究課題案に対して評価し、場合によっては対処方針等を調査、審議を行う、そういうことをしております。
  ご承知のとおり、ITUは情報通信分野のグローバルな発展に必要不可欠な情報通信技術の国際標準化を推進する国際標準化機関でございまして、ITU−Tはそのうちネットワークの標準化を担当しております。ITU−Tは、情報通信分野における新たな重要技術の国際標準化について、かなりのものを抱えておりまして、その動きに適切に対処していくということが、我が国の情報通信技術の国際競争力を確保するという点から重要であるということでございます。
  このような部会の任務に対しまして、お手元の資料3ページ目にありますように、前会期中、ITU−T部会は10の委員会を設置して審議を行ってまいりました。ご参考までに、2000年から2004年までの研究会期におけるITU−Tの構成を4ページに示しております。
  次に、2000年から2004年の研究会期における審議状況を研究委員会(SG)会合等への対処の審議という形でまとめてございます。各委員会におきまして、ITU−Tの各研究委員会(SG)への活動に対してその対処の審議等を行っておりまして、その結果、6ページ目にありますような成果が得られております。数字が並んでおりますが、日本から各SG等への寄書文書は543件、そのうち日本寄書としたものは101件でございます。また、各SG会合への延べ参加者数は、全体が8,773名でございますが、日本からはその1割に当たる866名が参加しております。また、1名の議長職、6名の副議長職等をはじめ、数多くの役職を引き受けるなど、ITU−Tの活動に積極的に貢献してまいりました。
  また、前会期から、市場の標準化ニーズに迅速にこたえて標準作成を行うということが重要であるということから、電子的手段により代替承認手続、すなわちAAPを採用しておりますが、これによって勧告案、すなわち標準案が完成してから勧告承認に要する時間が平均にしまして約2カ月大幅に短縮されておりまして、前会期には新しい勧告が570件、それから改定が442件承認されております。7ページ以降11ページまで、前会期中のITU−Tにおける主な検討項目を掲載しておりますが、時間もございませんので、9ページのSG15における検討項目、PONに基づいた広帯域光アクセスシステムについて簡単にご説明させていただきます。
  SG15では、Passive Optical Network、略してPONというふうに言っておりますが、PONという光ファイバーを複数の加入者で共有する技術について検討し、600メガbps程度の伝送速度が実現されるブロードバンドPONB−PON)関連の勧告が策定されました。また、さらにこれから家庭でも大容量化が必要になるということで、より高速なギガビットクラスの伝送を可能にするGigabit−PONG−PON)についてもその基本計画が策定されております。そのほか、前会期の主な検討項目を4つほど掲載しておりますので、後ほどごらんいただければと思います。
  次に、12ページからでございますが、先ほど申し上げましたように、本年10月にブラジルでWTSA−04が開催されましたので、それに先立ちまして、8月17日に対処方針について審議を行い、一部答申がなされました。それについての報告がまとめてあります。
  13ページを見ていただきますが、今申し上げましたように、これは本年10月5日から14日まで、ブラジル連邦共和国フロリアノポリスにおいてITU−Tで4年に1回開かれています総会、WTSA−04がございまして、それに向けたものでございます。WTSA−04では、2008年までの今後4年間の標準化分野を規定する研究課題等の審議が行われたわけでございますが、これらの課題等は既に各研究委員会(SG)や、TSAG等での審議結果に基づいておりまして、そこに我が国の意見が基本的に取り上げられているということから、支持する方向で対処するということが適当であろう、という一部答申になっております。
  14ページに、一部答申の概要としまして、WTSA−04での主な検討課題と対処方針がまとめてございます。今回のWTSA−04では、次世代ネットワーク(NGN)あるいはセキュリティ等、次会期のITU−Tの最も重要な標準化分野に対する研究課題の審議、標準化作業を行い、また、標準化作業を迅速に行うというための作業手続等の見直しが行われることになっておりましたが、あらかじめこちらで審議いたしまして、それらに対して基本的に各提案を支持していくともに、ITU−Tの活動が効果的、効率的に実施できるように対処をしていくことが適当であろう、という答申がなされたわけでございます。
  この一部答申に基づきまして、総務省を中心に構成された日本代表団がWTSA−04において対処を行ったわけでございますが、その結果の概要が15ページから27ページにまとめられております。まず、そのWTSA−04につきまして簡単に紹介させていただきますと、16ページにその説明がございますが、WTSA−04会合は、本年10月5日から14日までブラジル、フロリアノポリス市で開催されまして、75カ国・6地域機関等から約480名が参加いたしました。日本からは、総務省の鬼頭技術総括審議官を団長に41名が参加しております。会合の概要としましては、新会期においてNGN(次世代ネットワーク)、ホームネットワーク、セキュリティなどの標準化を積極的に推進していくということが合意されております。また、世界情報社会サミット(WSIS)に向けた国連の準備作業を加速化するために、インターネットに関する課題につきまして、ITUとしても検討を推進するということが決議されました。
  具体的にWTSA−04での主な結果の説明でございますが、17ページにWTSA−04の構成が示されております。今回の会合は、ブラジルのピンヘイロー議長のもと、7つの委員会により審議が行われました。日本からは、ITU−Tの作業方法について審議を行った第3委員会の副議長をNTTの前田さんが務められております。
  18ページ目以降、WTSA−04での主な審議結果として5件ほど抜粋してございます。その中の幾つかを簡単にご説明させていただきます。
  18ページは、NGN(次世代ネットワーク)についての検討結果でございます。NGNは従来の回線交換のネットワークにかわる次世代のオールパケット型ネットワークでありまして、新会期の最も重要な標準化課題の一つになっております。WTSA−04では、NGNの標準化を一層加速化するために、ネットワーク構成に関しましては、右下にございますが、11の研究課題を設置することが承認されました。また、標準化体制につきましては、SG1113などのSGを統合して、NGNに関する1つのSGSGNGNを設置しようという欧州提案と、従来どおり技術分野別のSG構成として、SG間で連携をして標準化を推進すればいいというAPT(アジア太平洋諸国)及び米国提案が出されて、かなり厳しい対立の中、議論が行われました。審議の結果でございますが、我が国の提案をもとに、NGNの標準化の中核となるSGNGNを設置する。あわせて、そのSGNGNが関連するSGと連携してNGNの標準化を推進するということで合意されました。19ページにNGNに関する参考資料がございますので、後ほどごらんいただければと思います。
  次に、20ページでございますが、ホームネットワーク、セキュリティ、光伝達網に関する標準化も議論されました。NGNと同様に新会期の重要課題であるホームネットワーク、セキュリティ、それから光伝達網につきましては、標準化課題や関連SG間の連携強化について合意されております。ホームネットワークにつきましては、情報家電と外部ネットワークとの円滑な接続の実現へ向けて必要な技術の標準化活動を開始することが合意されておりまして、SG9SG16において連携しつつ検討を進めることとされました。
  又、21ページでございますが、セキュリティにつきましては、情報通信ネットワークにおけるセキュリティの重要性を踏まえまして、その標準化を総合的に推進するため、新会期ではSG17の一つの課題で審議が行われてきましたセキュリティ関連の課題について、右上にございますように、前の会期ではSG17の一つの課題で行われてきたわけですが、それを新会期では6つの研究課題という形になりまして、積極的な審議が行われることになったわけでございます。
  22ページでございますが、光伝達網につきましては、多数の加入者で光ファイバーを共同利用してギガビットクラスの通信速度を実現するG−PONや、光ネットワークの通信経路を回線の空き状況に応じて自動的に切りかえる技術であるASON等につきまして、詳細な標準化活動を推進するということになりました。
  なお、この光伝達網の分野は、ITU−Tにおいても最も活発に活動が行われているところでございます。
  次に、23ページでございますが、手続に関することでございます。勧告承認における要件の見直しということもいろいろ議論されました。冒頭、若干ご説明申し上げましたけれども、前会期から、技術に関するITU−T勧告につきましては、電子メールを用いた電子的手続による代替承認作業(AAP)を行ってきておりますが、現在の手続では、AAPで承認されず、SG会合に諮る際には、1カ国でも主管庁の反対があれば勧告として承認されない、あるいは承認が大幅に遅れる可能性があるという問題がございました。そのため、今回、我が国を含むAPT共同提案として、3カ国以上の反対がない限り勧告が承認されるような改正提案を提出しましたが、米国等の反対があって対立したため、最終的には議長の裁定によりまして、2カ国以上の反対がない限り承認されるように改正する方向で、TSAGにおいて要件の改定を行うことになりました。
  その他、ITU−T活動の戦略的な調整強化などの検討がなされておりますが、これも後ほど資料をごらんいただければと思います。
  以上が、WTSA−04での主な検討結果でございます。
  また、26ページにございますが、もう一つ重要な事項がございまして、それは人事でございます。
  WTSA−04において、新会期の各SGの議長、副議長の選出がなされました。日本からは、SG議長2名、副議長8名を候補としておりましたが、全SGの中でも格段に参加者が多いSG15の議長を含めまして、すべての候補者が任命されました。参考までに、27ページに各国ごとの議長、副議長の数を示してございます。我が国は、議長と副議長を合わせますと10名おりまして、合わせた数でいいますと、米国を超えて世界で一番多い国ということになっております。今後、我が国としてなお一層の貢献を行っていくことが重要であると考えております。
  以上がWTSA−04の結果についてのご説明でございます。
  続きまして、この04を受けまして、次の会期である2004年から2008年までのITU−Tについての検討体制についてご説明申し上げます。
  29ページにございますように、WTSA−04におきまして、NGN(次世代ネットワーク)に関するSGとしてSG13が新たに設置されるなど、新しい会期のITU−Tの構成が決定されました。これを踏まえまして、我が国における審議機関であるITU−T部会における標準化活動への取り組みを強化するため、ITU−T部会の構成についても見直しを行ったわけでございます。具体的には、新会期の重要課題としまして、SG13を中心に関連SGが連携して次世代ネットワークの標準化を推進することが決定され、中でもNGNの網構成を担当するSG13と、NGNの信号、プロトコルを担当するSG11は密接な連携が必要として、両方のSGが同時期、同地域で開催されるということが決議されたことを受けまして、ITU−T部会におきましても、SG11及びSG13を担当する次世代ネットワーク委員会を新たに設置することといたしました。
  また、先ほどご説明申し上げましたように、情報通信ネットワークにおけるセキュリティの重要性を踏まえまして、新会期は6つのセキュリティ関連の課題が設置されるなど、非常にこの分野は重要になっておりますので、それに対処していくために、SG17を担当するセキュリティ・言語委員会を設置いたしました。
  また、NGN、セキュリティなどの重要な標準化課題に対して効率的かつ効果的な標準化活動を行うため、ワーキンググループの設置についても積極的に検討を行っていく予定でございます。
  31ページに、新会期における今後のITU−T部会の構成が示されております。新会期は既に始まっておりまして、各SG会合も次々と開始されておりますが、この新たな体制のもと、ITUを一層戦略的に活用していくために、ITU−T部会における我が国の対処の検討を従来にも増して充実させていきたいと考えております。
  以上、ITU−T部会からの報告でございました。
齊藤分科会長  ありがとうございました。
  大変詳しく最近のITの流れ、各委員会についてご報告いただきまして、ありがとうございます。
  ただいまの説明につきまして、何かご意見、ご質問はございませんでしょうか。
  特にございませんでしょうか。
  新しい会期に入るということで、またますます日本の貢献が求められていくということだと思いますが、ぜひ今後ともよろしくお願いします。
  何かございますか。
村上(輝)委員  SG13SG17については、別途ワーキンググループができてということですが、SG16SG9でやりますホームネットワークについては、これからということなのでしょうか。
田中通信規格課長  事務局よりお答えさせていただきます。
  ワーキンググループの設置につきましては、各委員会で設置するかどうか検討することになっておりますが、今、例示といたしましては2つ、NGNとセキュリティを書かせていただいておりますが、それ以外につきましても、今ご指摘頂いたのホームネットワーク、それから、前会期までそれ以外のワーキンググループもございましたので、それらの設置も含めて、また新しい体制で検討して、様々な課題に対して具体的に対応するように、ワーキンググループの設置等を検討していきたいと考えておるところでございます。
齊藤分科会長  よろしゅうございましょうか。
  ほかには何かご意見、ご質問はございませんでしょうか。よろしゅうございましょうか。
  特にこれ以上ございませんようでしたら、報告を了承したいと思いますが、よろしゅうございますか。
(「異議なし」の声あり)
齊藤分科会長  それでは、報告を了承したいと思います。
 
閉会

齊藤分科会長  以上で、本日用意した議題は終了でございますが、委員の皆様方から何かございませんでしょうか。よろしゅうございますか。
  事務局からは何かございませんでしょうか。よろしゅうございますか。
  そうすると、本日の会議はこれで終了でございます。
  次回は、年間スケジュールに書かれているとおりかと思いますが、1月12日、午後1時から、この同じ場所で開催ということでございます。
  以上で閉会でございます。ありがとうございました。

  ―― 了 ――

 
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担当:総務省情報通信政策局総務課情報通信審議会係 飯島
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FAX 03−5253−5714
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