ICT環境の整備

ICT環境の整備

テレワーク環境を構築するためには、ICT環境の整備も必要となってきます。
現在利用しているICT環境を確認し、必要があればシステム導入にかかる業務調整やシステム完了までにかかる期間を確認し、スケジュールを立てる必要があります。

目次 index

  1. 利用端末の確認
  2. テレワーク環境の選択
  3. コミュニケーションツール
  4. 労務管理ツール

1. 利用端末の確認

利用端末には、主にパソコンやタブレット端末、スマートフォンなどがあります。パソコンについては、種類によって機能やセキュリティの内容が異なります。

ファットクライアント(リッチクライアント)型PC

「ファットクライアント」とは、内蔵しているハードディスク内に情報を保存することができる端末のことです。書類の作成を行うアプリケーション(機能)等の操作も、この端末単体で行うことができます。オフィスに設置されたデスクトップPC の多くは、このファットクライアントです。

シンクライアント型PC

「シンクライアント」は、ほとんどの機能がサーバで処理され、出入力程度の機能しか持たない端末を指し、書類の作成や保存もサーバ上で処理されるため、データが端末内に保持されず、データ漏えいも発生しにくくなります。従業員に対しテレワーク用に貸与する端末として有効です。

スマートフォン・タブレット

営業職等が、移動中にE メール対応や決裁業務等の簡単な操作をするために導入すると便利です。MDM(Mobile Device Management)5が可能である環境を構築することで、従業員が端末を紛失した場合等、遠隔からデータを消去したり、ロックをかけたり、端末の位置情報を把握したりすることが可能です。

BYOD PCの業務利用

「BYOD」とは、”Bring your own device”の略で、従業員が私用のPCやスマートフォンなどの端末を業務で利用することです。

2. テレワーク環境の選択

テレワーク導入のためのICT環境の構築には、主に4つの方式があります。ここでは各方式の特徴に触れながら紹介してきます。

リモートデスクトップ形式

オフィスに設置されたPCのデスクトップ環境を、オフィスの外で用いるPCやタブレット端末などで遠隔から閲覧及び操作することができるシステムです。

リモートデスクトップ形式説明図 システム担当者のためのテレワーク導入手順書(総務省)
特徴
手元にある端末のディスプレイ上に、オフィスに設置された端末のデスクトップを表示したウインドウを開いてみることができ、オフィスで行っていた業務をそのまま引き続いて自宅で作業できるメリットがある。一方リモートで見ているデスクトップの表示サイズに表示が依存し、手元の端末で見にくくなる可能性もある。
セキュリティ
オフィスの端末を遠隔で操作するため、セキュリティ対策はオフィスの端末と同じ状態となる。また保存したファイルはオフィスにある端末上に保存されるため、情報漏えいが起きにくいというメリットがある。
コスト
認証キーの購入などで対応でき、システム構成を大きく変更しなくてよいため、比較的安価に導入が可能。

仮想デスクトップ方式

デスクトップ情報がサーバに集約されており、手元のPCからサーバ上のデスクトップに遠隔でログインして利用するシステムです。

仮想デスクトップ方式説明図 システム担当者のためのテレワーク導入手順書(総務省)
特徴
手元の端末で、直接作業しているのと変わらないが、作業のしやすさは回線速度に依存する場合がある。
セキュリティ
サーバ上のデスクトップを遠隔で操作するため、作業した内容はサーバに保存され、手元の端末には残らない。また仮想デスクトップ利用者が自由にソフトウェアをインストールするのを防止することができ、OSのアップデートなどは管理者が実行することができる。
コスト
専用サーバや装置を設置する初期コストが発生。

クラウド型アプリ方式

Web上からクラウド型アプリにアクセスすることができるため、利用端末や場所を問わず、どこからでも同じ環境で作業ができます。作業に必要なアプリケーションは、企業のコンピュータや専用サーバ上ではなく、クラウドサーバ上に置かれるという特徴があります。

クラウド型アプリ形式説明図 システム担当者のためのテレワーク導入手順書(総務省)
特徴
あらゆる場所でどの端末を利用しても同じインターネット上の環境で作業することになります。アプリケーションで作業したデータはクラウド上に保存されるので、非常時にオフィス内の端末が使用できなくなった場合でも、他の端末からクラウドにアクセスしてデータを参照することができ、BCP対策にも最適です。
セキュリティ
従業員の手元の端末からオフィス内の既存のサーバに直接アクセスできない仕組みとなっている。アプリケーションによっては、クラウド上で作成した資料をローカル環境にダウンロードすることが可能です。
コスト
設備コストやサーバ費はほぼ不要である一方、アプリケーションは月額や利用実績に応じて費用が発生する場合が多い。

会社PCの持ち帰り方式

会社で使用しているPCを社外に持ち出し、主にVPN経由で業務を行う方式です。実際に採用する場合は、企業から従業員に対して、情報漏えい対策などの十分なセキュリティ確保のほか、私的利用の制限など技術的な機能制限を行う必要もあります。

会社PCの持ち帰り方式説明図 システム担当者のためのテレワーク導入手順書(総務省)
特徴
オフィス内外に関わらず、通常業務に利用しているPCを用いる。そのため従業員は使い慣れた端末で作業を進めることが可能。
セキュリティ
PCに業務データが入った状態で持ち出す事にあるため、PCの盗難・紛失による情報漏えいが発生するおそれがある。そのため企業側でPCを貸与する場合は、ハードディスクの暗号化など十分なセキュリティ対策を実施が求められる。
コスト
オフィス内外のPCを1台にするため、他の方式よりもテレワーク導入時点のコスト負担が軽くなる。ただし、VPNやセキュリティ確保のための施設に費用が別途発生する場合がある。

3. コミュニケーションツール

テレワークを利用する従業員と職場で働く従業員とをつなぐコミュニケーションツールは、労務管理や職場との業務連携を図る上で重要になります。

Eメール・チャット(インスタントメッセンジャー)

従来通りEメールを使うことで、職場との十分な情報共有が可能です。簡単な声掛けやリアルタイムに単文的な会話のやり取りをする場合は、電話、あるいはEメールのように逐次のメッセージ送受信が不要なチャット(インスタントメッセンジャー)を利用すると便利です。

電話関連システム

インターネット経由で利用出来るアプリケーションを利用すれば、1つのアプリケーションで通話だけでなくチャットや電話会議、ビデオ会議も可能になる場合もあります。

会議システム

電話会議システムとビデオ会議システムがあり、ビデオ会議システムを利用した場合には、カメラを通じて対面でのリアルタイムな会話ができるので、テレワーク中の従業員の在席管理ツールの代わりとして利用することもできます。

4. 労務管理ツール

労務管理ツールは、勤怠管理や業務管理などを適切に行うためのツールのことで、活用方法によっては、コミュニケーションツールや情報共有ツールとして労務管理機能を代替することができます。

プレゼンス管理ツール

従業員の在席確認や業務状況を把握するツールで、プレゼンス管理専用のツールを利用するほか、会議システムのカメラ機能を通じて管理する方法、Eメールの定期的なやり取りによって実施する方法もあります。

スケジュール管理ツール

テレワーク中の従業員の業務を管理したり、従業員間でスケジュールを共有したりする機能を持つツールです。従業員が特定の時間帯にどの業務に従事しているかを確認したり、テレワーク時に実施した仕事を可視化し、管理ができます。