- IMT-2000に対する周波数の追加分配
- 成層圏無線プラットフォームに対する周波数の追加分配
- 放送衛星業務プランの見直し (第一地域(欧州、アフリカ、アラブ)及び第三地域(アジア、オセアニア))
- 30GHz以上の固定業務及び固定衛星業務の共用基準等
- 30GHz以下の特定周波数帯の共用における電力制限値の見直し (非静止衛星システムと静止衛星システム等との共用条件の検討)
- 1-6GHz帯での無線航行衛星業務への追加分配
- 船上地球局による3700-4200MHz帯及び5925-6425MHz帯の利用
- 移動衛星業務に対する1559-1567MHz帯の分配
- 移動衛星業務に対する1GHz以下の周波数の追加分配
- 18.6-18.8GHz帯における地球探査衛星(受動)業務等への分配
- 71GHz以上における地球探査衛星(受動)業務及び電波天文業務への分配
- 移動衛星業務による1525-1559MHz帯及び1626.5-1660.5MHz帯の汎用的な使用法
- 12290kHz及び16420kHzの使用の見直し(短波帯における遭難安全通信の混信からの保護)
- 海上移動業務における156-174MHzの周波数帯の効率的使用
- 放送衛星業務プランに対する無線通信規則の手続規則の見直し
- 放送衛星業務プランにおける調整手続の見直し
- その他
1 IMT−2000に対する周波数の追加分配
議題1.6.1 |
IMT-2000の地上部分に対して更にスペクトルを追加する緊急の必要性があること及び地上移動系スペクトル需要を優先すべきであることに留意しつつ、IMT-2000と関連する移動系高度応用に係る周波数及び規則事項を見直すこと、並びに必要に応じ周波数分配表を修正すること
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この議題は、広帯域のアプリケーションを可能にするとともに端末の海外での利用を可能にする第三世代の移動通信システムとして、我が国でも導入が予定されているIMT-2000(International Mobile Telecommunications-2000)の周波数の追加分配に関するものです。
IMT-2000のための周波数については、1992年開催の世界無線通信主管庁会議(WARC-92)において、2GHz帯の230MHz幅が分配されましたが、ITUにおける検討では2010年には周波数が不足し、新たに160MHzが必要と予想されているので、追加分配について検討することになったものです。
ITU-R(ITUの中で無線通信について研究を行う部門)におけるこれまでの検討では、下表の周波数帯が候補となり得る周波数帯とされており、WRC-2000ではこれらの周波数帯を中心に検討が行われるものと考えられます。
我が国においては、これらの周波数帯はすでに表にあるようなそれぞれの用途に使用されており、IMT-2000に新たに周波数を分配する際には、既存無線局への影響を考慮する必要があります。
検討対象周波数帯 |
帯域幅 |
国内の主な用途 |
470 - 806MHz
806 - 960MHz
1429 - 1501MHz
1710 - 1885MHz
2290 - 2300MHz
2300 - 2400MHz
2520 - 2670MHz
2700 - 2900MHz
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336MHz
154MHz
72MHz
175MHz
10MHz
100MHz
150MHz
200MHz
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地上波TV、放送番組素材伝送、ラジオマイク
携帯電話、MCA等
携帯電話、MCA
公共業務用固定回線
惑星探査機からのデータ伝送回線
公共業務用固定回線
移動衛星(N-STAR)、衛星デジタル音声放送
空港監視レーダー
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欧 州 : |
2520-2670MHz帯を第一候補として主張。2700-2900MHzも候補として検討中。
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米 国 : |
2700-2900MHz帯については、支持しないことを表明。その他の周波数帯については、引き続き検討中。
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アジア・大 |
洋州: 現時点では、特定の周波数帯を支持する提案はない。
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IMT-2000の周波数としては、可能な限り世界共通の周波数帯を選定することが望ましいと考えます。郵政省では、寄せられたご意見及び関係者からの意見を踏まえ、また諸外国の動向を考慮しつつ、上記の周波数帯及び暫定見解で示した3GHz以上の周波数帯を含め、候補とする周波数帯の検討を引き続き行うこととしています。
第三世代移動通信システムのサービスイメージ
2 成層圏無線プラットフォームに対する周波数の追加分配
議題1.5 |
決議122(WRC-97)に応じたITU-Rの研究結果を考慮し、高高度プラットフォーム局を使用する業務に対する規則や追加の周波数分配の可能性について考慮すること
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成層圏無線プラットフォームとは、通信に利用するために高度20〜50km程度の成層圏に停留させた飛行船のことです。97年開催の世界無線通信会議(WRC-97)で新たな無線局種として成層圏無線プラットフォーム上の無線局である「高高度プラットフォーム局(HAPS)」が導入されるとともに、47GHz帯に600MHz幅の周波数が確保されました。本議題はこのHAPSを利用したより幅広い通信が可能となるよう、周波数の追加分配や規則の改正の可能性について検討を行おうとするものです。
米 国 : |
47GHz帯での他のシステムとの周波数共用の継続検討が必要。
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欧 州 : |
47GHz帯の検討が終わるまで、追加分配や規定の変更は時期尚早。
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アジア・大 |
洋州: 降雨の影響を受け易いアジア・太平洋地域では、18-32GHzでの追加分配が早急に必要。
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HAPSの幅広い利用を可能とするためには、移動、固定等の各業務に適した周波数帯を選定する必要があり、特にアジア太平洋地域では、降雨による影響を受けにくい18-32GHz帯で周波数を早急に追加分配することが必要と考えます。
また、HAPSが停留する高度は20km程度であり、HAPSからの見通し範囲は衛星からの見通し範囲に比べて小さくなります。したがって、一次業務として地上無線通信業務のみが分配されている周波数帯で、見通し範囲に他国を含まない場合は、他国からの同意を得るなどの手続を経ることなく導入できるように無線通信規則を改正すべきと考えます。
成層圏無線プラットフォームのサービスイメージ
3 放送衛星業務プランの見直し
(第一地域(欧州、アフリカ、アラブ)及び第三地域(アジア、オセアニア))
議題1.19 |
無線通信局長により提出された会議間代表者会合(IRG)の報告書を考慮し、各国が放送衛星業務システムの経済的発展を可能とする周波数割当量となるよう、次回の会議で再プランの基礎を確立すること
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12GHz帯(ダウンリンク)並びに14GHz帯及び17GHz帯(アップリンク)の周波数帯を用いて衛星放送を行う場合、各国毎に使用できる衛星の軌道位置、周波数等が規定されています。これを「放送衛星業務プラン(以下、「プラン」)」と言い、1977年及び1988年に開催された世界無線通信主管庁会議(WARC)で策定されました。その際、我が国には東経110度に8チャンネルが割り当てられました。
また、WRC-97で、新たなITU加盟国に軌道・周波数を割り当てるためにプランを修正しました。この会議において、各国の割当チャンネル数を増やす提案がなされ、第一地域(欧州、アフリカ、アラブ)と第三地域(アジア、オセアニア)の各国に10チャンネルを割り当てることを目指し、今回の会議(WRC-2000)でその準備を行い、次回の会議でプランを見直す(再プラン)ことになりました。
WRC-97以降、再プランの検討を専門的に行う会議間代表者会合(IRG)を開催し、再プランの検討を行っています。具体的には、アンテナの仕様、混信保護比等の技術的条件の検討を行うとともに、各国の希望する軌道位置を基にして干渉計算を実施し、干渉が許容規定値内に収まるように軌道位置の再配置及びチャンネル割当てを検討しています。
我が国は、現行のプランに従って東経110度で放送衛星を運用していることから、優先的に東経110度の軌道位置が確保されることになっています。また、第一地域各国の割当てに干渉を与えない範囲で、第三地域各国に12チャンネルを割り当てるための検討が行われることになっています。
欧 州 : |
各国との国際調整によるプラン変更の枠組みを重視し、再プランに消極的。
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アラブ・ア |
フリカ: 自国の軌道位置・周波数を確保するために再プランに積極的。
今年7月のIRG会合においてモロッコが、再プランの時期を前倒しして、WRC-2000で再プランをほぼ完了させるべきと提案。
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アジア・大 |
洋州: 第一地域の割当てに影響を及ぼさない限り、第三地域へは12チャンネルを割り当てるべき。WRC-2000での再プランを支持。
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米 国 : |
再プランにおいて第二地域の業務に影響を及ぼさないことを主張。
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我が国は、放送衛星プランを活用している数少ない国の一つであり、現在、東経110度において実際に運用していることから、東経110度に2チャンネル又は4チャンネルの追加割当てがなされることはメリットが多いと考えており、再プランを支持しています。したがって、以下の事項が再プランに反映された上で、可能であれば、WRC-2000で再プランを終えることが適当であると考えます。
(1) |
各国最低10チャンネルを割り当てること、特に、第三地域の国には周波数帯を最大限に活用することとして12チャンネルを割り当てること
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(2) |
現行のプランに従って運用中の放送衛星業務を十分に保護すること
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(3) |
周波数の有効利用及び放送衛星業務の経済的発展への寄与の観点から、プランの見直しはデジタル化を十分に考慮すること
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(4) |
27MHz以外の帯域幅の使用を希望する国がある場合には、その帯域幅を当該国への割当てに用いることにより、プランの柔軟性を確保すること
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(5) |
将来の追加割当ての需要に対処するため、留保チャンネルを確保すること
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(参考) 放送衛星業務プラン(ダウンリンク)の周波数
東経110度におけるチャンネルの割当て
4 30GHz以上の固定業務及び固定衛星業務の共用基準等
議題1.4 |
決議第126(WRC-97)、決議第128(WRC-97)、決議第129(WRC-97)、決議第133(WRC-97)、決議第134(WRC-97)及び決議第726(WRC-97)に関連する周波数分配及び規則に関する事項を考慮すること
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30GHz以上の周波数帯は、電波の性質から、小型軽量な無線設備によって高密度に無線通信システムを展開することに適した周波数帯であり、一定の大きさの地域に加入者系無線アクセスシステムのような広帯域のP-P、P-MP(注)のシステムを数多く設置することが可能です。
WRC-97においてこのような地上固定無線通信システムを高密度に展開することが可能となるよう、30GHz以上の周波数帯の中から6つの周波数帯(31.8 - 33.4 GHz、 37 - 40 GHz、 40.5 - 42.5 GHz、 51.4 - 52.6 GHz、 55.78 - 59 GHz、 64 - 66 GHz)が検討対象に上がり、WRC-2000で改めて検討を行うこととなったものです。
注: |
P-P(ポイント・ツー・ポイント):2点間の通信システム
P-MP(ポイント・ツー・マルチポイント):1地点と多数の地点との間の通信システム
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米 国 : |
一部の周波数帯で固定衛星通信システムの利用を優先したい。
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欧 州 : |
高密度な固定業務(HDFS)に使用可能とすべき。ただし、一部の周波数帯では固定衛星通信システムを利用したい。
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アジア・大 |
洋州: 多くの周波数帯をHDFSに使用可能とすべき。
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30GHz以上の高い周波数帯は、加入者無線アクセスシステム等の広帯域のシステムを高密度で展開することに適した周波数帯であるので、将来的に可能な限り多くの周波数帯がHDFSに利用可能となるようにすべきと考えます。
加入者系無線アクセスシステムのイメージ
5 30GHz以下の特定周波数帯の共用における電力制限値の見直し
(非静止衛星システムと静止衛星システム等との共用条件の検討)
議題1.13.1 |
電力制限値の実現性を保証し、制限値がシステムやその発展に不当な制約を課さないよう、非静止衛星による固定衛星業務、静止衛星による固定衛星業務、静止衛星による放送衛星業務、宇宙科学業務及び地上業務の間の共用条件に係る第S21条及び第S22条の電力制限値を見直し、必要ならば改正を行うこと
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議題1.13.2 |
他の周波数帯へも第S21条及び第S22条に類似の制限値、または共用状態に関して適用される他の規制的な方法の導入を考慮すること
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固定衛星通信サービスを提供しようとする非静止衛星システムを円滑に導入するため、非静止衛星による固定衛星業務(NGSO FSS)と、静止衛星による固定衛星業務(GSO FSS)、静止衛星による放送衛星業務(GSO BSS)、宇宙科学業務及び地上業務との間の共用条件(電力制限値)がWRC-97において暫定的に設定されました。
本議題は、WRC-2000においてこの共用条件を見直し、必要に応じ規則の改正を行おうとするものです。
米 国 : |
Ku帯のGSO FSS を保護する NGSO FSS の電力制限値として、低目の電力制限値を支持しつつ、妥協案を検討中。(運用上保証することを条件に妥協する方向)
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欧 州 : |
NGSO FSS のような新しいサービスの導入を支持。Ku帯のGSO FSS を保護する NGSO FSS の電力制限値として、高目の電力制限値を支持。(運用上保証するという米国の条件に妥協する方向)
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アジア・大 |
洋州: ITU-Rにおいて合意された制限値を評価する国もあるが、態度決定までに時間を要するとする国もあり。
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我が国では、検討対象となっている周波数帯に既存の静止衛星システム(固定衛星業務、放送衛星業務)、地上固定無線システム等があるので、既存システムを保護するとともに、これらの将来の発展の支障にならないよう、また、業務間で不均衡な共用条件とならないよう、共用条件の見直しを行うべきと考えます。
6(1) |
1-6GHz帯での無線航行衛星業務への追加分配
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(2) |
1215-1260、1559-1610MHz帯における無線航行衛星業務(宇宙→宇宙)への追加分配
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(3) |
1559-1610MHz帯における無線航行衛星業務以外の業務への分配
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議題1.15.1 |
1-6GHzの範囲で、RNSSの発展に必要な新たな分配を考慮すること
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議題1.15.2 |
1215-1260MHz及び1559-1610MHzの周波数帯の無線衛星航行業務への分配について宇宙から宇宙方向の追加を考慮すること
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議題1.15.3 |
1559-1610MHz帯のRNSS以外の分配(第S5.355号及び第S5.359号)の地位を考慮すること
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(1) |
1-6GHz帯において、米国のGPSや欧州の航行衛星システムのために新たな周波数の分配を検討しようとするものです。
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(2) |
低軌道周回衛星、スペースシャトル等の宇宙機の位置決定にGPS等が不可欠となっていることから、そのための電波の利用を保護(1215-1260MHz及び1559-1610MHz の脚注に「宇宙から宇宙方向」を追加)しようとするものです。
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(3) |
無線航行衛星業務(RNSS)の推進のため、1559-1610MHzにおいて一部の国に分配されている固定業務の削除について検討しようとするものです。(我が国には分配されていません。)
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これまでのITU-Rの検討では、(1)については、宇宙から地球方向用に960-1215MHz、1260-1300MHz、5010-5150MHzを、地球から宇宙方向用に1300-1350MHz、5000-5030MHzを候補周波数帯域とし、(2)については、1215-1260MHz及び1559-1610MHzにおける「宇宙から宇宙方向」への追加分配は適当としています。さらに、(3)については、付加分配されている固定業務を削除することが適当としています。
米 国 |
欧 州 |
アジア・大洋州 |
宇宙→地球
1164-1188MHzを提案。
宇宙→宇宙
1215-1260、1559-1610
MHzを提案。
|
宇宙→地球
1151-1215、1260-1300、
5010-5150MHzを提案。
地球→宇宙
1300-1350、5000-5030
MHzを提案。
宇宙→宇宙
1215-1260、1559-1610
MHzを提案。
|
宇宙→地球
960-1215MHzは候補。
(ただし、RNSSと既存業
務との更なる干渉検討が
必要。)
地球→宇宙
1300-1350MHzは、既存業
務の運用に制限を課して
はならない。
宇宙→宇宙
1215-1260、1559-1610
MHzを支持。
(ただし、他の既存RNSS
/既存地上レーダーから
保護を求めてはならない
。)
|
我が国におけるRNSSシステムを利用したアプリケーションの今後の発展を考慮し、次のことを前提とし、必要な周波数を分配することを適当と考えます。
(1) |
960-1215MHz(宇宙→地球)は、測距等を行う航空システムに高密度に使用されており、これらとRNSS受信機との共存について継続的な検討を実施する。
1300-1350MHz(地球→宇宙)は、各種レーダーに使用されており、これに配慮する。
|
(2) |
1215-1260MHz(宇宙→宇宙)では、既存の地上システムから宇宙機の受信機への干渉の可能性が考えられるため、既存地上システムに運用制限を課さないことを確保する。
|
7 船上地球局による3700−4200MHz帯及び5925−6425MHz帯の利用
議題1.8 |
船舶に搭載された地球局を3700-4200MHz及び5925-6425MHzの周波数帯の固定衛星業務通信網で運用できるよう、この周波数に分配されている他業務との調整を含め、規則的及び技術的規定を考慮すること
|
|
|
船舶に搭載された地球局を用いて固定地球局並みの広帯域のデータ伝送を行うため、船上地球局で固定衛星業務に分配されている3700-4200MHz及び5925-6425MHzを使用できるようにすべきとの米国の提案により検討を行うこととなったものです。
米 国 : |
領域から一定の距離だけ離れれば固定局に干渉を与える可能性はなく、調整なしで利用可能とすべき。領域から一定の距離の内側では、固定業務を監理する主管庁と調整の上、利用可能とする。
|
欧 州 : |
固定業務に対し干渉を与え、固定業務の発展に制限が加わるならば、船上地球局を許容する規則の改正を支持できない。このような新しいアプリケーションを許容する場合、固定業務に必要な保護とその発展の可能性を規則上確保しなければならない。
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アジア・大 |
洋州: 船上地球局が固定業務に対し干渉を与えない距離を決める必要。
|
我が国では3700-4200MHz及び5925-6425MHzは電気通信業務用の固定業務及び固定衛星業務に使用されているので、これらに支障を及ぼすことがないよう、沿岸からの最小離隔距離の設定等の措置を講じるべきと考えます。
8 移動衛星業務に対する1559−1567MHz帯の分配
議題1.9 |
決議第213(WRC-97)及び決議第220(WRC-97)に応じ、1559-1567MHzの周波数帯の一部を宇宙から地球方向の移動衛星業務に分配する可能性の評価においてITU-Rの研究結果を考慮すること
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|
|
GPSなどの無線航行衛星業務で使用されている1559-1567MHzの周波数帯の一部を移動衛星業務用(宇宙から地球方向)の周波数帯として分配することを検討するものです。
また、この周波数帯に関連し、移動衛星業務(地球から宇宙方向)の周波数帯として1675-1710MHzを分配することについて検討を行おうとするものです。
米 国 : |
1559-1567 MHzは無線航行衛星業務への排他的分配とすべき。
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欧 州 : |
欧州の無線航行衛星が1559-1567 MHzを使用しないことが明確になるまでは移動衛星業務への分配を考慮すべきではない。
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アジア・大 |
洋州: 1559-1567 MHzを移動衛星業務に分配すべきではない。
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既存の衛星測位システム(GPS)と移動衛星業務との周波数共用の目途がないことから、1559-1567MHzにおいて移動衛星業務への分配を行うべきではないと考えます。
地球から宇宙方向の周波数帯として1683-1690MHzが候補に上がっていますが、宇宙から地球方向として1559-1567MHzを分配しないのであれば、その分配は時期尚早と考えます。
9 移動衛星業務に対する1GHz以下の周波数の追加分配
議題1.11 |
決議第214(WRC-97、改)及び決議第219(WRC-97)に応じた、ITU-Rの研究結果を考慮し、1GHz以下における既存分配の制限及び非静止衛星による移動衛星業務への世界的基礎での追加分配を考慮すること
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|
非静止衛星による移動衛星業務を行うため、1GHz以下の周波数帯から周波数の追加分配を検討しようとするものです。
非静止衛星による移動衛星業務への1GHz以下の周波数帯の分配については、既に92年開催のWARCにおいて137、149、312、387及び400MHz帯が、95年開催のWRC(WRC-95)において399及び455MHz帯が分配されています。
これまでのITU-Rの検討においては、405MHz帯及び460MHz帯が検討対象となっています。
米 国 : |
特定の周波数帯を提案せず。
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欧 州 : |
候補となる周波数帯を検討中。
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アジア・大 |
洋州: 一部の国を除き、分配すべきではないとの考え方。
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世界気象機 |
関: 401-406MHzの気象援助業務の保護を主張。
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1GHz以下の周波数帯は、多くの国において移動業務、固定業務、放送業務、気象援助業務、気象衛星業務等の既に分配されている業務に多用されており、また、今後もこれら業務による利用が進展すると考えられます。
したがって、これら業務との共用が確実でなければ、非静止衛星による移動衛星業務に分配すべきではないと考えます。
10 18.6−18.8GHz帯における地球探査衛星(受動)業務等への分配
議題1.17 |
ITU-Rの研究成果を考慮し、18.6−18.8GHzの周波数帯の地球探査衛星(受動)業務と宇宙研究(受動)業務の世界的分配の可能性を考慮すること
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|
|
18.6-18.8GHz帯は、主に固定衛星業務(宇宙から地球)に使用されていますが、第二地域(南北アメリカ)では地球探査衛星(受動)業務等にも分配されています。この議題は、第一地域(欧州・アフリカ・アラブ)及び第三地域(アジア・大洋州)でもこの周波数帯を地球探査衛星(受動)業務等に分配するか否かを検討しようとするものです。
米 国 : |
地球探査衛星(受動)業務及び宇宙研究(受動)業務の世界的基礎での一次業務への格上げを主張。
|
欧 州 : |
共用条件が合意されないならば、地球探査衛星(受動)業務及び宇宙研究(受動)業務の世界的基礎での一次業務への格上げを反対。
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アジア・大 |
洋州: 地球探査衛星(受動)業務と固定衛星業務との共用条件について議論中。
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我が国では、この周波数帯で小口径の地球局を使用した高速の衛星通信を可能とするギガビット衛星の研究開発を推進しています。したがって、このギガビット衛星の導入及びその技術を応用した実用化システムの運用に制約とならないよう、適当な共用条件を策定すべきと考えます。
11 71GHz以上における地球探査衛星(受動)業務及び電波天文業務への分配
議題1.16 |
決議第723(WRC-97)を考慮し、地球探査衛星(受動)業務及び電波天文業務への71GHz以上の周波数帯の分配を考慮すること
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無線通信規則では、275GHzまで周波数が分配されています。
地球探査衛星(受動)業務等については、この分野における研究の進展を考慮し、WRC-97において50-71GHzの見直しが行われ、周波数が追加分配されました。今回は、71GHz以上の周波数帯について検討を行おうとするものです。
ITU-Rにおいては、地球探査衛星(受動)業務及び電波天文業務に必要な周波数帯について研究が行われています。
米 国 : |
個別の需要を踏まえ、具体的な周波数再分配案を検討。
|
欧 州 : |
個別の需要を踏まえ、具体的な周波数再分配案を検討。
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アジア・大 |
洋州: 今後検討。
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71 GHz以上の周波数帯では、各業務への現在の分配及び分配周波数帯幅をおおむね確保しつつ地球探査衛星(受動)業務及び電波天文業務へ周波数の追加分配を行うことは適当と考えています。
なお、具体的な検討は個別の周波数需要を踏まえて行うこととしています。
12 移動衛星業務による1525-1559MHz帯及び1626.5-1660.5MHz帯の汎用的な使用法
議題1.10 |
決議第218(WRC-97)に従って実行されるITU-Rの研究結果を考慮し、この事項について適切な措置をとること
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1525-1559MHz(ダウンリンク)及び1626.5-1660.5MHz帯(アップリンク)では、ほとんどの周波数帯が、陸上、海上又は航空の移動衛星業務に専用に分配されていましたが、WRC-97において周波数の効率的利用の観点から移動衛星業務全般に使用可能とされました。その際、一定の帯域で遭難安全通信のための周波数要求を優先することとなりましたが、今回その優先的な通信の実効性を高めることについて検討を行おうとするものです。
欧 州 : |
優先的なアクセスが確保されており、更なる検討は不要。
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アジア・大 |
洋州: 実効的に優先的なアクセスを確保する規則改正が緊急に必要。
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国際海事機 |
関: 周波数割当ての際は遭難安全通信が最優先されるべき。
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国際民間航 |
空機関: 優先的なアクセスをより確実にする規則改正を行わないなら、従来のように航空通信に専用分配すべき。
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インマルサ |
ット: 実効的に優先的な通信が確保されており、今後更なる検討は不要。
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今後も当該周波数帯の汎用化を維持しつつ、人命の安全を確保するため、GMDSS及び航空移動衛星(R)業務の保護を十分に考慮すべきであり、優先的なアクセスを実効的に確保する規則改正に向けた継続的な研究が必要と考えます。
13 12290kHz及び16420kHzの使用の見直し(短波帯における遭難安全通信の混信からの保護)
議題1.7 |
決議第346(WRC-97)を考慮し、運用、遭難及び安全通信を保護するために、航空移動(R)業務及び海上移動業務による短波帯の使用を見直すこと
|
|
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船舶での無線電話に使用される短波帯のうち、12290kHz及び16420kHzは、遭難安全通信以外に非安全通信のための呼出しにも使用されていますが、不法電波や無秩序な電波の利用により、一部の地域で遭難安全通信に著しい混信が生じています。
この議題は、この2つの周波数の使用を見直そうとするものであり、ITU-Rでは、海上移動業務や航空移動(R)業務における遭難安全通信を有害な混信から保護するための手段として、運用規則の厳格化、干渉緩和技術の検討、遭難安全周波数の専用化、デジタル選択呼出しの利用の奨励等を提案しています。
米 国 : |
運用規則の厳格化、デジタル選択呼出しの利用の奨励等を主張。
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欧 州 : |
遭難安全通信の専用化、デジタル選択呼出しの利用の奨励等を主張。
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アジア・大 |
洋州: 不法電波の監視、干渉低減技術の開発等を主張。
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国際海事機 |
関: 遭難安全通信の専用化等を支持。
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国際民間航 |
空機関: 航空移動通信への不法電波を除去する手段を支持。
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人命にかかわる遭難安全通信を保護する観点から、遭難安全周波数への干渉を低減する方法を採択することは適当と考えます。
なお、12290kHz及び16420kHzを遭難安全通信に専用化する場合には、適切な移行期間について検討する必要があると考えます。
14 海上移動業務における156-174MHzの周波数帯の効率的使用
議題1.18 |
決議第342(WRC-97)を考慮し、156-174MHzの周波数帯の海上移動業務のための新たなデジタル技術の使用を考慮し、その結果として付録第18号/第S18号を改正すること
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この議題は、156-174MHz帯を使用する船舶通信が輻輳していることから、利用効率を高める新しいデジタル技術について検討を行おうとするものです。
これまでのITU-Rでの検討では、新たなデジタル技術導入のための規則改正は時期尚早であるが、複信モードだけでなく単信モードを更に使用可能とする規則の改正は可能としています。
米 国 : |
船舶通信の輻輳を緩和するため、単信モードを更に導入すべき。相互運用性のある全世界的なデジタル技術の導入について、次会期の検討課題とすべき。
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欧 州 : |
同上。
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アジア・大 |
洋州: デジタル技術の導入の重要性を認識。将来のデジタル技術の導入の際は、適切な移行期間を設ける必要。
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国際海事機 |
関: デジタル技術が全世界的に導入される際は、遭難安全通信システムが確保されること。
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現時点でデジタル技術を導入することは時期尚早であり、今後新たなデジタル技術を導入しようとする場合は、適切な移行期間について十分な検討を行う必要があると考えます。
15 放送衛星業務プランに対する無線通信規則の手続規則の見直し
議題1.19bis |
世界無線通信会議の結果に従い事務局がその判定を見直すための、無線通信規則第2674号/S23.13号の適用に関する無線通信規則委員会の手続規則に対して、主管庁が表明した異議を第S14条の規定に基づき考慮すること
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1996年1月の無線通信規則委員会において、無線通信規則第2674号/S23.13号(注)の適用の指針となる手続規則が改正されました。その内容は、他国の領土を衛星放送のサービスエリアに含む場合、その国の同意を得る必要があるというものですが、同意が得られない場合、不同意の国がサービスエリアから除外されて登録されることとなります。
これについて、モロッコ等が、当該処理では不十分であり、不同意がある場合には登録されないようにすべきであると反対しました。
WRC-97では、本件に関する決議が作成されましたが、根本的な解決には至らず意見が対立しました。
このような状況の下、昨年5月の理事会においてモロッコから再検討が必要との意見が出され、WRC-2000の議題に追加されたものです。
- (注)第2674号/S23.13号
- 放送衛星業務の宇宙局の特性を決めるに当たっては、他国の領土への輻射を、その国と事前に合意している場合を除くほか、最大限低減するため、利用することができるすべての技術的手段を利用しなければならない。
欧 州 : |
他国の領土をサービスエリアに含む衛星放送の柔軟な実施を希望。
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アラブ・ア |
フリカ: 他国の領土をサービスエリアに含むことについて厳しい措置とすることを主張。
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イラン : |
無線通信規則第2674号/S23.13号を通信衛星を利用した直接受信放送(いわゆるCS放送)に対しても適用すべき。
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米 国 : |
本件をWRC-97に引き続いて審議することに対して不快感。
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アジア・大 |
洋州: 議論中。
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この議題については、諸外国の動向等を考慮しつつ検討していく予定です。
なお、無線通信規則第2674号/S23.13号の適用範囲を通信衛星を利用した直接受信放送(いわゆるCS放送)にまで広げるべきとの提案に対しては、慎重に検討を行うべきと考えています。
16 放送衛星業務プランにおける調整手続の見直し
議題1.20 |
付録第S30号及び第S30A号の第6条及び第7条の削除の可能性について、勧告第35(WRC-95)も考慮し、付録第S30号及び第S30A号に関し、第S9.8号、第S9.9号及び第S9.17号並びに付録第S5号に対応する部分の適用に係る問題を考慮すること
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WRC-95及びWRC-97において無線通信規則の簡素化が行われましたが、放送衛星業務プラン関係の手続のうち、付録第S30号及び第S30A号の第6条(プランの局に影響を与える地上局に関する周波数割当ての調整、通告及び国際周波数登録原簿への記録)及び第7条(他の地域のプランの局に影響を与える、他の地域のプランの周波数を使用する固定衛星業務の局に関する周波数割当ての調整、通告及び国際周波数登録原簿への記録)の簡素化について、継続して検討を行うことになったものです。
米 国 : |
付録第S30号及び第S30A号の第6条及び第7条を現行どおり維持すべき。規定の統合については、付録第S30号及び第S30A号を作成した際の妥協点が条文の文言の変更に伴って失われる恐れがあること、及び放送衛星の独自性・優越性が失われること等を懸念。
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欧 州 : |
付録第S30号及び第S30A号の第6条及び第7条の手続を本則の第S9条及び第S11条に統合すべき。(背景として、放送衛星と通信衛星の取扱いの同一化。)
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フランス: |
現行規定の不備を補うため、固定業務及び固定衛星業務の調整対象として、放送衛星プランのみならず、プランの変更を申請し調整を開始した周波数割当てを加えることを提案。
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アジア・大 |
洋州: 議論中。
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結果として調整を複雑化したり、手続のためにより時間を必要とするということがないように規定を簡素化するのであれば支持できると考えています。
なお、現行規定の不備を補うために検討されている以下の原則については、調整対象の明確化の観点から支持し得ると考えます。
・ |
固定業務及び固定衛星業務の調整対象として、放送衛星プランのみならず、プランの変更を申請し調整を開始した周波数割当てを加えること
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次の議題については、ITU-Rにおける技術的な検討が進んでおり(我が国の場合、電気通信技術審議会における審議を経てITU-Rにおける検討に寄与しています)、その結果を支持することが適当と考えています。
- (1)宇宙業務におけるスプリアス発射の許容値
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議題1.2 |
将来発効する宇宙業務のスプリアス発射の新許容値の採用に関する勧告第66(WRC-97、改)及びWRC-97の決定を考慮し、宇宙業務におけるスプリアス発射に関する無線通信規則付録第S3号の見直しに当たり残された課題を完成させること
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- (2)地球局の調整区域の決定方法の見直し
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議題1.3 |
宇宙業務と地上無線通信業務で共用されている周波数帯における、地球局の周囲の調整区域の決定方法に関する付録第S7/28号についてのITU-Rの研究結果を考慮し、また、この付録を見直すことについて適切な決定を行うこと
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- (3)ITM-2000における共通制御チャンネルの選定
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議題1.6.2 |
IMT-2000のマルチモードの端末の運用及び国際ローミングを促進するための広域無線制御チャンネルの選定
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- (4)移動衛星業務と固定衛星業務による19.3-19.7GHz及び29.1-29.5GHzの周波数帯の共用
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議題1.12 |
決議第121(WRC-97)を考慮し、19.3-19.7GHz及び29.1-29.5GHzの周波数帯の移動衛星業務の非静止衛星通信網のフィーダリンクと固定衛星業務の静止衛星通信網との共用研究の進ちょくを考慮すること
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- (5)電波天文業務等の保護を考慮した15.43-15.63GHz帯における非静止衛星による移動衛星業務の使用
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議題1.14 |
決議第123(WRC-97)に従い、15.43-15.63GHzへの非静止衛星による移動衛星業務のフィーダリンクの導入可能性に係る研究成果を見直すこと
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