麻生総務大臣閣議後記者会見の概要

平成16年5月14日(金)

<<冒頭発言>>
 閣議はG8司法・内務閣僚級会合について、法務大臣、それから国家公安委員長からそれぞれ発言がありました。経済産業大臣からエネルギー政策基本法に基づいて、第一回目の年次報告を出すことになっているという話と、外務大臣の臨時代理が総務大臣、経済産業大臣と財務大臣の臨時代理が農林水産大臣に決まった。
 次に私の方から。年金業務に関する行政評価・監視ということで、国民年金に関して多数の年金未加入者、保険料未納者が存在をしている問題について、そもそも平成10年ですから今から6年前に、この点について当時の総務庁から勧告を社会保険庁に対して行っていたのですが、取り組みが必ずしも十分に行われているとは言い得なかった状況にあった。これは国会議員に限らず色々いっぱい出てきたという実態にあります。また今の話で、去年位から年金支払者の率がガタンと下がったという点を含めまして一層深刻になっているので、国民年金制度というものが安定的に確保されていく必要があり、こういう状況を考えたら、厚生労働省、社会保険庁に、より効果的な対策を実施してもらう必要があるということで、今回総務省として行政評価・監視を実施することにします。これは改善を提言する話として、山口副大臣の方から発言があり、私から指示をしたのかというご意見もあったそうでありますけれども、先週にこの点については指示をしております。例えば少なくとも今現実問題として、自分の年金の加入状況、または幾ら貰えるのか等々のことが気になって、和歌山県内のある社会保険事務所には一日350人の人が来る。和歌山県は人口100万人位か。500万人位いるところだったら1,500人来るということ、簡単に言えば。それはエライことだよ。そういった意味では、これはおかしい状況だと。それで延々と並んで待って答えを知るのにはたった4分。これはどう考えてもシステムとしておかしい。だったら少なくとも自分が払っているものがいくらかが判るようにするようなシステムというものを、例えば自分で年金番号や住民基本台帳番号とか基本的には持っているから、その番号をキチンと確認して、それから暗証番号入れて社会保険庁にアクセスしたら、自分の年金等がどうなっているかということが即に判るシステムくらい考える。こんなこと何も難しくない。そうすればみんな判るのであって、みんな故意に払わなかったという人ではないのだから、殆どの人は。だから、自分の年金がどうなっているかということが判り易く判るシステムとか。60歳になったらみんな年金は来ると思っているけどそれは間違い。年金というのは申請しない限りはこない。申請しなければ払うだけ払って一生来ない。それはそれでいいけれど、そういうシステムになっていることを知っている、って聞くと、え?って殆どの人は言う。だから選挙権と同じに必ず60歳になったら自動的に来るなんて思っていたらそれは全然違う。払ってないからといって税務署のように督促を言って来るかと言えばそれも来ない。なんとなくという状況になってくると、しかし厚生年金や共済年金から国民年金への切り替えの時も、知らせてくれるところもあったけど、知らせてくれないところの方が多い。だいたいみなその種の話ですよ。健康保険の方は切り替えられるから年金の方も同じに行くものだと思っている。それを、いやそれは違うんです、というふうにするか、自動的にするようにシステムを変えるか、兎に角分かり難くしているということは、これ最大の問題。これを分かり易くしないと。役人が考えると段々話が難しくなる、頭の悪い役人がやるとどんどん話が難しくなる。本当に頭のいいやつは分かり易く出来るのだけど、これは兎に角分かり難いということが最大の問題。だからこういったものはスンナリみんなが分かり易いものにしてもらうと言うのが大事と思っていますので、ぜひこの点に関してはやってもらいたいという話をしました。
 次に財務省と総務省、いわゆる役人の人事交流を審議官クラスで、という話。総理からも役人の交流ということで、経済産業省の情報担当と通信担当のところでという話が出ていましたので、だいたい対立しているところがやった方がいいんですよって話から、幼稚園と保育園、厚生労働省と文部科学省でやることになっていると思いますが、国税だ、地方税だというので、財務省と総務省で審議官の交流という話も、総理のところからも話がありますし、ここのところはやりたいと思っております。

(質疑応答)
【三位一体の改革】
:三位一体改革の関連でお伺いしたいのですが、昨日、片山虎之助前総務大臣らが、党の意見書を渡しまして、内容的には3兆円以上の税源移譲など麻生大臣のプランと同じように、地方の要望が色濃く反映されたものですが、昨日片山前大臣が記者団に、総理は多少わかってくれたのではないかなというふうに自信を示していたのですけれども、他にもいろんな知事が税源の先行移譲をと言っていると思いますが、骨太の方針第四弾にですね、こういう地方の意向というのが盛り込まれると大臣はお考えですか。
:ちょっと骨太の方針の中にどういう書き方をされるかまで分かっているわけではありませんけれども、基本的には地方として税源移譲をしてもらう以上は、それに伴いどの分を補助金のカットにつなげますというアイデア、意見というものも地方の方で考える、というところがポイントで、税源移譲はされたが補助金は全然減らないという話は出来ませんから、それに伴うアイデアもきちんと出していただかなければいけないということです。過日私の方から申しあげたプランと片山前総務大臣のものは、ほぼ同じような感じになっていますので、大変心強いと思っておりますけれども。そちらでは、少なくとも3兆円の税源移譲というアイデアになっており、もし3兆円の税源移譲につながる補助金削減が出来なかったら差額は返しますという話を私の方は申しあげているのですけれども、チラっと片山前大臣の意見書の2枚綴りの紙を見た範囲では、返す必要などないというお考えのようで、そこのところは少し違うような感じがしましたけれども、だいたい基本的には同じようなところだと思っております。

【民主党の代表選び】
:他党のことで恐縮ですが、民主党の代表の後継選びですが。
:どうなった?
:現在は、菅代表辞めた後の後任、話し合いで小沢代表代行にというふうに話が進んでいるのですが、選挙をやらずに決める方向で密室政治ではないかという批判もありますが、総務大臣としてではなく政治家麻生太郎衆議院議員としてはどのようにお感じになっていますでしょうか。
:自民党がやると密室で、民主党がやると話し合いっていうのは、公平性を欠く発言だと思います。

【郵政民営化旭川懇談会】
:郵政民営化についてですが、23日に旭川で民営化懇談会の第一回目が開かれるのですが、大臣はどのようなことを特に主張されるのか、それからどんな議論を期待されるのか、如何でしょう。
:基本的には聞かしてもらいたいと思うんですね。ここに来ている方の話っていうのはだいたい誰がどう言うか、顔を見たら何を言うか分かります。だから、旭川というところでそういうのを開かせて頂くということになったのですから、ぜひ地元の話を、ローカルな話、地方の話っていうのをぜひ率直に聞かせて貰いたいということで、こちらが語るより聞かせていただきたいというのが基本と思っております。

【国民年金業務の行政評価・監視】
:先ほどの年金の話の関連ですが、これは閣議の中、それとも閣僚懇談会のどちらでこういうお話をされたんですか。
:今日、この話は閣議に出た訳ではありません。閣議の話とは違います。

【人事交流】
:省庁間の人事交流について、これも以前からそういう方針が打ち出されていたということですが、今日それが出たとか、そういう話ですか。総理から改めて出たとか・・・。
:総理から話がでたのは、この審議官ですよ。地方税と国税の話やらなにやらで、別に新たな指示がありましたから。これは今日も首尾よく新聞見たら出ていますよ、とは言っておきましたけれども、同じようなことを考えておられたんだと思います。ウチはもうやることになっております、と言ったらオーって言って、必ずやってよ。こういうのはとにかく、敵対するところとやるとね、何となく宜しいので、そういうところを色々やるとお互い様、相手のことも分かりますし、己の立場がなんとなく、逆に視野が広くなるか、それとも逆になるのか・・。

【u-Japan構想】
:先日の経済財政諮問会議でu-Japan構想を提出されましたけれども、その中でインターネットのWEBサービスについてまとめられました。また民間の推進組織設立総会にも出席されて、いろいろエールを送っていらっしゃいますけれども、総務省としてどういうふうに取り組まれる考えなのですか。
:WEBは、早い話互換性がないわけですよ。だから、互換性がないから、話が非常に込み入ってくるというよりコストがかかる、手間がかかるわけですよ。だから違ったものがお互いにデータ交換出来るようにするという技術を、日本が開発するのに成功したらこれは凄いことになりますからね。それを中央大学の大橋先生のところが非常に進んでいるという話だったので、是非そこでやって貰おう、そして何を実験台にするのかということになると、これはどう考えても3000余の地方公共団体のWEBが交換出来ることになるとこれは猛烈な勢いで効果が出ますから、そういった意味では総務省はたまたま通信の部分と地方の役場というか、両方を所轄しているところでもありますから、そこで色々やってみる。やってから外に出さないと、これが下手な形で出て行くとちょっと話込み入っちゃいますからね。混乱すると困ったことになりますので、そういった意味ではこれは是非やりたいと思っており、これが将来のu-Japanに繋がっていくのだと思います。
 やっぱり高齢化は避け難い、世界中で高齢化は避け難い。暫しの流れとして少子化も。少子化の結果、高齢化する訳であって、別に高齢化することは悪いことではないのだけど、少子化の結果高齢化がすすむと、要介護者が増える。要介護者はイコール税金をもらう側で、健常者の方が税金を納める側ということになりますが、要介護者の数が増えてくれば増えてくるだけ社会の払うコストがかかってくるということになりますが、こういった機械が発達すると、例えば電車に乗るときに、手が震えて切符が窓口に入らないとすると並んでいる人たちはイライラする訳ですよ、朝の時などは。しかし今、非接触型のICチップが出ているから、トロンも含めて、歩いて行きさえすれば普通に通れる、ということによって要介護者が社会に普通に参画出来るということになった訳でしょう。これはICT技術の進歩ですよ。同じようにいろんな形で高齢者、身体障害者、心身障害者が社会生活を健常者の人と同様に営めるか営めないかによって社会のコストは大きく変わるのですよ。これは税金にも関係してきますからね。そういった意味ではITとかICTのセキュリティーの話が、まだ沢山ありますけれども、そのICTで安全、ICTで安心ということになっていくのが本来の姿なのだと思います。そういう技術を上手く使った結果、日本という国が少なくとも「世界の先進国の中で最も活力ある高齢化社会」ということになれば、u-Japanというものに間違いなく世界が乗ってくると思います。だからいろんな意味でユビキタスという言葉、ラテン語で「どこからでも」という意味ですけれども、別にユビキタスに拘らずユニバーサルのUでもいいですよ。そういった意味で、いろんな人達が普通に生活を営めるようにするという時に、例えば北海道からもってきた携帯電話を接続させても上手くいかないというのでは困ります。今、落し物で一番困るのは携帯電話でしょ?どう考えても。だからその意味では、携帯電話というものは多分これが車の鍵になりますよ、携帯電話を差し込んだら車のイグニションが動く、有料道路に入っていったらここから多分ETCでお金が落とせる。携帯電話を持っていけばスーパーマーケットで全部自動引き落としになるなど、多分それ位のものになりますよ、このモバイルの技術の進歩っていうのは。それはイコール、高齢者といった人達にとって、実に社会に要介護を受けずして参加出来ていくことになりますので、そういった意味ではこのユビキタスをどうやっていくかというのは非常に大きいので、その時にやっぱり各々の情報がお互いに交換出来るように。やっぱりいい意味で競争は必要なのですが、結果として競争が妙なところにいって不毛な競争をやっても意味がありませんから、その意味では今回のWEBサービスの様なものは、1回出来上がっているものを、今までの技術では絶対に出来なかったんだけど、技術が進歩したお陰で異なった機械の相互互換性が出来るようにしようというもので、これはちょっと正直、私共にとっては目標としては大きなところなのですけれどもね。次世代ICTというのは多分これですよ、と思いますけどね。
  以上




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