平成16年8月6日(金)
1.竹中大臣発言要旨
それでは、先ほど今年19回目の経済財政諮問会議を終えましたので、概要を御報告いたします。
今日は、まず「骨太2004」の実現に向けてということで、8月末から集中審議を行いますので、その集中審議の概要について御説明して、御了承をいただきました。集中審議を行うということにつきましては、8月10日の閣僚懇談会で私から各大臣に協力をお願いするということになります。概要は、そのメモのとおりでございます。
その上で、郵政の民営化に向けた基本方針づくりに向けた自由討議を行いました。
まず冒頭で、私から前回までの議論でおおむね合意したところと、さらに議論を深めなければいけない点について、若干の御紹介をさせていただきました。主として組織をどのようにするか、組織については4機能別に分社化の方向を探るということでおおむね合意はしているけれども、持株会社をつくるか云々につきましてはまだ合意をしていない。窓口ネットワークについては、ユニバーサルサービス義務をどのように課すかという点についてまだ検討の余地がある。郵貯、簡保については、最終的な姿としての民有民営を目指すか否かについて議論の余地がある。政府保証分の取り扱いについて、どのような形にするかについてまだ議論を詰めなければいけない。スケジュール、その具体的な工程についてさらに議論を詰めなければいけない。職員の身分等々についても、さらに議論を詰めなければいけない。そのような問題点を指摘させていただいた上で、議論させていただきました。
フリーディスカッションを1時間程度進めたところで、官房長官から御提案がありまして、議論も大分出てきたので、この辺で麻生大臣と私とで今までの議論の取りまとめができないかという御提案がありました。そこで、皆さんの御承認も得て、30分程度の休憩をとりまして、その間に麻生大臣と私で今までの議論についてのメモを取りまとめました。30分後に議論を再開しまして、そのメモについて若干の議論、御修正をいただいた後、「民営化基本方針の骨子」として取りまとめ、了承をさせていただきました。
お手元に、コピーが配られているというふうに思いますが、「民営化基本方針の骨子」、最初は(案)がついておりまして、クレジットが総務大臣、経済財政政策担当大臣でございましたが、先ほど諮問会議の了承を得まして(案)が取れまして、それで経済財政諮問会議のとりまとめということにさせていただきました。
今、議論の取りまとめの内容につきましては、麻生大臣からお話をさせていただきますが、最後に総理からは次のような御発言がございました。
よく取りまとめてくれた。この骨子を基本に、よく調整をして基本方針をまとめてほしい。総理からは、以上のような御発言がございました。
このお手元の骨子の中身につきましては、麻生総務大臣からポイントについて話をしていただきます。
2.麻生大臣発言要旨
それでは、お手元に配布はしてあるんだと思いますので、問題点はどこだったかをちょっと思い出して、これは私見という前提でしゃべりますので。
郵政公社の民営化については、基本的には5原則を挙げたものがあったので、これを大前提にしておりますけれども、基本的には3つ、経営の自由度の拡大の話と民間とのイコールフッティングの確保の話と、それと事業ごとの損益の明確化と事業間のリスク遮断の徹底ということは極めて重大な点だというのが第1点です。
それから、この2007年4月に郵政公社は民営化します。その後、移行期間を設けて、遅くとも2017年、10年後には最終的な民営化の姿を実現化するということを書いてありますが、これは10年もかかる必要がないのかもしれない、早く事が進むかもしれないということだと思います。
したがって、そこに至る具体的な工程につきましては、さらに検討するということで、一番最後のところにいろいろ、経営形態のあり方について、見直すための方途が書いてあります。
具体的な民営化の姿につきましては、そこに書いてありますとおり、持株会社を設置する。したがって、郵政公社が担っております4つの機能は、それぞれ株式会社として独立させることを基本に、今から調整をしていくことになろうと思っております。
窓口が、いわゆる持株会社の中に入る形になるとかならないとか、いろいろなことがまだ考えられるとは思いますが、2番目のところで、窓口ネットワーク会社は、3事業の窓口業務、町村合併が進みますので、民間の業務を受託するほか地方公共団体のサービスも受託する等々、小売やサービス等の地域と密着した分野に進出を可能にするということを書いてありまして、これに関しては、郵便事業というものは、基本的には法律で義務づけられることになると思いますが、その他の簡易保険、またいわゆる郵貯等々の事業につきましては、これを法律で書くということはいろいろな問題点もあろうかと思いますので、この点につきましては義務ということを明文化する、または、定款で書く、国会答弁をする、いろいろなやり方はあろうかと思いますけれども、そういった形できちんとサービスが落ちないように配慮するということで、5原則にのっとって、こういった形にさせていただいております。
(3)郵便事業会社は、郵便事業、国内外の物流事業を行う。これは、生田総裁が前から希望しておられたところでもありますので、こういったことを書いておりまして、ユニバーサルサービスを義務づけるということを課しております。したがつて、その維持に必要な場合には優遇措置ということを書いてありますが、これは補助金を意味しているわけではありません。今でも、5,500億円の債務超過で事がスタートしておりますから、そこのところはしかるべき優遇措置をしないと、最初から5,500億円の借金、マイナスでスタートさせるわけにはいきませんので、そういった点の配慮をするということが書いてあります。
(4)郵便貯金会社・郵便保険会社―正確には、これは違うのではないか、簡易保険会社と書くのが当たり前ではないかと、簡易保険と書くのが正確な文章ということを知らなかったので、正確には簡易保険会社です。民間企業と同様の法的枠組みに定められた業務を行うと、当たり前のことが書いてありまして、新規契約分から政府保証を廃止し、預金保険機構・生命保険契約者保護機構に加入する。ほかと同じにするということですから、当然のことが書いてあるのですが、なお、リスク遮断の観点から、金融市場の動向も見極めながら実質的な民有・民営を目指すという、この意味は、今、世の中というものは、基本的には金融業界は総合金融コングロマリット化している中にあって、ここだけは分社化、分断化するというのは市場の流れとは全然違うということではないかということになろうと思いますので、そういった意味では日本の場合も、今、UFJやら三菱やら住友やらでいろいろやっていますけれども、信託のブームが来るとか、いろいろな話があるのが今の流れですから、そういった意味からいえば、ここだけ分社化するのは世の中の流れとしてはいかがなものかという御意見もありましたので、金融市場の動向も見極めながらというような言葉を使わせていただいたのはそういうことです。
次のページです。
(5)民営化前の政府保証が付いた郵便貯金・簡易保険については、何らか形での公的な保有形態を考慮する必要があるという意味は、少なくとも、今、政府保証がついております預金・保険というものが、額が少なければいいですけれども、極めて大きな額なものですから、2007年まででも数百兆、今は約三百何十兆というのですが、それまでにかなり減ることが予想されますので200兆台かと思いますけれども、そういった大きな金のことでもありますので、少なくともその金が極めてリスクの高いものに使われてなくなってしまうということはあり得ないわけでありまして、そういったことも考えて、基本的にはその金をリスクから遮断しておくという必要はあります。したがって、それをどう行うかという場合については、何らかの形での保有形態というものを考慮する必要があるというのはそういう意味です。
そして、その場合でも、管理・運営は新規契約分と一括して行うという意味は、旧勘定、いわゆる政府保証のついた旧勘定は分離して、新しく保証のつかない勘定からスタートするというような話もありますけれども、旧勘定というものを持った会社を維持する運転資金は、新規の金が一切入ってこなければ、この旧勘定だけでは運営できませんから、そうするとその部分は何かの資産を売るということになりかねませんから、それは国債やら何やらのことを考えたら、極めて危険なことになりますので、そういった意味では新規も旧契約も一括して管理・運営を行うということであって、それに関して何らかの保有している会社が、この新会社に経営、運用を委託した場合において、当然のこと、そこに利益が出ますから、その利益は新会社がとります。大事なところです、ここは。新会社がとります。
ただ、新会社がとった分を、そこのところから旧契約を持っている何らかの形の会社に対して、それを払った場合は、通常ですと譲渡益課税というものが発生することになりますので、それは基本的に法律で、これはしませんということを意味しております。
次、地域の実情に合ったサービスを提供することを可能とするため、窓口ネットワーク会社を地域分割するか否かについて、更に検討して早急に結論を得る。他の新会社を分割するか否かについてはということに対しましては、これは窓口ネットワークというのは、持株会社というものと兼務するという経営形態を新経営陣がとられた場合は、これは窓口ネットワークと持株会社が一緒ということは、窓口ネットワークが分割されないということになろうと思いますので、それは新しい会社の経営者の方々が判断されることであって、学者やら代議士やらの経営感覚というものをこんなところに安易に持ち込むのは間違いだと思っていますので、そういった意味では、私らとしては新しい方にしていただくということで書いております。
4番、2007年4月の民営化の時点での組織の姿については、最終的な民営化の姿を前提に、更に検討して早急に結論を得るというのは、これは持株会社で最初スタートするというのが理想的なのですし、私どももそれが理想とは思いますが、これは物理的に3国会ぐらいで二百何十本を超えるであろうと予想される法律を全部通すというのは、とても自信がありません。そういった意味では、これはかつて国鉄をやりましたときにも、NTTをやりましたときにも、これはあのときよりはるかに大きなものを考えなければいけない。簡易生命保険法から郵便貯金法から郵便法から、もうどでかい法律を幾つか変えなくてはいけませんし、後でいろいろな法律が関係してきますので、そういったものは、最初は一応、3つ一緒に特殊会社でスタートしますが、最終的な民営化の姿を前提にしてそういうものを考えると、将来はこれは持株会社制度にするのですよということを考えて最初にスタートしないと、今のままでいいではないかという安易なことになりかねませんので、少なくとも経営者の方としては、将来この会社はそれぞれ分社化されるという前提で最初から経営に取り組むか取り組まないかというのは、姿勢としては大きな違いが出ますので、そういったところは考えられるべきだと思って、こういうような表現で、更に検討して早急に結論を得るというように出しております。
5.ユニバーサルサービスをどのような形態でどこまで義務づけるかについては、更に検討して早急に結論を得るというものに関しましては、郵便事業はユニバーサルサービス、山間、へき地に至るまでやることを義務づけるということで、サービスが落ちないようにするということを前提にするのを、法律で決めるのはいいが、簡易保険、また郵貯等々まで法律で決めるのはいかがかという御意見がありましたので、しかしこれは、ある程度、今のサービスは郵便の窓口がある上で、銀行の少ない過疎地においては、そのサービスを前提に成り立っているところがありますので、そういったことを考えれば、基本的にはこの種の問題につきましては、今まであったサービスがなくなるではないかという御意見も出てきますので、この点につきましてはどこまで義務づけるかというのは法律で書かないまでも、少なくとも明文化する、定款で書く、いろいろなやり方はあろうかと思いますけれども、国会答弁を含めてきちんと明文化しておく必要があろうと思いますので、検討して早急に結論を得るというぐあいにいたしております。
6.民営化とともに、郵政公社の職員は、国家公務員の身分を離れ新会社の職員となる。民間会社なのですから、公務員ではないということであろうかと思いますが、よくよく詳しい方は知っておられると思うのですが、郵政監察官というのがあるのは御存じだと思うのですけれども、約660人いると思いますが、これは、郵便局にいきなり入ってくる監察官であります。郵政事業に勤務したことがある人なら、一番怖いのはこれであって、税務署よりはこっちの方がよっぽど恐ろしいという人たちがいる。この郵政監察官というものを、民間でやりますと。また、裁判所から来る特別送達、必ずつくもの、また特許庁などが受け付けたときの日時が書いてあるあれ、これで優先順位が決まりますので、こういったものに関しては、例えば特別送達は民事訴訟法上で、これは公務員がやらねばならぬと書いてありますから、そういったことに関しましては、これは郵便法だけの話ではなくて民事訴訟法の話になりますので、こういった人たちはある程度特別に扱うことも考慮しておかなければいかぬということで、私どもとしてはここに書いてありますように、人材の確保や勤労意欲・経営努力を促進する措置の導入等、待遇のあり方について更に検討するという文言になっております。
新会社につきましては、その次の7番として、原則として税金等々につきましては、新会社の経営は自由なのだから、当然、税金も一緒にちゃんと払うのだということが書いてあるということです。
8番、2007年4月の民営化までの期間は準備期間と位置づけるということでありまして、民営化に向けた準備が迅速・円滑に進むよう、同期間において、郵政公社は勘定をごちゃまぜにしない、勘定区分をきちんと明確化するということ。準備期間なのですから、新会社として子会社に出資するということもあるでしょうし、物流等々へ出ていくというのであれば、例えば業務の拡大などに取り組むということになりますので、それに関係するのは何も総務省とは限りませんので、政府として必要な取り組みを迅速に進めるという表現にさせていただいております。
9.民営化の基本方針を取りまとめた後、民営化に向けた詳細な制度設計及びその後の円滑な準備作業に取り組むというふうに書いてありますけれども、これはこの種の基本方針を決めたら、それに基づいて会社の損益がどうなのか、また財産目録、比較貸借対照表を含めて、数字を入れた損益計算というものを、当たり前の話ですけれども、会社をやる人は考えなければいけない。これは、文学的な話ではないのであって、数字の話ですから、そういった意味ではきちんとしたものをやらねばなりませんので、当たり前といえば当たり前のことが書いてあります。
10番目、民営化後3年毎に民営化の進捗状況や経営形態のあり方を見直すための委員会を設置するというのは、民営化されて、私どもは基本的に、会社を民営化するということに関しましては、何となく公社になって今うまくいって、生田総裁のもと、おかげさまで事は進んでいるように思います。確かに、進んでいるのだと思いますが、これが民営化されたら、その後、分社化して、いろいろな形での持株会社をつくって等々のいろいろな最終形態というのを、私どもも考えてはいます。考えてはいますが、それがその時代にあったものなのかどうなのかというのは、これは今から時間をかけてみないとわからないところであって、窓口サービス等々がうまく当たって、いきなりうまくいけば、これはその段階でもう分社化してもいいという形になるかもしれませんし、いずれにしてもそのうちの話というものに関しましては、少なくともどうなったかという内容をもう1回きちんと、モニタリングするとかいろいろな表現はあるでしょうけれども、経営形態のあり方というものを常に見直す、見ておく委員会を設置するという表現に最後にしたということで、この話が最終的に民営化基本方針の骨子として、今日、経済財政諮問会議で認められたということであろうと思いますので、以上をもって、今配布した資料の説明にかえさせていただきます。
3.質疑応答
(問)お二人で30分間お話をされたということなのですが、番号でいえばどういう項目というか、それからその後、ほかの議員からどのようなお話があったのか、質疑があったのか。
(麻生大臣)どんな話の内容をしたかというのは、それはここに書いてある話の内容をしたのです。当たり前の話で、その話の内容を、どの順番でですか。
(問)調整をされたというか……。
(麻生大臣)どういうところを調整したか、それはもともと意見がかなり違っていましたから、お互いに譲り合って、もう謙譲の美徳で私の方が譲らされたと私は言うけれども、竹中さんは多分逆のことを言いますので、あまり聞いても意味がない質問だと思いますけれども、後のところで意見が出て修正したところというのは、そんな大したことはありませんでしたね。委員の方からはそんなに多く……質問があった程度で、文を修正するというようなことは……。
(竹中大臣)表現を少しすっきりさせたらどうかという意見はありました。
(麻生大臣)そういうお話はありました。
(問)竹中大臣にお伺いしたいのですが、4番の郵貯、簡保は、民間企業と同様の法的枠組み、これは前回のレクでおっしゃられた銀行法と、それから保険業法を指すということでよろしいのでしょうか。
それから、これによると、2007年4月の前に、例えば貯金会社であれば銀行の認可を受けて、2007年4月から金融庁の管轄下に入るということでよろしいのでしょうか。
(竹中大臣)明示的にその議論を今日したわけではありませんけれども、基本的には民間と同じ法的枠組みに入るということは、決して銀行法とか、そういうだけではなくて、証券取引法等々の問題も出てくるでしょうし、商法の会計規則の問題も出てくるでしょうし、より幅広いものであるというふうに思います。
(問)金融庁の管轄下に入るということでよろしいのでしょうか。
(竹中大臣)その法律を所管するそれぞれの役所が、その法律の立場で見ていくということになるのだと思います。
(問)民営化の姿に関してなのですけれども、持株会社に関しては、そのように持株会社という意見とそうでないという意見があったのですが、今回、最終的な姿として持株会社を設置するとともに、これについては定まった形になっていると思います。それと、麻生大臣は、4つの事業の分社化に関しては、持株会社がその窓口業務を担うという形での意見を記者会見の中でおっしゃっていたと思うのですが、今回、決め打ちはしていませんが、基本にという形でこの4つの事業を分社化、独立させるという形になっています。それぞれの理由について教えていただけますでしょうか。
(麻生大臣)今の話で、基本的には持株会社にするというものの一番の前提は、この種の店舗を使う職業というものは、その会社において一番大事なのは店舗戦略、こういうことになろうと思います。丸々みんな、4つとも完全に独立した場合に、その店舗戦略はだれが決めるのかという話になってくると、基本的にヘッドクオーターというようなものをイメージしないと、なかなか現実としてはできないと思いますので、私どもも持株会社についての新しい形態については、新会社の経営者にという表現になっているというように御理解いただければと思います。
(問)大きな項目の4番と5番についてですが、先ほど麻生大臣がおっしゃったことの確認になるのですけれども、4番は組織の姿についてのところで、'07年4月時点では、3事業、4事業一体でやるというふうな趣旨のことを大臣がおっしゃったように思うのですが、それは'07年4月については、当初は一体でということなのでしょうか。法律をつくるのが間に合わないとおっしゃったので。
それと、5番についての読み方ですけれども、これはどのような形態でどこまで義務づけるかというのは、法律化はしない、法律では義務づけない、その前提の上で、どのような形態でどこまでかということなのでしょうか。
それともう1点、この2点と、あと下の6番にもありますが、早急に結論を得るというのは、基本方針を定める前に、要するに基本方針はこの点等について結論を得たものとして最終的には基本方針になると理解してよろしいでしょうか。
以上、お願いします。
(麻生大臣)今、法律があるわけではありませんから。今からこの骨子に基づいて基本方針をつくっていくわけですから、その基本方針に基づいて、法律案を国会に提出するまでの作業というものは今からです。まだ何も始まったわけではありません。
これに基づいて法案を審議するのは、国会議員ですから、私ども内閣として、5原則に基づいて最もいいという案として提案する立場にいるわけです。今から法案をつくっていくわけですから、その法案をつくる作業において、いろいろ議員の方ともお話をしなければいかないし、議員の方々の了解も得なければ、これは法案が通りません。そういった話をしていくという大前提で、早急に結論を得るというのが書いてあります。それで、ユニバーサルサービスを義務づけるかについて、法律というもので書くのはいかがなものかという御意見が多くありましたから、私どもとしてはきちんとして明文化する。定款で書くとか議事録に残すとか経営者が変わったらころっと変わるかもしれませんから。ユニバーサルサービスというのは負担ですから、それはやめた方がいいということになった場合、経営の生産性からいったらやめた方がいいですから、民でいけばやめた方がいいです。しかし、公という部分を負っていますから、その部分からいったら、ここはきちんと対応しなくてはいかないということでありますから、どのような形で明文化するかということについては、今日この場でやるような話ではありませんから、基本としては明文化するということを意味しながら、早急に結論を得ると書いたということだと思います。
最終的な民営化の姿を前提にということに関しましては、先ほど言いましたように、持株会社ということで出ていますが、2007年4月までにすべての法案が全部でき上がってそれが通るかという問題になりますと、通って準備するということになりますので、それはなかなかそんなに簡単に─通常国会、臨時国会、通常国会と3回ある可能性はありますけれども、郵便法を含めて大きな法律だけでも4つ、5つ、ほかにその他細かいものまで考えると、そんなに簡単に最終的な姿というものが2007年でできるというのは、総裁としても、物理的に私どもとしてはやれる自信は全くありませんというお話を受けて、私どもとしてはそれなら、担当しておられる御当人ですから、その方ができない話をこちらが幾ら言ったって、それは最初の2007年にスタートしたときにくしゃくしゃな形になったときには、前よりもサービスが利用者にとっては著しく不便を与えることになりますし、信用も失うことになりかねませんから、そういった意味ではこういう表現をして、確実に持株会社や何やらできる段階でということを書いているというふうに御理解いただいたらよろしいのではないかと思います。
(問)今のは、竹中大臣も同じ解釈でしょうか。
(竹中大臣)ちょっと質問の数がたくさんあったと思いますけれども、2007年4月にどのような形からスタートするかということに関しては、まだ意見が分かれているということです。これは、スピードが大事だから、できるだけ早く持株会社形式で初めてくれという御意見と、実務的な難しさからいって、それはなかなか難しいのではないかという御意見がある。したがって、それを踏まえて早急に調整しようではないかと。その場合も、最終的な民営化の姿を前提に、それと無理のない形で当然やっていこうというのが4.の意味です。
5.の意味は、これも麻生大臣がお答えしたとおりでありますけれども、どのような形でユニバーサルな一律のサービスを保証するか。基本的には、窓口は国民がアクセスできるようにしましょうと。その窓口ネットワークには、郵貯、簡保、郵便を全部乗せるということは、これは今の趣旨として決まっているわけですから、ユニバーサルなサービスは提供されるわけですけれども、それをどのような形で、法律に書くのか、一番緩いのは経営方針として決めるというのもありますが、その中間として何らかの設置基準等々で保証するというものもありますから、そこは技術論の問題も含めてしっかりと決めていきましょうというのが5.の話であります。いつまでに決めるのかということに関しては、法律をこれからつくっていきますので、その法律に間に合うような形で詰めていくというのが基本的な姿勢だと思います。
(問)そうすると、5番は法律を除くのでしょうか。法律の明文化は除いて、その他でいろいろな形でのユニバーサルサービスというものについて考えるということですか。
(竹中大臣)基本的には、法律に関しては、郵便に関しては法律で義務づけるということは一致ですけれども、その他のものについてはオープンエンドで議論しましょうということです。
(問)3の(4)でお伺いしたいのですが、郵貯と簡保の実質的な民有・民営という最後のくだりですけれども、目指すということですが、どのようなイメージというか、例えば持ち株比率を下げていくとか、出席者の中でそういったイメージみたいなものは、何か考えていらっしゃったのでしょうか。
(麻生大臣)基本的には、100%の政府が持った会社ではなくて、民間が株を持つ、NTTがやっていったような形で、利益が確実になったところから─どれが一番手になるかわかりませんよ。窓口というものが、もっと我々が考えているより早くスピードが出てくるかもしれません。こういった商売というのは新しい分野ですから、急に伸びるかもしれないし、わかりませんから、そこのところは今の段階で簡単に言うことはできません。そこのところのイメージとして、私のイメージはこうだと言うと、それがイコールこれをしなければならないというようにとられると、経営者の側としては押しつけではないかということになりかねませんので、そこのところについてはいろいろ考える意見がありましたので、金融市場の動向も見極めながらということを一番最後に書いたのには、そういう背景もあると御理解いただければと思います。
(竹中大臣)麻生大臣がおっしゃったとおりです。基本的に今の金融の常識からしますと、なぜこんなことを議論するかというと、やはりリスク遮断が必要だからです。今の金融の常識からいきますと、リスク遮断をするためには100%民間に持っていただいて、資本関係が完全に切り離される、これが完全なリスク遮断ということになると思います。
したがって、そういう形を目指すべきですけれども、金融の常識そのものが今どんどん変わっている。金融コングロマリットをどのように解釈すればいいだろうかという問題も、多分、今後出てくるので、そうした意味でその時点での実質的な判断をしよう、そういう趣旨であります。
以上
|