麻生総務大臣閣議後記者会見の概要

平成16年9月27日(月)

<<冒頭発言>>
 なし。


(質疑応答)
【国民スポーツ担当大臣について(1)】
:本日、新たにですね、国民スポーツ担当を拝命されたということですが、官邸での会見では、拠点づくりの話を少し触れられていましたけれども、この国民スポーツ担当というのは、具体的にどういうことを取り組んでいかれることになるのでしょうか。
:これは文部科学大臣と、きちんと、よく詰めておかないといけないところなのだと思います。スポーツは文部科学省の担当ということになっているはずですから。そこで主に、高校野球は甲子園、高校ラグビーは大阪の花園、高校サッカーは国立競技場等々、拠点というのがあるのですが、そういったものは有名なのですけれども、他にも、小中高校生が参加するような全国大会というのが、実は何百という種類があるのですけれども、いわゆるそういった拠点といったものは無い。理由はたぶん、その地域で継続的に開催するのには経費がかかるということなのだと思います。やはり野球だと甲子園へ行きたいという、何もあんなに暑い兵庫でやることはないじゃないかと、夏にやるのなら北海道でも良いのではないかとか、いろいろなことを考えてもおかしくないのでしょうけれども、しかし、高校野球は甲子園ということになっていて、それが甲子園イコール高校野球の代名詞みたいになっているのですが、間違いなくあの地域の地域興しになっていることも確かでしょうし、そういった夢というのは非常に大きなものではないかという話を、いつでしたか、だいぶ前にして、それで拠点づくりということで、それを実施すると、元気のない地域の再生、地域興しになるのではないかという話を申し上げて、簡単には、特定スポーツの全国大会を継続的に開催するといったものを総務省としては、文部科学省と組んで、応援していくということができるのではないかなという話をしたのがそもそもの最初だと思うのですが、それが今回、国民スポーツ担当大臣ということになったという経緯で、「拠点づくり推進委員会」を設置し、既に地方公共団体といろいろ今やっていこうとしています。希望するスポーツ、例えば、俺のところはアイスホッケーをやりたいと、俺のところはスキーでノルディックだけをやりたいと、また、アルペンだけやりたいと、それはいろいろ地域性もありますから、希望地が出てきて、そのスポーツ団体、スキーならスキー、アイスホッケーならアイスホッケーの団体とその地域が共同で開催計画を立てるとかということになって、それを推進委員会がみて、そしてそれに対して財政措置等のいろいろな応援をしていくことになるだろうと思います。上九一色村のカヌーとかは、イメージとしてはオウム真理教より大分いいじゃない?そういったようなものが、既にいろいろ声は上がっていると思います。詳しくは事務方に聞いて。他にもいろいろあると思います。僕が覚えているのは上九一色村のカヌーと苫小牧のアイスホッケーというのが確か上がっていると思いますね。
 
【郵政民営化関係】
:郵政公社を所管する大臣として、今後、民営化に反対している労働組合との対応、これについて伺いたいのですけれども、大臣はこれまでも労組と会談などをされてきたのですが、労組側が、基本方針ができた今でも、やはり民営化に反対ということなのですけれども、その一方で、大臣が、その民営化会社のビジネスが見えるまで分社化を遅らせると、そのアイデアも労務対策として出されていたのですが、それも否定されてしまっているのですけれども、政府としてですね、総裁に任せるだけじゃなくて、労働組合への対策として、新たな枠組みであるとか、そういうふうなものを何かお考えになられているのでしょうか。
:基本的には、労働組合との団体交渉というのは、その職場を担当しておられる、今なら生田総裁ということになる、それは基本的にはそうだと思います。私どもは、その労働組合と団体交渉をやるわけではないので、それは現場をやっておられる方が一番大事。それは当たり前の話ですし、基本方針の中にもそう書いてあります。また、勤労意欲とか人材確保とか、そういった経営努力を促進する処置というものは、当然大事ですよとか、勤めている人への対応の在り方については、制度設計上きちんと対応しなければならない等、9月10日に決定された郵政民営化基本方針の中に書いてありますので、そういった意味ではそれを踏まえてやっていかなければいけないということなのだと思います。基本的には、これは儲かるなということになれば、給料を含めて労働環境は良くなるわけですから、だからそっちの方に、いいなと思って行ってもらおうと。そうではないのとでは、同じ給料を貰ってもかなり違いますよ。行きたくない部に行かされた記者とかね。政治部に行きたかったけど、どこどこに行ったとか、それは同じ給料でも気分が違いますから。だからそういった意味では、なかなかこの種の話というのは、そんなに簡単に羊羹を切るみたいにスパっといけるような話とは僕にはとても思えません。だけれども、きちんとそれでやっていかねばならないということで、少なくともシステムが動くのが前提ですよ。システムが動くということは結構大変なことだと、僕は思うのですけれどもね。簡単に出来るという方もいらっしゃるのですけれど、私はそのシステムに慣れるまでどの程度かかるのか、イギリスの田舎の郵便局の現状がどういうものかを知らないわけではありませんから。そういった意味からいくと、地方の小さな郵便局が民営化されたことによってどのようなことになるか等々について、本当に真剣に考えないと行政サービスの質が落ちる。民間で出来る部分も間違いなくあるでしょうし、その分は大いに今後やっていかなければいけないところでしょうけれども、一方で、その結果、行政サービスが前に比べてがた落ちになったドイツ、イギリス、いろいろあると思いますよ。成功しているという例になっているけれど、僕にはあれが成功例かな、という感じがしないわけではありません。成功しているところもあるのは事実だと思いますけれど、そうでないところもあるという感じがしますので、ああいう例が幾つか世界中にありますので、そういった例をきちんと参考にしながら、日本としては、こんなに上手くいきましたというものを作り上げないといけないという感じがします。これは今から法案が出来ていくまでの間、党とも詰めないといけないでしょうし、組合とも詰めないといけないでしょうし、生田総裁の直接やっておられる部分については、我々がそれをバックアップする。いろいろあると思いますが、基本的には民営化されてもサービスが落ちないこと。今、黒字なのですから、民営化されたら赤字ということにならないような制度設計をすること。そして結果として、国全体としても良かったという結果が出せるようなものを作り上げるということが一番難しいところなのだと思います。これは基本方針を作って、今からきちんと法案を作って、かつ、それを成立させるところに記者の皆さんとしては関心がおありになるところでしょうけれど、私等、元、会社経営というものをしていた者から言わせると、その法律より何より、まずはその会社を実際運営し、運営した以上は黒字にするというところが、これこそが最大の問題。私にとっては、BSとかPLが、BSというのは比較貸借対照表とか、PLは損益計算書というようなものの方に、僕は最大の関心があるのです。これが上手くいく状態になれば、それは対組合関係も話がし易くなると思いますけれども、それが全然見えない状況とか丸々赤字になるというような感じがすれば、それは組合だって、赤字になるのがわかりきっているところに行かされるほうは、なかなか簡単にはいきませんよ。僕にはそう思えます。
:郵政民営化担当相が出来まして、今後その制度設計に入っていくのですが、総務省と郵政公社の役割というのはいったいどのようなものになるのかを伺いたいのですが、民営化準備室の会見などによりますと、法律の枠組みは民営化準備室が担って、経営に関わることは公社が主体性をもって行うと、そのようなことが想定されているようなのですけれども、総務省と郵政公社がですね、今後制度設計において、どの様な点に留意して、その法案整備、制度設計を進めていくべきだとお考えでしょうか。
:基本的には、先ほど言ったのと重なると思いますが、基本設計をしていくに当たっては、僕は一番最初に言った三点、竹中大臣はそれを五つの原則と言われておられるあの点です。いろんな形で分社化するにしろ、民営化された郵便会社が、4社プラス持ち株会社ももちろんのこと、その会社全部が少なくとも利益が出るということが、民営化する以上絶対に必要です。今利益が出ているのだから、利益が出ないということになったら、例えば郵便配達をやる会社で利益が出ないので、それに補助金を出しますなどと言ったら、それは、国立公社の頃には補助金が出ていなかったのに、なぜ民営化したら補助金が出るのかと新聞が書くわけですよ。待っていましたとばかりに。私の立場としては、「それ見たことか」とは言えないから、そういうことにならないような設計を、最初からきちんとしておくという経営の感覚というのはものすごく必要だと私は思っています。その点が公社と、たぶん立場としてはほぼ同じだと思いますので、見てくれの民営化より、実質的にきっちりと民営化した結果が出せないと意味がないので、BSもしくはPLが全てです。私に言わせたらそれが優先順位の一番。それがきちんとしていれば、対組合というものもそこそこ理解は得やすくなると思いますけれども、組合員を無視して経営は出来ません。僕はそこだけは何回も申し上げておりますので、そういった言葉を今後とも、言い続けなければいけないところだと思っております。これは一番の問題よ、僕に言わせたら。しかも、数字が入らない話では駄目。経営計画書で数字が入っていない計画書なんて何の意味も無い。そんな経営計画書なんて日本では一つも無い。必ず数字が入ってなければ。民営化したらいきなり9千億円の利益が出ますというのを是非説明してくれと、どうしたら利益が出るのか、その利益が出る背景、そしてその数字、その答え、そこが知りたい。
:民営化準備室でやるべきなのか、公社がやるべきなのか、いろいろ意見が分かれているところですが、その答えは。
:民営化準備室で経営者といったら、誰がいらっしゃるのですかね。少なくとも民営化準備室は、経営者を採用するべき。経営というものを、少なくとも店舗経営をやった経営者を採用すべき。僕はそう思います。その上で話を聞きますよ。だから、新聞も書く場合は少なくとも理念だけではなく、少なくとも現場担当者の話を聞いたうえで、且つ、実際やってきた人たちの話を無視して、これでやれ、何年後はこうしろというのは僭越の極みであり経営というものを舐めていると僕はそう思う。
 民営化した方がいい分もいっぱいありますよ。僕はそう思いますよ。公社による弊害というのも、いろんな資金の流れとかいろいろあるのもよくわかります。しかし、仮にも従業員40万人ですからね。関係している会社を入れたら大きな会社、組織ですから、その人たちの労働意欲が著しく減退することが起きないようにするのが経営者だと僕はそう思っているのです。大仕事であることは確かです。でもとにかくここまで来ましたので。
 
【三位一体の改革】
:郵政民営化についてはですね、総理の方からも、郵政担当大臣と連携してよくやってほしいというご指示があったという話だったのですが、もう一つの大きな課題である三位一体の改革、こちらの方については総理の方から今日、改めて指示があったのでしょうか。
:改めて指示があったか?「三位一体については、その際、地方からの改革案を真摯に受け止め、地方分権の本旨にかなった改革となるようにしてもらいたい。」という話でありますので、金科玉条のようにこれを戴いて、やらなければいけないと思っておりますけれど、とにかく、これも大変。
:総理は度々、地方からの改革案を真摯に受けとめてとおっしゃって、大臣も会議でもそうした旨、こちらから頼んでまとめてもらったのだから、基本的には尊重するべきだというお考えを示されていると思うのですけれども、今日も何人かの閣僚の方の会見を見ているとですね、やはり、自分たちの所管している補助金はこんなに大事であると、義務教育費を所管している文部科学大臣もそう仰っていましたけれども、そういう考えを述べられる閣僚の方が多かったのですけれども、今仰った地方の声を真摯に受け止めてというのは、今回入閣された皆さんに徹底された指示になっているのでしょうか。
:僕みたいに留任組と違って、新入閣組の方へは、総理からどんな話があったかの内容を聞いていませんから、何ともそこのところはわかりません。ただ、これは仮にも閣議決定に基づく、総理から地方に投げたことへの答えというのは、そんなに軽くないです。僕はそう思います。地方に帰られたら、地方の人たちは、自分たちの町としては、これに賛成しているのだと言われたときに、議員の立場としてはなかなか難しいですね。議院内閣制とはいえ、僕はそこのところは難しいという感じがします。ただ、いろいろ出された案の中で、こうすればもっと上手くいくという案または代替案として、こうすればという案があるなら出していただいていいのだし、それは出して下さいと申し上げてあります。かつ、義務教育の話にしても、義務教育というのは、本当に中学までの間に何をどれだけやるのかという、そもそも義務教育というのは因数分解というのは必要かと。そもそも義務教育というのは、子供を学校に行かせないという時代、明治二十三年か、世に不学の人なからしめんと欲すという言葉にはじまるあの時代と、今と、全然状況が違う。学校に行けばいいというのに、学校の他に塾まで行くという時代でしょ?行かせ過ぎるのが問題ではないのかという意見だっていっぱいあるという時代で、以前と全然状況が違っていますし、現在の6・3・3・4制というのは、今後とも残していかなければいけない制度ですか?義務教育一貫性でいいのではないのかと、幼稚園から数えて小学校6年まで、1年生から9年生までとか、考え方はいろいろあると思います。だから僕はそもそも義務教育はという話をするべきということについて、経済財政諮問会議の一番最初に、また、知事会議でも経済財政諮問会議でも何回も言ったことがあると思いますので、そういったもの含めて、いろいろ論議をされて然るべきだと思うのですが、文部科学省の話を聞いていると、給与の話と教職員の数の話で、政策論争ではないのではないですかね。僕にはそもそも義務教育はという、かく有るべきというのがあれば、それでよろしいのだと思っているのですけれど。そこの合意があれば、別によろしいのであって、その後お金の話というのは、高校を見ても、地方でまかされていますけれども、九州で、この県立高校とこちらの県立高校と比べてそんなに極端に差があるという感じは、僕はしないですね、少なくとも。だからそういった意味では、お金だけという話とは少し違うので、もう少し国として教育に責任を負っている範囲というのはこうという、そういった根本的な話をしないで、数と給与だけでいくのは、そもそも少し違うのではないかとずっと申し上げ続けてきたと思います。他にもいろいろありますよ、他の補助金。ただ、これは補助金三兆円の削減というのを、中央省庁で十月までに話をつけて持ってこいと言われ、文句、不満があるなら、全省庁で、誰がとりまとめたかは知らないけれどと言われて、まとまれば、それはまた一つの考え方かもしれません。しかしそれが出せないと言って地方に振った。地方には出せないと思って皆地方に振ったのではないですか?地方はまとめたのではないのですか。まとまらないと思って振り付けた人もいっぱいいると思います。だけど実際はまとまった、だから焦った、という点を新聞社として一番突くべきところではないでしょうか。言いたいことが他にもいっぱいありますが、控えめに言ってもこれだけはと思っているのですけれども、これだけでも言い過ぎているとは、百も二百も知った上でしゃべっているのですけれども。基本的に、この三兆円の話はものすごく、だって地方分権するのですから。地方を信用するかしないかという話ですから大きいですよ、この話は。根本的なところが。一番根の深いところだと思いますよ。地方は何もしてない、中央だけが頑張っているのだという意識はやめたほうがいい。地方でやっているところもある、やっていないところもあると、きちんと区別してみないと間違えてしまうという感じがします。
:三位一体の改革ですけれども、今、協議の場がですね、官邸の方に出来て、地方直接と各省庁。それをまとめる官房長官がまとめ役としていらっしゃって、そういう中でですね、地方が、そういう事情を鑑みた上で支持するべく大臣の役割といいましょうかですね、大臣として、今、たくさんいるプレーヤーの一人なのか、大臣が率先してまとめあげる立場なのか、そこらへんを。
:私の方は地方の声まとめあげるのが仕事ですよ、基本的に。三千の市町村を、いかにまとめるのが仕事ですから。それをまとめた。国の要請に基づいてまとめた。閣議了解したのだから。
:そこで各省と、あなたの言っているのはちょっととかっていう、個別のこうやるのは大臣の仕事では・・。
:個別の内容でもっといい案が出てくれば話は別です。地方六団体の出した案より、こちらの方がもっといい案だというのが、納得できる案があるならそれにしていただければ。代替案がなくてただただ反対と言われても、私のところを削減しないで他のところを削減してということで通るかな。僕は、それはなかなか難しいのではないかなという感じがします。閣議了解をして頼んだというのは結構重いよ、僕はそう思います。
:最後は政府の場合、予算といういずれにしても解決をしなければいけないわけですよね。そこの落下点というのは、結局は政治の力になると思うのですけれども。
:それはそうでしょうね。最終的には、この種の話は。
:それはその、大臣間でつけるものなのか、最後は総理になるのでしょうか。
:内閣で最終的決定するのはそれは総理大臣です。最終的にはそういうことです。スタートした時も、地方に三兆円の税源移譲をすると決めたのも総理。そして、税源移譲三兆円に見合う補助金、どの補助金を削減するかというのを地方に考えてもらうというのを決定したのも総理がしておられるわけですから。最終的には議院内閣制に基づく内閣総理大臣の決定に基づいて閣議了解、閣議決定ということになっている。閣議決定というのは結構重たいものだと僕は思っています。
 
【国民スポーツ担当大臣について(2)】
:国民スポーツを担当された経緯について伺いたいのですけれども、先ほど拠点づくりをやると地域再生になると申し上げたらこういう形になったというふうに仰ったのですけれども。
:申し上げたのは三ヶ月くらい前だったか・・・、オリンピックのもっと前か、もう大分前の話。
:あーそうですか。で、申し上げたということは、要するに大臣のご発案で、で、それについて総理が興味を持たれて具体化したという話の流れでよろしいのでしょうか。
:そうでしょうね。地域振興で始まったのですから。地域振興について何か考えろということで、規制緩和の特区特別委員会の話の中でこの話をして、元気が出るスポーツという話からいろいろなものが考えられるのではないですかと。何もメジャーなスポーツとは限らないのではないですかと。他にもいろいろありますから。
   
 前半の山は終わりましたので、これで去る予定だということでやっていたのですが、ちょっと当てがはずれたのでさらに頑張ります。
  以上




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