麻生総務大臣閣議後記者会見の概要

平成16年11月26日(金)

<<冒頭発言>>
  それでは、ご存知のように、政府案がまとまっております。今、地方6団体の長とも最終の協議を終えて、「真摯に受け止めていただき」という言葉がありましたので、私どもとしては、地方を預かる総務省としては、いい結果だったと思っております。
  いくつかポイントがあると思うのですが、国庫補助負担金の中でいくと、義務教育費については、地方からの案では8千5百億円の中学校分を削減という案が出ていましたが、そもそも義務教育とはというあるべき論もなしで、一方的に金目の話だけで幾らにするというのは、教育という観点に立つといかがなものかと。これは私が経済財政諮問会議に出て、三位一体改革の会議が始まった去年の10月から3回位言ったと思いますので、その点を踏まえて、少なくとも中央教育審議会においてきちんとその答えを出していただくということを決めました。そして中央教育審議会では、過去、義務教育国庫負担金の全額を地方の一般財源化することを検討するというのが合意でもありますので、そういった意味では平成18年に結論を得るというのは、少々待っているには時間がありすぎますので、ぜひ平成17年の秋までにはお願いをしたいということで、その答えを待ってやらせていただきますが、少なくとも平成17年度の分につきましては暫定的にやらせていただきますということで合意しました。
  それから、地方が最も反対しておりました生活保護負担率の引き下げということにつきましては、来年度は、その種の話は対象の外ということになっております。今後この生活保護の話は、議論していくことになるのだと思いますが、基本的に、生活保護というものを今後とも法定受託事務にしたままでやるのですか、地方自治体の自治事務にされるのですかという根本まで遡ってこの話はしないと、これから毎回毎回生活保護だけの話が出てくるような形になりますので。元の元は完全に国で押さえていて、その差額分だけを地方で持ってくれと言う話は、今後ともできる話ではありませんから、そういった意味では、自治事務にするのか、法定受託事務のままにするのかということはハッキリもう一回、根幹に関わって議論をしていただくべきものだと、私自身は基本的にそう思っています。そうしない限りは、この話はいつまでたっても、永遠にどうだこうだという話になると思っております。生活保護の負担率引き下げに関しては、今申し上げたのは、今後検討していくにあたっても、根本的にそもそも論というのをしないと、いわゆる課税裁定権とか全部に関連していますからね、この生活保護という話は。そういった意味では大事なところではないかと思っております。
  国民健康保険、これは地方からの案の中には入っていません。入っていないものをこちらの方から出す形になりましたけれども、お手元の配布した資料にも7千億円程度と書いてあると思いますが、この基本としては、地方の保険料、いわゆる負担、それが2分の1と、国庫負担2分の1とで賄うというのが基本原則ですから。この基本原則を維持した上で7千億円という話で、この案につきましては厚生労働省と今後詰めることになります。
  学校などの建設国債対象経費である施設整備というのは、これは地方から随分話が出ていたと思うのですが、これは平成17年度中に検討を行うということで、今後とも財務省と検討していくことになるだろうと思います。
  いくつか申し上げましたけれども、そういったものが、改革の全体像というものに盛り込まれているために、地方からも一定の評価がもらえることになったという内容の背景だと思っております。
  次に税源移譲。税源移譲については、資料別紙の一番上に概ね3兆円規模の税源移譲を目指すということがきちんと書き込まれたことが肝心なところだと思っております。その8割に当たりますものが2兆4千億円ということになると思いますけれども、いわゆる移譲対象補助金の内訳まで、全部を一応明記してあって、先ほど申し上げた国民健康保険の7千億円もこの中に出ていますけれども、こういったもの含めて、きちんと明示ができたというところが肝心なところです。
  地方交付税については、これは県よりは市町村の方の最大の関心事。中でも町村は、例の財務省の7兆円だ8兆円だという話で、かなり神経がいらついているところだと思いますが、平成17年、18年度は、地方団体の安定的な財政運営に必要になる地方交付税、それから地方税などの一般財源の総額は確保。それから税源移譲に伴う財政力格差が拡大しないような処置を講じるということを明記してありますので、いわゆる一般財源の総額確保と財政力格差への対応という、市町村が最も不安に思っていたことに対する方向性がはっきり盛り込めたということは良かったことだと思っております。
  全体像としては、地方の案を真摯に受け止めていただいたという話が今日もされていましたので、私もこれは、まだ協議をしなくてはいけないところが、この資料の(3)以下にずっと書いてありますので、その(3)以下のところをやっていかないといけないところだとは思いますけれども、したがって地方の案が完全に採用されたとは言いがたいところだとは思いますけれども、この方向は、公立文教施設やら、いろいろな建設国債対象経費の話やらなにやら、今後とも財務省と協議していかなければいけないところだと思いますが、いずれにしても、こういった形で、地方との協議というものをこれだけ真剣にやり、且つ、地方が提案した案というものに対して、国と地方の間で真剣な協議が行われるなどということは、長い歴史の中で一回もなかった話だと思いますので、そういった意味では画期的なことだったと思っております。地方団体としても、これは迂闊なことを言っては、自分で責任を負うということになりましたし、地方団体も、なんとなく具合悪くなったら政府で補填してくれるという時代は終わりと、自分でやるのよという話ですから、そういったところだと思いますので、地方にとっても結構真剣になるかならないかという意味では、地方政治を変える良いきっかけにもなったと思います。いずれにしても一つの大きな流れが変わっていったということなのであって、この種の話は、後々ずっと続いていく話であって、新聞記者的には欠点だけ論えばいいといったところからいくと、いくつか出てくるとは思いますけれども、例えば、佐藤栄作内閣のときに、「均衡ある地方の発展」て、あれは田中内閣が言った言葉ではありませんよ、あれは佐藤栄作内閣の時に使った言葉ですよ。田中角栄が書いたと書いている新聞社がありますけれども、それは間違っています。あれは佐藤栄作が最初に言った言葉。それで佐藤内閣からあれが始まって、そのあと田中内閣に繋がっていき、均衡ある地方の発展という言葉になっていったわけですから。そういった意味では、今回の場合も、地方というものの観点から言ったら、「特徴ある地域の発展」とか「地方の発展」とか、いろいろな表現が出てきていますけれども、新しい大きな流れが出てきたところで、これを今後着実に実行していくというところであって、残りの6千億円等々につきまして、税源移譲につきましては、その他の中にはずいぶんいろんなものが、私どもも考えられるものがいくつもありますし、そういったものも、今後、きちんと詰めて、平成17年度中に残り6千億円というものをきちんとやりあげたいと思っています。
  地方の自由度が高まるということが、これは最後に残りましたけれど、これが一番肝心なところで、税源移譲に繋がらない交付金のところでも、これは、地方が度々微に入り細に入り事細かにやられる補助金と違って交付金化されるということは、それは自由度が増すということでございますから。その意味では地方からも、要綱などに書いてある通りやっていないから会計検査院から指摘を受けるとか、1千万円で出来上がるところを850万円で出来上げたら残り150万円返せとか、そういった地方の努力が全然報われないというような従来の制度というのは変えてもらわなければいけないところでもありますので、そういったものを含めて、今後とも地方6団体との協議の場というのは継続します。今日、官房長官の方からそう明言をしておられますので、その形で地方団体との協議は続くということだろうと思っています。


(質疑応答)
:冒頭、大臣が地方から評価いただいて、総務省としてもいい結果であると、いい結果であったと仰いました。当初ですね、これは各省、あるいは与党と意見の対立というのが相当分かれていたところで、最終的にこういう形でまとめられた最大のポイントというのはどういうことだったとお考えですか。
:さぁ。皆自画自賛するところなのだろうけど、皆大人だったのじゃない?何がポイントだったかというと、やはり3兆円という枠が決まった、そして3兆円になんとしてもというので、そこのところは皆一致していた。これはやはり、何回も協議をしているうちに、地方団体としても、それからこちら側も、これは対立してどうのこうのという話ではないと。やはり地方の時代、地域主権という大きな流れというのをこれは国会議員は皆、うすうす流れとして感じた。これはやはり地方の案というものに出来るだけ沿う形で、ある程度やっていかないと、これは今後、この国の形の上からでも、やはりこれは地方団体の案を真摯に受け止める必要があるというような意識が少しずつ出てきた。そして、地方もとにかく、自分たちのこの案以外一切呑めないというような頑ななところでもなく、双方ある程度きっちりと、2年間で3兆円なのだから、初年度で3兆円などと誰も言っていないのだから、平成1718年度で3兆円、平成16年度から入れて総額4兆円ということになるので、3年間で4兆円というのだから、残りの部分についても、今後ともやっていく目途がつければそれでいいのであって・・というような、そこそこ皆大人の知恵、対応が出来てくるようになったというところではないでしょうか。場面、場面においては、非常にこれまでから言ったら、義務教育費に限らず、いろいろご意見の分かれるところだったとは思いますけれども、中教審というものを無視した話でスタートしているのがいかがなものかという極めて常識的な意見も取り入れられるというような形になっていったので。私の言葉で、私の表現でいくと、皆、そこそこ現実を、または時代の流れというものを読んだ上で対応された結果なのだと思って、よく総理が言われる、地方もバラバラ、自民党もバラバラではないかと、人様のことをバラバラと言える立場にいるのかという表現で、最後はまとまる、という表現を総理の場合よく使われますけれども、そういった形でまとまっていったのだと思います。
:今、それぞれの大臣が大人の対応をされていたということですが、若干おっしゃったように、平成17年中について結論を得るものとして、一つ建設国債のものがありますけれども、これはどういった議論で、お互い対立点はどこにあったかという、ちょっともし、紹介してもらえればと思います。
:建設国債というのは、公共工事や治山治水事業やら何やら、あれはまた分け方がいろいろ難しいのですが、その中で、例えば社会福祉施設とか公立文教施設とかいったようなもの、約3千億円かな、そういったものが結構定着している?役所用語でいえば。それはもう確実に何十年か経ったら、もう一回建て直すとか、こういう定着しているようなものについては、これは地方に税源移譲してもいいのではないか、というのが現実論。傍らそれをやると建設国債というものを赤字国債に振り替えるというのはいかがなものかという、いわゆる理念?理屈という話とで対立したのだと思いますが、これは今後詰めていきますけれども、皆さんが国債を買われている時に、これは赤字国債だと思って買われている人、これは建設国債だと思って買っている人はいないわけですから、皆ナショナルボンズとして買っていただいているので、そういった意味では、それは理屈ではそうかもしれないけれども、現実としてはという話やらなにやら、そこのところは対立論としては残ったのだと思います。
:先程、大臣は平成17年度中に税源移譲について残り6千億円をきちんとやりたいというお話でしたけれども、今回目標に掲げていた3兆円というのにまぁ6千億円届かなかった・・・。
:と新聞は書くわけですよ。しかし、全然思っておりません。最初から2年間で3兆円と言っているのですから。今年度中に3兆円なんて言ったことは一回もありません。是非調べて下さい。平成161718年の3か年間で4兆円だったのですから。去年で1兆円。ね。だから今年と来年で3兆円。それで今年は2兆4千億円いっているのだから。それで別に、届かなかったと書きたいという新聞の性格はわかりますよ。だけどそれは、我々から言うと最初から2年間で3兆円と申し上げてあったので、初年度から3兆円などと一回も言ったことありません。だから届かなかったなどとは全然思いません。
:そうしますと、その残り6千億円というのは平成17年度中に決めて、18年度までに税源移譲をやる方向ですか。
:はい、そうです。予定どおりです、それは。3兆円を1兆5千億円と1兆5千億円に分けるとか、2兆円と1兆1千億円に分けようとか、いろんな意見は最初からありましたよ、それは。だけど最初にできるだけという話になって、2兆円を超えれば良いのではないのかという話やらなにやら、それはいくつも、いろんなご意見がありましたから。2兆4千億円、約8割というのは、出来としては上出来なのだと思いますけれども。
:恐縮ですけれども、税源移譲の、具体的には額なのですけれども、例えば来年度はいくらだっていう確定的な数字というものはありますか。
:年割りはそうか、平成16年、17年分と分けているから。それをいくらやるか?それは財務省の主計局とか総務省の自治財政局にでも聞いてください。そこまで私がやったら役人の仕事がなくなってしまう。
:生活保護と児童扶養手当の補助率の見直しの関係で、地方団体関係者が参加する協議機関を設置するとあるのですけれども、これは官房長官が言われた地方団体との協議を継続していくと、その中に・・・。
:別です。
:タイムスケジュールについては、もう1月くらいには作ってという形になっているのですか。
:そうでしょうね。一応さっき、枠組みやら何やらの話が出ていましたから。あと誰をどうメンバーに入れるかというだけで、枠組やら何やらは一応、今日、党側には提示してあります。


  以上




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