2.ウェブアクセシビリティ維持・向上のための事前準備 2−1 基本方針の策定 地方公共団体は、ウェブアクセシビリティ維持・向上の取組を行うにあたり、まず基本方針を定め公開することが重要である。基本方針は内外に公開することにより、地方公共団体職員、ホームページ利用者の双方にとって、地方公共団体が目指しているホームページ等の方向性や取組姿勢を知るよりどころとなる。 付録1「基本方針策定ガイド」は、地方公共団体が、ホームページやウェブシステムの制作・運営におけるウェブアクセシビリティ維持・向上に向けた基本的な方針を定める際に、参考となる情報を提供するものである。地方公共団体は、同ガイドを参考に基本方針を定める。また、基本方針は、ホームページ上で公開し、庁内だけでなく一般にも広く周知し、理解を求める。 2−2 取組体制の考え方 ウェブアクセシビリティは、ホームページ等の品質に関わるテーマであり、地方公共団体においてはウェブアクセシビリティの維持・向上をホームページ等の運営・管理業務のひとつとして位置づけ、担当部署(以後「アクセシビリティ担当部署」と呼ぶ)を明確に決定しなければならない。また、上記基本方針を幹部(首長、助役等各地方公共団体で決める者)が承認することで、全庁的な取組と位置づけることが重要である。 アクセシビリティ担当部署は、ウェブアクセシビリティ維持・向上を図るため、前章で示したPDCAサイクルを実施する。具体的な実施手順については、アクセシビリティ担当部署の職員が中心となって実施するが、アクセシビリティ担当部署だけで実施できるものではなく、関係する各部署との協力体制を作ることが重要である。この体制を構築するために示したのが付録2「取組体制構築ガイド」である。 例えば、ウェブアクセシビリティ維持・向上のための企画・準備段階(PLANの段階)では、ウェブサーバーの管理を行う情報システム部門等の部署と、ホームページの全体管理を行うホームページ担当部署の協力が不可欠であるが、地方公共団体の職制、事務分掌によってアクセシビリティ担当部署は、このどちらかの部署が兼ねる場合が多いと考えられる。 また、ホームページのリニューアルや更新・運用の段階(DOの段階)では、ホームページで情報提供を行う各部署の協力が必要になる。この段階ではウェブアクセシビリティ維持・向上はアクセシビリティ担当部署を中心に、全庁的な取組として進めることが必要になる。 また、取組体制は庁内だけでなく、外部の関係者も含めて整備することが求められる。想定される関係者は、ホームページの制作やウェブシステムの開発を受注する制作業者と、障害者・高齢者を含むホームページ利用者(外部モニター)である。制作業者は、各コンテンツや機能の制作・開発にあたってアクセシビリティ担当部署と十分に連携をとって必要な配慮を行う。障害者・高齢者を含む外部モニターは、ウェブアクセシビリティ維持・向上の取組の各段階で参加し、必要な情報や意見をアクセシビリティ担当部署へ提供し、ホームページ等のアクセシビリティ評価を行う。このように、ウェブアクセシビリティ維持・向上の取組は、横断的な協力体制を作って進める必要がある。 2−3 ウェブアクセシビリティに影響を与える対象の調査 ウェブアクセシビリティに影響を与える対象は、地方公共団体が提供するホームページ、ウェブシステム全般に及ぶ。 地方公共団体のホームページでは、定型的な行政情報の提供とは別に、個別のテーマを扱うものや、期間限定の情報を扱うものなど、いわゆる「サイト内サイト」が複数存在し、それぞれ別の担当部署により管理されているケースも多い。また、施設予約や申請書ダウンロード等、様々なウェブシステムが目的に応じて開発・提供されることも増えている。 ホームページの利用者にとっては、庁内における担当の厳密な違いはあまり重要な問題でなく、このようなサイト内サイトやウェブシステムも含め、その地方公共団体ホームページの提供サービスであると一律に認識し利用していることが多い。地方公共団体においては、提供する様々な情報やサービスを利用者が安心して利用できるよう、ウェブアクセシビリティに影響を与える対象を幅広く設定するよう努力しなければならない。 ウェブアクセシビリティに影響を与えるコンテンツや業務を把握するためには、付録3a)「対象調査票(例)」を参考に定期的な調査を行う。 2−4 目標・実施計画の設定 地方公共団体において、対応の具体的な目標や計画が設定され、その進捗や成果を適宜把握することは、ウェブアクセシビリティ維持・向上を図る上で重要である。 付録3「目標・実施計画設定ガイド」は、地方公共団体がウェブアクセシビリティ維持・向上の取組の目標や計画を検討する際に、参考となる情報を提供するものである。 地方公共団体は、このガイドを参考に、ウェブアクセシビリティに影響を与えるコンテンツや業務について、それぞれ個別に達成すべき目標、到達スケジュール等をできるだけ具体的に設定する。また、定期的にウェブアクセシビリティ確保状況をチェックする際に、設定した目標・計画を指標として達成度の定期評価を行い、定期評価の結果、必要に応じて目標・実施計画の見直しを行う。 |