4.ウェブアクセシビリティ対応状況の確認 4−1 簡易点検ガイド (1)位置づけと目的 障害者・高齢者ユーザーが利用しやすいホームページ等を提供するために、地方公共団体は、ホームページ等の企画・制作・運用の各段階でウェブアクセシビリティの対応状況を確認することが重要である。 ウェブページ制作の際は、公開前に文法チェッカー、ウェブアクセシビリティ専用チェックツール、画面読み上げソフト等や配色のシミュレーションソフト等のツールを用いて、各ウェブページにウェブアクセシビリティ上の問題がないかを点検し、必要に応じた修正を行うことが重要である。 しかし、地方公共団体においてツールを用いた点検は、ツール購入予算の有無、パソコンへのツールのインストールの可否、ツールを使いこなす技術の有無等の観点から実現が難しいことがある。簡易点検ガイドは、地方公共団体の職員がツールを用いずに手軽に点検できる手段を示したものである。 (2)使用にあたって必要な知識等 簡易点検ガイドにより見つかった問題箇所の修正は、「詳細検討シート」に記載された作成方法や対処策の例、「JIS X 8341-3 技術解説」等を参照しながら行う。
(3)シートの構成 「基本検討シート」のレベル1、レベル2の検討項目のうち、ツールを用いずに点検できる方法を示した。各点検項目には「詳細検討シート」の該当番号を表した【詳細検討シート対応項目番号】を付記した。 また、参考として、ツールを使った点検方法や、無償で提供されているツールの情報収集に役立つサイトを示した。 なお、ウェブアクセシビリティ上の問題箇所の修正に活かすために、点検結果やその対応結果を記録するものとして、別途「簡易点検結果記入シート」を用意した。 (4)使用の際の注意点 ツールを用いずに点検できる項目は一部であるため、可能な限り、ツールを使った点検にも取り組むことが望ましい。 4−2 障害者・高齢者による評価手順 (1)位置づけと目的 障害者・高齢者に利用しやすいホームページ等を提供するために、障害者・高齢者ユーザーにホームページ等を実際に閲覧・操作してもらうことによって、チェックシートやチェックツールではわからなかった問題点を把握し、ウェブアクセシビリティ維持・向上に役立てることが重要である。 「障害者・高齢者による評価手順」は、専門家や専門の器材・設備に頼ることなく、利用者自身の利用環境を活用して、地方公共団体のアクセシビリティ担当職員自らが簡易にユーザー評価を準備・実施し、ウェブアクセシビリティ向上に役立てることのできる方法を示したものである。 (2)シートの構成 地方公共団体の職員がユーザー評価を実施できるように、実施の概要だけでなく、操作課題の例やメールアンケートの文例等、具体例を示した。 (3)使用の際の注意点 多様な利用者の特性や利用環境を理解し、ウェブアクセシビリティ維持・向上の必要性を認識するために、アクセシビリティ担当部署職員は、本手順に従い、必ず(最低1回以上は)利用者の評価現場に立ち会う経験が必要である。 4−3 外部からの意見の処理手順 (1)位置づけと目的 JIS X 8341-3の第6章「6.4 フィードバックに関する要件」では、利用者の意見を収集する窓口を用意し、利用者からの意見をウェブアクセシビリティの維持・向上に活かすことが求められている。また、「6.5 サポートに関する要件」では利用者とコミュニケーションを取れるよう、問い合わせ先をホームページ等で明示することとしている。地方公共団体のホームページ等においても、日常的に利用者の意見等を収集し、それらに対応することが求められる。 「外部からの意見の処理手順」は、利用者からの問い合わせや意見をウェブアクセシビリティの維持・向上に活かすための手順を示したものである。 (2)使用の際の注意点 既に多くの地方公共団体のホームページには、利用者からの問い合わせや意見を受け付ける何らかの窓口が用意され、寄せられた多種多様な問い合わせや意見が、内容に応じて各担当部署に振り分けられているものと思われる。 アクセシビリティ担当部署は、外部からの意見の処理手順を参考に、既存の問い合わせ窓口や体制を活用しつつ、利用者の意見の中からウェブアクセシビリティに関する要件を整理し、対応の優先順位づけを行い、必要に応じた修正や見直しを行うことが求められる。 |