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4 地方経費の内容

 歳出決算額の状況を、支出の対象となる行政の目的にしたがって土木建設(土木費)、教育と文化(教育費)、生活・福祉の充実(民生費、労働費)、産業の振興(農林水産業費、商工費)、保健衛生と環境保全(衛生費等)、警察と消防(警察費、消防費)に分けてみると、以下のとおりである。

(1) 土木建設[第56表〜第61表

 地方公共団体は、地域の基盤整備を図るため、道路、河川、住宅、公園等公共施設の建設、整備等を行うとともに、これらの施設の維持管理を行っている。

 これらの諸施策の推進に要する経費である土木費の決算額は歳出総額の中で教育費に次いで大きく、16兆4,391億円であり、前年度に比べると7.0%減(前年度4.8%減)となっている。

 また、土木費の歳出総額に占める割合は17.8%(都道府県16.9%、市町村16.9%)となっている。

 土木費の目的別内訳は、第35図のとおりであり、街路、公園、下水道等の整備、区画整理等に要する経費である都市計画費(土木費総額の36.8%)が最も大きな割合を占め、以下、道路・橋りょうの新設、改良等に要する経費である道路橋りょう費(同32.8%)、河川の改修、海岸の保全等に要する経費である河川海岸費(同11.4%)の順となっている。

 目的別の構成比を団体種類別にみると、都道府県においては道路橋りょう費が最も大きな割合(40.8%)を占め、以下、河川海岸費(19.8%)、都市計画費(19.7%)の順となっている。

 一方、市町村においては都市計画費が最も大きな割合(53.7%)を占め、以下、道路橋りょう費(24.7%)、住宅費(9.4%)の順となっている。

第35図 土木費の目的別内訳

第35図 土木費の目的別内訳

第36図 土木費の性質別内訳

第36図 土木費の性質別内訳

 土木費の性質別内訳は、第36図のとおりであり、普通建設事業費が最も大きな割合(土木費総額の64.3%)を占め、以下、下水道事業会計等への繰出金(同8.7%)、人件費(同6.4%)、住宅関係等の貸付金(同5.9%)の順となっている。

 さらに、土木費において大きな割合を占める普通建設事業費についてみると、その構成は、単独事業費が49.5%、補助事業費が41.1%、国直轄事業負担金が9.4%となっている。

 この構成比を団体種類別にみると、都道府県においては、補助事業費(46.5%)が単独事業費(39.8%)を上回っているのに対し、市町村においては単独事業費(62.7%)が補助事業費(31.4%)を大きく上回っている。

 また、各費目の伸び率をみると、単独事業費が8.2%減(前年度7.2%減)、補助事業費が11.1%減(同6.5%減)、国直轄事業負担金が17.0%減(同6.5%減)となっている。

 なお、地方公共団体は、交通事故等の防止を図るため、交通安全施設の設置及び補修、交通安全運動の推進等の道路交通安全対策事業を実施している。道路交通安全対策費として支出された経費(土木費以外の費目に係るものを含み、人件費を除く。)は6,104億円で、前年度と比べると3.8%減(前年度0.4%増)となっている。

 道路交通安全対策経費の内訳をみると、横断歩道や道路標識等交通安全施設の設置費の構成比が最も大きな割合を占め(73.1%)、以下、交通安全運動等(19.4%)、施設補修費(7.4%)の順となっている。

(2) 教育と文化[第65表〜第70表

 地方公共団体は、教育の振興と文化の向上を図るため、学校教育、社会教育等の教育文化行政を行っている。

第37図 教育費の目的別内訳

第37図 教育費の目的別内訳

第38図 教育費の性質別内訳

第38図 教育費の性質別内訳

 これらの教育施策の推進に要する経費である教育費の決算額は歳出総額の中で最も大きく、17兆2,014億円であり、前年度に比べると2.6%減(前年度1.9%減)となっている。

 また、教育費の歳出総額に占める割合は18.6%(都道府県23.8%、市町村11.3%)となっている。

 教育費の目的別内訳は、第37図のとおりであり、小学校費が最も大きな割合(教育費総額の29.8%)を占め、以下、中学校費(同17.0%)、高等学校費(同15.1%)、教職員の退職金や私立学校の振興等に要する経費である教育総務費(同14.5%)の順となっている。

 また、各費目の伸び率は、小学校費が前年度と比べると2.7%減(前年度0.3%減)、中学校費が3.7%減(同1.1%減)、高等学校費が3.2%減(同2.9%減)、教育総務費が0.5%増(同1.1%減)、体育施設の建設・運営や体育振興及び義務教育諸学校等の給食等に要する経費である保健体育費が7.0%減(同4.6%減)、公民館、図書館、博物館等の社会教育施設等に要する経費である社会教育費が1.3%減(同7.2%減)となっている。

 目的別の構成比を団体種類別にみると、都道府県においては、小学校費の構成比が最も大きな割合(33.2%)を占め、以下、高等学校費(20.7%)、中学校費(19.0%)の順となっている。

 一方、市町村においては、小学校費が22.4%、社会教育費が22.3%、保健体育費が20.8%を占めている。

 教育費の性質別内訳は、第38図のとおりであり、人件費が最も大きな割合(教育費総額の68.1%)を占め、次いで物件費(同12.3%)、義務教育施設整備等の経費である普通建設事業費(同10.9%)の順となっている。

 また、各費目の伸び率をみると、人件費が前年度と比べると2.2%減(前年度1.5%減)、普通建設事業費が5.4%減(同7.9%減)となっている。

 性質別の構成比を団体種類別にみると、都道府県においては、都道府県立学校教職員の人件費のほか、市町村立義務教育諸学校教職員の人件費を負担していることから、人件費が大部分(84.4%)を占めている。

 一方、市町村においても、人件費が最も大きな割合(33.4%)を占めており、次いで物件費(30.2%)、普通建設事業費(25.1%)の順となっている。

(3) 生活・福祉の充実

ア 社会福祉行政

(ア) 社会福祉行政[第35表〜第41表

 地方公共団体は、社会福祉の充実を図るため、児童、高齢者、心身障害者等のための福祉施設の整備及び運営、生活保護の実施等の施策を行っている。

 これらの諸施策の推進に要する経費である民生費の決算額は前年度と比べると1.7%増(前年度1.8%増)の14兆5,402億円で、歳出総額の中で教育費、土木費に次いで大きい額となっている。

 民生費が増加した要因としては、生活保護費及び社会福祉費における扶助費等が増加したことがあげられる。また、民生費の歳出総額に占める割合は15.7%となっている(都道府県8.1%、市町村24.0%)。

 なお、団体種類別に決算額をみると、市町村の民生費は、都道府県の3倍となっている。

 これは、さまざまな社会福祉施設の設置・運営が主として市町村によって行われていること及び都市区域における生活保護事務が市により行われていることなどによるものである。

 民生費の目的別内訳は、第39図のとおりであり、児童福祉費が最も大きな割合(民生費総額の30.1%)を占め、以下、老人福祉費(同26.0%)、知的障害者等の福祉対策や他の福祉に分類できない総合的な福祉対策に要する経費である社会福祉費(同26.0%)、生活保護費(同17.9%)、非常災害によるり災者に対して行われる応急救助、緊急措置に要する経費や災害見舞金等である災害救助費(同0.1%)の順となっている。

 また、各費目の伸び率をみると、児童福祉費が前年度と比べると0.8%増(前年度1.9%増)、老人福祉費が0.4%減(同2.9%増)、社会福祉費が1.2%増(同1.7%減)、生活保護費が6.9%増(同5.5%増)、災害救助費が51.8%増(同23.8%減)となっている。

第39図 民生費の目的別内訳

第39図 民生費の目的別内訳

第40図 民生費の目的別歳出の推移

第40図 民生費の目的別歳出の推移

 民生費の目的別歳出額の推移は第40図のとおりである。

 これらの各項目を10年前(平成5年度)の決算額と比べると、生活保護費が1.69倍、児童福祉費が1.44倍、老人福祉費が1.27倍、社会福祉費が1.25倍と高い伸びを示しており、民生費総額の伸び(1.37倍)が歳出純計決算額の伸び(0.99倍)を上回る要因となっている。

第41図 民生費の性質別内訳

第41図 民生費の性質別内訳

第42図 民生費の目的別扶助費(補助・単独)の状況 その1 都道府県

第42図 民生費の目的別扶助費(補助・単独)の状況 その1 都道府県

 目的別の構成比を団体種類別にみると、都道府県においては、老人福祉費の構成比(44.4%)が最も大きく、以下、児童福祉費(24.2%)、社会福祉費(22.5%)、生活保護費(8.8%)の順となっている。

 また、市町村においては、児童福祉費の構成比(32.1%)が最も大きく、以下、社会福祉費(27.3%)、老人福祉費(21.4%)、生活保護費(19.2%)の順となっている。

 民生費の性質別内訳は、第41図のとおりであり、生活保護に要する経費、保育所の保育児童に係る措置費、児童手当の支給に要する経費等の扶助費が最も大きな割合(民生費総額の44.7%)を占め、以下、国民健康保険事業会計(事業勘定)、介護保険事業会計(事業勘定)、老人保健医療事業会計等に対する繰出金(同18.5%)、人件費(同13.9%)、補助費等(同11.1%)、物件費(同5.7%)、普通建設事業費(同5.0%)の順となっている。

 また、各費目の伸び率をみると人件費が2.9%減(前年度3.1%減)、補助費等が2.2%増(同1.9%減)、扶助費が4.4%増(同4.2%増)、繰出金が8.3%増(同5.3%増)、物件費が5.5%減(同3.0%増)、普通建設事業費が12.4%減(同7.2%減)となっている。

 地方公共団体は、地域の実情に応じた様々な地域福祉施策を展開するため積極的な役割を果たしているところであるが、今後少子・高齢化が更に進行していく中で、保健・福祉・医療施策を一層、総合的・計画的に実施するとともに、地域により密着したサービスの充実を図っていくことが求められている。

第42図 民生費の目的別扶助費(補助・単独)の状況 その2 市町村

第42図 民生費の目的別扶助費(補助・単独)の状況 その2 市町村

第43図 民生費の財源構成比の推移

第43図 民生費の財源構成比の推移

 民生費の扶助費のうち、地域の特性に応じて実施される単独施策分の現状をみると、第42図のとおりである。

 都道府県においては1,241億円(民生費の扶助費総額の16.0%)、市町村においては9,322億円(同16.3%)が単独施策分となっている。

 これを目的別にみると、都道府県においては、社会福祉費の49.7%、老人福祉費の69.8%、児童福祉費の9.9%、市町村においては社会福祉費の32.1%、老人福祉費の52.4%、児童福祉費の18.3%が単独施策分となっている。

 民生費の財源構成比の推移は、第43図のとおりである。

 地方公共団体は、これまで、民生費における単独施策の充実、民生費に係る国庫補助負担率の引下げ等を背景に、民生費の増加分の多くを一般財源等の充当で対応してきた結果、昭和55年度は一般財源等と国庫支出金はほぼ同じ割合であった。

 近年は、補正予算により介護保険円滑導入、少子化対策等に係る交付金が追加計上された平成11年度を除いて、一般財源等が国庫支出金の2倍を超える割合で推移している。

(イ) 地域福祉基金の現状

 急速に進展する我が国の人口の高齢化に対処するため、在宅福祉の向上、健康づくり等の課題につき、民間活動の活発化を図りつつ、地域の特性に応じた高齢者保健福祉施策等を積極的に推進することを目的に、地域福祉基金が積み立てられており、各地方公共団体においては、この基金の運用益を活用して、さまざまな福祉事業を実施している。

 平成15年度末の団体種類別の積立金状況は、第17表のとおりである。

 また、基金運用益を利用して行う地域福祉事業にはソフト事業も含まれているが、そのソフト事業に対する運用益充当額は、都道府県においては270億円、市町村においては252億円である。

第17表 団体種類別地域福祉基金の残高の状況

第17表 団体種類別地域福祉基金の残高の状況

第44図 地域福祉基金の事業別運用益充当額の状況

第44図 地域福祉基金の事業別運用益充当額の状況

 都道府県と市町村のソフト事業別運用益充当額の状況は、第44図のとおりであり、都道府県及び市町村ともに在宅福祉の普及、向上に係る事業が大きな割合を占めている。

イ 労働行政[第47表〜第48表

 地方公共団体は、就業者の福祉向上を図るため、職業能力開発の充実、金融対策、失業対策等の施策を行っている。

 これらの諸施策に要する経費である労働費の決算額は3,738億円で、前年度と比べると23.3%減(前年度38.9%減)となっている。

 また、労働費の歳出総額に占める割合は0.4%(都道府県0.5%、市町村0.4%)となっている。

 労働費の目的別内訳をみると、失業対策費は労働費総額の8.3%であり、金融対策、福祉対策、職業訓練等に要する経費であるその他の経費が残りの91.7%を占めている。

 また、各費目の伸び率をみると、失業対策費が前年度と比べると43.5%減(前年度67.4%減)となり、その他の経費が20.8%減(同31.4%減)となっている。

 目的別の構成比を団体種類別にみると、都道府県においては労政費が47.7%、職業訓練費が34.6%、失業対策費が14.5%の順となっている。一方、市町村においては失業対策費の構成比が8.8%となっている。

 労働費の性質別内訳は、第45図のとおりであり、貸付金が最も大きな割合(労働費総額の28.8%)を占め、以下、人件費(同23.5%)、物件費(同22.7%)、補助費等(同13.8%)、普通建設事業費(同5.0%)、失業対策事業費(同4.7%)、積立金(同1.0%)の順となっている。

 また、各費目の伸び率をみると、平成13年度に国の補正予算による緊急地域雇用創出特別交付金に係る基金増設により急増した積立金が前年度に引き続き減少し、前年度と比べると95.6%減(前年度77.2%減)となったほか、貸付金が7.1%減(同11.9%減)、人件費が4.3%減(同4.7%減)、補助費等が22.1%減(同11.1%減)、物件費が2.8%増(同12.0%増)、普通建設事業費が32.4%減(同38.4%増)、失業対策事業費が4.2%減(同52.4%減)となっている。

第45図 労働費の性質別内訳

第45図 労働費の性質別内訳

(4) 産業の振興

ア 農林水産行政[第49表〜第54表

 地方公共団体は、農林水産業の振興と食糧の安定的供給を図るため、生産基盤の整備、構造改善、消費流通対策、農林水産業に係る技術の開発・普及等の施策を実施している。

 これらの諸施策の推進に要する経費である農林水産業費の決算額は4兆6,939億円で、前年度と比べると8.9%減(前年度6.9%減)となっている。これは、農林水産業費の約6割を占める普通建設事業費が減少(12.1%減)したこと等によるものである。

 また、農林水産業費の歳出総額に占める割合は5.1%(都道府県7.3%、市町村3.7%)となっている。

 農林水産業費の目的別内訳は、第46図のとおりであり、農業基盤整備等に要する経費である農地費が最も大きな割合(農林水産業費総額の40.3%)を占め、農業改良普及事業、農業構造改善事業等に要する経費である農業費(同25.1%)がこれに次ぎ、以下、林業費(同19.2%)、水産業費(同11.4%)の順となっている。

第46図 農林水産業費の目的別内訳

第46図 農林水産業費の目的別内訳

第47図 農林水産業費の性質別内訳

第47図 農林水産業費の性質別内訳

 また、各費目の伸び率をみると、農地費が前年度と比べると9.4%減(前年度7.9%減)、農業費が8.0%減(同3.8%減)、林業費が10.6%減(同8.4%減)、水産業費が7.9%減(同5.7%減)となっている。

 農林水産業費の性質別内訳は、第47図のとおりであり、普通建設事業費が最も大きな割合(農林水産業費総額の59.4%)を占め、以下、人件費(同16.8%)、補助費等(同9.2%)の順となっている。

 また、各費目の伸び率をみると、普通建設事業費が前年度と比べると12.1%減(前年度9.8%減)、人件費が3.5%減(同2.7%減)となっている。

 さらに、農林水産業費において最も大きな割合を占める普通建設事業費について、目的別にその構成比をみると、農地費が最も大きな割合(農林水産業費における普通建設事業費の54.4%)を占め、以下、林業費(同22.0%)、水産業費(同13.1%)、農業費(同7.9%)の順となっている。

イ 商工行政[第55表

 地方公共団体は、地域における商工業の振興とその経営の近代化等を図るため、中小企業の指導育成、企業誘致、消費流通対策等さまざまな施策を実施している。

 これらの諸施策の推進に要する経費である商工費の決算額は4兆8,411億円で、前年度と比べると2.9%減(前年度7.2%減)となっている。

 また、商工費の歳出総額に占める割合は5.2%となっている(都道府県6.5%、市町村3.4%)。

 商工費の性質別内訳は、第48図のとおりであり、貸付金が最も大きな割合(商工費総額の73.8%)を占め、以下、補助費等(同10.0%)、普通建設事業費(同4.6%)の順となっている。

 また、各費目の伸び率をみると、貸付金が前年度と比べると1.9%減(前年度9.9%減)、補助費等が2.6%増(同3.4%増)、普通建設事業費が24.3%減(同6.3%増)となっている。

 性質別の構成比を団体種類別にみると、都道府県においては貸付金が大部分(80.6%)を占めている。また、市町村においても貸付金が最も大きな割合(59.3%)を占め、次いで補助費等(12.9%)の順となっている。

第48図 商工費の性質別内訳

第48図 商工費の性質別内訳

(5) 保健衛生と環境保全

ア 保健衛生[第42表〜第46表

 地方公共団体は、住民の健康を保持増進し、生活環境の改善を図るため、医療、公衆衛生、精神衛生等に係る対策を推進するとともに、し尿・ごみなど一般廃棄物の収集・処理等、住民の日常生活に密着した諸施策を実施している。

 これらの諸施策の推進に要する経費である衛生費の決算額は5兆8,963億円で、前年度と比べると8.7%減(前年度3.3%減)となっている。また、衛生費の歳出総額に占める割合は6.4%(都道府県3.2%、市町村9.1%)となっている。

 衛生費の目的別内訳は、第49図のとおりであり、保健衛生、精神衛生及び母子衛生等に要する経費である公衆衛生費が最も大きな割合(衛生費総額の55.3%)を占め、一般廃棄物、ごみ、し尿等の収集処理等に要する経費である清掃費(同39.8%)と合わせて全体の9割以上を占めている。

 団体別にみると、都道府県は、公衆衛生費が最も大きな割合(86.8%)を占めており、市町村では、清掃費(51.7%)、公衆衛生費(45.3%)の順となっている。また、各費目の伸び率をみると、公衆衛生費が1.7%減(前年度0.9%減)、清掃費が17.2%減(同6.2%減)、保健所費が4.0%減(同1.4%減)となっている。

 なお、これらの各費目を10年前(平成5年度)の決算額と比べると、清掃費が0.84倍、保健所費が0.82倍となっており、衛生費総額の伸び(0.94倍)が歳出純計決算額の伸び(0.99倍)を下回る要因となっている。

 衛生費の性質別内訳は、第50図のとおりであり、ごみ処理等の委託に要する経費等である物件費(衛生費総額の29.0%)、清掃関係職員、公衆衛生関係職員の職員給等である人件費(同23.5%)、ごみ処理施設建設等に要する経費である普通建設事業費(同13.4%)の順となっている。また、各費目の伸び率をみると、人件費が前年度と比べると3.8%減(前年度2.6%減)、普通建設事業費が40.2%減(同14.2%減)となる一方、物件費が2.5%増(同2.4%増)、となっている。

第49図 衛生費の目的別内訳

第49図 衛生費の目的別内訳

第50図 衛生費の性質別内訳

第50図 衛生費の性質別内訳

イ 環境保全

 地方公共団体は、身近な生活環境を良好に保全するため、汚水・廃棄物の適正な処理、公害問題への対応、リサイクルの推進等さまざまな環境保全のための施策を推進している。

 これらの諸施策の推進に要する経費(環境基本法(平成5年法律第91号)第2条第3項に規定する「公害」の防止対策に係る経費で、地方公営企業会計に係るものを含む。)の総額は3兆9,850億円(都道府県8,590億円、市町村3兆1,259億円)であり、前年度と比べると15.5%減(前年度9.9%減)となっている。

 なお、環境保全対策のために支出された経費の内容は、第51図のとおりである。

第51図 環境保全対策経費の状況

第51図 環境保全対策経費の状況

(6) 警察と消防

ア 警察行政[第63表〜第64表

 都道府県は、犯罪の防止、交通安全の確保その他地域社会の安全と秩序を維持し、国民の生命、身体及び財産を保護するため、警察行政を推進している。

 これらの諸施策に要する経費である警察費の決算額は3兆3,620億円で、前年度と比べると1.3%減(前年度0.4%増)となっている。また、警察費の歳出総額に占める割合は3.6%(都道府県歳出総額の6.9%)となっている。

 警察費の性質別内訳は、第52図のとおりであり、警察官の職員給等である人件費が最も大きな割合(警察費総額の82.4%)を占め、以下、物件費(同9.6%)、警察施設、交通信号機の設置等に要する経費である普通建設事業費(同6.6%)の順となっている。

 また、各費目の伸び率をみると、人件費が前年度と比べると0.8%減(前年度0.6%増)、物件費が0.5%減(同3.3%増)、普通建設事業費が8.6%減(同4.4%減)となっている。

 なお、国家公務員である警視正以上の階級にある地方警務官を除く都道府県警察職員総数は、平成16年4月1日現在、27万770人(前年同期26万6,729人)となっており、その内訳は、警察官24万1,913人(同23万7,963人)、警察事務職員等2万8,857人(同2万8,766人)となっている。

第52図 警察費の性質別内訳

第52図 警察費の性質別内訳

イ 消防行政[第62表

 地方公共団体は、火災、風水害、地震等の災害から国民の生命、身体及び財産を守り、これらの災害を防除し、被害を軽減するため、消防行政を推進している。

 これらの諸施策に要する経費である消防費の決算額は1兆8,200億円で、前年度と比べると2.1%減(前年度0.2%減)となっている。また、消防費の歳出総額に占める割合は2.0%(都道府県0.4%、市町村3.4%)となっている。

 消防費の性質別内訳は、第53図のとおりであり、消防関係職員の職員給等である人件費が最も大きな割合(消防費総額の75.9%)を占め、以下、消防施設の整備、消防自動車の購入等に要する経費である普通建設事業費(同11.0%)、物件費(同8.9%)の順となっている。

 また、その内訳の各費目の伸び率をみると、人件費が前年度と比べると1.4%減(前年度0.7%減)、普通建設事業費が8.6%減(同0.0%増)、物件費が1.6%減(同2.1%増)となっている。

 なお、消防関係職員数は、平成16年4月1日現在、15万5,317人(前年同期15万4,851人)となっている。

第53図 消防費の性質別内訳

第53図 消防費の性質別内訳

(7) 目的別歳出充当一般財源等の状況

 使途の特定されていない財源である一般財源等の歳出への充当について、一般財源等を地方税、地方交付税、臨時財政対策債及びその他に、歳出を目的別にそれぞれ分類した上で、道府県については財政力指数段階グループ別に、市町村については団体区分別に比較分析してみると、第54図のとおりとなる。

 まず、道府県についてみると、一般財源等の規模そのものは、財政力指数段階グループ別に1団体平均でみると、B1で1兆3,031億円、B2で1兆240億円、Cで5,701億円、Dで5,095億円、Eで3,863億円となっており、財政力が低い団体ほど、一般財源等の規模そのものも小さくなっている。

 次に、一般財源等に占める地方税の割合をみると、財政力指数が低い区分ほど小さいものとなっているが、地方税に地方交付税を合わせた額が占める割合は、財政力指数段階グループ間で大きな違いはないものとなっている。

 また、一般財源等の規模が小さい区分ほど地方税ではまかなえない歳出の割合が高く、地方交付税によって必要な歳出がまかなわれている割合が高いことがわかる。

 次に、市町村についてみると、一般財源等の規模そのものは、団体区分別に1団体平均でみると、大都市で4,819億円、中核市で1,075億円、特例市で612億円、中都市で367億円、小都市で138億円、町村(人口1万人以上)で54億円、町村(人口1万人未満)で27億円となっている。

 また、一般財源等に占める地方税の割合をみると、事務配分、行政組織等について特例が設けられている大都市、中核市、特例市及び比較的規模の大きい中都市においては、60%台でほぼ同等である一方、小都市で46.0%、町村(人口1万人以上)で37.5%、町村(人口1万人未満)で17.7%となっている。

 このように、市町村についても都道府県と同様に、一般財源等に占める地方税の割合が低い団体区分ほど、一般財源等の規模そのものも小さくなっているが、地方税に地方交付税を合わせた額が一般財源等に占める割合では、団体区分間で大きな違いはないものとなっている。更に、一般財源等の規模が小さい区分ほど地方税ではまかなえない歳出の割合が高く、地方交付税によって必要な歳出がまかなわれている割合が高いことがわかる。

第54図 目的別歳出充当一般財源等の状況 その1 道府県(財政力指数別)

第54図 目的別歳出充当一般財源等の状況 その1 道府県(財政力指数別)

第54図 目的別歳出充当一般財源等の状況 その2 市町村(団体区分別)

第54図 目的別歳出充当一般財源等の状況 その2 市町村(団体区分別)

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