平成10年度潤いと活力のあるまちづくり優良地方公共団体自治大臣表彰団体の概要


【まちづくり一般部門】
団 体 名 等 取 組 の 概 要
青森県 深浦町
(ふかうらまち)
面積 315.34km2
人口 9,572人
1 豊かな自然を生かした地域間交流
 世界遺産「白神山地」、夕陽に映える日本海、豊かな北海の幸等自然を最大限活用した観光振興による地域間交流を実施している。
  • 民間事業を活用した交流事業
     JR東日本が運行している「リゾートしらかみ」とタイアップし、女性一日観光駅長、無料バス運行等を行っている。
  • 地域の特色を生かしたイベントの開催
     町内を通る国道101号の延長がフルマラソンと同じ42.195キロであることから、マラソンのまちを標榜し、平成6年より「津軽深浦夕陽海岸マラソン大会」を開催している。
2 若者にも高齢者にも快適ないきいきとした地域づくり
  • 「ふるさと定住促進条例」
     平成4年に「ふるさと定住促進条例」を制定し、留町奨励金、結婚祝金等を支給し、また平成9年度からは「Uターン住宅整備費補助金制度」により、U・Iターン者の定住を促進している。
  • 温泉入浴施設「フィットネスプラザゆとり」
     平成6年に「フィットネスプラザゆとり」を整備し、高齢者には年間6枚の無料入浴券を配布したり、高齢者の無料送迎を行っている。
3 地場産品等を活用した産業振興
 遊覧船「エミールふかうら」のターミナルを兼ねた「ピアハウス(地域産物展示販売施設)」を活用し、地場産ニンジンを使用した白神キャロットジュース、白神キャロットワイン等を売り込み、観光産業との連携を図り積極的な地場産業振興を行っている。
栃木県 野木町
(のぎまち)
面積 30.25km2
人口 26,872人
1 ひまわりの咲き誇るリサイクルプラン
 ごみ処理に関する長年の課題について、ごみを「焼却すべき廃棄物」ではなく、「有効利用すべき資源」としてとらえ直し、徹底的なリサイクルによるごみの資源化を図ると同時に、ひまわりの里としてイメージアップを図っている。
2 生ごみのたい肥化、可燃ごみの固形燃料化
 平成4年12月より、野木町資源センターが稼働を開始した。特に、生ごみは収集袋ごとにたい肥とするため、町指定のクラフト紙素材の紙袋を使用した。たい肥は、町内の農家や園芸を楽しむ住民に無償で配布し、固形燃料は1トン当たり4千円で販売される他、町の健康施設で利用し、ごみの徹底的なリサイクルを推進している。
3 一石三鳥の健康施設「ゆーらんど」
 健康施設「ゆーらんど」は、ごみ固形燃料を熱源とする健康に配慮した温泉であり、その「ロータリー式炭化炉」は、可燃ごみから資源化されたごみ固形燃料を、良質な炭として再々資源化する日本初のシステムとなっている。まさに、(1)ごみの有効利用、(2)有益なお湯、そして(3)再々資源化の炭、を生み出す一石三鳥の施設となっている。
4 ひまわりの里
 町の個性を発揮できる核になるものとして、平成元年より「ひまわり」による町おこしがスタートした。資源化センターで出来た生ごみのたい肥を施肥したところ、連作障害や葉の枯れ上がりに効果を発揮し、町の特産物として定着した。
千葉県 柏市
(かしわし)
面積 72.91km2
人口 319,808人
1 全市民参加型の資源回収
 昭和57年に、「可燃ごみ」「不燃・粗大ごみ」「資源品」の三分別の収集体制を確立し、平成9年からはペットボトルをも分別収集を行っている。各町会・自治会を窓口に、自主的に当番制で実施し、家庭での資源品の分別の徹底と市民の責任で資源ステーションを管理するシステムのもと、すべての世帯の参加・協力を推進している。
2 ごみ原料推進協議会
 転入者や事業者への対応のための実戦部隊として、市民・事業者の代表からなる「柏市ごみ減量推進協議会」を組織し、まち総ぐるみの対応を目指している。
3 ごみ体験ツアー・収集車体験乗車の実施
 ごみの現状を理解してもらうため、ごみが収集・処理・分別されていく様子をごみ収集所から埋立地まで追いかけていくごみ体験ツアーやごみ収集車への体験乗車を実施している。
4 生ごみの資源化の推進
 生ごみのたい肥化・減容化するコンポスト、EM菌等を利用した生ごみ処理器、機械式の生ごみ処理器の購入者に対する補助制度の活用を促進している。
5 生ごみの資源化の推進
 事業者に対しても、「ごみ減量・リサイクル協力店及びエコ・オフィス推奨制度」、「発砲トレー・紙パック回収協力店制度」、ルール違反の多い共同住宅に対しては「ごみ出し責任者制度」を導入し、住民あげての取り組みを積極的に推し進めている。
新潟県 妙高高原町
(みょうこうこうこうげんまち)
面積 140.78km2
人口 7,020人
1 絵画を中心とした文化芸術の薫り高いまちづくり
 日本近代美術の父岡倉天心の終焉の地であるこの地を、単なるスキーと温泉の観光地から脱却するため、芸術というメンタルな意味のイメージ向上を図り、特に日本百名山の一つである妙高山を絶好の地域のシンボルとして、絵画によるまちづくりを積極的に進めている。

2 芸術関係のイベントの実施
  • 「夏の芸術学校」
     平成8年より平山郁夫画伯を名誉校長に据え、東京芸術大学等の協力のもと周辺地域の住民の方が中心となって取り組み、大勢の地元芸術愛好家の参加がある催しである。3泊4日の絵画教室で、受講生230人が7つのコースを選択する。
  • 「妙高山を描く絵画展」
     平成9年より、ふるさと市町村圏基金の果実を活用して「妙高山を描く絵画展」を開催している。東京・大阪をはじめ全国から約3,500人が訪れ、県内外に参加者も広がっており、各市町村で巡回展覧会を実施した。さらに、町が入賞作品を低廉な価格で譲り受けて町の施設で妙高山絵画展を開催し、地域の芸術性をアピールしている。
3 「文化芸術の郷づくり」
 町総合計画では「文化芸術の郷づくり」を大きな柱として位置づけ、地域の芸術関係者の場として公共施設を無料で提供している。将来は、地域のシンボルである妙高山をテーマにした「妙高山美術館」を整備する予定となっている。
長野県 四賀村
(しがむら)
面積 90.25km2
人口 6,447人
1 クラインガルテンによるまちづくり
  • 地域主導のクラインガルテン
     現村長がドイツ、オランダの歴史あるクラインガルテンに感銘を受け、地域主導で手探りの状態から日本初の坊主山クラインガルテン(滞在型市民農園)を整備した。「日本クラインガルテン協会」創設に参加し、国に市民農園促進法の成立を促したモデルケースとなっており、他に先駆けたまちづくりの気風が感じ取れる。
     村内での有機農薬農業の実践団体「アルプス自然農法研究会」及び四賀村のクラインガルテンの在り方を考える「信州クラインガルテン研究会」を発足させ、四賀村ならではのクラインガルテンを構築してきている。
  • 遊休荒廃農地の活用と都市との交流
     自然とのふれあいを求めている都市住民のグリーン志向を満たしつつ、150haに及ぶ遊休荒廃農地の高度利用を図りながら、後継者の確保と新しい雇用を創出した。都市住民との異質な文化と異なった価値観に接しての交流を深めることによる地域の活性化にも一役買っている。
2 結婚推進課の設置
 全国初の結婚に関する課の設置を行った。結婚問題を福祉事業と位置づけ、直面する高齢化、少子化対策の最も具体的な施策として実施している。新しい農業を実現する後継者の確保や将来に対する不安の解消に寄与している。
福井県 鯖江市
(さばえし)
面積 84.75km2
人口 64,121人
1 スポーツとまちづくり
 世界体操競技選手権鯖江大会(H7)、体操競技ワールドカップ決勝鯖江大会(H10)を通じた国際交流の輪、ボランティアの輪、花づくりの輪の広がりにより、市民に大きな自信と貴重なまちづくりの財産が芽生えている。「生涯スポーツの推進」、「スポーツ産業の促進」、「地域活動支援」を三つの柱としたまちづくりを市民が一丸となり推進している。
 特に、世界体操で延べ5,800人が参加したボランティア活動の精神は着々と受け継がれ、ボランティアで運営されている国際交流協会での日本語教室、図書の整理、収集ボランティアなど、市の様々な活動に不可欠な存在となっている。
2 生涯スポーツの推進
 眼鏡産業が盛んなため、市民の大半が一日中肩の凝るような仕事を持っており、健康増進、生きがい作り、体力向上を図るため、市内10地域全部に体育館を設置した。各種スポーツ教室を開催し、参加する住民全体がスポーツを通じたまちづくりを実践している。
3 スポーツ産業の促進(ファッションタウン構想)
 スポーツウェアの一大産地である特性を生かし、スポーツを切り口としたまちづくりの推進に努めている。日本デザイン機構会長を名誉会長として「鯖江ファッションタウン推進協議会」を発足させた。
4 地域活動支援事業
 世界体操競技選手権鯖江大会で培われたまちづくりの気運を承継するため、市内の全地域に対し、補助金を支出して地域のまちづくりを推進している。
岐阜県 大和町
(やまとちょう)
面積 152.76km2
人口 7,416人
1 古今伝授の里づくり
 古今伝授の祖・東常緑をはじめとした東氏の歴史と町内に残された東氏関連史跡をもとに、昭和63年「古今伝授の里づくり」をシンボル事業にした総合計画を策定し、まちづくりを推進した。

2 住民参加型の取り組み
  • 薪能くるす桜
     謡曲「くるす桜」は古今伝授の祖・東常縁を主人公としたもので江戸時代の中頃に作られ長く埋もれていたが、商工会青年部が中心となり復曲させたものである。昭和63年、東氏ゆかりの明建神社祭礼の夜、薪能として上演を成功させた。以後、毎年上演を続けている。薪能に使用する篝火は、白山山頂で採火した火などを使い、多くの住民が「御燈移し」として参加している。
  • 歌の町
     「薪能くるす桜」の開催以来、大和中学校をはじめ町全体で短歌を詠む運動が始まり、「古今伝授の里短歌大会」には全国から応募がある。
  • 古今伝授の里フィールドミュージアム
     篠脇城や東氏館跡庭園などの中世の史跡群と山間地の風景を取り込んだ野外博物館を平成5年に整備した。全国で発刊される歌集を集める「大和文庫」が設けられ、全国から多くの歌集の寄贈がある。
奈良県 大塔村
(おおとうむら)
面積 111.06km2
人口 754人
1 森の中の遊湯星(ゆうとうせい)の村づくり
 林業の不振、村民人口の減少のなか、21世紀に羽ばたく村の子供が、将来の夢を育み、大きな心を持った人間になって欲しいという願いを込めて、夜空に輝く星に着目した。「大塔コスミックパーク 星のくに」、「赤坂オートキャンプ場」、「ふれあい交流館」の3つの観光拠点を整備し、交流人口の増加による雇用の場の創出と地域経済の活性化を図りながら、地域内外の交流機会を増加させている。各種の取り組みにより、整備を始めた平成3年度に比較して約10倍の観光客が大塔村を訪れるまでになった。
2 大塔コスミックパーク星のくに
 口径45cmの反射望遠鏡をもつ天文台、プラネタリウム館、温泉付宿泊施設を整備し、地域外住民と地域住民の交流機会を創出した。平成9年には大阪大学宇宙素粒観測所が建設される等の効果も生み出しており、星をテーマとしたまちづくりを、着々と進歩させている。
3 村主導から住民主導へ
 温泉掘削により大塔温泉・森乃湯、星の湯、夢乃湯をオープンさせ、併設の集会・文化・健康施設「ふれあい交流館」では、「大塔村いきいき文化祭」等により、先人が残した豊かな文化を受け継ぎながら、新しい文化の芽を育てていこうとする試みがなされている。
岡山県 赤坂町
(あかさかちょう)
面積 42.99km2
人口 5,351人
1 炊飯・加工工場の建設と(株)赤坂天然ライスの設立
 平成7年に、第三セクター(株)赤坂天然ライスを町、民間企業2社の出資及び農業協同組合の協力を得て設立し、民間企業の持つあらゆる情報、技術、ノウハウ及び販売路線を活用することに成功した。特に、中四国方面の大手スーパーを中心に京阪神方面のスーパーにも販売し、品質の良さをPRしている。平成9年からは大手商社等と提携し、(株)赤坂天然ライスをとおして年間約2,400トンの精米を京阪神方面の外食産業へ販売するルートを確保した。安心して米作りが出来る環境が創り上げられた。
2 伝統的家屋活用交流施設「赤坂適塾」
 平成8年度、都市住民と地域住民の交流の拠点として、江戸時代の蘭学者緒方洪庵(岡山出身)が大阪に開いていた適塾にちなんで赤坂適塾を開設することとした。伝統的家屋1棟を町が買い取り改修を行い、宿泊可能な客室、食堂、研修室を整備した。特定日には一般開放し、地元地区民のコミュニティーの場として利用されている。
3 都市農村交流クラブ「お笑い赤坂亭」
 町民の高齢化、少子化が進むなか、老若男女共通の「笑い」を要素として地域活性化に取り組むため、町内の空き家を町が買い取り、簡易宿泊施設を備えた「お笑い赤坂亭」として建物を改装した。月一回、都市住民と地域住民の交流を図るため、お笑い頭取による公営寄席を定例会として開催している。
長崎県 高島町
(たかしまちょう)
面積 1.27km2
人口 1,043人
1 マリノベーションとしてのまちづくり
 石炭産業を唯一の基幹産業として発展してきたところ、炭鉱閉山により人口は激減し町は崩壊の危機に直面した。生き残り策として海を核とした「体験型観光の島」として町再生を図っている。
  • 飛島磯釣り公園の整備
     高島本島と飛島を約300mの防波堤と橋で結び、飛島全体を本格的な磯釣り公園として整備した。規模・形態とも日本一の施設となっている。
  • 人口海水浴場
     前方に磯釣り公園の飛島と長崎半島を臨む風光明媚な海岸に白い美しい砂浜と板を敷き詰めたウッドデッキが広がり、外国の高級リゾート地を彷彿とさせる。
2 マリノベーション事業を支えるソフト事業
  • 高島ふれあい釣り大会
     平成8年に第1回大会が開催され、釣り大会だけでなく、高島音楽祭、花火大会など、町の人口よりも多い1,300人が参加し、毎年開催されている。
  • 高島青空学校
     近隣の市町村の小中学生を対象として、魚釣りや海水浴、人口呼吸法のやり方など、自然の楽しさ、厳しさを体験してもらおうとの趣旨で開催している。
  • 釣りんピック’97&町づくりシンポジウム
     飛島磯釣り公園の定例的な釣り大会として実施し、地域間交流が促進されている。
3 自主的なボランティアグループの結成
 磯釣り公園と海水浴場のオープンに伴い、磯釣り公園等の清掃美化にあたるグループ、釣りの指導にあたるグループなど、町民からの自発的なボランティアグループが多く結成され、住民総ぐるみでの活動に活力がみなぎっている。
佐賀県 伊万里市
(いまりし)
面積 254.94km2
人口 60,548人
1 古伊万里文化の香り漂うまちづくり
 古くから「古伊万里」の積出港として栄え、遠くヨーロッパまで「伊万里」の名を知らしめた焼物文化発祥の地であり、300有余年を経た現在も栄える「伊万里焼」を大きな特色として、「古伊万里文化の香り漂うまちづくり」をテーマにまちづくりを推進している。

2 景観を重んじた整備
 整備をするにあたっては、商店連合会、窯元関係者、街づくり懇話会、市民各層からの意見を反映させ、市民のまちづくりへの関心を促し、市民共有の財産として市内外に誇れる伊万里ならではのまちづくりを推進することを旨とした。
  • 伊万里川の河畔遊歩道の整備(昭和63年〜)
     「古伊万里」の積出港として繁栄した伊万里川の河畔遊歩道を伊万里焼の代表的紋様である「青海波」「蛸唐草」のデザインの歩道板で整備した。
  • 市街地のメイン通り等の整備(平成5年〜)
     メイン通りは「古伊万里」がヨーロッパ各地に輸出された史実をもとに、オランダ人形像等によりヨーロッパ風の景観整備や、案内板を陶板で行うなどの景観整備を行った。
3 歴史を重視した取り組み
 単に焼物を市街地に展示するだけではなく、ヨーロッパと伊万里のかかわりの中での歴史性、ストーリー性を意識した焼物人形や陶板の設置、さらには、「伊万里トンテントン祭」が一年中感じられるような仕掛けを焼物を素材に表現している。
大分県 杵築市
(きつきし)
面積 90.19km2
人口 22,468人
1 武家屋敷を活用したまちづくり
 松平氏3万2千石が建築した城下町の景観を生かしながら整備を進めている。先ず公共物の整備から着手し、個人所有については所有者と市で協議をしながら計画的に整備を遂行している。官民一体となった武家屋敷保存・地域づくりの推進により、計画的に景観の整備が進められている。テレビのロケ地に採用されるなど、美しいまちなみを生かした景観づくりが評価されている。
  • 「杵築市旧町家地区地区計画における建築物等の制限及びまちづくりに関する条例」
     この条例により、住民の協力による現道拡幅後、白壁瓦葺きの二階建てまでの建物として整備している。
  • 「杵築市城下町保存基金条例」
     城下町保存の協力者の募金による基金を造成し、住民の理解と市内外有志の協力により、伝統的建造物の修復を実施している。
2 大分県の一村一品運動の代表
 生産過剰による価格の低落により危機に直面していたみかんを、県、市及び農協等の指導により生産者がねばり強い努力を続け、「ハウスみかん」が栽培されるようになった。出荷額も31億円となり、大分県の一村一品運動の代表とまで呼ばれるほど成長し、販路も年々拡大されている。
宮崎県 都農町
(つのちょう)
面積 102.33km2
人口 12,883人
1 都農ワイナリー開発
 昭和63年より、都農町の「ひむかふれあいの里づくり構想」の一環として、町の代表産物である「尾鈴ぶどう」に高い付加価値を与え、将来的な農業の活性化を図るとともに、町おこし特産品の目玉にすることを目的として、ワインづくりに取り組み始めた。平成5年には、都農町出資65%の第三セクター(有)都農ワインが設立され、平成8年には都農ワイナリーが建設され、ワインの生産、販売を開始した。

2 「尾鈴ぶどう」へのこだわり
  • 「尾鈴ぶどう」の生産
     降水量の多い宮崎は、元来、ぶどうの栽培には「不適地」であるとされていたところ、生産者のねばり強い努力により、その量、質ともに向上させ、他県へも安定した出荷ができるようになるまで成長した。
  • 都農ワイン生産への取り組み
     (有)都農ワインは、都農町、尾鈴農業共同組合、都農町漁業共同組合、都農町商工会、有明産業株式会社等で設立され、また、ぶどう生産者を中心とする(有)牧内農業生産組合も新たに設立され、原料の確保に町民を挙げて取り組んでいる。
3 「ワインレストランソネット」
 ワイナリーに隣り合わせて、ワインはもとより他の地元物産の展示即売店や、都農町の特産品を生かしたレストランを有する「ワインレストランソネット」をオープンさせ、あくまでも地元物産にこだわった都農町の一貫した姿勢がまちづくりに活気を持たせている。
鹿児島県 頴娃町
(えいちょう)
面積 110.17km2
人口 15,621人
1 夢・風の里アグリランドえい
 「手づくりのイベント」を合い言葉に、町内の地域おこしグループ等が一体となり、町民と町を訪れる人々との出会いを深め、潤いと活気のある町として発展することを願い、各種イベントを実施している。
  • えい新茶・大野岳マラソン大会
     フル登山コース、さわやかコース、らくらくコースの3コースを設定し、楽しみながら参加できるマラソン大会となっている。
  • 全えいオープンゴルフ大会
     そのネーミングのユニークさから、毎年町内外から多くのゴルフプレイヤーが参加し、スポーツ交流イベントとして定着している。
2 夢・風の里アグリランドえい整備事業
 平成元年度に策定した「頴娃町アグリリゾート整備計画」に基づき、平成3年度から整備を進めており、貸しロッジ、キャンプ場、ショートゴルフコース、地元黒毛和牛を使用したバーベキューハウス、広々としたふれあい農園、町営放牧場、温泉などが整備されている。

3 全町公園化対策事業
 「頴娃町花と緑の美しい町づくり条例」、「頴娃町空き缶等のポイ捨て防止条例」、「生け垣設置補助金交付要綱」等を制定し、町民総ぐるみで、ごみのないきれいな町づくりに取り組んでいる。

4 特産品の開発研究等による産業の振興
 特産品開発研究センターを中心として「売れる特産品」を研究し、サツマイモドリンクを販売したり、「ふれあい直売所」の設置や農業の担い手の育成確保を図るなど、町総ぐるみで熱心な取り組みを実施している。


【住民参加のまちづくり部門】
団 体 名 等 取 組 の 概 要
秋田県 琴丘町
(ことおかまち)
面積 111.38km2
人口 6,717人
1 縄文ページェント「琴の海」
 多くの縄文時代の遺跡が町内で出土しているうち、高石野遺跡では大変珍しい土笛が出土した。町は、この土笛を町おこしの起爆剤として「土笛の里」構想を策定し、まちづくりを推進している。
 平成7年より野外劇である縄文ページェント「琴の海」を、出演者約1,100人、スタッフ約300人、観客約4,000人の参加により開催し、しかも参加者はすべてボランティアとしての活動でまかなわれ、住民の地域づくりへの理解が醸成されている。
2 体育の町宣言
 昭和60年に体育の町宣言をし、町ぐるみの体力づくり運動である「おはようジョギング体操」をはじめとして、町内の自治会を14地域に区分しての地域対抗総合スポーツ大会を年間を通して開催している。この取り組みを通じて、地域のコミュニティ意識や団結が高まっている。
3 国際チャレンジデー
 「国際チャレンジデー」は、カナダで発祥した世界的なスポーツイベントであり、人口がほぼ同じ国内外の市町村を相手として、5月の最終水曜日に町内で15分以上スポーツをした人の参加率を競うイベントである。このスポーツイベントには平成7年より参加し、まさに町民一体となり、地域や世代、国境を越えたふれあいを実践している。
群馬県 榛名町
(はるなまち)
面積 93.59km2
人口 22,359人
1 生涯学習とまちづくり
 従来より盛んな公民館活動を発端として町内に文化活動が活性化しており、この文化活動と生涯活動を通じたまちづくりを実践している。文化活動組織は、現在34部会、1,061名3団体で構成される榛名町文化協議会と自主サークル20団体に及んでいる。多くの文化活動組織の存在は、町民文化の熟度の高さを表しており、昭和45年から行われている文化協議会の場で、文化活動サークルの発表が行われている。
2 総合文化会館「エコール」の建設
 町民の文化活動の発表の場が無いため、住民の側から多種多様な町民の文化活動にも対応し、多くの町民が集える施設が必要とされた。建設は、生涯学習活動を行っている住民が主体となり推進された。町民50人からなる文化会館建設委員会により、施設の規模、部屋数に至る細部までを住民自らが自主的・主体的に検討を行い、その結果、平成7年に完成した「エコール」は、使い勝手の良さ等から高利用率を誇っている。
3 はるな梅マラソン
 平成4年より、「エコール」を会場に4コース14部門で行うマラソン大会を開催し、全国から約2,000人の参加者がある。車椅子部門での伴走、伝統芸能の実演や競技支援など、住民の積極的な支援により大会が運営されており、住民による手作りの大会となっている。
神奈川県 大磯町
(おおいそまち)
面積 17.18km2
人口 32,737人
1 まちづくり環境問題研究会
 平成8年、大磯町のまちづくりや環境政策の根幹に関わる政策立案・形成について、公募による町民のボランティア、学識経験者、町職員等で構成する大磯町まちづくり環境問題研究会連絡協議会が発足し、目的別に4つの研究会に分けてまちづくりが検討されている。
  • 「まちづくり・緑化政策研究会」
     都市生活における緑地の保全、緑化の推進を目的としている。
  • 「ごみ減量化・資源化推進調査研究会」
     ダイオキシンの抑制問題をはじめとして、ごみの減量化・再資源化を中心に検討している。
  • 「海岸地域トータルプラン策定研究会」
     海岸地域の防災・環境整備等を基本とした保全と活用について検討している。
  • 「河川浄化対策研究会」
     水質汚濁に関する問題点について実態調査と研究を行っている。
2 まちづくり研究会だより
 目的別の4つの研究会の活動報告と環境問題の意識啓発のため、「まちづくり研究会だより」を毎月作成のうえ、町広報誌と一緒に全戸配布している。これらの取り組みにより、町民と職員が協力して取り組むという体制が確立し、信頼関係が構築され、政策提言型の住民参加をボランティア精神に立脚して実施している。
山梨県 道志村
(どうしむら)
面積 79.57km2
人口 2,202人
1 水トピア・プロジェクトの推進
 明治30年以来、横浜市の上水道の水源として利用されている道志川は当時から「横浜港で補給されたその水は、赤道を越えても腐らないほど良質な水」との評価を受け、住民の誇りであった。この清流道志川を通じて、横浜市との間で地域間交流が実施されている。地域間交流によって新たな活力と個性ある山村文化が創造される理想郷を「水トピア」と位置づけ、住民一丸となりプロジェクトを推進している。
2 水トピア・清流プロジェクト(自然環境の保全)
 小中学生による奉仕活動をはじめ、みちづれ会(婦人会や老人クラブに属しない女性の団体)等が、地域の環境を保全するため、住民主体の環境美化活動として住民総参加による河川美化活動や草刈り作業を実施している。
3 水トピア・交流プロジェクト(自然を仲介とした地域間交流)
 道志川の水を上水道の水源としている横浜市との交流は100年余り続き、横浜市民が水源地を訪れて、間伐作業や農産物の収穫を体験する一方、道志村の小学生が横浜市の水道施設を見学したりする等の交流が進められてる。これらの交流により、水源地における水の保全の重要性等の認識が徐々に広まってきている。
4 水トピア・潮流プロジェクト(活力あるまちづくり)
 「水源の森」として、「郷土料理の館」、「屋外音楽堂」、「ギャラリー水源の森」などが整備され、各施設が有機的に結びつくことで、村内外から多くの人が訪れ、文化振興や地域間交流に活用されている。
石川県 門前町
(もんぜんまち)
面積 157.54km2
人口 9,405人
1 花と緑のまちづくり
 花づくりへの取り組みは古く昭和40年から始まり、学校単位、子供会単位で行われていた花づくりへの取り組みが、過疎化と少子化が進むに連れ、婦人会、父兄会、そして花づくりグループが活動を始めるなど町全体への運動に発展していった。住民運動の高まりから、町は「門前町花と緑のセンター」を建設し、四季を通した花苗の無料提供を実現した。
  • とどろ婦人会
     過疎化と少子化で子供がいなくなり、花壇の荒れが目立ち始めたことから結成された父兄有志の団体である。
2 特産品づくり
 海の幸がおいしい能登半島において海産物以外の特産品づくりを目的として、町が「特産品開発センター」を建設した。この施設に指導員のみを置いて住民グループ等が活動の一環として利用してもらいながら開発を進めるために開放し、塩鯖をかぶに挟んだ「かぶら寿司」、大豆を曳いて作った「大豆あめ」、山芋でつないだ「門前そば」等数多くの製品を生み出した。
  • 門前町そば生産組合
     もともと家庭で消費されていた田舎そばを商品化し、「そばの市」を開催して人気を確立した。
3 イベントによるまちづくり
 商工会青年部から始まり町内各団体に広がった「ふるさと門前まつり」、「能登麦屋節全国大会」、「日本海夕日写真コンテスト」など住民が盛り上げ全国に情報発信しているイベントも盛んに行われている。
静岡県 引佐町
(いなさちょう)
面積 121.32km2
人口 15,395人
1 緑と花の町 いなさ
 ふるさと創生事業を契機とした「花と緑の街道づくり事業」から始まり、有機的な組織体制による町民総参加によるまちづくりを実践している。新たに自治会組織に環境美化部長を配置し、地域の環境美化活動を推進することに成功し、また地域団体の中でも「花の会」は500名の会員数を誇り、花の管理や植栽を実施している。自治会、花の会、老人クラブ、夫人会、子供会等から成る引佐町環境美化推進協議会では「花の町コンクール」、「花のモデル校指定」を行い、町民一人一人に密着した啓発を実施している。
2 引佐町の先進性
 行政主導によるものとは異なり、町民の自主意識に基づく活動が行われている。行政は適宜効率の良い推進体制を整備するなどの機能を果たすという役割分担が徹底され、特に「空缶等のない美しいまちづくり条例」の制定による自治会組織への環境美化部長設置、また育苗施設「いなさガーデンセンター」では年間約10万鉢の苗を育て、自治会、学校など各種団体へ無料で供給するなど、住民主体の花のまちづくり。
3 長期的視点からの取り組み
 町民と行政との連携により、平成元年当初と比べて花壇面積は2倍近くに増加した。ヨーロッパの緑と花の街並みは整備に約50年を要していることを視野に入れ、子供たちが花の栽培を通じて環境問題を考えることができる取り組みを実施するなど、地道で地に足がついた取り組みを推進している。
鳥取県 智頭町
(ちづちょう)
面積 224.61km2
人口 10,096人
1 日本1/0(ゼロ分のイチ)村おこし運動
 平成8年度より、役場に頼らない村づくりを基本方針に、集落の10年先を見通した活性化構造づくりから実行面までをソフト面で支援し始めた。「1/0」とは、地域の中に埋もれているが掘り起こせば出てくる何かを探し出し、ゼロからイチを生みだそうという意図であり、(1)村の誇り(宝)の創造、(2)住民自治、(3)計画の作成、(4)国内外交流、(5)地域経営、を柱とする。住民が主体となって10年先の将来像を描いていこうとする取り組みが実践されている。

2 ソフト活動への助成
  • 資金面の助成
     町は、住民の夢を具体化するために、ソフト活動費に対して資金面等で助成する町単独事業を実施している。
  • 市町村との関わり
     住民の構想づくりの助言者として、初年度は専門アドバイザーを派遣し、2年度目からは町職員を派遣し、10年先を見通した構想づくりとその実現のためにアドバイスを行っている。
  • 取り組みの状況
     しめ縄づくり作業、昔語りの会、ロゴマークの制定、傘踊りの継承、人形浄瑠璃の保存伝承など、平成9年度では7つの集落を中心に、住民の意見が徐々に実現しつつある。
徳島県 勝浦町
(かつうらちょう)
面積 69.80km2
人口 7,185人
1 勝浦町地域づくり井戸端塾実行委員会
 平成3年、ふるさと勝浦町を有名にし、活性化することを目指し「勝浦町地域づくり井戸端塾」が結成され、特色あるイベント、魅力ある環境の整備、特産品開発の3点を柱に、精力的、継続的に取り組んでいる。
  • ビッグひな祭り
     家庭で飾られなくなったひな人形を集め、もう一度光を当て供養する目的で平成4年から開催されている。全国から寄せられた約1万5千体のひな人形が協力を申し出たボランティア延べ100人の手により飾られる他、子供たちや外国人留学生によるひな行列等が行われる。
  • 恐竜の里づくり
     四国ではじめて町内の断層から恐竜の化石が発見されたことから、間伐材など全ての材料を自分たちで調達し、手作りの実物大の恐竜「イグアノドン」のモニュメントや案内板等を作成し、小公園を作り上げた。
  • みかん祭
     みかん産業の復興の一助となることを願って始まった「みかん祭」も、今年で7回目を数え、井戸端塾が主体となった運営から現在は商工会青年部に広がりを見せている。
2 盛んな住民活動
 地域づくり井戸端塾以外にも、婦人会を中心として花づくり運動により緑化推進事業を実施している。その結果、町の花「コスモス」でまちを囲むまちづくりを目指してボランティア団体「コスモスの会」が発足した。その他、環境衛生ボランティアにより、町内公共施設、排水路、河川などの清掃が行われているほか、福祉ボランティアも盛んに行われている。
愛媛県 宮窪町
(みやくぼちょう)
面積 18.37km2
人口 3,993人
1 水軍文化の保存・伝承
 昭和62年、「能島水軍のふるさと」として町おこしを図るため、有志が町内から会員を募集し、「能島水軍太鼓保存会」が結成された。太鼓の購入、太鼓チームの育成、水軍文化の保存・伝承等に取り組み、各種イベントへも出演し、能島水軍の里「宮窪」をPRするために欠かせない存在となっている。また、地域によっては、小・中学校にも水軍太鼓のチームが結成されるなど、その活動は着実に地域に定着してきている。
2 水軍レース大会
 1隻に12人が乗り込み、町内外から70チーム程度の参加チームが漕ぎ比べをするもので、平成2年秋の国民文化祭「海のフェスティバル」の際に和船を建造し、平成3年度に水軍レースとして60年ぶりに復活した。平成5年度からは他町村との共同開催となり、広域的なイベントに発展している。「ふるさと再発見」の絶好の機会になっているほか、水軍の歴史や文化を通じた他町村との交流の輪が拡がっている。
3 石文化運動公園
 県内唯一の花崗岩の産地で重要な産業となっている一方、採石の際の廃石、廃土の処理も課題となっていたところ、この廃石を利用してスポーツ施設が無かった同町に運動公園を建設した。同時に、石の文化、歴史、技術を伝える場もなく、関係資料、道具等も失われつつあったため、これらの文化財を一同に集めた全国でもまれな石文化公園、世界の石を集めた文化施設を整備した。
熊本県 宮原町
(みやはらまち)
面積 9.89km2
人口 5,212人
1 地方分権を先取りした住民参加によるまちづくり
 町では、総合振興計画の策定にあたり、平成7年度より住民参加による町振興計画づくりに着手した。町内の14地区でそれぞれの地区住民の意見・要望を行政に細かく吸収・反映させるためにワークショップ方式を導入し、平成10年3月、他の地区に先駆けて宮原地区で基本構想、基本計画、地区別計画、実施計画からなる宮原町総合振興計画「ニューシナリオ」が策定された。
  • ニューシナリオの成果
     子供から大人まで参加して議論した内容により下宮地区公園を完成させ、草刈り、トイレ清掃など全て地区住民で管理している。
2 ニューシナリオの策定
  • 「まちづくり情報銀行」
     平成8年、大正時代に建設された旧銀行を、まちづくりに関する多様な情報収集及び発信、交流の拠点として「まちづくり情報銀行」を開設した。子供からお年寄りまでが気軽に集う町民のサロンとして機能し、町企画調整課も入居している。
  • 地区別計画がニューシナリオの特徴
     地区別計画(14地区)を策定するにあたり作業に携わった町民は、まちづくり推進員(73名)を始めとする「まちづくり情報銀行会員」約1,200名を数えた。まさに町をあげての計画策定を策定している。
3 住民意識の変化
 宮原の未来についての意見を交わした住民の意識の向上により、役場職員の意識も高まり、これからのまちづくりを模索する県内外の市町村に大きな刺激と希望を与えている。


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