第１章　有珠火山噴火による被害状況

１−１ 物的被害
（被害状況は最大・延べ被害を記述。一部を除いては復旧済み）


分野	被害状況等
電気	・停電2200戸（伊達市386戸、洞爺湖温泉/月浦地区1645戸、壮瞥温泉259戸、虻田町304戸） ・伊達火力、虻田水力、洞爺水力発電所 運転停止 ・送変電設備、泊原発は被害なし
LPガス、高圧ガス、鉱山保安施設等	・伊達鉱山職員避難 ・その他被害なし
水道	・虻田町、壮瞥町の一部で給水停止（その他被害なし）
中小企業	・虻田町588事業者が避難・事業停止 ・壮瞥町15事業者休業、2事業者廃業
電話	・立入禁止区域内等で基地局への給電停止により運用停止
道路	・道央自動車道の一部で、段差、道路管理用光ファイバ断絶、トンネル覆工損傷、ガードレール損傷、火山灰流入、路面隆起等 ・一般道で、橋の流出、火口出現、断層、火山灰堆積、斜面崩壊、跨線橋亀裂等 ・交通規制（道央自動車道豊浦IC〜伊達IC、国道37号、国道230号、道道洞爺登別線の一部）
鉄道	・レール隆起、歪曲 ・虻田町洞爺から伊達市長和間運休（4月27日より制限付き再開）
下水道	・汚水送管破損、汚水ポンプ損傷等
文教施設	・校庭岩石散乱、泥流流入、校舎壁亀裂、ガラス破損
建物	・床上土砂堆積、噴石による屋根破損、家屋一部損壊等

１−２ 住民避難の状況


市町村	世帯		人口
壮瞥町 　避難対象	全世帯 　最大時（3.29） 　現　在（6.13）	1,390 世帯 198 世帯 0 世帯	全人口 　最大時（3.29） 　現　在（6.13）	3,353人 408人 0人
虻田町 　避難対象	全世帯 　最大時（3.31） 　現　在（7.28）	4,602 世帯 3,612 世帯 202 世帯	全人口 　最大時（3.31) 　現　在（7.28)	10,277人 7,943人 378人
伊達市 　避難対象	全世帯 　最大時（3.31） 現　在（6.13）	14,768 世帯 2,223 世帯 0 世帯	全人口 　最大時（3.31) 　現　在（6.13)	35,590人 5,472人 0人
合　計 　避難対象	全世帯 　最大時（3.31） 　現　在（7.28）	20,760 世帯 6,033 世帯 202 世帯	全人口 　最大時（3.31） 　現　在（7.28）	49,220人 13,823人 378人

注：人口・世帯数は平成１１年８月現在のもの。虻田町の避難住民は、仮設住宅への避難者

２−１ 防災無線


(1)	移動系無線システム 　災害対策本部と防災関係機関、関係車両、現地派遣職員等の間の連絡用に活用。新たに増設した無線機には防災相互波１５８．３５ＭＨｚ、４６６．７７５ＭＨｚを装填したものを多数利用
(2)	同報系無線システム 　一方、同報系無線システムは、災害対策本部と避難所や、避難解除の住民宅の間に直接災害情報を伝達する手段として整備・活用

噴火前後における防災無線の整備状況


システム	噴火前	増設分	合計
移動系	FB×5 ML×99	FX×2 FB×4 ML×112	FX×2 FB×7 ML×211
同報系	FX×1 受信機×11	FX×4 受信機×3680	FX×5 受信機×3691

２−２ 災害対策用ＦＭ放送局
　虻田町では、メーカー（日本無線）による設備の無償提供を受けて、５月８日、災害対策用ＦＭ放送局を開局
２−３ 災害監視・復旧工事等のための無線システム


(1)	火山監視用カメラ／遠隔制御・画像伝送システム 警察庁、建設省、北海道開発局等の防災関係機関において、火山活動や災害現場監視用の固定カメラを設置し、遠隔制御による画像を記録・伝送
(2)	無人ブルドーザ 北海道では、九州（雲仙普賢岳）での災害復旧工事で活躍した無人の遠隔制御重機（ブルドーザ、クレーン、ユンボ等8台）を今回の災害現場に搬入し復旧土木工事に活用
(3)	発電所用給水管内調査ロボット 北海道電力では、火山活動に伴う水力発電所の導水路の破断・亀裂等を確認するために、遠隔操作による小型監視カメラを搭載した調査ロボット（超小型車両）を活用

２−４ 被災住民の通信手段の確保


(1)	電話 ア 公衆電話 東日本電信電話株式会社では、噴火による住民避難が開始された3月29日から今日に至るまで６９個所の避難所等に５５３台の無料公衆電話を設置 イ 携帯電話 無料の携帯電話を道内の携帯電話事業３社の協力で、災害対策本部や学校、公民館等の公共機関に対し延べ約１１００台が貸与。
(2)	アマチュア無線 日本アマチュア無線連盟北海道地方本部渡島桧山支部では、緊急・非常の通信手段としてアマチュア無線の利用を呼びかけるとともに、ボランティアによる24時間の連絡監視体制

２−５ その他（インターネット）


• 全省庁及び道や地元関係自治体のＨＰ上に有珠山関連情報が特集で掲載
  
• 各避難所には、家電メーカー等によるパソコンの設置やインターネットプロバイダー（ＤＩＯＮ等）による無料のインターネット接続サービスを実施
  
• 通信総合研究所が開発したインターネットを利用した災害安否情報収集用の「被災者情報登録検索システム」が４月４日から利用開始
  

(1)	非常通信協議会における重要通信確保の要請
(2)	被災自治体等への災害対策用無線機器貸出しの周知
(3)	免許人、関係事業者等への協力要請等
(4)	無線機メーカー等への協力要請 ア メーカーの協力要請、対応体制／機器提供（準備）状況の把握 イ メーカー等連絡会の開催＜出席メーカー等＞全１５社
(5)	定期検査の実施延期 ＜対象無線局等＞ ア 私設課関係 FX×3、FB×6 イ 公共課関係 FB×3 ウ 航空海上課関係 MSS×17
(6)	無線局再免許手続きに関する相談窓口開設
(7)	臨機の措置による免許等 ア 私設課関係 新設：FX2、FB3、ML29、MP1変更：FX2、FB1 イ 公共課関係 新設：FX13、FB11、ML117、TC1、FX6変更：FB17、ML8 ウ 放送課関係 新設：BC1、FX1、FP1変更：MP3 《臨機の措置》 非常災害時において、防災関係機関や公共機関等が災害対策用に臨時に開設する無線局に対し、通常の手続きによらず口頭や電話等により迅速に免許等の処分を行う特例措置
(8)	通信・放送用機器等の貸出し ア 北海道電気通信監理局関係 当局所有の無線機を２５台無償貸与 イ 無線機メーカー／電気通信事業者関係 ａ） 防災無線等 無線機・放送機器メーカー、電気通信事業者、ＭＣＡ事業者から延べ、FX8局、FB3局、ML181局、同報受信機3680台を無償貸与 ｂ） 携帯電話 電気通信事業者により、携帯電話977台、PHS12台、ポケベル100台、衛星携帯電話13台が無償で貸与 ｃ） ＭＣＡ無線 可搬型制御局1局、MCA携帯端末63局 ｄ） 放送設備 ＦＭ放送局用設備1式、番組伝送用設備１式
(9)	電波利用料の徴収に関する特例措置 ア 災害発生後に発生した電波利用料債権に関する納入告知書の送付停止 イ 未収納の電波利用料債権に関する督促状及び催促状の送付停止
(10)	電波監視、無線利用状況調査等 ア 即応電波監視体制 イ 妨害調査、無線利用状況調査
(11)	インターネットによる情報提供