※本記事の内容はテレワーク専門家の視点からの一見解をご紹介するものです。
(総務省テレワークマネージャー 井上 あい子 氏)
新型コロナウィルス対策として、政府は企業に対して時差出勤やテレワークの実施を呼びかけています。皆さんも、テレビや新聞、駅や列車のアナウンス等でテレワークについて見聞きする機会が増えたことと思います。
多くの企業では、テレワークの導入について考えられていたものの、正直なところ二の足を踏まれていたと思います。だって、今の仕事のやり方で困っていない?から。新たに仕事のやり方を変えることは、正直なところめんどくさい!ですもんね。
本来は、時間をかけてテレワークの導入をして頂きたいところですが、緊急事態の今、皆さん一人ひとりが思いやりと責任を持って、速やかにテレワークにトライして頂きたいと思います。
Q:そもそもテレワークってなに?
ICT(情報通信技術:パソコンやスマートフォンなど)を使って、場所にとらわれない働き方のことです。出社しなくても自宅で働ける「在宅勤務」以外にも「サテライトオフィス」「モバイルワーク」といった勤務形態はありますが、いま、一番必要とされている「在宅勤務」を想定してご紹介します。
Q:テレワークを導入したいけど、どうしたらいいの?
平時であれば、下記のプロセスが通例となりますが、まず第一に自宅でもできる仕事の洗い出しを行ってください。次に、テレワークができる環境の人と、どうしても出社しなければならない人を社内で話し合って決めて下さい。自宅にインターネットに繋がったパソコンが無くても、スマートフォンがあればテレワークはできます。職種によっては、電話やFAXを駆使すればできます。
そして、必ず労使間で最低限のルールを決めて、書面をもって合意形成を行い、後々起こるかもしれないトラブルを未然に防ぐ対策について考慮しておくことがポイントとなります。
Q:テレワークにおすすめのソフトは?
ここでは、3点のご紹介をさせていただきます。これしかない、これが絶対ではございません。様々なソフトがありますので、お試し期間を上手く利用されながら、どれが自身の会社にマッチするか、費用面や操作性等を確認して決定されることをおすすめします。
特に、経営者のみなさんへ
今回の新型コロナウィルス感染症対策によるさまざまな行動は、近い将来、起こるであろう南海トラフ巨大地震などの広域災害を想定した事前訓練としてとらえることも一考ではないかと思います。
何をするにもやっぱり人。従業員のみなさん方とスクラムを組んで乗り切ってください。
<参考情報>
出典元:神戸新聞社「まいどなニュース」(2020年3月8日発行)
※本記事の内容はテレワーク専門家の視点からの一見解をご紹介するものです。
(総務省テレワークマネージャー 井上 あい子 氏)
テレワークを導入するにあたり、自宅でもできる仕事の洗い出しは出来ましたでしょうか?
「まだまだまだ・・・」、「もうちょい時間がかかる・・・」そんな声が聞こえてきそうですが、実はこの洗い出しをしっかりされると、「よく考えるとこの作業は必要ないよね?」「この書類って必要ないよね?」など、この気付きがとても大切で、業務改善や作業手順を見直すきっかけとなります。
また、テレワークのできる環境の人と出社しなければない人について、社内で話し合いができましたでしょうか?子育て中の人、介護をされている人、公共交通機関の乗り継ぎが多い人など、普段から社内においてコミュニケーションができていれば、テレワークでも意思疎通が図れ、みんなが気持ちよく、いつも通りの仕事ができるのです。
もし、話し合いができない職場環境であれば、大変申し訳ないのですがテレワークには向きませんので、お勧めできません。
そして、必ず労使間で書面をもって合意形成を行うことが絶対ですが、特にお金に関すること。通信費、テレワークで使用する情報通信機器等の取扱いや費用負担について、請求するタイミングや支払い方法についても、就業規則等で定めておくべき事項です。テレワークも労働基準法をはじめとする労働法規が適応されるので、参考情報に記載する制度等を利用して専門家に相談をしていただくことをおすすめします。
Q:テレワークの導入が難しい職種はありますか?
現時点では、第一次産業や製造業、対面を要するサービス産業では限界があります。しかしながら、現行の仕事の中で、どの部分をデジタル化するか、遠隔でできるのかについて自社だけはなくて異業種(できればIT事業者)と連携することで、新たなビジネスモデルを生み出すチャンスになります。
今年度、筆者がテレワークマネージャーとして支援させていただいた事業者と自治体を紹介します。皆さんと同じく、テレワーク導入のスタートラインに立ち模索をされています。まだ、ホームページにテレワーク推進に関する情報提供はされていませんが、動向について注目をして下さい。
今回の新型コロナウィルス感染症対策によるさまざまな行動は、近年多発している大型台風や長雨の対策、そして、近い将来、起こるであろう南海トラフ巨大地震などの広域災害を想定した事前訓練としてとらえて頂ければと思います。
何をするにもやっぱり人。みなさんの創意工夫をもって走り抜いてください。
<参考情報>
出典元:神戸新聞社「まいどなニュース」(2020年3月11日発行)
※本記事の内容はテレワーク専門家の視点からの一見解をご紹介するものです。
(総務省テレワークマネージャー 井上 あい子 氏)
Q:「いつも、和気あいあいの職場で仕事をしていたので、わからないことがあればすぐに聞ける同僚や先輩もいて、アドバイスをくれる上司がいましたが、自宅にこもって悶々と仕事をしていると寂しいし不安を感じます」
A:例えば、テレビ会議システム等を常時接続して、音声のみONにしておくと、何かあれば会話ができ、その会話をみんなで聴けるので、いつもの職場の臨場感が味わえます。
★★★ポイント★★★
[音声]
通信環境によって映像が途切れるので、音声は安定的な通信の確保が必要です。
[照明]
特に女性のみなさんは、画面は暗いよりも明るい方が良く、パソコンの設定や「ライトリング」を装備されると、お顔映りが良くなります。白い装いだとレフ板代わりになります。
[背景]
家族の映り込みや、個人情報がわかるようなものの映り込みには気をつけましょう。
[環境]
仕事をする部屋には、ペットや家族を入れないという取り決めも必要です。
[装い]
自宅だからといってパジャマでの仕事はよろしくありません。上半身のみ映るのであれば、ジャケット着用や色味を決めるとか、会社のブランディングに合わせて決められてはいかがでしょう。
Q:「あの人はテレワークをしているのに、私はテレワークをさせてもらえないけどなぜ!?」
A:管理職は、社内の誰が見ても公平な人事評価をしなければ、揉める原因となります。当たり前のことですが、好き嫌いで社員の評価をしてはいけません。
テレワークができる相応しい社員とは、スキルも大切ですが、離れていてもホウレンソウ(報告・連絡・相談)のコミュケーションが取れる・ルールが守れる・自己管理ができるなど、仕事に向き合う姿勢、普段の仕事っぷりが決め手となります。
Q:「在宅でテレワークの休憩時、すってんころりんして怪我をした場合は労災保険の適用になりますか?」
A:在宅でテレワークをしている時間は勤務時間内ですので労災保険の適用となります。ただし、テレワーク中に私的な行為(洗濯物を干すとか、買い物に出かけるなど)は、適用外となります。テレワークを始める前に、労災保険の適用について理解しておくことがトラブルの回避となります。
パソコンの操作は、目も疲れて肩も凝ります。休憩時間についてルールを決めておきましょう。
Q:「使用しているパソコンがウィルスに感染し、情報漏洩につながってしまった。」
A:ウィルスを防ぐための措置として、使用するパソコンにはセキュリティーソフトのインストールと、常に最新のバージョンに更新しておくことが必須です。
今回の新型コロナウィルス感染症対策によるさまざまな行動は、近い将来、起こるであろう南海トラフ巨大地震などの広域災害を想定した事前訓練としてとらえるべきだと思います。
何をするにもやっぱり人。ひとりひとりが、できることからチャレンジしていきましょう。
<参考情報>
出典元:神戸新聞社「まいどなニュース」(2020年3月15日発行)