<専門家に聞きました:VOL.2 総務省テレワークマネージャー 米田 宗義 氏>
※本記事の内容はテレワーク専門家の視点からの一見解をご紹介するものです。
働き方改革や新型コロナウイルス感染防止対策として注目されている「テレワーク」について、テレワークの専門家にお話を伺う企画の第2弾です。今回は、総務省テレワークマネージャー/ITコーディネータとして近畿地方でご活躍されている 一般社団法人ITC-Labo.代表理事 米田 宗義 氏に、新型コロナウイルス対策としてテレワークの導入を検討する企業からの実際の相談内容などについて聞きました。
Q1)新型コロナウイルス対策としてのテレワークの相談は増えていますでしょうか。また、どのような相談が多いでしょうか?
相談は今年2月末頃からかなり増えています。相談内容の傾向としては、新型コロナウイルス対策のために短期での導入を前提とされているケースが多いため、どうしてもITインフラ系の話が先行しがちです。具体的には、以下のような相談内容が多いです。
- Web会議(テレビ会議)ツールの選定
- コミュニケーション手段(メール、ビジネスチャット、グループウェア等)
- 上記ツール類の使い方(テレワーク環境でどう使えばいいのか)
- セキュリティ機器、不正アクセス対策の整備
- テレワーク導入の進め方、対象業務(社内システム)の選定
- テレワークの運用ルール(テレワーク規程などの)策定
- 国や自治体の助成、補助金情報
Q2)テレワークを実施する上で、特に中小企業が感じる課題は何が多いと感じられていますか?
中小企業の課題としては、特に以下のようなことが多いと感じます。
- テレワークの対象業務の洗い出しや選定が不十分
- テレワーク環境下でのWeb会議やコミュニケーションツール類の使い方に自信がない
- 情報セキュリティをどこまで整備すべきかよくわからない
- ルール、規程の整備方法
- テレワーク導入の目的や経営上のメリット等、経営者の理解が不十分
Q1でお話したとおり、最近はどうしてもITインフラやセキュリティの話が先行することが多く、本来であれば働き方改革の一環として、生産性向上や育児、介護と仕事の両立等の手段の一つとしてテレワークを位置付け、トップダウンで推進すべきですが、実際にはこれができていないと思います。
Q3)Q2の課題に対して、どのような解決策が有効だと思われますか?
新型コロナウイルス対策としての“緊急措置”と、働き方改革としての“恒久的な整備”を分けて考え、最終的なゴール(恒久的措置)を見据えながら、今、目の前で取るべきアクションを考えることが必要です。その上で、例えば以下のように、各課題に応じて、その課題に精通する専門家に相談していくと良いと思います。
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会社としてのテレワークの導入の目的や経営上のメリットを明確にし、現場業務の改革などを主導できる専門家(総務省テレワークマネージャーや経済産業省ITコーディネータ等)に相談する。
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ソフトウェアやツール類の選定、使い方についても、第三者的に判断できるテレワークマネージャー等の専門家に相談する。
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最終的に就業規程の改定等も必要になると思われるため、普段相談されている社労士さんに相談する。
Q4)テレワークを今から導入しようとしている中小企業に向けて一言、アドバイスやメッセージをお願いします。
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(総務省テレワークマネージャー
米田 宗義 氏)
新型コロナウイルス対策として、テレワークは一定の効果が期待できます。組織としてのチームワークやモチベーションを維持することが大変難しい状況下にいらっしゃると思いますが、テレワークありきではなく、現場の業務改革を見据えながら、テレワークを上手にご活用ください。
現場にどっぷりと浸かり(今はWeb会議での支援のみとされているため現場に駆けつけることはできませんが)、皆さんと課題を共有して支援させていただきます。
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