電波防護指針

電波防護指針には、十分な安全率が適用されています。

 電波が人体に与える影響については、わが国を含め、全世界的に見てこれまで50年以上の研究の蓄積があります。これらの科学的知見をもとに、十分に大きな安全率を考慮した基準である「電波防護指針」が策定されています。

 わが国の電波防護指針は、「基礎指針」と「管理指針」からなります。基礎指針は、電波防護指針の考え方の根拠として位置づけられもので、刺激作用と熱作用の閾値をもとに、SARなどの生物への影響に直接関連づけられる物理量で定められています。例えば、熱作用により人体に有害な影響が及ぼされるのは、全身平均SAR値が約4W/kg以上であることから、10倍の安全率を考慮して全身平均SARの基準値を0.4W/kgとしています。

 基礎指針は、体内に生じる物理量で示されるため、直接測定することは困難です。それに対して管理指針は、基礎指針に対応する測定可能な物理量で定められており、「電磁界強度指針」や「局所吸収指針」などから構成されます。

 電磁界強度指針では、全身平均SARなどの基準値の代わりに、全身が電波に均一にばく露され、全身での電波の吸収が最大となる条件を仮定して換算した電波の強さ(電界強度、磁界強度、電力密度)を基準値として定めています。したがって、電磁界強度指針を満足していれば基礎指針を満足すると判断できます。また、一般環境の基準値(公衆に対する基準値)は、全身平均SAR値0.4W/kgとなるような電波の強さを推定し、そこからさらに5倍の安全率が適用されて定められています。

 局所吸収指針では、電波のエネルギーが全身の局所に集中して吸収されるような場合における基準値を定めています。一般環境の基準値(公衆に対する基準値)は、局所SAR値で2W/kg(手足は4W/kg)と定められています。この値は、電磁界強度指針と同様の安全率が適用されています。

 このように、電波防護指針は十分な安全率が適用されているので、この指針に示される数値を少し超えたからといって、それだけで直ちに人体に影響があるというものではありません。また、これは国際的なガイドラインと同等であり、世界保健機関(WHO)はこのガイドラインを支持しています。 

電波の強さ

電波防護指針の制度化

 わが国では、より安全により安心して電波を利用するために、電波防護のための規制を導入しています。

 例えば、放送局のように遠くの場所に設置される無線局については、電磁界強度指針の一般環境の基準値を適用し、その値を超える場所に一般の人々が簡単に出入りすることができないように、柵などを設けることを電波法令で義務づけています。また、携帯電話端末のように、頭のすぐそばで使用する無線局については、局所吸収指針の一般環境の基準値(2W/kg)を適用し、これを遵守することを電波法令で義務づけています。

 その他、電波防護に関する基準値の詳細についてはこちら別ウィンドウで開きます(総務省電波利用ホームページにリンク)からご覧いただけます。

代表的な無線局の基準値を超える範囲の例
無線局のアンテナから発射される電波(電界)の強さの例
デジタル携帯電話基地局のアンテナから発射される電波の地上での電力密度の例

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