はじめに

 近年の電気通信市場における競争の進展や利用者ニーズの多様化に対応し、先般の国会において、第一種電気通信事業に係る料金制度を原則届出制とするとともに、国民生活・経済に必要不可欠であって競争の不十分な地域通信分野における加入電話などのサービスには我が国で初めての本格的なプライスキャップ規制を導入することを内容とする電気通信事業法改正法が成立した。

 現在、我が国の電気通信分野においては、活発な技術革新に基づく新たなサービスの登場やマルチメディア化が進むとともに、来年(平成11年)夏に行われる予定の日本電信電話株式会社(NTT)の再編成や外資の本格的な参入を控え、メディア間、事業者間の競争がより激しさを増しているところである。

 今回の料金制度改正は、市場メカニズムを活用したより一層の料金の低廉化やデュープロセスの確保、制度面における国際的な整合性の確保を目指したものであり、電気通信分野における競争の激化に対応するといった観点からも、時宜にかなったものであると考えられる。

 今後は、新たな料金制度において、このような所期の目的が十分確保されるよう適切な運用が行われることが肝要であり、今年後半の法施行に向けて新たな料金制度の運用に関する枠組みの整備が求められているところである。

 本研究会においては、このような問題意識に立って、法施行後の適切かつ円滑な運用を確保するために、料金届出制や意見申出制度の手続や料金変更命令の在り方、上限価格方式の運用、情報公開の推進などの検討課題について、短期間ながら、上限価格方式検討ワーキンググループを設けるなど精力的に検討を行い、今般、「中間取りまとめ」を行ったところである。

 今後、この「中間取りまとめ」を公表し、国民・利用者や電気通信事業者の意見(パブリックコメント)を招請の上、新たな料金制度の運用の在り方に関する最終取りまとめを行う予定であり、本「中間取りまとめ」を読んだ方々から積極的に意見が提出されることを期待するものである。




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