第3章 第2次情報通信改革の姿

1 国民利用者にとって望ましい姿
 (1) 多様なサービス
 
 (2) 料金の低廉化
  (例)
   (ア) 内外価格差の抜本的是正
   (イ) 遠距離料金の引下げによる遠近格差の抜本的是正
   (ウ) 低廉で多様な定額制のメニュー
   (エ) 新規加入料の撤廃又は大幅な引下げ
 
 (3) 安心して利用可能
  (ア) 高品質、高信頼のサービス水準
  (イ) プライバシーの保護
  (ウ) 公序良俗に反する情報等の排除
  (エ) 情報通信の安全・信頼性の確保
  (オ) 契約内容の明確化
 
 (4) 簡便な利用等
  (ア) ワンストップショッピング(複数の事業者がネットワークを接続して
   サービスを提供する際、1社が代表して利用者の窓口を務めることによ
   り、シームレスなサービスを提供)
  (イ) 操作の簡便性
  (ウ) 利用者志向のサービス提供体制の確立
 
 (5) ユニバーサルサービスへのアクセス機会の保障
 
 (6) 個人の情報発信の拡大
 
 (7) 福祉サービスの確保
  
2 情報通信産業のダイナミズム創出
 (1) 相互参入の促進
   既に業務区分の規制がない旨改めて明確にされているが、今後、マルチ
  メディア時代に向けて、各事業者の相互参入を政策的に推進していくこと
  により、競争の促進及びそれを通じた利用者の利益の増進が期待される。
 
 (2) 多様なネットワークの形成
  (ア) 情報通信基盤の整備
  (イ) インターネットワーキングの促進(NTTのOCN構想など)
  (ウ) 柔軟なネットワーク構築の促進
 
 (3) 地域の競争の促進
 
 (4) 接続の確保
  (ア) 接続の重要性
  (イ) 接続確保のための具体的方策
 
 (5) 国際競争力の向上
  (ア) 海外市場への展開
  (イ) 国際通信市場での展開
  
 (6) 研究開発力の向上
  (ア) 研究開発競争の活性化
  (イ) 通信事業者とメーカの共同研究開発
  (ウ) ベンチャー企業の育成
  (エ) 標準化への対応
  (オ) 研究開発リソースの充実
  (カ) 基礎的・先端的研究開発の推進
  (キ) 産学官の連携強化
 
 (7) ネットワークビジネスの推進
  (ア) コンテントの発展
  (イ) ネットワークビジネスの発展(サイバービジネスなど)
 
 (8) NTTのボトルネック独占への対処
  ア ボトルネック独占から生じる問題点
   (ア) 独占力の行使により公正有効競争を損なうおそれが強い。
   (イ) コスト削減やサービス向上のインセンティブが働きにくい。
   (ウ) 全国一体的なボトルネック独占を保有する経営主体による競争分野
    への進出、異業種融合は、(ア)の弊害が一層強くなり、多元的な競争軸
    を基礎とした産業のダイナミズム創出が困難になるおそれが強い。
     したがって、ボトルネックの独占力が様々な分野で行使され、情報
    通信産業全体の発展を損なうことを防止し、我が国の通信料金の低廉
    化と公正有効競争を促進するために、ボトルネック独占自体の解消を
    目指していく必要がある。
  
  イ 地域通信分野における競争
   (ア) 携帯電話、PHS、CATV、地域系NCCのいずれもが、NTT
    の独占的な地域通信網と接続することが、サービス提供上不可欠。
   (イ) これらの地域通信メディアは、少なくとも当面は料金面、ネットワ
   ーク構築面、機能面、技術面での制約があると考えられる。
  
  ウ ボトルネック独占解消の困難性
    次の理由により、ボトルネック独占の解消には、今後相当の期間と困
   難性を伴うと考えられる。
   (ア) 我が国の現在の地域通信網は、 100年以上の歳月をかけて、非課税
    措置や法律による電信電話債券の加入者による強制引受制度等の各種
    の優遇措置の下で構築されてきたこと
   (イ) 地域通信網を建設する工事の高コスト性、困難性
   (ウ) イで述べた地域通信メディアも、短期間のうちにNTTの地域通信
    網に代替する可能性は、極めて低いこと
  エ NTTの再編成
    NTT地域通信網における競争を促進する抜本的方策をとり、コスト
   削減のインセンティブを働かせるため、ボトルネック独占となっている
   NTTの地域通信網に構造的な措置を検討するとともに、それを前提と
   した非構造的な措置の展開を図る必要がある。
   
3 情報通信産業の活性化と併せて確保が必要な課題
 (1) ユニバーサルサービスの確保
   地域通信市場における競争の進展状況を踏まえ、すべての事業者が離島
  ・過疎地を含む全国あまねく地域におけるユニバーサルサービス確保のた
  めに応分の負担をする仕組み、例えば、ユニバーサルサービス確保のため
  の基金を設置するといった新たな制度について検討を進める必要がある。
  
 (2) 災害時その他非常時の通信の確保
   マルチメディアサービスの提供主体の多元化が進む場合は、非常・災害
  時のふくそう・途絶を最小限のものとし、また、公的機関の優先利用を確
  保するため、ネットワークの耐災性の向上、通信事業者からなる中央安全
  ・信頼センター(仮称)の設置等の施策を講ずることによって、安全・信
  頼性の確保を図ることを検討すべきである。
  
 (3) 消費者行政の推進
  ア 情報提供の推進
    電気通信事業者が積極的な情報提供に努めることはもとより、行政と
   しても消費者の立場に立った情報提供が必要である。
  イ 苦情処理体制の整備等
    消費者が電気通信サービスに関し、行政に対し苦情申告等を行える仕
   組みの法制度化や被害補償の仕組みについて検討するとともに、電気通
   信分野の消費者行政に係わる行政機能拡充を検討する必要がある。
   〔諸外国の例〕
     英国では、電気通信法で、BT等は、苦情処理手続を定め、OFT
    ELの承認を受けた後に公表しなければならない旨規定されている。
     米国では、FCCに消費者から苦情申立てがあった場合、FCCが
    消費者と通信事業者間を仲介する仕組みが制度化されている。
  ウ 情報教育の充実、情報リテラシーのかん養
  エ 情報倫理の確立
  オ 消費者の権利を確保するための諸制度の整備
   (ア) 電気通信の利用の適正化に関する法的整備(迷惑電話の防止、イン
    ターネット等での公序良俗に反する通信の規律)
   (イ) プライバシーの保護(個人情報保護に関する法制度的対応等)
   (ウ) 情報通信ネットワーク上の取引に関する制度の整備(電子商取引に
    おける本人確認、認証に関する制度の整備)