FTTHの実現に向けたネットワーク展望と課題
第3章 FTTH実現に向けた課題と推進方策


2 ネットワークの円滑な構築のための環境整備


   (1) 公共収容空間の利用の円滑化

   (2) NTTや電力会社の電柱、管路の空きスペースの利用の円滑化

   (3) ビル等への光ファイバの引き込み管等の確保







第3章 FTTH実現に向けた課題と推進方策

2 ネットワークの円滑な構築のための環境整備

(1) 公共収容空間の利用の円滑化
 光ファイバ網の整備にあたっては、道路、河川、下水道等面的な広がりをもつ公共収容空間の利用が不可欠である。特に、新規に電気通信事業に参入する者にとっては、こうした公共収容空間を円滑に確保できるかどうかが、事業の成否の鍵を握ることになる。
 また、公共収容空間の利用料の在り方も、低廉な通信サービスの提供に向けた重要な課題である。
 このため、道路占用料の改定、河川における縦断占用の許可、下水道管渠の開放等各種の公共収容空間の円滑な利用に向けた条件整備が進められてきているが、今後もこれらの公共収容空間の公平な利用と民間通信事業者の負担軽減に向けた方策をさまざまな角度から検討することが必要である。





(2) NTTや電力会社の電柱、管路の空きスペースの利用の円滑化
 上記の公共収容空間の他、ネットワーク収容空間としては、NTTや電力会社が保有する電柱、管路の空きスペースがある。これらについては、基本的には民間所有ではあるが、極めて公共性の高いものであり、NCC等から電柱共架等、円滑な利用の要望がある。
 米国においては、「1996年電気通信法」の制定に際し、電気通信分野における競争環境整備の観点から、公正・合理的な価格による電柱、管路等の収容空間の提供が明記されたところである。我が国においても、こうした収容空間が、できる限り公平かつ適正に提供されることが望ましい。
 最近、電柱、管路の空きスペースの円滑な利用に向け、一部事業者間で基本的ルールの検討が進められてきているが、国は、さらに一層の円滑な利用の促進に努めるべきである。





(3) ビル等への光ファイバの引き込み管等の確保
 光ファイバ網の整備、FTTH化を進める際、構造上の問題等のため、ビルや集合住宅等への光ファイバケーブルの引き込みが困難な場合がある。この解決策として、新しくビル等を建設する際に、あらかじめ引き込み管路を設けることが望まれるが、既設のビル等の場合には、下水道管、上水道管、ガス管等、すでに敷設されている施設の利用、引き込み部分への無線の利用等が考えられる。これら各種方法について、各々技術的な実現可能性に留意しつつ、国においても制度上の問題等について、検討を進める必要がある。