第3章 情報通信政策の動向


第2節 高度情報通信社会の構築に向けた情報通信政策の推進

  1. 環境保全に向けた取組の推進
  2.  地球温暖化等の地球環境問題は、社会経済活動や国民のライフスタイルの在り方に大きな影響を与える課題であり、9年12月には、京都で地球温暖化防止京都会議(COP3)が開催された。
     情報通信の活用は、交通との代替や交通流の円滑化、生産・流通活動の効率化等を通じて環境への負荷を低減させ循環型の経済社会システムの構築に資することが期待されている。
     郵政省では、9年3月、21世紀半ばを展望し、郵政省の環境政策の基本方針と12年度(2000年度)までの施策の方向を明らかにするため、「郵政省環境基本計画」を決定した。

    (1) 環境負荷の低減に関する検討

    ア 経済活動の電子化による環境負荷低減効果に関する調査研究
     郵政省では、国民生活や経済活動において情報通信を導入し、あるいは積極的に利活用することにより、環境負荷の大幅な低減が可能となる活動を取り上げ、その環境負荷低減効果を定量的に評価するため、8年10月から「経済活動の電子化による環境負荷低減効果に関する調査研究会」を開催してきたが、9年4月、最終報告を取りまとめた。
     この報告では、情報通信により国民生活や経済活動のスタイルが変革された社会の一例として「生産・流通・消費が情報化され、物流構造が効率化された社会」を取り上げ、情報通信の活用による環境負荷低減効果を定量的に評価するとともに、今後の検討課題、環境負荷低減効果のある情報通信システムの普及促進について提言を行っている。

    イ 電気通信審議会の地球温暖化問題に関する中間とりまとめ
     郵政省では、情報通信を活用した地球環境問題への対応や今後の情報通信活用の方向性について、9年9月、電気通信審議会に対し諮問を行い、9年11月、地球温暖化問題に関する中間とりまとめを行った。中間とりまとめでは、CO##DW2##排出削減効果の期待できる情報通信システムの普及の推進、情報通信産業における自主的計画策定の支援、情報通信機器の省エネルギー対策及びネットワークの高機能化の推進、情報通信を活用した地球環境に関する啓もう・教育の推進、等が必要であるとしている。なお、最終答申は10年5月ごろを予定している。

    (2) 環境にやさしい郵政行政の推進

    ア テレワークの推進
     郵政省では、9年10月から国家公務員としては他省庁に先駆け、情報通信を活用して自宅(ホームオフィス)やその周辺のオフィス(テレワークセンター)で勤務するテレワークを試行実施している。テレワークセンターは横浜市(神奈川県)と立川市(東京都)に設置し、11年3月までの試行実施期間中交代で約170名の職員が、また、ホームオフィスで2名の職員がテレワークを行うこととしている(写真参照)。
     試行により、業務能率の向上の度合い、肉体的、精神的疲労軽減度合いの変化、余暇時間の活用等について調査し、テレワークの有用性や課題等を見極めることとしている。
     また、テレワーク推進のための国民運動として、5月27日と11月21日に「テレワークDAY」を実施したところである。

    イ 地球環境保全に資する国際情報通信ネットワーク化の推進
     通信総合研究所では、電磁波等を用いた地球環境の遠隔計測技術(リモートセンシング技術)に関する研究開発を国際的な連携を図りつつ実施し、地球環境の変動メカニズムの解明を図っている。
     10年度からは各国・各地域に設置された観測装置・研究施設を結ぶ地球環境国際情報ネットワークの構築について研究開発を実施することとしている。これにより、地球環境に関するグローバルな観測・モニタリングが可能となり、オゾン層破壊、気候変動等の地球環境問題の解明を促進する(第3−2−15図参照)。


    ウ 沖縄における電波を用いた地球観測研究
     通信総合研究所沖縄電波観測所では、亜熱帯地域の上層大気及び海洋波浪の観測のためのシステムの整備・拡充を行うとともに、これを用いた環境観測技術の研究を実施している。
     また、亜熱帯総合研究所(仮称)構想との連携を図りつつ、海外の研究機関との観測データの交換、分析等の共同研究を実施するなど、地球環境科学の国際研究拠点化を図っている。




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