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2 技術小委員会報告

 1 技術的条件の約款化について                 
    +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+
 (1)|技術的条件を約款化することが必要である。|
    +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+
   ・接続条件の透明性を確保し、相互接続を推進する観点から、接続のルー
    ルにおいて、技術的条件が明確にされ、公開されることが必要であり、
    技術的条件の約款化が必要である。
   ・これにより、
    ・他事業者が自ら接続の技術的な検討を行うことを容易にすること
    ・接続に要する期間を短縮すること
    が可能である。

    +−−−−−−−−−−−−−−−−+
 (2)|更新・追加の手続きが必要である。|
    +−−−−−−−−−−−−−−−−+
   ・技術進歩、機能・サービスの追加に迅速に対応することが必要であり、
    特定事業者自らが定期的な見直しを行うなど、更新・追加の手続きが必
    要である。

    +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+
 (3)|他事業者の意見を反映させる手続きが必要である。|
    +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+
   ・特定事業者からの一方的な条件の設定でなく、透明性が確保され、公正
    中立な条件となるよう、利害関係者である他事業者の意見を反映させ、
    かつ、迅速な処理が確保される手続きが必要である。

    +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+
 (4)|特定事業者への約款作成の義務化が必要である。|
    +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+
   ・特定事業者の意志に基づく約款の策定だけではなく、必要な接続につい
    て約款が策定されることが必要であり、約款の策定を義務化することが
    必要である。
 2 約款で定めるべき技術的条件                 
 (1)基本的考え方
   +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+
   |・接続において必要となる技術的条件が明確にされていることが必要で|
   | ある。                            |
   +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+
  (理由)
  ・約款において接続条件を明確にし、透明性を確保するとともに、他事業者
   が技術的検討を可能とするためには、例えば、事業者間で取り決めがされ
   ている接続方式仕様書レベルの内容までが明確にされるなど、接続におい
   て必要となる技術的条件が明確にされている必要がある。

 (2)範囲(どういう事項をどこまで詳細に規定するか)
   1.定める事項
    ・接続において必要となる技術的条件の事項としては、例えば、長距離
     系事業者との間では、接続方式仕様書に規定されている、基本規定、
     接続形態、接続対象範囲、番号方式、網構成、信号方式、接続シーケ
     ンス、課金方式、試験方式があり、この他、物理的・電気的条件等に
     関する事項が考えられる。
    ・これらの事項については、いずれも接続を実現するために必要な事項
     であることから、約款において規定されることが必要であると考えら
     れる。

   2.定める詳細度
    ・約款で定める技術的条件の詳細度については、以下の2つの考え方が
     事業者のヒアリング等から出されている。
      a:接続に必要な技術的条件を全て約款に規定する。
      b:基本的内容を約款に規定し、その他の内容は別資料に規定し公
        開する。(別資料は約款対象外)
    ・上記の2つの考え方の特徴等は以下の通りと考えられる。
      a:・接続に必要な技術的条件の全てが約款の中で明確になる。
        ・接続に必要な技術的条件全体に他事業者の意見を反映可能で
         ある。(そのための一定の期間は必要である。)
        ・特定事業者が一方的に技術的条件を策定、改正することは不
         可能である。
        ・技術的条件全体が約款に規定されるので、技術的条件の変更
        ・追加の場合には約款の改正が必要となり、そのための期間が
         必要となる。
      b:・接続に必要な技術的条件が約款と別資料で明確になる。
        ・技術的条件全体に他事業者の意見を反映することを制度的に
         保証できない。
        ・別資料については、特定事業者が一方的にその内容を決定・
         変更することを制度的に防止できない。

    ・a案においては、全ての技術的条件の変更・追加について約款の改正
     が必要となることから迅速性に問題が生ずる可能性があるとの指摘も
     ある。
    ・b案においては、基本的内容以外の技術的条件が、約款の対象外とな
     ることから、特定事業者がその内容を一方的に決定しうることがある
     等の問題があると思われる。

    ・以上の点を踏まえ、公正中立性・透明性の確保の観点から、接続に必
     要となる全ての技術的条件を約款に規定するa案が望ましい。
    ・a案において問題と指摘されている約款の改正に際しての迅速性の確
     保については、公正中立性・透明性が確保される範囲において、徒に
     長期間を要することがないよう、迅速な手続きとすることが必要であ
     る。なお、番号方式のような他の法令に基づき規定される約款記載事
     項の変更等については、届け出による等とすることが適当である。
 3 網構成設備・機能の細分化(アンバンドル)           
 (1)基本的考え方
   +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+
   |・技術的に可能かつ合理的なコストの範囲で、他事業者がサービス提供|
   | 上必要となる設備、機能を取捨選択できるように細分化がなされてい|
   | ることが必要である。                     |
   +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+

  (理由)
  ・「技術的に可能」については、その時点において技術的に可能なものにつ
   いてアンバンドル化することは、競争の促進及び相互接続の推進の観点か
   ら要件として適当である。特定事業者が技術的に実現不可能であることを
   一定期間内に示せない場合には、「技術的に可能」であるとみなすことが
   妥当である。

  (参考)「技術的に不可能」であることの立証に関する欧米の規定
   +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+
   |【英国】                          |
   | BTの標準相互接続協定書において、接続を要求された事業者が|
   |受け入れ可能か否かを回答すべき旨、及びその具体的な回答期限が|
   |規定されている。(パラグラフ8.8)            |
   | 接続を要求された事業者は、要求条件を受け入れるか否かを要求|
   |条件を記した文書の受領に対する受領通知の日から60日以内に、|
   |要求する者に対して文書で回答しなければならない。(パラグラフ|
   |8.8.1)                        |
   | また、要求された事業者が実施義務を受け入れる場合、受領通知|
   |の日から75日以内に要求する者との間で合意するよう努力しなけ|
   |ればならない。(パラグラフ8.8.2)           |
   |                              |
   |【米国】                          |
   | 1996年米国電気通信法では、交渉、仲裁及び協定の承認手続|
   |きの中で、既存地域電話会社が交渉要請を受け取った日の後135|
   |日目から160日目までの期間中に仲裁を申し立てることができる|
   |こと(第252条(b)(1))及び仲裁は既存地域電話会社が相|
   |互接続の要請を受け取った日から9か月以内に終結しなければなら|
   |ないこと(第252条(b)(4)(C))が規定されている。 |
   | FCCルールの中で、既存地域電話会社が他事業者の要求を拒否|
   |する場合には、既存地域電話会社が実現不可能であることを示さな|
   |ければならない旨を規定している。(§51.5,§51.305|
   |(e)及び§51.315(f))              |
   +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+

    ・「合理的なコストの範囲」については、他事業者がサービスを行う上
    で多大なコストが必要となる場合には、円滑なサービスの提供が阻害さ
    れるおそれがあることから要件として必要である。
    ・「他事業者がサービス提供上必要」については、アンバンドル化は、
    他事業者がそれを利用してサービスを提供するために行うものであるこ
    とから要件として必要である。

 (2)アンバンドル化の方法
   ・アンバンドル化については、当初から全てのアンバンドル化すべき要素
    を列挙して規定することには、無理があり、現実的でもないと考えられ
    る。
   ・アンバンドル化は、他事業者が提供したいサービスを実現するためのも
    のであることから、他事業者の要望によることを基本とすることが望ま
    しいと考えられる。
   ・これにより、技術やサービスの進展に対応して、他事業者の要望に応じ
    て柔軟な対応が可能となるようなアンバンドル化が進んでいくことにな
    ると考えられる。
   ・なお、既に実現されているシステムについては、実状を踏まえて、当初
    から約款において、アンバンドル化された条件で規定されることが必要
    である。

   ・ヒアリングにおいて、アンバンドル化の方法の例として、1.サービス
    毎のアンバンドル、2.網構成設備毎のアンバンドル及び3.機能毎の
    アンバンドルという3つの考え方が示されている。
   ・他事業者が利用することができない場合にサービスの提供が阻害される
    おそれのあるものについては、他事業者がサービス提供上必要であると
    の観点から、最低限のアンバンドルとして規定される必要がある。この
    場合、接続の分界点において技術的に明確に区別することが可能である
    網構成設備毎のアンバンドルが基本となると考えられる。
   ・例えば、ヒアリングにおいては、当面は次の要素を最低限のアンバンド
    ルとして規定することが必要であると考えられている。
    1.加入者側終端装置(加入者側に設置される加入者回線の終端装置)
    2.加入者回線(加入者交換機と加入者側終端装置間の伝送路)
    3.加入者交換機
    4.中継交換機
    5.市内伝送設備(加入者交換機同士を接続する伝送設備)
    6.中継伝送設備(加入者交換機と中継交換機を接続する伝送設備)
    7.信号網

     ・また、最低限のアンバンドルの他、技術、サービスの進展に伴う柔
      軟な対応を可能とするため、他事業者が要望し、「技術的に可能」
      であり、事業者間で合意されたアンバンドルも約款化することが適
      当である。
     ・なお、最低限のアンバンドルについては、前述の網構成設備毎のア
      ンバンドルはもとより、機能等によるアンバンドルであっても、技
      術やサービスの進展に応じ、最低限のアンバンドルとすることが適
      当であると認められるものは、これを追加することが妥当であると
      考えられる。

   (参考)米国におけるアンバンドル要素
   +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+
   |・アンバンドル化すべき最小限のネットワーク構成要素として、次の7|
   |項目を特定している。                      |
   | 1.加入者側ネットワーク・インタフェース装置         |
   | 2.加入者回線                        |
   | 3.市内・中継交換機                     |
   | 4.局間伝送設備                       |
   | 5.信号網・通話関連データベース               |
   | 6.運用支援システム機能                   |
   | 7.オペレータサービス・番号案内               |
   +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+

 4 技術的条件と標準の関係                   
(1)基本的考え方
   +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+
   |・できるだけ多くの事業者が共通に利用可能な技術的条件であることが|
   | 望ましい。                          |
   +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+
  (理由)
  ・相互接続の推進の観点から、できるだけ多くの接続を希望する事業者が、
   約款に規定された技術的条件で相互接続を実現できることが望ましい。

  ・例えば、基本的考え方に沿った対応として、以下の2つが考えられる。

  1.ITU勧告、TTC標準等が存在する場合には、それらに準拠すること
   が望ましい。
  (理由)
  ・標準に準拠することは、
    ・事業者間の公平性の確保
    ・仕様の統一による機器コストの低廉化
   の効果があると考えられる。
  ・しかし、ITU勧告、TTC標準等に準拠することのみで技術的条件が決
   定される性格のものではなく、相互接続の実現のためには標準レベルより
   もさらに広範囲かつ詳細なレベル(例えば、接続方式仕様書)までの規定
   が必要となり、標準のみでカバーできるものではないことを認識しておく
   ことが必要である。

  2.ITU勧告等に準拠しない又はこれらが存在しない既存の網内インタフ
   ェース及び最新の技術の約款化も、許容されることが望ましい。
  (理由)
  ・標準化をするためには一定の期間が必要となるため、標準化を待たずに接
   続の迅速化を図ることが望ましい場合がある。
  ・例えば、既存の網内インタフェースが存在する場合には、そのインタフェ
   ースで接続することにより、接続の迅速化が図られると考えられる。
  ・また、技術の進歩による新しい技術の出現に対応して、その技術で接続す
   ることにより、新規サービスの早期提供が図られると考えられる。

 5 番号ポータビリティの実現方式                
(1)基本的考え方
   +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+
   |・できるだけ多くの事業者間で合意された方式を実現することが望まし|
   | い。                             |
   +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+
  (理由)
  ・相互接続の推進の観点から、できるだけ多くの事業者の間で合意された方
   式により、相互接続を実現できることが望ましい。

(2)実現方式
  ・番号ポータビリティの実現方式については、いくつかの方式が考えられて
   いるが、以下の2つの観点からの整理が考えられる。

  観点1:移転先情報データベースの配置
   (1)交換機とは独立にデータベースを持つ方式
      この場合には、どの段階でデータベースにアクセスするかによって、
     さらに以下のように区分される。
     1.発信交換機において、データベースにアクセスする方法
     2.通話経路の途中の交換機(例えば、着信交換機の1段階手前の交
      換機(N−1交換機))において、データベースにアクセスする方法
     3.番号ポータビリティにより移転した番号が収容されていた元の着
      信交換機において、データベースにアクセスする方法
   (2)各交換機が移転先情報を持つ方式
      番号ポータビリティにより移転した番号が収容されていた元の着信
     交換機からのみ移転先情報を参照する方法

  観点2:回線の設定
   (1)転送方式
      移転先交換機にそのまま回線を延長する方法
   (2)最適ルーチング方式
      発信交換機に近い交換機にさかのぼって移転先交換機への回線を設
     定し直す方法

   ・個々の方式については、現時点での技術的レベルで実現可能である。

(3)実現に向けての検討事項
  ・番号ポータビリティ実現のための方式は、効率的に番号ポータビリティを
   実現するものである必要があり、そのための要件を検討する必要があると
   考えられる。例えば、番号ポータビリティを導入するに当たって、以下の
   要件が考えられる。

   1.番号ポータビリティの導入に際して、既存の網サービス、機能、能力
    を従来どおり提供すること。
   2.番号資源の効率的利用を図ること。
   3.番号ポータビリティの導入に際して、事業者が提供するサービス品質、
    ネットワークの信頼性について、不合理な低下をきたさないこと。
   4.番号ポータビリティの提供を受けている利用者とそれ以外の利用者と
    の間で、サービス品質、ネットワークの信頼性について、不合理な差が
    生じないこと。

  ・具体的な実現方式については、2年間を目途として、関係事業者等を含め
   て検討を行うことが適当である。

  (参考)米国におけるデータベース方式が満足すべき要件
 +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+
 |(1)ポータビリティの導入に際して既存の網サービス、機能、能力をサ|
 | ポートすること                         |
 |(2)番号資源の効率的利用                    |
 |(3)エンドユーザに番号変更を求めない              |
 |(4)データベース等について、他の電気通信事業者の設備に依存しない|
 | こと                              |
 |(5)ポータビリティの導入に際してサービス品質、ネットワークの信頼|
 | 性について不合理な低下をきたさないこと             |
 |(6)事業者の変更に際してサービス品質、ネットワークの信頼性が低下|
 | しないこと                           |
 |(7)事業者に所有権的な権利をもたらすことにならないこと     |
 |(8)ロケーションポータビリティ及びサービスポータビリティに移行可|
 | 能であること                          |
 |(9)他の地域に重大な悪影響を与えないこと            |
 +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+

  ・実現方式の決定に当たっては、以下の点を含め、総合的な観点からの検討
   が必要であると思われる。
   − 利用者のニーズ
   − 多数の事業者による番号ポータビリティの提供
   − 将来のサービスポータビリティ及びロケーションポータビリティの導入
   − コスト・実現時期
   − サービス品質
   − 番号の有効利用

  (参考)欧米における状況
 +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+
 |・番号ポータビリティの具体的な実現方法について、採用するべき特定|
 | の技術を規定せず、事業者間で協議の上、決定することとしている。|
 |・また、番号ポータビリティの運用に向け、技術面、運用面及び制度面|
 | からの問題点を明確化するためのテストが行われている。     |
 +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+

 6 実装可能な技術仕様の策定・公開               
  ・今後より一層円滑な相互接続を推進していくためには、国際的な動向も踏
   まえ、事業者、メーカー等の関係者が協議を行い、実装可能な技術仕様
   (それにより製品化することが可能となるような詳細な技術仕様)を策定、
   公開し、円滑な利用を可能とする体制を確立すべきである。

  (参考)英米における実装可能な技術仕様に関する取り組み
 +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+
 | 英米では、標準の規定よりも詳細な技術仕様が策定、公開されている。|
 |ベンダーはこの技術仕様に基づき、製品を製造することができる。   |
 |                                 |
 |【英国】                             |
 | 1991年の白書「競争と選択:1990年代の電気通信政策」におい|
 |て、競争の促進のために、事業者、メーカー及びユーザーにより標準及び|
 |関連する技術的事項を検討する諮問フォーラムの設立に向けて政府が援助|
 |するよう指摘がなされた。これを受けて、通信産業界の自主的な協議のた|
 |めの機関としてネットワーク相互接続諮問委員会(NICC:Network  |
 |Interoperability Consultative Committee)が設立され、実装可能な|
 |技術仕様の策定、公開を行っている。                |
 |                                 |
 |【米国】                             |
 | 1984年のAT&T分割以来、ベルコアが技術仕様を策定、公開して|
 |いる。これが、米国における実装可能な技術仕様として、多くの事業者、|
 |ベンダーの間で広く使用されている。                |
 +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+







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