「平成10年度 電気通信番号に関する研究会」報告書概要
1 1XY番号の有効利用方策について
1XY番号は桁数が短くダイヤルが簡単であり、また、1から始まるので特殊な
サービスを想起しやすいという特徴がある。 一方、この番号は個数が100個しか
ない限られた資源であること、3桁程度で100個程度の番号を確保できる代替可
能な番号空間がないことが制約である。近年、新たな1XY番号の利用の進展によ
って、次に図示するように使用されていない番号の数が急速に少なくなっている。
このような状況を踏まえ、1XY番号が将来にわたって発生する番号利用ニーズ
に的確に対応可能となるように、その有効利用方策について検討を行った。
(1)1XY番号の有効利用の観点から適当と考えられる用途
1XY番号を利用する必要性が相対的に高い用途(優先度の高いもの)とそれ以
外のものとに分類し、優先度の高いものをA分類、それに準じるものをB分類とす
る。具体的な用途は次のとおりとする。
A分類の用途
(1)緊急性、公共性、安全性の観点から重要な用途
(例)・ 緊急通報(警察・消防)
・ 災害対応(災害伝言ダイヤル)
・ プライバシー保護対応(発信番号通知、発信番号非通知)
(2)基本的な電気通信サービスの利用に当たって容易な認識が必要となる用途
(例)番号案内、故障受付
(3)既に3桁の統一番号として広く認識がなされている用途
(例)天気予報、時報、電報受付
(4)事業者共通のプレフィックスとしての用途
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B分類の用途
○は利用可、×は利用不可
(注1)他の事業者が1XY番号による処理を行っている場合に、当該処理を
行うオペレータまたは設備に接続して役務を提供することが許容される
ならば、同一の1XY番号により処理を行うことを可能とする。
(注2)営業・料金案内については、従来より利用者利便確保のため短桁で使
用されており、当面使用可とする。
(注3)接続先が固定的ではなく、1XYだけのダイヤルにより呼接続が行わ
れるものを含む。
(注4)蓄積時に1XYの後に端末系伝送路設備を示す番号等の長桁の番号を
指定する場合に限る。なお、着信者に向け蓄積された情報をその着信者
が再生する時には0A〜J等の番号のダイヤルを省略できることとする。
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B分類の用途の例
1)オペレータを介した呼接続
(例)コレクトコール
2)呼接続に関する付加的な処理
(例)(直前に接続要求のあった発信者に対する)呼び返し
3)特定者向け情報の蓄積・再生
(例)ボイスメール
4)サービス条件の設定
(例)転送機能の開始・停止
(2)利用のための基本的な方針
A分類については、広範囲の利用者により容易に認識できる必要があることから、
1XY番号の3桁を事業者間で統一して使用する。一方、B分類については、3桁
目までを番号ごとに大枠で用途設定した上で、4桁化等によりできるだけ番号空間
を拡大して使用することとし、4桁目以降は事業者の創意工夫で使用する。
(3)1XY番号の利用指針
以上の基本的な考え方をもとに「電気通信の高度化のための番号の在り方に関す
る研究会報告書(平成7年5月)」の利用指針(同報告書の改訂手続きに従って7
回改訂されている)を見直して新たな利用指針を策定し、個々の番号ごとに利用方
法を設定した。
新たな利用指針においては、分類ごとの番号数はA分類が13個、B分類が40
個で、保留が47個となる。今後B分類については、大枠での用途設定、4桁化等
により、番号の効率的な利用が図られ、使用番号数の拡大が抑えられる。これによ
り、事業者間で統一して利用するA分類の用途について当分の間は充分な番号を確
保できることとなる。
1XY番号の空き番号数の推移は次のようになると考えられる。
2 優先接続の導入に対応した新たな番号利用について
2−1 国際通話に優先接続を導入する場合に必要な国際プレフィックス及びダイ
ヤル手順
「優先接続に関する研究会」において国際通話についても国内と同様、優先接続
を導入することが適当であるとされたことを受け、国際通話に優先接続を導入する
場合に必要となる国際プレフィックス及びダイヤル手順について検討を行った。
(1)国際通話に優先接続を導入する場合のダイヤル手順
国際通話に優先接続を導入する場合のダイヤル手順は、国際的な整合性を確保す
る観点から、次のとおりとなる。
○優先登録を行った事業者を選択してダイヤルする場合
「国際プレフィックス+相手国国番号+相手国国内番号」
○事業者を指定してダイヤルする場合
「事業者識別番号+国際プレフィックス+相手国国番号+相手国国内番号」
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(2)新たなダイヤル手順の導入方法
「優先接続に関する研究会」報告書において、国際通話についても国内通話と同
様に優先接続を導入することが適当であり、その導入時期は国内通話と同じ様に2
000年度中(2001年春)を目途とすることが適当であるとされている。この
ため、アダプタに影響を及ぼすような事業者識別番号の変更が必要とならない次の
方法により、新たなダイヤル手順を導入することが適当である。
国際プレフィックスを0から始まる3桁とする(注1)。ネットワークの改修
等に必要な準備期間の経過後、優先接続を導入する。その際、 PBX等の宅内
機器の改修等のために一定期間(注2)現行ダイヤルの「00XY+国番号」と
の併行運用を実施する。
0AB:国際プレフィックス、CC:国番号
(注1)国際プレフィックスはできるだけ短い桁数とすることが適当であること
から、「00」又は0から始まる3桁が考えられるが、「00」は事業者
識別番号「00XY」の変更を必要とするため、アダプタに影響を及ぼす。
(注2)「優先接続に関する研究会」報告書においては、「少なくとも2〜3年
程度の併存期間が確保されることが望ましいと考えられる。」としてい
る。また、「併存期間満了予定前の6か月の時点で国際区分における優先
登録の定着度合や普及状況等を踏まえて必要があれば1年間併存期間を延
長(再延長もあり、原則として5年まで)することが適当である。」とし
ている。
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(3)国際プレフィックス
0から始まる3桁の番号のうち、現在及び近い将来において利用者への影響が大
きいと考えられる番号を除いた「000」、「010」、「0A0(A=3、4、
5、8)」及び「0A1(A=2、3、4、5、6、7、8)」が国際プレフィッ
クスの候補となるが、ネットワークの改修規模、PBXを含む端末への影響、アダ
プタへの影響の観点からはどの候補も大差ない。
一方、誤ダイヤルの可能性の観点からは、「000」は0が連続するためその可
能性が高い。また、利用者から見たわかりやすさの観点からは、0及び1から構成
される「010」が格段にわかりやすく、「0A1(A=2、3、4、5、6、7、
8)」は「0+市外局番+市内局番+加入者番号」の最初の3桁と混同しやすく、
「0A0(A=3、4、5、8)」は「010」より相対的に移動系サービスと混
同しやすい。
以上より、
「010」が国際プレフィックスとして最も適当な番号であると考えられる。
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2−2 固定優先接続を解除する番号及びダイヤル手順
「優先接続に関する研究会」報告書において、「固定優先接続を選択した利用者が
登録事業者以外の事業者に接続したい場合には、通話ごとに「1XY」+事業者識
別番号をダイヤルすれば、その事業者に接続される。」とされ、固定優先接続の解
除を通話ごとのダイヤルにより可能とすべき旨提言されていることを受け、その具
体的な番号及びダイヤル手順について検討を行った。
(1)固定優先接続を解除する番号
固定優先接続の解除のための1XY番号は、当初は地域NTTが使用する予定で
あるが、携帯電話やPHS事業者、NTT以外の地域固定電話事業者等の地域網事
業者においても将来利用する可能性がある。したがって、事業者共通に利用できる
1XY番号として設定する。
具体的な番号としては、固定優先接続の解除という新たな機能を利用することに
なることから、できるだけ利用者に混乱を生じさせないような、覚えやすい1XY
番号を設定することが必要であると考えられる。また、この1XY番号は、発信番
号非通知「184」、発信番号通知「186」と同時に使用する場合があることか
ら、これらとともにダイヤルする際の混乱を避けるため、これらの番号とはできる
だけ離れた番号を設定することが望ましいと考えられる。したがって、1XY番号
の若い方の番号で、現在利用されていない「122」を利用することが適当と考え
られる。
固定優先接続を解除する1XY番号として「122」が適当と考えられる。
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(2)固定優先接続を解除するためのダイヤル手順
固定優先接続を解除するためのダイヤル手順は次のとおりである。
122(SDT※なし、ガイダンスなし)+事業者識別番号+相手先番号
(国内通信の場合)
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発信番号非通知の「184」または発信番号通知の「186」と、固定優先接続
の解除の「122」を同時に使用する場合のダイヤル手順は次のとおりとすること
が適当である。
184(または186) +122(SDT※なし、ガイダンスなし)
+事業者識別番号+相手先番号 (国内通信の場合)
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※ SDT:セカンド・ダイヤル・トーン