国会議員関係政治団体には、支出に関し、
といった特別な義務が課されています。
これらの特別な義務は、1号団体に該当する政治団体は「1号団体に該当した日」の支出から、2号団体に該当する政治団体は「2号団体に該当する旨の届出をした日」の支出から適用され(法第19条の12)、多くの資金管理団体のように1号団体と2号団体の両方に該当する政治団体は「1号団体に該当した日」の支出から適用されます。
また、国会議員関係政治団体は、収支報告書を提出するときは、あらかじめ、登録政治資金監査人の政治資金監査を受け、その結果に基づき作成された政治資金監査報告書を収支報告書と併せて提出しなければならないこととされています(法第19条の13、第19条の14)。
なお、国会議員関係政治団体の収支報告書の提出期限は、原則として5月末までとされています(法第19条の10)。
1号団体に該当する政治団体は、すべての支出に係る領収書等の徴収・保存義務、人件費以外の経費で1件1万円超の支出に関する収支報告書への明細の記載義務等は、「1号団体に該当した日(国会議員に係る公職の候補者が当該政治団体の代表者となった日等)」の支出から適用され、「1号団体に該当しなくなった日(国会議員に係る公職の候補者が当該政治団体の代表者でなくなった日等)」の支出から適用されなくなります。
なお、多くの資金管理団体のように1号団体と2号団体の両方に該当する政治団体に係るこれらの義務も、「1号団体に該当した日(国会議員に係る公職の候補者が当該政治団体の代表者となった日等)」の支出から適用されます。
2号団体に該当する政治団体は、すべての支出に係る領収書等の徴収・保存義務、人件費以外の経費で1件1万円超の支出に関する収支報告書への明細の記載義務等は、「2号団体に該当する旨の届出をした日」の支出から適用され(法第19条の12)、「2号団体に該当しなくなった日」の支出から適用されなくなります。
この場合の「2号団体に該当しなくなった日」とは、例えば、
国会議員関係政治団体の会計責任者は、収支報告書を提出する際には、あらかじめ、登録政治資金監査人の政治資金監査を受けることとされています(法第19条の13)。
このため、国会議員関係政治団体に限り、収支報告書の提出期限が原則として5月末までとされています。なお、これに伴い、収支報告書の要旨公表の期限も、これまでより2ヶ月遅い11月末までとされています。
国会議員関係政治団体以外の政治団体の収支報告書の提出期限は、従前どおり、原則として3月末までですので、留意して下さい。
国会議員関係政治団体の会計責任者は、平成22年1月以降、収支報告書等の提出については、電子申請により行うよう努めるものとされています(法第19条の15)。
これを受け、総務省では、平成22年1月より、すべての政治団体が電子申請により収支報告書等を提出することができるよう電子申請の窓口を開設しました。
また、収支報告書の明細の記載基準の引き下げ等に伴う政治団体の事務負担を軽減するため、会計帳簿と連動して自動的に収支報告書を作成でき、かつ、電子申請で提出する収支報告書データを作成することができるソフトウェアも提供しています(政治資金関係申請・届出オンラインシステムからダウンロードできます)。
すべての支出に係る領収書等の徴収義務及び人件費以外の経費で1件1万円超の支出に関する収支報告書への明細の記載義務は、基本的には、国会議員関係政治団体である間に行った支出についてのみ課せられます(法第19条の9、第19条の10)。
したがって、年の途中で国会議員関係政治団体でなくなった場合には、すべての支出に係る領収書等の徴収義務は国会議員関係政治団体でなくなった日から課せられなくなり、その日からは、国会議員関係政治団体以外の政治団体として、1件5万円以上の支出について領収書等を徴収すれば足りることとなります。
また、人件費以外の経費で1件1万円超の支出に関する収支報告書への明細の記載についても、国会議員関係政治団体であった日までの支出に関しては必要ですが、国会議員関係政治団体でなくなった日以後の支出については、政治活動費で1件5万円以上の支出(国会議員関係政治団体には該当しない資金管理団体となった場合には、人件費以外の経費で1件5万円以上の支出)に関して明細を記載すれば足りることとなります。
逆に、年の途中で国会議員関係政治団体になった場合には、基本的には、国会議員関係政治団体になった日以後、すべての支出に係る領収書等を徴収・保存し、その日以後の支出については、人件費以外の経費で1件1万円超の支出に関しその明細を収支報告書に記載しなければなりません。
ただし、2号団体については、2号団体となった日からではなく、2号団体である旨の届出をした日からこれらの特別な義務が発生することとなります(法第19条の12)。
2号団体については、推薦し、又は支持する公職の候補者が国会議員に係る公職の候補者であるか否かが本人の内心の意思に係る場合があります。また、当該公職の候補者は当該政治団体の代表者等の構成員ではないため、政治団体側において自らが2号団体に該当しているのか否かを明確に認識できないようなケースも考えられます。このため、2号団体に該当することを自ら明確に認識できる届出の日からこれらの義務が発生するものとすることが適当なのです。
収支報告書を提出する際に、あらかじめ、登録政治資金監査人による政治資金監査を受ける必要がある会計責任者は、次のとおりです(法第19条の13第1項)。
なお、年の途中で国会議員関係政治団体でなくなった場合や、逆に、年の途中で国会議員関係政治団体となった場合でも、国会議員関係政治団体であった期間に行った支出だけでなく、国会議員関係政治団体でなかった期間に行った支出も含め、その年に行った支出全体が、登録政治資金監査人による政治資金監査の対象となります。
国会議員関係政治団体は、すべての支出に係る領収書等を徴収・保存したうえで、収支報告書に、人件費以外の経費で1件1万円超の支出に関し、明細を記載するとともに、領収書等の写しを添付することとされています。また、収支報告書の提出に際しては、あらかじめ、登録政治資金監査人による政治資金監査を受けるとともに、その結果作成される政治資金監査報告書を併せて提出しなければならないこととされています(法第19条の9、第19条の10、第19条の13第1項・第3項、第19条の14)。
問いのような場合、国会議員を辞職してA県知事の候補者となった日を境に、当該資金管理団体は、国会議員関係政治団体からそれ以外の政治団体に異動したこととなりますので、A県知事の候補者となった日(=異動日)の前日までは、国会議員関係政治団体として、すべての支出に係る領収書等を徴収・保存し、その日までの支出については、人件費以外の経費で1件1万円超の支出に関し収支報告書に明細を記載することとなります。
また、異動日以後は、国会議員関係政治団体に該当しない資金管理団体として、1件5万円以上の支出に係る領収書等を徴 収・保存し、その日以後の支出については、人件費以外の経費で1件5万円以上の支出に関し収支報告書に明細を記載することとなります(法第19条の5の2)。
なお、年の途中で国会議員関係政治団体からそれ以外の政治団体に異動し、その年の12月31日現在では国会議員関係政治団体ではない場合であっても、その年分の収支報告書を提出する際には、あらかじめ、登録政治資金監査人による政治資金監査を受け、その結果作成される政治資金監査報告書を併せて提出しなければなりません(法第19条の10、第19条の13、第19条の14)。
国会議員関係政治団体に該当する団体が故意に届出をしなかった場合については、法第6条第1項又は第7条第1項に基づく届出義務には違反しているものの、このことに対する罰則はありません。
しかし、国会議員関係政治団体には、すべての支出に係る領収書等の徴収・保存義務(法第19条の9、第16条第1項)、人件費以外の経費で1件1万円超の支出に関する収支報告書への明細の記載義務及び領収書等の写しの添付義務(法第19条の10)などの特別な義務が課されており、1号団体については、1号団体に該当した日からこれらの義務が発生することとなりますので、故意又は重大な過失により、従来通りの基準で領収書等の徴収や収支報告書の記載を行っていた場合には、領収書等の徴収・保存義務違反や収支報告書の記載義務違反となり、罰則の対象となります(法第24条、第25条、第27条第2項)。
2号団体については、1号団体とは異なり、2号団体に該当する旨の届出をした日からこれらの義務が発生することとされており(法第19条の12)、2号団体に該当する旨の届出がされなければこれらの義務は発生していないため、基本的には、従来通りの基準で領収書等の徴収や収支報告書の記載を行っていたとしても、法律上の義務違反の問題は生じないと解されます。
しかしながら、仮に、政治団体が国会議員から通知を受けて2号団体に該当することとなったにも関わらず、故意に届出をせず、従来どおりの基準で領収書等の徴収や収支報告書の記載を行っていた場合には、その是非の判断は、当該政治団体の収支報告書の公開等を通じた国民の監視と批判に委ねられるものです。
また、多くの資金管理団体のように1号団体と2号団体の両方に該当する政治団体についても、1号団体に該当した日からこれらの義務が発生することとなりますので、故意又は重大な過失により、従来通りの基準で領収書等の徴収や収支報告書の記載を行っていた場合には、罰則の対象となります。
何人も、国会議員関係政治団体について、収支報告書の要旨の公表日から3年間、人件費以外の経費で1件1万円以下の支出に係る領収書等の写し(少額領収書等の写し)について、総務大臣又は都道府県選管に対して開示請求することができます(法第19条の16第1項)。
開示手続きについては、おおむね以下のとおりです。
この制度は、平成21年収支報告書の要旨公表日(平成22年11月末日が公表期限)から運用が開始されます。
I.登録政治資金監査人による政治資金監査を受ける場合
国会議員関係政治団体の会計責任者は、当該国会議員関係政治団体が行ったすべての支出のうち領収書等を徴し難い事情があったものについて、政治資金監査を受けるまでの間に、領収書等を徴し難かった支出の明細書又は振込明細書に係る支出目的書を作成する必要があります(法第19条の11第1項)。
II.収支報告書に併せて提出する場合
収支報告書を提出する場合には、国会議員関係政治団体の会計責任者は、人件費以外の経費で1件1万円を超える支出のうち領収書等を徴し難い事情があったものについて、領収書等を徴し難かった支出の明細書又は振込明細書に係る支出目的書を併せて提出する必要があります(法第19条の10第1項による読替後の法第12条第2項)。
III.少額領収書等の写しの提出命令があった場合
少額領収書等の写しの提出命令があった場合には、国会議員関係政治団体の会計責任者は、人件費以外の経費で1件1万円以下の支出のうち提出命令の対象となっているものに係る領収書等を徴し難い事情があったものについて、領収書等を徴し難かった支出の明細書又は振込明細書に係る支出目的書を提出する必要があります(法第19条の16第1項、第6項)。
なお、年の途中で国会議員関係政治団体でなくなった場合など、国会議員関係政治団体でなかった期間に行った支出については、政治資金監査を受けるまでの間に、政治活動費で1件5万円以上の支出(国会議員関係政治団体には該当しない資金管理団体であった場合には、人件費以外の経費で1件5万円以上の支出)のうち領収書等を徴し難い事情があったものについて、領収書等を徴し難かった支出の明細書又は振込明細書に係る支出目的書を作成し、収支報告書に併せて提出すれば足ります。また、国会議員関係政治団体でなかった期間に行った支出については、少額領収書等の写しの開示制度の対象外となります(法第19条の16第1項)。
国会議員関係政治団体の会計責任者は、人件費以外の経費で1件1万円を超える支出のうち、領収書等を徴し難い事情があったものについて、領収書等を徴し難かった支出の明細書又は振込明細書に係る支出目的書を収支報告書に併せて提出する必要があります(法第19条の10による読替後の法第12条第2項)。
また、少額領収書等の写しの提出命令があった場合には、人件費以外の経費で1件1万円以下の支出について、領収書等を徴し難かった支出の明細書又は振込明細書に係る支出目的書を提出する必要があります(法第19条の16第1項、第6項)。
一方、国会議員関係政治団体の会計責任者は、領収書等を徴し難かった支出の明細書又は振込明細書に係る支出目的書を、収支報告書の要旨公表日から3年を経過する日まで保存しなければなりません(法第19条の11第2項による読替後の法第16条第1項)。
したがって、国会議員関係政治団体の会計責任者は、領収書等を徴し難かった支出の明細書又は振込明細書に係る支出目的書については、
をそれぞれ別葉にして1通ずつ、支出の項目ごとに分類して作成し、I.は収支報告書に併せて提出(提出後は保存義務解除)、II.は収支報告書の要旨公表日から3年を経過する日まで保存し、少額領収書の写しの提出命令があった場合には該当する項目を提出(提出後は保存義務解除)、III.は収支報告書の要旨公表日から3年を経過する日まで保存することとなります。
なお、年の途中で国会議員関係政治団体でなくなった場合など、国会議員関係政治団体でなかった期間に行った支出に係る領収書等を徴し難かった支出の明細書又は振込明細書に係る支出目的書については、保存義務が課されていないので、政治資金監査を受けるまでの間に、従来どおりの基準で1通作成すれば足ります。
国会議員関係政治団体の会計責任者は、収支報告書の提出に際しては、あらかじめ、登録政治資金監査人による政治資金監査を受けることとされていますが(法第19条の13第1項)、収支報告書に記載すべき収入及び支出がなかった年において国会議員関係政治団体であった政治団体は、政治資金監査を受ける必要はありません。
収支報告書に記載すべき収入及び支出がなかった年において国会議員関係政治団体であった政治団体とは、具体的には収支報告書に記載すべき収支が0円であり、かつ、報告すべき年の12月31日現在(解散分の収支報告書の場合は解散日現在)で国会議員関係政治団体ではない政治団体のことをいいます。
逆に、これ以外の国会議員関係政治団体については、報告すべき年の収支が0円であっても政治資金監査を受ける必要があり、会計帳簿の備え付けや保存の状況等について監査されることとなります。
解散した国会議員関係政治団体の少額領収書等の写しについては、開示請求をすることができません。
これは、解散後に転居等により会計責任者であったものが住所を移転した場合に、それを総務大臣又は都道府県選挙管理員会において把握する仕組みまでは制度上設けておらず、解散した国会議員関係政治団体に係る少額領収書等を開示請求の対象としても、提出の命令先が判明せずに、制度が機能しないようなケースが容易に想定されたためです。
また、国会議員関係政治団体が解散した場合に、少額領収書等の開示請求の対象となるか否かを判断する時点については、開示制度の仕組みのそれぞれの時点で判断することとなります。
具体的には、開示請求のあった時点では現存していたものの、提出命令を受ける前に解散した国会議員関係政治団体は、少額領収書の写しの提出義務を負わないこととなります。
一方、異動により国会議員関係政治団体ではなくなった政治団体の少額領収書等の写しについては、国会議員関係政治団体であった間に行った支出に係る少額領収書等の保存期間(要旨の公表日から3年間)は、開示請求をすることができます。
総務大臣又は都道府県選挙管理委員会の提出命令に反して、国会議員関係政治団体の会計責任者が開示請求に係る少額領収書等の写しを期間内(提出命令があった日から原則20日以内)に提出しなかった場合には、(1)当該国会議員関係政治団体の名称、(2)主たる事務所の所在地、(3)開示請求に係る少額領収書等の写しを提出しない旨が、インターネット等の方法により公表されるとともに、開示請求者に対しても通知されます(法第19条の16第16項)。
なお、提出命令を受けた会計責任者は、事務処理上の困難その他の正当な理由があるときは、提出期限の延長を求めることができます(同条第7項)。