SNSなどでは、自分の好みに偏った情報が集まりやすい傾向(けいこう)があります。ここでは代表的な二つの現象について見てみましょう。
SNSでは、好きなことや意見が似ている人同士がつながりやすくなっています。価値観(かちかん)の近い人達と簡単(かんたん)に交流できること自体は、SNSなどがもたらす大きなメリットのひとつです。
一方で、世界中とつながっているはずのSNS上で、似た価値観の意見ばかりを見聞きし続けると、私(わたし)たちはどう感じるでしょうか。
SNSを通して自分が見聞きしている意見にはもともと自分と価値観の近い人達の意見が多く含(ふく)まれている、ということを忘(わす)れて、あたかも、「世の中のほとんどの人が同じ意見を持っている」と感じるかもしれません。
このような状況(じょうきょう)は、閉(と)じた小部屋の中で声が反響(はんきょう)することによって、あらゆる方向から同じ声が聞こえてくる現象(げんしょう)に似ています。そこで、反響室(はんきょうしつ)という意味の言葉を使って「エコーチェンバー現象」といいます。
SNSやプラットフォームなどの多くは、私たちがどのようにサービスを利用しているかなどを分析・学習することによって、私たちが興味(きょうみ)のある情報を自動的に選んで表示(ひょうじ)してくれます。たくさんの情報にあふれている現代(げんだい)社会においては、このような機能(きのう)はとても便利です。
一方で、こうした機能によって「興味がないはず」と判断(はんだん)された情報は、自動的にはじかれてしまうため、実際(じっさい)に受け取れた情報がどれだけ偏ったものなのか、私たちは正確に知ることができません。
このように、自分の考え方や価値観のバブル(泡)に包まれたかのように、好みの情報に囲まれ、好みではない情報に接(せっ)しづらくなる状態(じょうたい)のことを、「フィルターバブル」といいます。
情報に振り回されないようにするには、こうした現象の存在を正しく理解した上で、自分が接する情報を見つめ直すことも大切です。