デジタルトランスフォーメーション、デジタイゼーション、デジタライゼーション

デジタル・ディスラプション(デジタルによる破壊(はかい))

たとえば今、アメリカでは町から小さな本屋さんが次々となくなっていると言われています。これはインターネットでどんな本でも簡単(かんたん)に買えるようになったことで、町の本屋さんで買う人が少なくなったためです。このようにインターネット関係のサービスを提供(ていきょう)する新たな会社が市場に入ってくることで伝統的(でんとうてき)な会社が市場から出ていかなければならなくなる事例が出てきています。このように伝統的な産業が破壊されることを、「デジタル・ディスラプション」といいます。

デジタル・トランスフォーメーション

あらゆる産業にICTInformation and Communication Technology:インフォメーション・アンド・コミュニケーション・テクノロジー:情報(じょうほう)通信技術(ぎじゅつ))が一体化していくことは、「デジタル・トランスフォーメーション」と呼(よ)ばれています。これは、スウェーデンの大学教授(きょうじゅ)のエリック・ストルターマンが提唱(ていしょう)した概念(がいねん)で、「ICTが行きわたることが人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させること」です。
デジタル・トランスフォーメーションと同様に、広い意味での「デジタル化」の範囲(はんい)に含(ふく)まれる概念として、「デジタイゼーション」と「デジタライゼーション」があります。
「デジタイゼーション」とは、会社内の特定の作業の効率化(こうりつか)のためにデジタルツールを導入(どうにゅう)することで、「デジタライゼーション」とは、自社内だけでなく外部環境(かんきょう)やビジネス戦略(せんりゃく)も含めたプロセス全体をデジタル化することという違いがあります。

デジタル化の広がり
図1:デジタル化の広がり

これまでの情報化(じょうほうか)/ICT利活用の多くは、すでに確立(かくりつ)された産業を効率化(こうりつか)したり価値(かち)を向上させたりするために使われるものでした。一方で、デジタル・トランスフォーメーションは、産業のしくみ自体を変えていきます。 銀行を例に挙げると、今までもICTを利用して、インターネット上で銀行の手続きなどができるオンラインバンキングや決済(けっさい)のシステムを構築(こうちく)してきましたが、あくまでもともとある銀行の仕組みをより便利にするためのシステムでした。
これに対して最近では、銀行から「フィンテック」と呼ばれるサービスが提供されるようになってきています。フィンテック(FinTech)とは金融(きんゆう)のファイナンス(Finance)と技術のテクノロジー(Technology)を組み合わせた造語(ぞうご)で、金融サービスとICT技術(ぎじゅつ)を結びつけたさまざまな動きを指す言葉です。たとえば、銀行に行かずに、手元のスマートフォンでお金を支(し)はらうことができる電子決済システムなどがフィンテックに当たり、デジタル・トランスフォーメーションの一例と言えます。

デジタル・トランスフォーメーションの一例(フィンテック)
図2:デジタル・トランスフォーメーションの一例(フィンテック)