ビッグデータが生む新しい価値(かち)

データはどのようにして価値を作り出すのか

これまで、人が働いたり機械が動いたりすることでモノやサービスを作り、そこに価値を生んできました。たとえば、ジャガイモ・ニンジン・タマネギなどの野菜や牛肉は、そのままではおいしく食べるのはむずかしいですが、キッチンで料理人が調理器具を使って調理することで、カレーや肉じゃがとなり、人がおいしく食べられるものになります。
これはつまり、ただの素材(そざい)であったものに人が手を加えることで、「おいしい料理」という新たな価値を生むことができるということです。また、広いキッチン、たくさんの料理人、たくさんの調理器具を用意すれば、もっと多くのカレーや肉じゃがを作れ、「おいしい料理=価値」を増(ふ)やすことができます。
ところで、料理をするためには材料や道具だけでなく、材料の分量や作業手順が書かれたレシピも必要です。「データ」の価値はこのレシピに例えられます。ICT(アイシーティー)(Information and Communication Technology:インフォメーション・アンド・コミュニケーション・テクノロジー)が社会にふきゅうした現代(げんだい)では、「ビッグデータ」や「AI(えーあい)(Artificial Intelligence:アーティフィシャル・インテリジェンス)」を使うことで、さらにデータが価値を作り出す力を高めることができます。

では、ビッグデータやAIが価値を生むというのはどういうことでしょうか。
ICTがふきゅうしたことで、多種多様・ぼう大なデジタルデータをすばやく生みだし、利用できるようになりました。この多種多様でぼう大なデジタルデータのことを「ビッグデータ」といいます。 そして、AIを使ってこのビッグデータを分せきすることで「未知の発見」をすることができます。
たとえば、NASAはAIを使ってビッグデータを分せきすることで、未知のわく星ケプラー90i(アイ)を発見しました。囲ごでは、AIが新たな定石(じょうせき)(戦略)を生み出し、トップき士もこの「AI定石」を学び、実戦で使うようになってきています。
このように、データ(レシピ)は価値(おいしい料理)を生み出すだけでなく、ビッグデータとAIによって、これまで人が思いもよらなかった「未知の発見」をすることもできるようになっています。

データが価値を生み出す仕組み
図:データが価値を生み出す仕組み

データが価値を作り出すプロセスと仕組み

データは、具体的にはどのようなプロセスと仕組みで価値を作り出すのでしょうか。 人の状態(じょうたい)や行動に関する様々なデータは、PCのほか、スマートフォンを通じて記録・収集(しゅうしゅう)されています。このようなデータには、どのようなWebサイトを見て、SNSでどのような投こうをし、どのようなインターネット上のサービスをどれだけ利用したのか、といった「サイバー空間上でのデータ」がふくまれます。
また、スマートフォンを常(つね)に持っていれば、今日一日のうちいつごろにどのような所へ行き、どれだけ歩いたのか、階段(かいだん)は何階分上がったのかといった「現実(げんじつ)世界でのデータ」も収集できます。

収集されたデータは、ネットワークを通じてコンピューターに送られ、分せきされます。分せきされたデータは、サイバー空間上や現実世界の中で活用されます。たとえば、サイバー空間でその人の関心に合うおすすめの商品を示したり、現実空間の気温などのデータがエアコンに伝えられ、自動的に部屋の温度を調整したりできます。
このように、「サイバー空間上でのデータ」や人やモノからの「現実世界でのデータ」を集めて分せきし、それをまた「サイバー空間」や「現実世界」にもどすことで、価値を作り出しているのです。