【共通事項】

 地方分権推進計画において定められた、国庫補助負担金の整理合理化及び運用・関与の改 革並びに地 方一般財源の充実確保を基本的な方向とする国と地方の財政関係についての見直しを着実に 推進すると ともに、以下の事項について所要の措置を講じられたいこと。

  1.  国及び地方公共団体を通ずる行財政の簡素効率化及び地方公共団体の自主性・自立性 の強化につ いて

    1.  事務事業の廃止、縮小等

       国及び地方公共団体を通ずる行財政の簡素効率化の推進並びに地方公共団体の自主性・自 立性の強化 を図る見地に立って、既存の制度又は施策等について抜本的な見直しを行い、事務事業の廃 止、縮小等 を徹底して行われたいこと。また、新たな制度又は施策の法制化は、真に必要なものにとど められたい こと。
       なお、見直しを行うに当たっては、地方公共団体の意見を聴取の上、これを十分尊重する こととし、 事務事業の廃止、縮小等を行う場合には、その旨が明らかになるよう法令等により所要の措 置を講じる とともに、事務事業の切り離せない一部分について補助負担対象から除外する等、国の財政 負担を地方 に転嫁するようなことは厳に行わないようにされたいこと。

    2.  国庫補助負担金等の整理合理化の推進

       国庫補助負担金等の整理合理化に当たっては、事務事業の廃止、縮小等を行うことを基本 として地方 公共団体の自主性・自立性の強化を図る見地に立って、特に以下の点に留意しつつ、その推 進に努めら れたいこと。

      (1) 本来地方公共団体の自主的な対応に委ねることが適切な分野に係る国庫補助負担金等につい ては、その 廃止と地方一般財源への振替等を引き続き推進するとともに、地方公共団体の負担の増加に 対応して、 地方一般財源を増加させる措置を講じられたいこと。
       この見地から、人件費に係る国庫補助金等(国庫負担金、特定地域に対する特別なものを 除く。)、 地方公共団体の事務として同化・定着・定型化しているものに係る国庫補助金等については 一般財源化 等を行うほか、交付額が零細である国庫補助金等については極力廃止されたいこと。
       なお、人件費に係る国庫補助金等の一般財源化を行う場合には、併せて当該職員設置に係 る必置規制 等も廃止されたいこと。

      (2) 類似の目的を有する国庫補助金等の統合・メニュー化及び交付金化については、単に形式的 に行うので はなく、地方公共団体において地域の実情に応じ効率的に運用することができるよう実質的 な統合・メ ニュー化及び交付金化を進め、その実効をあげるよう措置されたいこと。

      (3) 国庫補助負担金等の見直しに当たっては、地方分権推進計画に沿って、地方財政法第10条 、第10条 の2及び第10条の3に規定する国庫負担金と地方財政法第16条に規定する国庫補助金の 区分に応じ た見直しを行い、国庫負担金については、真に国が義務的に負担すべき分野や広域的効果を 持つ根幹的 事業等に限定し、国庫補助金については、国策に伴う国家補償的性格を有するもの等を除き 原則として 廃止・縮減を図っていくという同計画の趣旨に沿った見直しや予算措置を行うこととされた いこと。
       また、国庫補助金については、「国庫補助金削減計画」に従い削減するとともに、同計画 の対象とな る国庫補助金の総件数についてもこれに準じてその縮減を図られたいこと。
       なお、国の特別会計や特殊法人等から交付される国庫補助金についても一般会計から交付 されるもの に準じて廃止・縮減を図られたいこと。

      (4) 国庫補助負担金等を廃止する一方で、従前の補助金等と同一ないし類似の目的を有する新た な補助金等 を創設すること、また、国と地方の役割分担から、本来地方公共団体が対処すべき分野にお いて新たな 補助金等を創設するようなことは行わないようにされたいこと。

      (5) 公共事業に係る国庫補助負担金等については、その採択基準の引上げ、対象事業の見直し等 を行い、地 方公共団体の自主的な対応に委ねる範囲を拡大されたいこと。

      (6) 公共事業の再評価システム等により、長期にわたり実施中の国庫補助事業等について再評価 を実施した 結果、社会経済情勢の変化に応じて国庫補助事業等を中断する場合においては、補助金等に 係る予算の 執行の適正化に関する法律第10条第1項の規定に基づき、既に事業等の執行が済んだ部分 について国 庫補助負担金等の返還は要しないことを周知徹底のうえ、適切に対処されたいこと。

      (7) 以上のほか、国庫補助金について、一定期間の終期を設定するサンセット化、補助率が低い ものの廃止 又は一般財源化を図る等、地方分権推進計画に盛り込まれた事項を着実に推進されたいこと 。

    3.  国庫補助負担金等の事務手続の簡素合理化等

       国庫補助負担金等の交付申請等に係る事務が地方公共団体に多大の負担をもたらしている 現状にかん がみ、国庫補助負担金等の交付申請に当たっての事前手続の簡素化、交付決定の迅速化・弾 力化、二重 手続の廃止等の事務処理の簡素合理化を徹底されたいこと。
       また、補助対象施設の他の用途への転用については、住民のニーズ等に応えて他の公共施 設・公用施 設への転用が実施できるよう、国の個別承認に代えて届出制とする等制度・運用の大幅な弾 力化・簡素 合理化を図られたいこと。
       なお、国庫補助負担金等の交付決定及び資金交付の遅延は、事業の執行、資金計画に支障 を生じさせ ることとなるので、その適正化を図られたいこと。

    4.  地方公共団体における効率的な行財政運営への協力

       地方公共団体が行政改革を一層推進し、効率的な行財政運営を行い得るようにするため、 職員及び組 織に関する必置規制については、地方分権推進計画に盛り込まれた事項について適切かつ具 体的な措置 を講じるとともに、その他必置規制全般について、同計画の趣旨を踏まえ、必要最小限のも のにとどめ る等の見直しをされたいこと。また、地方公共団体の定員の縮減、増員の抑制に資する施策 を積極的に 推進するとともに、地方公共団体が組織・機構の簡素合理化、民間委託等の方式の採用、第 三セクター の統廃合及び行政経費の節減等を行うに当たっては、これに積極的に協力されたいこと。

    5.  財政負担増等を伴う施策の抑制等

       地方公共団体の財政負担の増加、職員数の増加又は機構の新増設等をもたらすような施策 については 、抑制に努めることとし、事前に十分調整されたいこと。
       また、法人に対する地方公共団体の出資等は、当該団体の自主的な判断によるべきもので あり、国の 施策の実施に当たって地方公共団体が第三セクターを新たに設立することを要件とすること のないよう にされたいこと。
       なお、民間活力を活用した施策等の実施に当たり、第三セクターを事業主体とする場合に おいて、第 三セクターの債務について損失補償の設定等を求めることのないようにされたいこと。

  2.  国・地方公共団体間の財政秩序の確立等について

    1.  国・地方公共団体間の財政秩序の確立

       地方公共団体に権限及び責任のない事務事業に係る経費については、国と地方公共団体と の間の財政 秩序を維持する見地から、地方公共団体の財政負担を求めることのないようにされたいこと 。
       また、国、公団等が設置する施設に対して地方公共団体が経費を負担すること(施設の用 に供する土 地、建物等を無償で貸し付けることを含む。)は、地方財政再建促進特別措置法第24条第 2項の規定 により禁止されているところであるので、施設の設置及び管理に要する経費の全額を予算に 計上すると ともに、現在、国、公団等が地方公共団体から無償で借り上げている用地等がある場合にお いては、速 やかに、買上げ、交換又は適正な対価による有償借り上げ等適切な措置を講じられたいこと 。
       さらに、法定外公共物である里道、水路について、市町村への譲与のための所要の法整備 を進めると ともに、譲与が迅速かつ円滑に行われるよう適切な措置を講じられたいこと。
       また、里道、水路以外の法定外公共物についても、その法的位置付けを行い、行政上の管 理責任、経 費負担等について早急に明確にされたいこと。

    2.  国庫補助負担金等に係る超過負担の解消等

       国庫補助負担金等に係る地方公共団体の超過負担については、速やかに実態を把握し、そ の完全解消 に格段の努力を払われたいこと。このため、国庫補助負担金等の総額の抑制が行われる場合 にあっても 、物価の上昇等に留意して補助負担等の単価を適正な額とされたいこと。また、人件費を対 象とする補 助負担等については、各種手当等を含むすべての人件費をその積算基礎に含めるとともに実 態に即した 給与格付けを行い、事業費に対する補助負担等については、当該事業の実施に必要不可欠な すべての経 費(環境影響評価の手続等に要する経費等を含む。)をその対象とするとともに、標準仕様 又は標準設 計が設定されていない場合には、明確な標準仕様等を早急に設定する等制度の改善を図られ たいこと。
       また、交付率や分割交付方式を導入することにより実質的に地方公共団体に財政負担を転 嫁すること は行わないようにされたいこと。
       なお、地方分権推進計画に沿って、超過負担の実態の把握を適時に行い、これに基づき具 体的な措置 を講ずる仕組みを早期に整備されたいこと。

    3.  直轄事業負担金の改善等

       直轄事業に対する地方公共団体の負担金のうち、維持管理費に対するものについては、今 後、廃止す る方向で、これを段階的に縮減されたいこと。
       また、地方公共団体に対するアカウンタビリティー(説明責任)の観点から、国直轄事業 負担金の内 容については、その積極的公開を進めるとともに、直轄事業に係る事務費については、経費 の徹底した 節減合理化に努め、抑制を図るとともに、その比率、充当範囲が補助事業における取扱いと 均衡を欠い ているので、その取扱いを補助事業と同一のものとするよう改善措置を講じられたいこと。

    4.  国庫補助負担金等の補助負担等の要件の是正等

       国庫補助負担金等を交付する場合において、間接補助制度を設けること等により、関係地 方公共団体 の助成を事実上義務付ける等の過度の関与は、速やかに是正されたいこと。
       また、国庫負担金等は、本来財源調整を目的とするものではないので、個別の地方公共団 体の財政事 情による縮減等は行わないようにされたいこと。
       なお、発電用施設や石油貯蔵施設の立地を促進するための交付金については、地方公共団 体の財政需 要に即応して自主的・弾力的に活用が図られるよう国庫補助負担事業への充当制限の撤廃や 管理運営費 への充当等交付対象事業の拡大等の制度の改善を図られたいこと。

    5.  使用料及び手数料の適正化

       使用料及び手数料については、対象事務の見直しを図りつつ、対象事務に要する経費を賄 うに足る適正な額となるよう所要の措置を講じるとともに、特に手数料にあっては、地方分 権推進計画を踏まえ適切な措置を講じられたいこと。

     

  3.  震災復興の推進について
     阪神・淡路大震災の復興の推進

     阪神・淡路大震災の復興については、地方公共団体において策定された復興計画に基づい た事業が円 滑に執行できるよう、所要の財政措置を講じられたいこと。

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